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日消外会 誌 14(2):133∼
140,1981年
肝再生 に関す る実験的研究
一
長崎大学医学部外科学第 2 教 室 ( 指導 : 土 屋涼 教授)
向 井
憲
重
STUDIES OF PANCREATIC RECNERAT10N AFTER
SUBTOTAL PANCREATECTOMY IN RATS
Norishtte MUKAI
2nd Department OF surgcry2 Nagasaki nivcrsity
l」
Sch001 0f Medicine
(Director:PrOi Ryoichi Tsuchtta)
ラ ッ ト膵広範切除後の残 存膵 における 外分泌お よび 内分泌細胞 の再生能 につ いて ,thymidine‐
H3を 用
いた autOradiographァ
に よる DNA合 成能,陣 放射能活性,nuclear volume,残
存膵重量の測定等 によ り
検討 し,さ らに Sandmeyer型 糖尿病発生 と陣 ラ島細胞再生 との関連性 について も追求 した 。陣広範切除
後,残 存膵は著明な重量増加を認 め,膵 放射能活性は 3日 目よ り10日目まで高値 を示 した。外分泌細胞は
術後早期 よ り活発な DNA合 成を行い,細 胞分裂 に よってその数的減少を補 い, さらに20日目以降 hyper_
trOphyを呈 した.残 存陣 ラ島細胞 において も3日 目を ピー クに
活発 な DNA合 成による細胞増殖 が,10
日目よ り20日目まては細胞肥大 が認 め られたが ,40日 日以降 これ ら細胞の変性像が散見 され, この時期 に
糖尿病 の発生が認め られた 。
索引用語 :膵 広範切除,Sandtteyer型糖尿病, 膵再生,autOradiograPhy,nuclear volume
格
言
近年,膵 の良性,悪 性疾患 に対 し根治性を計 る意味 で
膵 の広範切除が 行 われ るようにな り1ン
ち そ の結果術後
の陣機能障害が重要な問題 として残 されている。膵 は外
分泌お よび内分泌機能を有 し,膵 広範切除 によ り陣機能
不全をきた しやすい。 しか し,実 験的 には,陣 外分泌の
機能的予備力は大であ り,臨 床的 に も陣広範切除後の外
分泌機能不全発生は少ない。一方,内 分泌障害 として膵
広範切除後, Sandmeyer型 糖尿病 3)4)が
発生す ることは
よく知 られている。一般的 に,膵 の再生能は低い とされ
ているが,外 分泌な らびに内分泌細胞に区分 して経時的
に再生率を具体的に提示 した研究は少ない。本研究 では
ラ ッ トに対 し膵広範切除を行い,残 存膵 におけ る外分泌
お よび内分泌細胞 の 再生能 につ き, autOttdiographァ
に
よる DNA合 成能,陣 放射能活性,残 存膵重量)nuclear
生後 2カ 月∼ 3カ 月, 体重 140∼180g(平 均 157g)の
ウィス ター系 ラ ッ トの雄を使用 し,オ リエ ンタル実験動
物用固型飼料 MFぉ ょび水にて飼育 した。 35匹の ラ ッ
トに対 し眸広範切除を施行 し, さらに対照群 として35匹
のラ ッ トに,開 腹後,陣 と結腸間膜 の剣離術 のみを施行
した。
2.陣
広範切除術
ラ ッ トは手術前 12∼24時 間絶食 とし,エ ーテル全身麻
酔下 に正 中切開 にて開腹 した.ラ ッ ト膵 は薄 い膜状構造
biliary
を塁 してお り, gastric,sPlenic,duodenaェ,Para‐
segmentに 大別 され る5)(Fig.1).
膵広範切除術は Foglia6)の 方法 に準 じ, 十 二指腸 と
胆管の間に囲まれ る Pa昭_biliary segmentのみを残 し!
他 の 3つ の Segmentは すべて 切除 した。 その切除量は
V。
lumeな どに より検討を試み,さ らに Sandmeyer型糖
尿病発生 と膵 ラ島細胞再生 との関連を も追求 したので報
約90%で ある。陣広範切除群"対 照群共閉腹前 に生理的
食塩水5mlを 腹腔内に注入後,腹 壁は 2層 縫合 にて閉鎖
し,術 後 12∼24時 間 より水及び飼料 の投与を開始 した.
