PSA値に対する薬物の影響について

FAQ(免疫)
PSA値に対する薬物の影響について
Q PSA測定値に影響する薬物はありますか。
A
PSA測定値に影響を与える薬物として、抗男性ホルモン薬(5α還元酵素阻害薬など)があります。
5α還元酵素阻害薬は、テストステロンを5α‐ジヒドロテストステロン(DHT)に変換するのを阻止し
ます。 DHT は前立腺の初期の成長に必要なアンドロゲンで、前立腺肥大の原因となる物質です。この薬
剤は前立腺肥大症の治療薬として用いられています。また、最近では、男性型脱毛治療薬としても注目
されています。
前立腺肥大症と前立腺癌は合併する場合もあり、前立腺肥大症の患者に対してもPSAの測定が推奨され
ています。実際、前立腺肥大症でPSA値が高くなった患者で、偶然組織検査をしたところ癌が見つかっ
たという例もあります。しかし、抗男性ホルモン薬は血清PSA値を低下させることから、潜在する前立
腺癌が合併している症例では、その早期診断を困難にする可能性があり、長期投与を必要とする症例で
は注意を要します。薬剤投与歴などを把握するようにしてください。
臨床検査 Vol.53 No.13. 1655-1659 2009
厚生労働省研究班 前立腺肥大症診療ガイドライン