5年「電流の働き」 - 新潟大学教育学部附属新潟小学校

電流の働き
5年理科 9月中旬~10月中旬
36Q〈12時間〉
新潟大学教育学部附属新潟小学校 教諭 安藤 達郎
1 目指す姿
条件を制御し,客観性や再現性のある実験結果を基に考察することと,その結果得た電流の働き
をとらえる子ども
2 単元の計画
【学習活動】
【働き掛け】
○
一
次
電磁石を使ったクレーンゲームを ◆ 電磁石(電池1個,コイル100回巻,導線
する。
の太さは0.4㎜に揃えておく)を与え,虫ピ
・磁石を使うと,荷物(虫ピン)をも
ンを釣り上げるクレーンゲームを行わせる。
ち上げられるけれど,下ろすことが
できない。
・電磁石というのは,スイッチを切る
磁石の力がなくなるのか。
○ 永久磁石のような性質が電磁石に ◆ 永久磁石と電磁石とを比較できる活動を
もあるかどうかについて予想や仮説
設定することで,性質や働きを考えさせる。
をもち,確かめの実験を行う。
・N極やS極はあるのかな。
・電流を流した電磁石に方位磁石を近
付けて確かめてみよう。
・どちらもN極やS極がある。
・違うところは,電磁石は電流を流し
たときにだけ,磁力があることだ。
・違うところは電流の向きを変えると,
N極やS極の向きも変わるところだ。
Q
12
Q
4
時
間
電磁石は磁石と似ている。でも違う
ところもある。
○
コイルの巻数と,電流の強さを変 ◆ クレーンゲームで持ち上げられないもの
え,確かめの実験を行う。
を持ち上げるために,より電磁石を強くす
・コイルの巻数を増やすと磁力は強く
るにはどうすればよいか問い,確かめさせ
なる。
る。
・電流を強くすると,磁力は強くなる。
○ 鉄心とコイルが触れていない電磁
石とこれまでの電磁石との違いから
学習問題を設定する。
◆
要因が確定できないが,磁力が発生して
いる電磁石(鉄心とコイルが触れていない)
を提示し,何がどのように違うのかを問い,
磁力の要因はどれかと問う。
◆
『3Kサイクルシート』を使い,グルー
プで仮説を確かめることができる時間の中
で,何についてはっきりさせようとしてい
るのかを問う。
電磁石になるために必要なもの(こ
と)は何だろう。
二
次
・ 鉄心がコイルに触れていないぞ。と
いうことは,鉄心と電流は関係ない
と言うことかな。
○ 収集した結果と仮説とを関係付け
るすべを用い,活動(仮説・実験・
考察の3Kを繰り返す)を行う。
・鉄心はなくても磁力は発生する?
・鉄心なしのコイルを作り,巻数を増
やしながら,クリップがくっつくか
を調べたら,くっつく数は増えた。
○ 班ごとの仮説とその実験結果を条
18
Q
6
時
間
◆
仮説と実験結果を調べた要因ごとに発表
件ごとに揃うように発表させること
で,自分たちの結果と他の班の結果
とや,他の班同士の結果とを,数値
の客観性を視点に比較する。
○ 対象の電磁石とこれまでの電磁石
との違いから学習問題を設定する。
・対象は巻数が少ないので,電磁石に
はならないだろう。
・ビニル線だから電磁石にはならない。
・一見磁力はなさそうに見えるけれど,
本当に電磁石になっていないのか。
○ 収集した結果と仮説とを関係付け
るすべを用い,活動(仮説・実験・
考察の3Kを繰り返す)を行う。
・巻数を増やしてみて,磁力があるよ
うだったら,おそらく弱い磁力があ
るだろう。確かめてみよう。
・ビニル線の巻数を増やすと,電磁石
になるぞ。
○ 中間発表をしたり,聞いたりする
ことで,さらなる追究意欲をもつ。
・○グループでは,巻数に着目して,
確かめているのだな。そのために,
巻数だけを変えて実験を進めている
のか。
○ グループの実験結果から,学習問
題に対しての考察をする。
・結局,電流が流れれば磁力が発生し
ていると言えそうだ。それを強める
ために鉄心が必要と言うことだ。本
当に必要なものだけを挙げるとすれ
ば,電流と導線ということになる。
させ,学習問題に対しての,妥当性を問う。
◆ 対象の電磁石(磁力が発生するかしない
か意見が分かれる電磁石:巻数を減らし,
エナメル線をビニル線に変えている)を提
示し,何がどのように違うのかを問い,電
磁石になるために必要なものは何かと問う。
磁石になるために必要なものは何かと問う。
◆ 『3Kサイクルシート』を使い,グルー
プで仮説を確かめることができる時間の中
で,何についてはっきりさせようとしてい
るのかを問う。
◆ グループ実験について仮説と実験結果を
調べた要因ごとに中間発表をさせ,さらに
グループで仮説を確かめさせる。
◆ 仮説と実験結果を調べた要因ごとに発表
させ,学習問題に対しての妥当性を問う。
電磁石の磁力の発生要因は,電流が
コイル状の導線に流れることだ。
○ 簡易モーターの作成をすること
で,電磁石の性質と,電磁石の磁力
の強さを電流や巻数で変えることが
できることを確かめる。
○「電磁石の秘密物語」を書く。
三
次
3
◆
簡易モーターの作成をさせ,巻数と電流
を強めると,どのように回転するかを確認
させる。。
◆
単元の終末に,どのような過程で見つけ 6
出したのかがわかるような「電磁石の秘密 Q
物語」を書かせ,
物語」を書かせ,「○○の秘密」を発見する
際に生かせそうなことがないか問う。
2
時
間
電磁石は,電流が導線に流れること
で磁力が発生し,その磁力を鉄心で強
めているものだとわかった。問題を解
決するためには,条件をそろえて実験
したり,より多くのデータから考察す
ることが大切だ。
内容の関連
[第4学年]
理科
[第5学年]
理科
[第6学年]
理科
●電気の働き
●電流の働き
●電気の利用
中心となる見方や考え方
中心となる見方や考え方
中心となる見方や考え方
直列・並列などのつなぎ方と電
電流により鉄心を磁化でき,
電気はつくりだしたり,蓄
気の働きには関係がある
その強さは変えられる。
えられる。
・関係付ける能力
・条件制御の能力
・推論する能力