乳液、クリーム類 - 中毒情報センター

公益財団法人 日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報
【乳液、クリーム類】Ver.1.00
公益財団法人 日本中毒情報センター
保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報
乳液、クリーム類
1.概要
乳液、クリームは皮膚に油分の不足を補い、調整するのが目的の化粧品である。
乳液、クリームは水と油分を基剤とし、その他に界面活性剤、保湿剤、防腐剤など
を加えたもので、液状のものを乳液、粘度の高いものをクリームという。
油分:スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、ラノリン、固形パラフィン、
蜜ロウなど
保湿剤:プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールなど(1)
2.毒性
流動パラフィン、ワセリン、ラノリン:ヒト経口推定致死量 15g/kg 以上(2)
蜜ロウ:無毒(3)
スクワラン:マウス耐性量 0.5g/kg(2)
プロピレングリコール:ヒト経口推定致死量 5~15g/kg(2)
ラット経口 LD50 20g/kg(5)
グリセリン:ヒト経口推定致死量 15g/kg 以上(2)
ポリエチレングリコール:ヒト経口推定致死量 5g/kg 以上(2)
基剤、保湿剤は上記の如くいずれもきわめて低毒性。その他の成分は
含有量も低く、毒性はほとんど問題なし
3.症状
大量服用の場合:一過性の悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状を生じること
あり
4.処置
家庭で可能な処置:水分補給
医療機関での処置:通常処置は不要。症状があれば対症療法
5.確認事項
1)種類:薬用クリームか、化粧用クリームか(薬用クリームなどにはカンフル、
フェノールを含有しているので注意)
2)用途:乳液、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリー
ムの順に油脂成分の含有量が増す(油脂成分の多いものほど要注意)(4)
3)摂取量:なめた程度か、容器から飲んだか
4)患者の状態:嘔吐や下痢、その他の変化の有無
6.情報提供時の要点
1)少量の誤飲程度なら家庭で経過観察し、症状があるときに受診を指示(5)
2)カンフル含有薬用クリームを大量に摂取した場合は、吐かせずに受診を
指示(牛乳も禁忌)
7.注意
子供は母親をよく見ているので、乳幼児の前での化粧は避けるよう指導
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【乳液、クリーム類】Ver.1.00
8.参考文献
(1) 現代商品大辞典 (1986)
(2) Clinical Toxicology of Commercial Products (1984)
(3) Poisindex(1999)
(4) 家庭用化学薬品の知識(1982)
(5) RTECS(1997)
9.作成日
19900215 Ver.1.00
ID M70186_0100_2
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