告す る.
なお,抗 生物質は全 く使用 しなかった。
実験方法
1.実 験動物
3,実
験群 の設定
膵広範切除群,対 照群をそれぞれ 7グ ル ープに分け,
障 再生 に関 す る実験的研究
2(134)
Fig.1.
Anatomy of the rat
PanCreas.
日消 外会 誌 1 4 巻
2号
判定は細胞核内の銀粒子数が 3個 以上を陽性 とし
Cellの
才 二 .
PorQbi110ry
陣放射能活性 は 摘出膵か ら約5mgの 際片を 採取 し,
luen(Packard)にてホモジ
counting vial内
で lmlの Sも
ー
ンス
タゲルを
ネ トし,9mlの イ
加え,陪 所 にて24時間
100型液体 シンチ レーシ ョンシス
静置後, Beckman LS‐
テムにて10分間 1回測定 し,dPm′mgに 換算 した。
nuclear volume測
定 には 光顕用標本を使用 し, 外分
にて 写真撮影 した後, 同 倍
泌組織 お よび ラ島を 1,000倍
率 で 撮影 した マイ クロメーターにて,acinar cellぉょ
び iSiCt Cellの
核 の長径 お よび短径 を測定 し,Koulisch7)
a2b(a:half of the smaller
の報告 した式,す なわち4/3π
diameter,b:half of the greater diameter)を用 ヽヽ
て算
核は 1ラ ッ ト
出 した。なお,acinarぉ ょび iSlet Cellの
につ き,そ れぞれ 100個測定 した.
実験成績
1)体 重
各 グル ー プは 5匹 とし,術 後第 1日 ,3日 ,5日 ,10日 ,
20日,40日 ,60日 目に屠殺 した。 さらに 5匹 を 0日 群 と
して屠殺 した。
膵広範切除群 の術後第 1日 日の体重減少は対照群に比
しやや高度 であ り,術 前 の体重へ の回復 も,対 照群 が 3
日日で既 に術前体重を上廻 ってい るのに対 し,切 除群 で
4.検 査内容お よび方法
は10日以上を要 した。その後両群共に順調な体重増加を
体重は手術時 より屠殺時 まで 5日 毎 に測定 した。
空腹時血糖は手術時 お よび屠殺時 に尾切断 に より採血
み とめ るが,20日 日以降切除群 の体重 は対照群 に比 し,
増加が低率であった (P<0・001)(Fig.2).
にて測定 した。
3H)
組織標本 は 屠殺前 12時間以上絶飲食 と し,(6‐
し,OTB法
Fig.2. Body weight of sublotally pancreatectomi‐
卜SD.
zed and control rats after operation.Mean―
thymidine O.5μ
Ci/g体 重を 腹腔内に 注入 し, 1時 間後
エ ーテル全身麻酔下 に,陣 広範切除群 は残存膵を,対 照
中にて固定 した。
光学顕微鏡用標本 は,脱 水,パ ラフ ィン包埋後,卯 片
て染色 し検鏡 した。
を Itematoxylineteosineに
や資 地 ■ 0≡ ぁ t On
biliarγ
segmentの みを摘出 し, 光 顕 お よ び
群 は para‐
autoradiograplly用
標本 として 採取 した。 輸出膵 はそれ
ぞれ重量測定を行 った のち,直 ちに10%ホ ルマ リン溶液
100
autoradiogttPhy用
標本作製 は, 採 取固定 した 陣組織
パ
ン
片を ラフィ 包埋後,4μ の切片と し, 脱 パ ラフ ィン
後,暗 室内で DiPping法により SAKURA,NR‐ M2液 体
字L剤 (小西六写真工業株式会社製)を 塗布 し,シ リカゲ
ルを入れた 暗箱 に入れ, 5℃ に 保存 し, 露 出期間 は30
日間 とした。30日後現像定着を行 い,同 標本を,HCma‐
line‐
eosineにて染色 し, 1,000倍にて光顕下 に lab‐
toXγ
eling indexを
標本 は 1ラ
測定 した。autOradioglaplly用
postoperative day
*: Pく
(0・001
-― :Pancreatectomized rat(n=5),
……・
:COntr01 rat(n=5).
