心不全患者が入院後に経口摂取困難となる関連因子の検討

心不全患者が入院後に経口摂取困難となる関連因子の検討
社会医療法人財団 慈泉会
NST
岩田 恵子
相澤病院
清水 朋美 藤森 貴久
野村 綾子 岸本 浩史
【はじめに】
入院前に経口摂取可能な心不全患者が入院後に経口摂取困難となることがある.入院後の経口摂
取の可否に影響を及ぼす関連因子を検討したため報告する.
【対象と方法】
2014 年 2 月から 2015 年 3 月まで,当院に心不全で入院した症例を対象とした.経口摂取確立困
難群 53 名と確立可能群 213 名に分類し,以下の項目について統計的分析を行った.
(1)性別(2)年齢(3) 入院前の食事形態 (4) 入院前のトロミ付けの有無(5)入院時 Functional
Independence Measure(以下FIM)(6) 脳血管障害の既往(7) 肺炎の既往(8)入院時 Mini-Mental
State Examination(以下MMSE) (9)食事開始時酸素量(10)嚥下に有効性が示されている薬剤
(ACE 阻害薬,シロスタゾール,塩酸アマンタジン)の使用の有無(11)向精神薬の使用の有無(12)入
院時血液検査所見(TP,ALB,BUN/Cr,WBC,HGB,CRP,NT-proBNP(13)左室
駆出率(EF)
【結果】
単変量解析では,年齢,入院前の食事形態,入院前のトロミ付けの有無,入院時FIM,肺炎の既往,
入院時MMSE, TP,WBC, NT-proBNPにおいて有意な差をみとめた.
単変量解析にて有意な相関をみとめたものについて多変量ロジスティック回帰分析を行ったとこ
ろ入院時MMSE ,TP, WBCが有意な変数であった.影響力はTP>入院時MMSE>WBC
だった.
【まとめ】
入院時のTPが低く,入院時のMMSEの点数が低く,入院時のWBC値が高い心不全患者は入院後
に経口摂取が困難なる可能性があると考えられた.