最近の米国経済について

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シカゴ
●最近の米国経済について
○2015 年 3 月の米小売売上高は前月比 0.9%増の 4,414 億ドル
商務省は 2015 年 4 月 14 日、小売統計(速報)を発表した。2015 年 3 月の小売売上高(季節
調整済み)は、前月比 0.9%増(前年同月比 1.3%増)の 4,414 億ドルとなり、市場予測の 1.1%
増を下回ったものの、4 カ月ぶりに増加に転じた。これは、天候の回復に加え、ガソリンの低価
格や雇用環境の改善が消費を後押ししたとみられる。ただし市場予測を下回ったことに関しては、
慎重な消費傾向を指摘する専門家が多い。
業種別にみると、自動車・同部品が前月比 2.7%増の 917 億ドルと好調だった。また、建材・
園芸用品が 2.1%増の 283 億ドル、家具が 1.4%増の 87 億ドル、衣料が 1.2%増の 215 億ドル、
フードサービスが 0.7%増の 504 億ドル、総合小売りが 0.6%増の 551 億ドル、ヘルスケアが 0.3%
増の 256 億ドル、スポーツ・娯楽品・書籍が 0.2%増の 74 億ドルと、多くの業種で伸びた。一方
で、ガソリンスタンドが 0.6%減の 356 億ドル、食品・飲料が 0.5%減の 565 億ドル、家電は 0.5%
減の 88 億ドル、オンラインを含む無店舗小売りは 0.1%減の 414 億ドルと減少した。
また、リテール・エコノミストの発表によると、3 月の小売業大手 11 社の既存店売上高(季節
調整前、ドラッグストアを含む)は、同社予測の前年同月比 3.0%増を大幅に下回る 0.2%増にと
どまった。これは、2012 年 11 月以降で最も低い伸びとなる。調査対象企業からは、2014 年末か
ら始まった西海岸での港湾ストライキで輸入品の在庫が手薄になったことや、前年同月より 1 日
少ない営業日が、押し下げの要因になったとの声も聞かれる。
○2015 年 2 月の米貿易赤字は前月比 16.9%減の 354 億ドル
商務省は、2015 年 2 月の貿易統計を 2015 年 4 月 2 日に発表した。輸出(サービスを含む国際
収支ベース、季節調整済み)は前月比 1.6%減(前年同月比 1.0%減)の 1,862 億ドル、輸入は 4.4%
減(同 3.6%減)の 2,217 億ドルとなった。その結果、貿易赤字は同 16.9%減(同 15.4%減)の
354 億ドルとなり、市場予測の 412 億ドル(ブルームバーグ調べ)を大幅に下回った。輸出額は
2012 年 10 月以降、輸入額は 2011 年 4 月以降最低となり、輸出入の総額は 2 ヵ月連続で前月に
比べ減少した。
財貿易の国際収支ベース(季節調整済み)で 2 月の赤字をみると、前月比 11.8%減(前年同月
比 8.0%減)の 552 億ドルとなった。財輸出は同 2.3%減(同 3.9%減)の 1,256 億ドルとなり、
財輸入は前月比 5.4%減(同 5.1%減)の 1,808 億ドルとなった。
財貿易を通関ベース(季節調整済み)でみると、その他の財の輸出入と消費財の輸出を除いて
全ての財で前月比減少となった。輸出で最も減少したのは自動車・同部品などで、8.7%減の 115
億ドル、次いで工業用原材料が 3.8%減の 361 億ドル、資本財が 3.6%減の 440 億ドルとなった。
また、食料品・飲料は 1.5%減の 107 億ドルだった。輸入は、原油を含む工業用原材料が 9.3%減
の 426 億ドルと大きく落ち込んだ。また、自動車・同部品などが 6.1%減の 261 億ドル、資本財
が 5.1%減の 479 億ドル、消費財が 3.1%減の 452 億ドル、食料品・飲料が 3.0%減の 103 億ドル
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となった。
主要貿易相手国・地域に対する財貿易赤字(通関ベース、季節調整前)をみると、対世界は前
年同月比 5.3%減の 435 億ドルとなった。輸出は 4.3%減の 1,184 億ドルとなった。輸出は広範囲
で減少しており、特にカナダは前年同月比 6.0%減の 219 億ドルとなり、減少額は全体の 4 分の 1
以上に当たる 14 億ドルとなった。原油を除く石油製品と自動車・同部品がそれぞれ 34.4%減、
9.9%減と大きく落ち込んだことが要因。輸入は 4.6%減の 1,618 億ドルとなり、OPEC が 55.5%
減の 51 億ドル、カナダが 8.4%減の 233 億ドルとなり、全体を大きく押し下げた。一方で、EU
は 5.2%増の 316 億ドルと全体を押し上げた。対日貿易は、輸出が前年同月比 5.4%減の 50 億ド
ル、輸入が 12.9%減の 92 億ドルとなり、貿易赤字は 20.5%減の 42 億ドルだった。
○2015 年 4 月の米新車販売台数は前年同月比 4.6%増の 145 万台超
2015 年 4 月の全米新車販売台数は、前年同月比 4.6%増の 145 万 4,951 台(オートデータ、5
月 1 日)となり、市場予測(トゥルーカー・ドット・コム)の 147 万 5,000 台を下回るも、4 月
としては 2005 年以来の高水準となった。年率換算台数(季節調整済み)は 1,645 万台となり、
14 か月連続で 1,600 万台を越えた。
部門別にみると、小型トラックが前年同月比 10.5%増と大きく伸びた一方、乗用車は 1.5%減
となった。小型トラックでは、スポーツ用多目的車(SUV、スポーツワゴンを含む)が 15.6%増
の 50.7 万台、ピックアップトラックが 8.0%増の 20.7 万台と伸び、ミニバン・フルサイズバンが
10.8%減の 7.5 万台となった。乗用車では、小型乗用車が 3.3%増の 27.7 万台と伸びたものの、
中型乗用車が 5.1%減の 29.6 万台、大型・高級乗用車も 3.6%減の 9.4 万台となった。
販売台数を主要メーカー別でみると、GM、フォード、フィアットクライスラーの米系メーカ
ー3 社が全体の伸びに最も寄与した。そのほか、スバル、日産、トヨタ、現代、フォルクスワー
ゲン(VW)が前年同月比で増加した一方、ホンダと起亜はマイナスとなった。シェア順にみる
と、GM は前年同月比 5.9%増の 26.9 万台となった。乗用車が 12.2%減となったが、小型トラッ
クが 17.7%増と大きく伸びた。フォードは 5.4%増の 22.2 万台となった。小型トラックが 7.7%
増、乗用車が 0.8%増となった。トヨタは 1.8%増の 20.3 万台となった。小型トラックが 9.8%増
と伸びた一方、乗用車が 4.6%減と減少した。フィアットクライスラーは 5.8%増の 18.9 万台で、
61 ヵ月連続増となった。他の米系 2 社とは売れ筋の車種が異なり、乗用車が 27.8%増と大幅に伸
びた一方で、小型トラックは 0.5%減となった。ホンダは 1.8%減の 13.0 万台と、2 ヵ月連続で減
少した。小型トラックは 0.7%増と伸びたものの、乗用車が 4.0%減となった。
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