国際私法(草間裕子) 1 2、3年前期 選択必修 2単位 15回 科目内容・目標 国際的な交通手段・通信手段の発展は、人や物の移動を容易にさせることで経済活動のグローバル化を促し たが、それは同時に、人々の婚姻関係や取引関係が国際化したことも意味している。そして、そこから生じる国 際的な民事紛争は近年増加の一途を辿っている。 しかし、その紛争の解決に際しては、純国内事案とは地平を異にする手続法的・実体法的考慮が必要になる。 すなわち、例えばある外国私人を相手方とした訴訟において、いずれの当事者に関係した国の裁判所で・いず れの国の法律に基づいて審理をなすことが当該事案の解決に最も適切であるか、という根本的かつ特徴的な問 題を考えなければならない。 この授業では、こうした国際的な法律関係に係る民事事案に対し、まずは日本における訴訟手続上の論点を 概観し、その上で、事案に適用する法(準拠法)の決定に関する問題を取り扱う。 具体的には、我が国の国際私法規定である「法の適用に関する通則法(平成 18 年法律第 78 号)」に規定され る条文を根拠に、ある国際的な法律関係に適用される法律が、自明でない場合の準拠法決定方法につき理解 をすることで、将来的に、国際私法上の問題に対処できる能力を養うことを目標にする。 2 授業の基本方針 (1)授業形式 この授業では、内容や進捗に合わせて講義をメインに据える回もあるが、課題(事前配布)に対する解答及び 検討に際しては、双方向形式をとる。専門用語の理解を含む事後の学習を怠らないことが肝要である。 (2)課題への取組みに関して 国際私法上の問題に対する解決能力を習得することを目標に、課題作成にあたっては、文章構成を意識し、 判旨の正確な理解と引用を行うことに重きをおいて取り組むことを勧めたい。 (3)国際私法の理解に関して 民商法および民事訴訟法が履修済みか履修中であることと、国際取引法(後期・2 単位)の内容と連動した理 解が望ましい。 3 成績評価 筆記試験 80%、授業に関連する取り組み(レポート等の課題がある場合はその内容、及び授業中の発言・質 問に対する回答の質)に対して 20%を考慮する。 4 教材 必要に応じてレジュメを配布する。国際私法の基本に関する参考書としては松岡博(編)『国際関係私法入門 第 3 版』(有斐閣)を推奨する。その他の文献は、授業において適宜指定する。 -1- 5 授業計画 第1回 国際的な法の適用関係 1[国際関係私法の枠組みを理解する] 第2回 国際的な法の適用関係 2[国際民事訴訟の概観を理解する] 国際裁判管轄、送達、証拠調べ、外国法の取り扱い、外国判決の承認と執行 第3回 国際的な法の適用関係 3[国際民事訴訟の概観を理解する] 国際裁判管轄、送達、証拠調べ、外国法の取り扱い、外国判決の承認と執行 第4回 国際私法総論 1[準拠法決定における基本構造を理解する] 性質決定、連結点の確定、準拠法の特定、公序 第5回 国際私法総論 2[準拠法決定における基本構造を理解する] 性質決定、連結点の確定、準拠法の特定、公序 第6回 自然人・法人に関する準拠法(1) 第7回 自然人・法人に関する準拠法(2) 第8回 身分関係事件に関する準拠法(1)[基本論点の相互関係を理解する] 婚姻・離婚・親子関係(実親子、養親子)・親族・相続 第9回 身分関係事件に関する準拠法(2)[基本論点の相互関係を理解する] 婚姻・離婚・親子関係(実親子、養親子)・親族・相続 第 10 回 身分関係事件に関する準拠法(3)[基本論点の相互関係を理解する] 婚姻・離婚・親子関係(実親子、養親子)・親族・相続 第 11 回 財産関係事件に関する準拠法(1)[基本論点の相互関係を理解する] 約定債権(契約、消費者契約、労働契約) 第 12 回 財産関係事件に関する準拠法(2)[基本論点の相互関係を理解する] 法定債権(不法行為) 第 13 回 財産関係事件に関する準拠法(3)[基本論点の相互関係を理解する] 法定債権(生産物責任、名誉信用毀損) 第 14 回 総括(1)総合的な事例問題を取り扱う -2- 第 15 回 総括(2)総合的な事例問題を取り扱う -3-
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