「行動を起こすって、こんなに大きいんだと思いました」。

「行動を起こすって、こんなに大きいんだと思いました」。
アルバイトで勤務しているコンビニ店の運営会社に対し、未払い賃金の支払いなどを求
めていた埼玉県の高校 3 年生の男子生徒が 3 月 15 日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラ
ブで会見し、労働組合「ブラックバイトユニオン」を介して、会社側と労働協約を結んだ
と発表した。組合によると、高校生が中心になって労働協約を結ぶケースは、これまで聞
いたことがないという。
生徒は組合とともに、今年 1~3 月に 3 回の団体交渉に臨席。会社側に、アルバイトも
含む従業員約 70 人に対する、過去 2 年分の未払い賃金(計約 500 万円)の支払いや、売り
上げとレジの現金が合わないときに自腹で補填した分の返還、今後は 1 分単位で給与を支
払うことなどを認めさせた。全 5 店舗ですでに改善されているという。生徒自身も、合計
で約 4 万 3000 円の支払いを受けている。
会見に同席したブラックバイトユニオンの渡辺寛人共同代表は、
「高校生がユニオンに入
って、会社全体(の労働環境)を改善したところに意義がある」と話した。
●「僕はこんな社会に出ないといけないのか」
生徒は 2015 年 1 月から週 2 回ほど、大手コンビニのフランチャイズ店舗に勤務。
「働くの
はこのコンビニが初めて。労働基準法も何も知りませんでした」
。しかし昨秋、高校で労働
法についての組合の出前授業を受けたことから、アルバイト先の労働環境がおかしいと思
い始めたという。生徒は組合に相談した後、加入して団体交渉をしてもらうことにした。
「
『労働基準法なんて知らねーよ』みたいな、そういう会社が多すぎるのが腹立たしい。き
ちんと働いて、きちんとお金をもらうという、ちゃんとしたものが成り立っていない社会
に僕は出ないといけないのか、という苛立ちがあった」
生徒が問題視したのは大きく 3 点。1 つ目は賃金の支払い体系だ。生徒が勤めるコンビニ
では 15 分単位で賃金を支払う形になっており、15 分未満は切り捨てられていた。時給は
埼玉県の最低賃金だったため、実質最低賃金以下で働いていたことになる。
次に、いわゆる「違算金」の補填だ。売り上げの金額とレジ内のお金が合わないときは、
従業員が足りない分を自腹で補填していた。
最後は休憩の取りにくさだ。通常 2 人勤務だったため、休憩時間が実質的には待機時間と
なってしまい、同僚の手伝いなどのため十分に休めなかったという。
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団体交渉では、組合のメンバーらと同席し、社長らと話し合った。決して多くを語ったわ
けではないが、
「すごく珍しい、社会的成長ができた」と言う。
ブラックバイトユニオンによると、生徒が直面したような問題は、全国で起きている可能
性が高いという。生徒は、労働環境に疑問を感じている同世代に向け、
「今の状態をきちん
と理解して、組合だったり、誰かに相談することが大事。他の人と共有して、みんなで考
えるのが大事だと思います」と呼びかけていた。
(弁護士ドットコムニュース)
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