2)空 腹時血糖
ッ トにつ き 少な くとも3枚 以上作製 し, 外 分泌及 び 内
膵広範切除群 におけ る第 1日 目の血糖値は術前 の平均
値 土標準偏差値が96.6±9.2mg/dlに対 し,271.1± 67.5
分泌細胞 ともに1,000個の核を数えて測定 した.labeling
mg/dlと 高値を示 し, ま た 対照群 との 間 に も 有意 の差
3(135)
1 9 8 1 年2 月
Fig.3.
BIoOd sugar levels of subtotallァ
tectomized and control rats.Mean―
Pancrea‐
卜SD.
対 照群 は 86.3±7.3mgに す ぎず , 明 らか に 有意 の 差
(p<0,001)が 認 め られた (Fig,4).
4)残
存膵放射能活性
液体 シンチ レー シ ョンに よる残存膵 の放射能 活性 をull
mg/dl
postoperative day
*: Pく
(0・001, *米: Pく
く0,05
-― :Pancreatectomized rat(n=5),
… …・
:COntrOl tat(n=5).
やF 的 引 0≡ や 0≡ り付 o常 o宮 付 島 H S F O ﹁ O o常
︻ 0> 0︻ h d的 ■ 0 ● ooHコ
Fig.4. Weight of residuaI Pancreas after subtotaI
nPared with weight of corresPonding
resection coコ
segment in controls.MeanttSD.
0 1
5
5
10
20
postoperative day
(P<0・ 001)を 認 め た。 しか し,術 後 3日 目には 術 前 値
に まで下 降 し,術 後 3日 , 5日 ,10日 ,20日 の血 糖 値 は
*: Pく
(0・001
-:PanCreatectomized rat(n=5),
4 ±16.7mg/dl,129.6
dl,119・
それぞれ,116.2±32.8mg′
4
6.4mg/dIと
27.lmg/dl,133.8±
はぼ 安定 した値を と
±
…,一・
:COntrol rat(n=5).
り,対 照群 との間にも 有意 の差 は 認 め られない.し か
33.6mg/dl(P<0・05),第 60日 目
し, 第 40日目 174.0±
001)と 再 び増加 し,対 照群 と
192.0±
28.4mg/dl(P<0・
Fig.5。 Pancreas homogenate radioactivity.
WIeanTSD.
dpm/mo
の間 に有意 の差が認め られた (Fig.3)。
すなわち切除群 は 1日 目に一過性 の高血糖 を示 し,一
高血糖 に移行 し,多 飲,多 尿 お よび尿糖 の出現をみ るに
至 った,
ラット陣 は薄い膜状構造を呈 しているが,膵 広範切除
群 においては 日が経 つ につれ実質臓器 の如 く肥厚を示 し
iliary segmentで
た。Paraも
あ る 残存膵 の 湿重量 (N=
3.8mgで
52.6±
5)は
ぁ り,切 除群 の 1日 目は 112.1土
0
0
0
0
0
0
2 1
3)残 存膵 の肉眼的所見及び湿重量
ヽ や ﹁, ︻ や 0雨 0 ﹁ ● 付 ︻ “ い Oh OH 面 高
旦ほぼ正常血糖 に回復 したのち,40日 日以降 に持続性 の
26mgと 約 2倍 に増加 した。 これは術後残存膵 の 浮腫 が
最 も強 い時期 であ り,浮 腫が改善 され るに したがい, 3
日目84.5±16.4mg,5日 目82.8±20.7mgと ゃゃ減少を
こヤ
ま105.7±18.Omg, 20日 目
不 した。し か し, 10日 ロ ヤ
26 3mg,40日目223.8±32.9mgと 増加 の傾向を
139.7±
する
示 した。対照群 も体重 の増加につれ,わ ずかに増カロ
28.9mgで
178.2±
ぁるのに対 し,
が,60日 目で切除群が
5
10
20
postoperative day
postoperative
*:P<0.01
-:PanCreatectomized rat(n=5),
………:COntr01 rat(n=5).
