音響・振動情報による機器診断と快音化

所属: 鶴岡工業高等専門学校 創造工学科 情報コース
研究タイトル:
音響・振動情報による機器診断と快音化
氏名:
柳本 憲作 / YANAGIMOTO Kensaku
E-mail:
[email protected]
職名:
教授
学位:
博士(工学)
所属学会・協会:
日本機械学会、日本音響学会、日本騒音制御工学会
キーワード:
振動・騒音、音質評価、騒音制御
技術相談
提供可能技術:
・機械機器の音響・振動の計測および解析に関する技術
・能動消音制御による住環境の低騒音化技術
・音響応用技術
研究内容:
音響を用いた小型 DC ファンの品質診断装置の開発•研究
現在,小型 DC ファンの組み立てラインにおける最終品質確認は、人間の聴覚に基づいた官能検査により行ってい
る。しかし、これは熟練を要し,個人差も生じるので同様な判定が難しい。また診断対象以外からの暗騒音が診断精
度を低下させ、検出した音響信号の S/N 比向上対策が必要となる。そこで、まず本研究は適応線スペクトル強調器
(ALE)を用いた小型 DC ファンの音響診断における S/N 比向上手法の有効性について検討した。次に小型 DC ファン
の品質上問題となる面ブレならびにファンケーシングと翼先端とのクリアランス異常について、本音響診断手法の検
証を行った。
本システムを図1に示す。システムは、小型 DC ファンに近接したマイクロフォンにより音響情報を収集し、DSP
ボードに入力、ALE 処理された後、ホスト側の画面にスペクトル表示される。小型 DC ファンからの異常音の音響特
性は、大きく金属性異音と風切り異音の二つに分類される。この両者の分布するスペクトルは明確に弁別でき、特に
金属性異音は健常者であればその判定は高い確率で行える。これに対し風切り異音はファンの回転数や翼通過周波数
に起因しており、比較的低周波数域にハーモニクスに分布する。このため異音の判定にはかなりの経験が必要とされ
る。図2は本システムにより面ブレに対する ALE の出力信号の回転次数音および翼通過周波数音についてそのピーク
の尖度向上をまとめたものである。面ブレが大きいファンについては翼通過周波数(f5)が大きくなりその他の回転次数
音(f2,f3,f4)は ALE により弱められている。
このように適応ディジタルフィルタを応用した ALE システムを用いて面ブレやクリアランスの変化による回転次
数音の変化について検証されている。
図1 DSP ボードを用いた音響診断装置
図2 ファンの面ぶれと ALE 信号出力の尖度向上
提供可能な設備・機器:
名称・型番(メーカー)
精密騒音計(リオン社製、NA-40)
振動計(リオン社製、VM-20A)
FFT アナライザー(小野測器社製、CF-5220)