NPPVマスク装着による皮膚損傷率

ナーシングインディケーターB5②
2012 年
NNPPPPVV マ
マス
スク
ク装
装着
着に
によ
よる
る皮
皮膚
膚損
損傷
傷率
率
非侵襲的陽圧換気法(nonin-vasive positive pressure ventilation:以下 NPPV)は、上気道から鼻ある
いは顔マスクを用いた陽圧の換気を行う人工呼吸療法である。NPPV は急性呼吸不全から慢性呼吸不全まで
はば広く有効性が確率されつつあり、近年急速に普及している。NPPV では長時間のマスク着用が必要とな
る。マスク着用による圧迫が持続した場合、皮膚の血流障害を起こす。一度、皮膚の損傷を起こせば、マ
スクの装着に苦痛を伴ない、効果的な治療の継続が困難となる。苦痛なく NPPV による治療を継続するため
に、皮膚損傷予防と早期の段階(持続する発赤)で適切なケアを提供していく必要がある。
データの定義
分子:NPPV 装着による皮膚損傷(真皮までの損傷)を起こした患者数
分母:入院中の NPPV 導入患者数
2012 年のデータ
皮膚損傷発生患者数
5 名(2012 年 1 月~12 月)
皮膚損傷(真皮までの損傷)発生率 20%
NPPV 導入患者数
(2012 年 1 月~12 月)
24 名
対象者の内訳
真皮までの皮膚損傷:5 名
発赤のみ有り:2 名
発赤無し:17 名
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
皮膚損傷発生患者数
2名
0名
2名
1名
0名
0名
0名
0名
0名
0名
0名
0名
NPPV 導入患者数
4名
4名
5名
2名
0名
2名
0名
1名
1名
3名
1名
1名
真皮までの皮
膚損傷
発赤のみ有り
発赤なし
参考データ
2010 年度
皮膚損傷発生率
30%
2011 年度
皮膚損傷発生率
10%
評価
2009 年度の NPPV 導入患者数は6名であったが、2010 年度は 20 名、2011 年度 28 名と患者数が増加傾
向にある。その背景として、新たな NPPV 機器の導入や適応とされる疾患が増えたことにより、高齢患者へ
の導入件数が増加している。
ナーシングインディケーターB5②
2012 年
2010 年度は皮膚保護剤の活用、マスクの適切な着用と接触部分の観察が出来るよう、勉強会の開催を行
い皮膚損傷予防へのケアの質を向上させるように努めた。その結果、継続的な観察が出来るようになり真
皮の損傷まで発生した症例は、2010 年度 6 名(30%)から 2011 年度 3 名(10%)まで減少させることが
出来た。
2012 年度より皮膚排泄ケア認定看護師に協力を依頼し、新たな皮膚保護剤(メビレックス・トランスファー)の導入を
開始した。メビレックス・トランスファーの特徴として以前に使用していた皮膚保護材と比較し、剥離刺激が少ない事、
剥離後に再塗布が可能であるという利点から皮膚の観察が行ないやすくなった。メビレックス・トランスファーの導入
後、真皮までの損傷に至った患者はおらずメビレックス・トランスファーに皮膚保護剤を変更した効果はあったと考え
られる。
NPPV の対象となる呼吸不全の患者は栄養状態が不良なことが多く、
それが皮膚損傷の一つの要因と考え、
これまでは病棟で栄養評価(Alb3.5mg/dl 以下の患者)し付加食を検討する等の介入を行なってきたが、
栄養状態の改善までは困難なケースがほとんどであった。今年度 Alb2.5mg/dl 以下の患者に対し、NST チ
ームの介入を依頼し栄養状態の維持・改善に取り組んだが、入院期間中に栄養状態の改善にはいたらなか
った。
参考文献
1)NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン
南江堂
日本呼吸器学会NPPVガイドライン作成委員会 (編集)