膵 再生 に関す る実験 的研究
4(136)
定 した.切 除群 の前値が 1,071±200dPm′mg(N=5)
に対 して,第 1日 目は 1,189±480dPm′mgを 示 し,対 照
群 と有意 の差は認め られない。ただ し,こ の時期は術後
の浮腫が最 も強 く, しか も5mg膵 組織片あた りの COunt
Fig.7.
日消 外会 議 1 4 巻
2号
AutoradiograPhァ of Pancreas of subtotally
PanCreatectomized rat 5 days after oPeration.
Four acinar cell nuclei are labeled with grain
of thymidine‐3H.II.Eo stain. 〉
く1,000.
値を示 したので,浮 腫 がなければ より高値を示す ものと
考え られ る.切 除後 3日 , 5日 ,10日 目の値 は,そ れぞ
れ 1,938±230dPm/mg,2,403± 260dPm/mg,2,096± 277
dPm/mgを 示 し, 対 照群 に比 し 有意 の増加 (P<0・01)
を認めた。 しか し,20日 ,40日 ,60日 目では放射能活性
は低下 し,対 照群 との間に有意差はない (Fig.5).
すなわち切除群における残存膵放射能活性は術後 5日
目を ピー クに 3日 より10日 目まで高値を示 した。
5)aciner cellの DNA合 成能お よび nuClear v。
lume
3Hを
thymidine‐
による DNA
用 いた autOradiographァ
合成能を labeling indexで 表わ した。 切除群において
は,前 値0.32±0.20%(N=5)よ
り,第 1日 目2.56土
0.68%,3日
目4.46±0.52%を , 5日 目には5,37± 1.25
%と ピー クを示 し,そ の後やや低下 して,10日 目3.80土
0。41%を 示 した。 この期間中対照群 との間に有意 の増加
(P<0・001)を 認めた。そ の後20日 目には0.30±0。18%
と前値 と類似の値を示 し,40日 日で再 び1.17±0.17%に
Fig.6.
Pancreas acinar cell nuclear labeling indi‐
ces in subtOtally pancreatectomized and cOntrol
ra ts,MeanttSD.
Fig.8.
Nuclear volume of acinar cells in subtot
tally Pancreatectomized and control animals after
oPeratiOn.MeanttSD.
c u メヵ
宮
「
>
Ft
S
H
宮
postoperative day
り 00 ︻毎卓 ︻ 的 費 H︻ 0, S ︻
﹁ ︻ O c h SS ﹁ OG
*: Pく
(0・005
-:Pancreatectomized rat(n=5),
……・
:COntrOl rat(n=5).
上 昇 したのち,60日 目では前値お よび対 照群値 と同様 な
値 を とった 。す なわ ち labeling indexは
2峰 性 を示 した
(Fig.6).Fig.7に
腺房細胞 の核 内に取 り込 まれた粒子
な らびに核分裂像を示す 。
lumeを み る と,手 術時 は 34.4
腺房細胞 の nuclear v。
2.4cu.μ
±
で, 術 後両群 ともに 増加を示 し,10日 目ま
O l
チ 5
1o
20
POStOperative day
*: Pく(0・001
:PanCreatectomized rat(n=5),
…… :COntr01 rat(n=5).
1o
で有意 差は認 め られ ない。 対照群 において 10日 日以降,
nuclear volulneの増加 は認 め られないが,切 除群 では,
2 0 日目5 8 . 9 ±1 1 . 4 c u . ,μ4 0 日 目6 4 . 2 ±
6 . 2 c u . ,μ6 0 日目
6 1 , 2 ±6 . O c u . μと増加 し, 対 照群 と 有意 の差を 認めた
く
P < 0 ・0 0 5 ) ( F i g . 8 ) .
すなわち,陣 広範切除後の残存捧 aciner cellは
1日
1981年 2月
5(137)
目より10日目まで活発な DNA合 成が行なわれ, hyper‐
PlaSiaを塁 し,20日 日以降では主 として細胞の hypertr‐
Fig. 10.
Autoradiogram of
PanCreas of subtotally
days after oPeratiOn.
