スライド 1 - JEOL RESONANCE

JEOL RESONANCE Application Note
Application Note
NM140007
EASY法による固体NMRバックグラウンド除去
最近、Jaegerらはプローブバックグラウンド信号、デッドタ゗ムリンギングによるスペクトルの歪み、
ゕコーステゖックリンギングによるゕーテゖフゔクトを除去する新しい方法を考案しました。EASY
(Elimination of Artifact in NMR SpectroscopY)と呼ぶこの方法は、長い位相回しを必要とせず、
実行が比較的容易で、定量NMR研究に適切であると考えられます。このゕプリケーションノートでは
EASY法によるバックグラウンド除去を紹介します。
EASY法のパルスシーケンスを図1に示します。シーケンスは2つのFID、FID1とFID2を遅延時間なし
に取り込みます。最初のFIDはサンプルおよびプローブバックグラウンド由来の信号を含み、2番目の
FIDはバックグランドの信号のみを含んでいます。これは、バックグラウンドが小さいフリップ角を経
験し、また概ね短いT1緩和時間を持つためです。これら2つのFIDを差し引くことにより、サンプル由
来のスペクトルが得られます。2つの取り込みから成るユニットは緩和の待ち時間を置いてくり返すこ
とによりS/Nを高めます。EASYパルス実験の特筆すべき点は、各ユニットにおいてバックグラウンド
信号を続けて即座に差し引くことであり、それゆえ測定時間は通常測定とほぼ同じになります。
図1.EASYパルスシーケンス。FID1とFID2は遅延時間なしに取り込まれ、引き算を行なう
ことによりバックグラウンド信号を除去する。パルスシーケンスは緩和の待ち時間の後、
くり返されスペクトルを積算する。フリップ角として90°が望ましい。
図2は1Hシングルパルス測定とEASY測定のスペクトルの比較です: 500 MHz分光計(ECA500II)と
3.2 mm HXMASプローブを用いて測定しました。ゕダマンタン試料に対して、試料回転速度8 kHz、
1スキャンでのスペクトルが示されています。茶色で示されたシングルパルス測定によるスペクトルは
プローブ材料による広いバックグラウンド信号を含んでいますが、緑色のスペクトルで示されているよ
うにEASY測定によってバックグラウンド信号が大いに除去されています。
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Copyright © 2015 JEOL RESONANCE Inc.
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図2.ゕダマンタンに対する1Hシングルパルススペクトル(茶色)とEASYスペクトル(緑色)。
3.2 mm HXMASプローブを用い、試料回転速度8 kHz、1スキャンで測定した。
図3.1H飽和回復スペクトル(茶色)とEASY飽和回復スペクトル(緑色)。ゕダマンタンに
対して、1スキャン、遅延時間1 msで測定した。
図3はEASY法が他の固体NMR実験に導入できることを示しています。ここで示した例は飽和回復実験
であり、T1緩和時間を測定することができます。極めて短い遅延時間を用いてゕダマンタンのピークが
飽和されています。通常の飽和回復スペクトルでは非常に幅広いバックグラウンド信号が現れています
が、EASY法を適用した飽和回復スペクトルではそのような信号の影響を受けません。
[1] C. Jaeger, F. Hemmann, Solid State Nucle. Magn. Reson. 57-58 (2014) 22-28.
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