2011 年度大学女性協会一般奨学生に選んでいただき、その後 2013 年

桑原夏子
2011 年度大学女性協会一般奨学生に選んでいただき、その後 2013 年 11 月よりフィレンツェ大
学の博士課程に入学し、イタリア、フィレンツェにて研究を深めております。
大学女性協会の奨学生として「15 世紀フィレンツェの画家、フィリッポ・リッピが描いたバルバドー
リ祭壇画」を研究していましたが、この祭壇画の一部に描かれていた「聖母マリアへの死の告知と
その臨終に付きそうための 12 使徒たちの到着」という画題に次第に興味を持つようになりました。
博士論文のテーマは、13 世紀から 15 世紀のイタリアにおける、聖母マリアの晩年伝の図像研究
です。この博士論文の研究テーマにたどり着いたのは、ひとえに大学女性協会の方々からの暖か
いご支援があったからこそです。本当に感謝しております。
大学女性協会の奨学生として研究した成果は “Reconsidering the Problem of the Central
Predella of the Barbadori Altarpiece by Filippo Lippi: Why was the subject “Annunciation of
the Death of the Virgin and Arrival of the Apostles” chosen?”と題して、オンラインジャーナル、
Aesthetics の 19 号に掲載されました。
そのほか、2014 年はフィレンツェにあるマックス・プランク美術史研究所主催のサマースクールに
参加しました(Kunsthistorisches Institut in Florenz, Max-Planck-Institut. "L'Aquila, The Future
of the Historical Center: A Challenge for Art History")。2009 年 4 月にイタリア中部アブルッツ
ォ州ラクイラを襲った地震被害と美術について、イタリア人 9 人、ドイツ人 3 人、アメリカ人 2 人、日
本人 1 人のメンバーで、約一週間、ラクイラの被災した教会や町を訪れ、プレゼンテーションとディ
スカッションを行いました。地震被害からすでに数年が経過しているにもかかわらず、いまだ復興
の進んでいない現状に衝撃を受けましたし、地震の直後だけではなく、現在の復興の問題の様子
そのものも世界に訴えていく必要があるのではないかとも感じました。自分の博士論文の研究以
外にもこうした美術を含めた社会問題と向き合うことができたことは、大きな収穫だったように思い
ます。