Pancreatectomlzed rat 5
Two isiet cell nuclei are labeled. H.E.stain.
OPhyが 認 め られた。
6)iSlet Cellの DNA合 成能 お よび nuClear volume
膵 ラ島細胞 の labeling indexは Aお よび B細 胞 を区
×1,000.
別 して 測定す る事が 困難なために, 全 体 として 預」
定し
た。なお, ラ ッ ト眸 ラ島内はほ とん どが B細 胞 で 占め ら
れてお り,A細 胞 は ラ島周辺部 にわずかに散在す る分布
を示 した。
切除群 における ラ島細胞 の labeling indexは, 第 3
日目を ピー クに, 1日 目より60日 目まで,対 照群に較ベ
高値を示 し, 有 意 の差が 認め られた (p<0・001).す な
わち,labeling indexは , 1日 目1.06±0.41%,3日
目
2.52±0.43%, 5日 目 1.37±0.4%,10日 目 1.40±0.35
42±0。17%,40日
目0。
%,20日
目0.62±0.20%,60日 目
0.12±0.04%を 示 し,明 らかに DNA合 成能 の元進を認
めた。 しか し,外 分泌細胞 のそれに較べ るとやや低値 で
Fig. 1l
び20日 日 (P<0・001)で 対照群 との間に有意差が認 め ら
れた (Fig.11)。 しか し40日 日以降,全 く増加は認め ら
れず,対 照群 との間に有意差は認め られない.
islet cells in subto‐
MeantSD.
あ る。 (Fig.9,10).
islet cell nuclear volumeを
み ると,手 術時は40.1土
5.3cu.μ であるが , 切 除群 において, 3日 目47.8±7.8
Cu・μ,5日 目48.0±5.8cu.μ,10日 目53.3±5.2cu.μ;20
日目60.1±2.6cu.μ と増加 し, 10日 目 (P<0,01)お よ
Nuclear volume of・
tally Pancreatectomized and control animals.
CU
70
昌
)
常
d
H
宮
Fig.9.
Labeling indices of islet celis in subtOtally
互
ean=L
pancreatectomizod and control animals.
ヽ
SD.
60
50
10
50
20
10
0 1
5
︱︱︱
︱︱︱
川
比 封﹁
州﹁
い 00 ﹁ ●F 一 旺 宮 ﹁ ︻ oつ d ︻ ︻ H Oo や o﹁ 0﹁
5
10
20
postoperative day
*: Pく
(0・001
(0・01, **Pく
-:PanCreatectomized rat(n=5),
………:COntr01 rat(n‐ 5)
す なわ ち,膵 広範切除後 の ラ島細胞 は ,あ ず か に hy―
示すが, そ の
呈 し, そ の後 hypertrOphyを
Perplasiaを
再生能 は腺房細胞 に比 し低 い。 光顕的 に40日 日以降 で ,
ラ島は不整形を示 す ものが 多 く,線 維化 を伴い,島 細胞
は萎縮 し, 紡 錘///の
濃染す る 核 を有す る 細胞 が 増 加 し
,__■、、、ェ__
0 1
5
5
10
__」
L______…
20
こ.
ブ
考
察
膵広範切除術後 の病態生理 お よび残存膵 におけ るT//態
学的変化 に関 しては多 くの報告があ り,膵 再生 に関す る
postoperative day
*: Pく
(0・001
一 :Pancreatectomized rat(■
…… :COntrOl rat(n=5).
