演題:「早朝に急性の呼吸困難にて救急搬送された 67 歳男性」

第 50 回奄美ブロック研修医勉強会
演題:「早朝に急性の呼吸困難にて救急搬送された 67 歳男性」
瀬戸内徳洲会病院 初期研修医
名古屋徳洲会病院二年次 菅原 正成
抄録;
大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症(ASR)、高血圧症、糖尿病にて近医通院治療中の方。
入院当日朝 6 時頃、自宅で就寝中に突然呼吸困難を来たし 6 時 30 分当院に救急搬送。
ASR を基礎疾患とした急性うっ血性心不全 Clinical Scenario1 の初期診断にて、直ちに
降圧利尿及び非侵襲的陽圧換気(NPPV)を開始した。治療開始後は経時的に呼吸状態やバ
イタルサインの改善を認め、入院第 2 病日に NPPV を離脱。
第 3 病日には点滴治療を終了し、内服薬による血圧・血糖管理を開始。以後状態は安定
し、現在基礎心疾患および合併症の評価・治療を行っている。また、虚血性心疾患の評
価と基礎心疾患である大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症に対する外科的治療も考慮し、大学病
院への転院を検討中である。
今回、複数の生活習慣病を有し、典型的な症状・診察所見・治療経過を辿った Clinical
Scenario1 の慢性心不全の急性増悪の症例を経験した。医療資源の限られた離島において、
超急性期・重症管理から慢性期管理・生活指導までを、自身が中心的に行う機会を得た
事は非常に貴重な経験であり、本症例を通じて、心不全の病態に応じた初期対応や診察
所見などに関して学んだ事を、ここで共有する。