水道用ソフ フトシール仕 仕切弁における る長期全閉保

水道用ソフ
フトシール仕
仕切弁における
る長期全閉保
保持後の止水性
性能に関する
る一考察
○
○西野 真依子
子(クボタ)
森村
克 (クボタ)
1. はじめに
シール仕切弁は
は1984年のJWW
WA規格化以来、確実に設置台数
数を増やし現在
在管路用バルブと
水道用ソフトシ
し
して最も多く使用
用されている。しかしながら、管末や連絡管
管など常時全閉で
で使用される用
用途の場合、ゴム
ム
念され、採用が見送られること
とや他のバルブ
ブと併用されるこ
ことも多い。
の弾性低下が懸念
また、昨今GX形
形に代表される
るようにダクタイ
イル鋳鉄管の長
長寿命化が推し進
進められており
り、管路用バルブ
ブ
についても従来以
以上に長寿命化
化が求められるよ
ようになってき
きた。そのような
な中、残留塩素
素に起因するゴム
ム
に
け、弁体に適用するゴムを耐塩
塩素性の高い材
材料(耐塩素EPDM)へ改良し
し、耐用年数の延
延
の劣化問題を受け
長
長を図ってきた。1)
これらの
のゴム材料に関し
して、残留塩素に
に対する劣化の
の予測は数多く行
行われてきたが
が、
弾
弾性低下をはじめ
めとする長期使
使用後の物性変化
化に関するデー
ータの蓄積は十分
分とはいえない
い。
上述した背景を
を受けて、今回
回耐塩素EPDMを
を適用したソフ
フトシール仕切弁
弁について、全
全閉状態で長期間
間
保
保持した後の止水
水性能を明確に
にするため、各種
種試験に取り組
組んだ。それらの
の結果に基づき
き止水可能な期間
間
に
について予測を行
行ったので、ここに報告する。
2. 評価試験手
手法
2.1
1 実配管中での全閉保持試験
験
ソ
ソフトシール仕
仕切弁は弁棒に操
操作トルクを与
与え、弁体のゴム
ム部を弁棒の押込み力により圧
圧縮して止水を行
う。そのため、長
長期全閉保持後
後にゴムの弾性が
が低下すると、弁棒の押込み力
力も低下する。そこで、実配
配管
の管末にソフトシ
シール仕切弁 6 台(図 1)を設
設置し、長期全閉
閉保持後の締付
付けトルクを測定
定し、その低下
下割
合
合を調査した。試
試験条件を表 1 に示す。締付
付けトルクの測定
定は、バルブを閉操作し、弁棒
棒が動き始めるい
わ
わゆる増し締めト
トルクの計測とした。
形式
式
呼び径
径
弁体ゴム
ム材料
設置台
台数
配管圧
圧力
全閉トル
ルク
(初期締付
付け時)
図 1 実配
配管中での試験装
装置外観
全閉保持
持期間
(トルク測定
定日)
表 1 試験条件
試
内ねじフラ
ランジ形
φ1 00
耐塩素EPDM
台
6台
0.76M
MPa
00N・m(機能試験
験トルクの100%)
10
75N・m(機能試験トルクの75%)
50N・m(機能試験トルクの50%)
日,89日
1日,29日
2 ゴム材料の圧
圧縮永久ひずみ
み試験
2.2
ゴムの弾性低下
下については、圧縮永久ひずみ
みの促進試験で
で予測することが
が一般的である
る。そのため、弁
体
体に適用している
るゴム材料でテ
テストピースを製
製作し、促進す
する条件下(50%圧縮・40℃・ド
ドライ)で一定
定期
間
間(3 日・10 日・3
30 日)保持し、圧縮永久ひず
ずみ率の推移を測
測定した。また、上述した実配
配管中での全閉
閉保
持
持試験後(約 8 ヵ月
月経過後)の弁体
体の圧縮永久ひ
ひずみ量を測定し
し、促進試験と
との相関を調査し
した。
水道用ソフ
フトシール仕
仕切弁におけ
ける長期全閉保持後の止水
水性能に関す
する一考察
3.
3.1
長期全閉
閉保持後の止水
水性能の予測
締付けトル
ルクからの予測
測
実配管中で一
一定期間全閉保
保持した後の締
締付けトル
図 2 に示す。押込
込み力が低い締
締付けトル
クの変化率を図
件では、測定結
結果にばらつき
きがみられ
ク 50N・m の条件
たが、十分な押
押込み力が得られる 75N・m 、100N・m
た
持期間が長くな
なるほど締付け
けトルクの
の条件では、保持
低
低下傾向が確認
認された。
次に 75N・m ならびに 100
0N・m の結果を
を基に、20
年
年後までの締付
付けトルクの低
低下予測を行っ
った。その結
果
果を図 3 に示す
す。試験を行った
たφ100 ソフ トシール仕
図 2 締付けトルク
ク変化率
切
切弁の止水可能
能な操作トル クが 40N・m であり、
10
00N・m で全閉
閉操作した場合
合、20 年後も止
止水性能を
維
維持できるとい
いう推定結果が
が得られた。
2
3.2
圧縮永久ひ
ひずみ率からの
の予測
引き続いて、圧縮永久ひずみ
圧
み率から止水性
性能につい
た結果を図 4 に示す。
に
テストピ
ピースを用
て予測を行った
いた促進試験か
から得られた推
推定直線を基に
に、8 ヶ月間
い
全
全閉保持した弁
弁体ゴムのひず
ずみ率をプロッ
ットし、長期
全
全閉保持後の圧
圧縮永久ひずみ
み率を予測した
た。試験弁
図 3 締付けトルクの
の変化予測
(
(φ100)は弁体
体ゴムの圧縮永
永久ひずみ率が
が 37.5%以
下
下であれば止水
水が可能であり、本予測でも
も 20 年間以
上
上の性能維持の
の推定結果が得
得られた。
3
3.3
長期全閉保
保持後の止水性
性能の期待値
上述した 2 つの検討結果か
つ
から、長期全閉保
保持後の止
水
水性能について
て次の予測をた
たてることがで
できた。
1
1) 機能試験トル
ルク(φ100 は 100N・m)で締
締め付けた
場合、20 年間以上止水性
年
性能の維持が期待
待できる。
2
2) 定期的に機能試験トルクで
で増し締めを行う
うことで
止水性能が維持できる期間
間のさらなる延長
長が期待
できる。
図 4 圧縮永久ひずみ率
圧
率の変化予測
4.
おわりに
に
今
今回行った試験
験は盛岡市上下
下水道局様との
の共同研究によ
より実フィールド
ド(実配管)を使
使用して実施した
た。
試
試験結果から、耐
耐塩素 EPDM を適用したソフト
を
トシール仕切弁
弁の長期全閉保
保持後の止水性
性能を予測するこ
こと
ができた。しかし、データにばら
らつきがあり、そ
その予測精度は
は十分といえない
いことから、今後
後も共同研究を
を継
続
続し保持期間を延
延長したデータ
タを積み上げるこ
ことで、信頼性を高めていく所
所存である。
<参考文献>
1) 森村ほか:第
第 59 回全国水道
道研究発表会講演
演集,pp. 330~
~331(2008)