…エ ーー
=5),
報告 も少な くない.Fimer8)は 障全摘大 に対 し, 8カ 月
間イ ンス リン投与を行 い, 断端 か ら 0.5gの 膵組織 の再
6(138)
解再生 に関す る実験的研究
日消 外会 誌 1 4 巻
2号
生を証明した。 COndOrell19)ら
は20匹の大 に対 し30∼50
間 の観察 で, 80%以 上の 切除例 に 糖尿病発現 をみた と
%膵 切除を 行 い, 陣 部分切除に よって 再生が 刺激 され
るこ とを示唆 した。 Lehv&Fitzgerald10)はラ ッ トの約
し,DragstedP4)は
80∼90%切 除 で 糖尿病は 発生 しない
とした。水本 ら17)18)は
,犬 を用いて膵広範切除後 の糖代
謝 と陣内分泌機能 の変動を観察 し,88%以 上の切除では
50%眸 切除を行ない,残 存膵 の著明な重量増加 と acinar
CeHの 再生を証明 し, さ らに PearsOnll)も
同様に, 50
%,70%,90%陣
切除後 の再生能を検討 し,切 除量を増
す程再生率は高率であった と述べている。
本研究は ウィスター系 ラ ッ トの雄を使用 し,90%膵 切
除後 の残存膵 におけ る再生能を外分泌な らびに内分泌細
胞 に区分 して,経 時的 に分析 したものである。膵広範切
除後,残 存膵 は 肉眼的に 球状 に 肥大 し, 術 後40日 目で
は,術 直後 の 4倍 以上の重量増加を認めた。 thymidine_
3Hを
用いた 液体 シンチ レーシ ョンに よる膵放射能活性
は,Lehv10)らは術後30時間を ピー クに第 1∼ 2.5日で増
加をみた としているが,本 実験 では第 5日 目を ピー クに
第 3日 より10日目まで高値を示 した。
まず膵外分泌系 の再生をみる 目的で腺房細胞 の autoト
adiOgraphγ
に よる DNA合 成能 を labeling indexで
み
ると,第 5日 目の5.37%を ピー クに,第 1日 日より10日
目まで高値を示 し,対 照群 の 3乃 至10倍に達 した。 また
術後40日 目に軽度の上昇を示 した。一方,nuclear volume
は,切 除群 において40日 目まで増加をつづけ約 2倍 に増
大 し,対 照群 に比 し20日以降で明 らかに hypertroPhyを
呈 した。 すなわち, 残 存膵 aciner cellはまず活発な
DNA合 成が行われ, 細胞分裂によってその 数的減少を
補 い,そ の後細胞な らびに核 の肥大が起 こ り,膵 の再生
が完成す るものと思われ る。
Scow12)は90%膵 切除 ラ ッ トにおいて, 術 後 の消化吸
収機能は正常であった と述べ,HOtz13)は , 70%切 除 で
は外分泌機能は正常であ り,90%切 除では術後 2週 間前
後 で トリプシン,ア ミラーゼ排出量 が正常 の約60∼80%
に減少す るが, 5週 前後 で 正常化す ると報告 した。Dra‐
gstedP4)は犬を用 いて90∼95%陣 切除を行い,消 化吸収
機能 に障害はない もの と述べてい る。 この ように,膵 外
分泌 に関 してその機能的予備力は大で,正 常 の約 5%陣
組織が残れば消化吸収機能 に障害はない もの とされてい
る。 これ らの事実は,膵 外分泌組織 の再生に よる機能 の
代償 も一 因 と考え られ る.
つ ぎに膵大量切除後 の 膵内分泌細胞 の再生 と Sandm‐
eyer型 糖尿病発生の関係 について 検討 した。 一般 に膵
広範切除後, ヽヽ
わゆる Sandmeyer型 糖尿病が発症す る
事 は古 くより知 られてお り,こ の病態生理 に関 し多数 の
15)崎
) 17)18)19)20)211吉
161ま
報告がある
岡ら
犬膵切除後28日
術後早期 に糖尿病が発症 し,70∼ 80%切 除 では 6週 以降
には じめて糖尿病が 発生 し, 70%以 下 の 切除では 糖尿
19)はラ
病 の発生がみ られない と報告 した.Martinら
ッ
トに対 し膵広範切除を 行ない, 正常血糖, 尿糖陰性 の
“Pre,diabetic Period"を
経 て, 20日 日以降高血糖, 尿
“
eariγ
糖陽性 の
diabetic Period"に
移行すると述べ た
20)は
ラ ット膵広範切除後 の残存陣 ラ島 B細 胞を
が,吉 野
電子顕微鏡的 に観察 し, B細 胞が切除に より量的減少を
きた している上に,そ れを代償す るための残存膵 B細 胞
の持続的な機能元進状態がい っそ うB細 胞 の消耗,機 能
廃絶を起 こし,さ らに数的減少をきた して糖尿病発生 に
至 ることを示 唆 した.
