2015~2016年度経済情勢報告

2015~2016年度経済情勢報告
~一人ひとりが活き活きと働ける社会を目指して~
<基調報告>
2015年10月28日
(公財)連合総合生活開発研究所所長
中城吉郎
1
「経済情勢報告」の構成
第Ⅰ部 2014年度以降の日本と世界経済
第Ⅱ部 一人ひとりが活き活きと働く職場をつくる
補論 2016年度日本経済の姿
2
IMFは世界経済見通しを4月時点から下方
修正。中国の成長率は据え置きだが…
IMFの見通し(10月6日公表)
2014
2015
修正幅(注)
2016
修正幅(注)
米国
2.4
2.6
<▲0.5>
2.8
<▲0.3>
ユーロ圏
0.9
1.5
<0.0>
1.6
<0.0>
ドイツ
1.6
1.5
<▲0.1>
1.6
<▲0.1>
スペイン
1.4
3.1
<0.6>
2.5
<0.5>
ギリシャ
0.8
▲2.3
<▲4.8>
▲1.3
<▲5.0>
中国
7.3
6.8
<0.0>
6.3
<0.0>
日本
▲0.1
0.6
<▲0.4>
1.0
<▲0.2>
注:修正幅は2015年4月からの修正幅を示す。
3
…中国の現況について厳しい見方
も多い。
<中国経済>
図表Ⅰ-3-9 輸出入額の伸び率(前年同期比)
4
日本経済は、消費税率引上げ後に
停滞続く。特に消費に弱さ。
図表Ⅰ-1-1 実質GDP成長率の推移(寄与度)
5
企業収益は好調を続けるが、設備投資と人件費
の増加につながらない
図表Ⅰ-1-9 (1)経常利益と設備投資
6
雇用情勢は改善を続け、有効求人倍
率は1.2倍を超え、失業率は3.4%。
図表Ⅰ-2-1
完全失業率と求人倍率(季節調整値)
7
非正規労働者の正規への登用
図表Ⅰ-2-16 正社員以外の労働者
から正社員への登用実績の割合
図表Ⅱ-2-24 正規労働者への登用
制度の有無と実績
(注)過去1年間に「登用実績あり」と回答した
事業所の割合。
8
実質賃金はようやく増加に転じ
たが依然低い伸びにとどまる
図表Ⅰ-1-2 消費税率引上げ(1997年4月と2014年4月)前後の比較
(3)実質賃金の推移
(注)持家の帰属家賃を除く総合の消費者物価指数で実質化。
9
持続的な成長のためには労働
生産性の伸びを高める必要
図表Ⅱー1-1 成長会計でみたGDPの推移、労働生産性が寄与
労働生産性の伸び
10
労働生産性の伸びを高めるとともに、それ
が実質賃金や時短で還元されることが重要
図表Ⅱー1-3 労働生産性の向上が実質賃金を押し上げた
11
賃金を上げて人手を確保しない
とWLB改善も就業継続も難しい
図表Ⅱー3-4 今年の9月に所定労働時間を超えて働いた理由(複数回答)
出所:連合総研「勤労者短観」2014年10月調査
12
正規の仕事がなく非正規に不本意なが
ら就労した場合、転職希望が多い
図表Ⅱー2-7 非正規雇用者が非正規の職についた理由
人数(万人)
総数
構成比
1962
100%
都合のよい時間に働く
462
25%
家計の補助・学費等を得る
392
21%
正規の仕事がないから
331
18%
家事・育児・介護等と両立
211
12%
専門的な技術をいかせる
151
8%
69
4%
216
12%
短い通勤時間
その他
うち
転職等希望者
159万人
48%
他の理由を挙げ
た者1631万人の
中で転職等希望
者
303万人
19%
出所:「労働力調査」2014年
13
正規でも出産後も就業継続
は4割しかいない
図表Ⅱー4-7 出産後の就業継続
意欲、就業形態別にみた妻の就業継
続の状況
資料出所:厚生労働省「第9回21世紀成年者縦断調
査(国民の生活に関する継続調査)」、2010年
14
介護をしながら就業を継続するに
は休暇をとりやすくするのが有効
【働き方変更図表Ⅱー4-19 仕事と介護を両立するために利用した制度・施策
1日単位の有給休暇
(複数回答/上位項目のみ抜粋)
(就労継続)】
上司や同僚など職場の介護に対する理解・支援
男性(N=206)
女性(N=155)
(%) 80
半日や時間単位の有給休暇
介護休暇制度
労働時間や日数の短縮制度
労働負荷や労働時間の少ない役職、職種などへの配置
時差出勤などのフレックスタイム制度
介護休業制度
時間外(残業)や深夜勤務の免除制度
特にない
70 60 50 40 30 20 10 0
出所:株式会社明治安田生命生活福祉研究所・公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団「仕事と介護の両立と介護離職」
(2014年11月)
15
2016年度経済は賃上げ幅がカギ
現状では経済の好循環を推進する原動力が見当たら
ない。好調な企業収益を賃上げに結び付け、家計消
費を原動力として経済の好循環を実現すべき。
【ケースA】は、生産性上昇を反映した実質賃金上昇となる春闘賃上げが実
現した場合、【ケースB】は実質賃金横ばい程度の賃上げにとどまる場合。
2014年度
(実績)
2015年度
(見込み)
2016年度(予測)
ケースA
ケースB
名目GDP
1.6
2.4
2.7
1.8
実質GDP
▲0.9
0.9
1.5
0.9
CPI上昇率
2.9
0.3
1.3
0.9
現金給与総額
0.5
0.3
2.0
0.9
16