Title 岐阜県およびその近県の植物に関する研究 II Author(s) 水野, 瑞夫; 田中, 俊弘; 鈴木, 祥之 Citation 北陸の植物 = The Hokuriku journal of botany, 16(2): 41-45 Issue Date 1968-05-15 Type Journal Article Text version publisher URL http://hdl.handle.net/2297/44712 Right *KURAに登録されているコンテンツの著作権は,執筆者,出版社(学協会)などが有します。 *KURAに登録されているコンテンツの利用については,著作権法に規定されている私的使用や引用などの範囲内で行ってください。 *著作権法に規定されている私的使用や引用などの範囲を超える利用を行う場合には,著作権者の許諾を得てください。ただし,著作権者 から著作権等管理事業者(学術著作権協会,日本著作出版権管理システムなど)に権利委託されているコンテンツの利用手続については ,各著作権等管理事業者に確認してください。 http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/ 北陸の植物 第16巻第2号 昭和4秤5月 Fig.1;MapofMt.lbuki A:temperate{emgrowingregionB:warmtemperateferngrowingregion −42− Mayl968 TheJournalofGeobotany Vol・XVI.No.2 からのコース(Fig.2のa)では700m,上平寺・上野・古屋***(Fig.2のb,c,d)か らのコースでは500m以上ではシダ数が著しく減少する。 一方800∼900m以上では新しく,ホソバトウゲシバ・ヒカゲノカズラ・ナツノハナワラ ビ・オウレンシグ・カラクサシグ・ツヤナシイノヂ・ナライシグ・ミヤマクマワラビ・ミ ヤマイタチシグ・テバコワラピ・シケチシグ・コパノヒノキシダ・クモノスシグ・コタニ ヮタリ・ミヤマノキシノブが出現する。 このうちホソバトウゲシバ・ナツノハナワラビ・ヤマソテツ・ナライシダ・ミヤマクマ ワラビ・ミヤマイタチシダ・テバコワラビ・コタニワタリ・ミヤマノキシノブは温帯∼亜 高山帯に多く分布するシダである5)6)。美束からのコース(Fig.2のa)が800∼110dnで 再び上昇しているのはこれら温帯性シダが出現するためである。上平寺からのコース (Fig.2のb)では900m以上においてこの現象がみられろ。1300m以上には亜高山帯に もその分布域の広がっている6)オウレンシダ・テバコワラビ・ミヤマノキシノブが分布す る。 本地域は年降水量2200∼2800面皿である。関が原(120m)では年平均気温14.3。C,伊吹 山頂では6.2°Cである2)o気温一標高を1次画数に近似させれば,標高500mでは11.8・Cと なる。先に筆者らは岐阜県において,年平均気温12℃をシダの分布量の指標とした7)が, 伊吹山においてもこれとよく一致する。また,気象学上の暖帯ともよく一致する。 結 論 1.伊吹山にはシダ植物99種を産する。 2.シダ植物のう差大部分(84種)は標高500m以下に分布し,標高の上昇とともに種類 数が減少する。 3.800m以上においては,標高500m以下には見られなかったシダ15種が分布し,その内 9種はその分布域を温帯∼亜高山帯に有する種類である。 4.1300m以上には分布域が亜高山にも広がっているシダ3種を産する。 5.年平均気温12°C以上の地域とシダを多産する地域(標高500m以下)とはよく-一致す る 。 Sumnnary M t . I b u k i w a s a t t a c k e d b y f o u r c o u r s e s ( f r o m M i t s u k a , J o h e i i i , U e n o a n d F u r u y a ) . 1.99sp"iesoffernsaIegrowingthere. 2.Femgrowingareaaredividedintotworegions,i.e.warmtmperateand"mperate. Intheformermorespeciesoffernsaregrowingthaninthelatter. 5)田川基二:原色日本羊歯植物図鑑(1964) 6)杉本順一:日本草本植物総検索誌シダ篇(1966) 7)水野瑞夫・田中俊弘・鈴木祥之:岐阜薬科大学紀要,投稿 ***古屋からのコース(Fig.2のd)は標高約800mで上平寺からのコース(Fig 2のb)に合する。 −45−
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