本実験 では ラ ッ ト膵広範切除後第 1日 目に高血糖を生
じるが,そ の後20日 目までは正常血糖を維持 し,40日 目
以降に糖尿病 の発生をみた.切 除群 におけ る残存膵 ラ島
細胞 の DNA合 成能 は 3日 目を ピー クに 実験全経過 を
通 じ,対 照群 よ り高値を 示 した。 ただ し, 細胞増殖度
は 外分泌細胞 に 比較す ると幾分低値 であ った。 ・uclear
V。
lumeも 膵切除後20日 目までは有意 に増加を示すが,40
日日以降 では ラ島は不整形を示す ものが多 くな り,種 々
の程度 の線維化を伴 いなが ら,島 細胞 は萎縮 し,紡 錘形
の濃染す る核を有す る細胞が増加 した。すなわち,陣 広
範切除 のラ島細胞はまず DNA合 成が行われ hyperPIasia
を塁 し,つ いで hypertroPhyを
きたすが,40日 目以降で
は これ ら細胞 の変性像を散見す るようになる。 したが っ
て長期経過例 では,再 生能低下,体 重増加 に よるイ ンス
リン消費量 の増加,B細 胞 の機能元進 に続 く消耗な どが
原因 とな って糖尿病が発生す るもの と推定 された。
以上,膵 外分泌お よび内分泌細胞 の間 には再生能 に幾
分差果 が認め られたが,そ の理 由は明 らかでない。おそ
らく Stem Cellに
差があるためか, ま たは同一 の Stem
CeIIから発生 したものであれば 分化過程 におけ る生物
学的特性 に差異があるためであろ う。 なお,ラ 島 の再生
能 は実験 に用いる動物 の種属や年齢 によって大 きく左右
され る。五 島21)は
膵広範切除犬 にて,残 存膵 ラ島の hy‐
PerPlattaは
全 く認 め られなかった としているが, ラ ッ
hyPertr‐
トを用いた 本実験では 明 らかな hyperplattaと
。Phアが 認 め られている。 Friedman22)は
, ラ ッ ト陣切
除後 の残存際 ラ島の主な形態的変化は hγ
perPlasiaで
ぁ
1981年2月
7(139)
るのに対 し, 大 では degenerationが
主体 であった と述
べ ,その理 由として,実 験 に用いる犬はほ とん どが adult
であ り,若 い成長期 の動物 とは反応が異な るもの と報告
している.
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acinar
陣 ラ島 の再生 に関 して,duCtule由来
Cellからの transformation24)な
ど,い くつかの説が唱え
られ ているが, 本実験 にて 解明 す ることはで きなか っ
た。
結
論
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1.膵
広範切除後 , 残 存陣 は 肉眼的 に 円柱状 に 肥厚
し,著 明な重畳増加を認め,術 後 40日 目には約 4倍 に達
した。 膵放射能活性 は術 後第 3日 よ り10日 目まで高値 を
示 した。
外分泌細胞 は術後早期 よ り活発 な DNA合 成が
行われ ,labeling indexは 第 5日 目を ピー クに 3日 目よ
2.膵
り10日 目まで,お よび40日 目で 高値を示 した。 なお,形
態的 に も,20日 日以降 hypertroPhyを 呈 し,著 明な再生
な DNA合
存膵 ラ島細胞 において も 3日 目を ピー クに活発
成 に よる細胞増殖 が,10日 目よ り20日 目まで
は細胞肥大が認め られ たが,40日 日以降 では これ ら細胞
の変性像 が 散見 され た.そ して この時期 に糖尿病 の発生
をみ るよ うにな ぅた.
稿 を終 るにあた り, ご指導 とご校間 を賜 わ った恩師土
屋京 一 教授,伊 藤俊哉助教授 に深謝 す るとともに, ご協
力下 さった第 2外 科教室 員な らびに教室 補助 員各位 に感
謝 す る.
本論文 の要 旨 は第79回 日本外科学会総会 で発表 した。
なお,本 研究 の一 部 は,厚 生倍臓 器大量切除調査研究
助成金 の援助 に よった。
文
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