第7回演習課題解答例(6/4実施分)

基幹物理学 IA 演習(2015 年 6 月 4 日分)
・力とポテンシャル、エネルギー保存則
1.ポテンシャルが V ( x, y, z)  mgz (m,g は質量と重力加速度)のとき、力を求めよ。
V
V
V
 0 , Fy  
 mg
 0 , Fz  
x
z
y

よって、 F  (0,0,mg )
Fx  
2.下図のように、質量 m の物体に重力が働いている。
(1) A  C B の経路で物体を動かすときに重力がする仕事を求めよ。
C
B
A
C
WAB (C1 )   0dx   (mg)dz  mgz
(2) AB の経路で物体を動かすときに重力がする仕事を求めよ。
B
WAB (C2 )   (mg sin  )ds  mg sin   AB  mgz
A
(3)経路によらず A から B まで動かすとき仕事が等しい場合は、その力は保存力である。
この場合はどうか?
(1)(2)から、2つの経路での仕事量は等しいので、重力は保存力であることが確かめら
れた。
3.あるビルの屋上から、3個のボールを同じ速さで以下のとおり投げた場合を考える。
1つ目のボールは水平に投げ、2つ目のボールは水平より上向きに、3つ目のボール
は水平より下向きに投げた。空気抵抗を無視して、それぞれのボールが地面に達した
ときの速さを大きい順に並べ、その理由を説明せよ。
3つとも地面に達したときの速さは等しい。
理由:力学的エネルギー保存則を適用すると理解できる。
屋上の高さを h、初速度を v0、地面に達した時の速さを v、ボールの質量を m とす
ると、
1 2
1
mv0  mgh  mv 2 より、 v  v02  2 gh
2
2
となる。
4.下図のように、傾斜角  の粗い斜面と、同じ材質でできている水平面が滑らかにつなげ
られている。いま、水平面を基準にとって高さ h の点 P から質量 m の物体が滑り出し
た。
(1) 斜面を滑り下りる間に摩擦力がする仕事 W はいくらか。ただし、斜面と物体との
間の動摩擦係数を  ' とする。
摩擦力 F: F   'mg cos 
斜面の長さ  :   h / sin   h cot 
摩擦力は常に運動とは逆向きに働くので、この摩擦力が物体にする仕事は、
W  F    m gh' c ot
(2) ちょうど斜面を下りきった点 O における物体の速さ v を求めよ。(ヒント:摩擦力
がなした仕事は、P 点と O 点における力学的エネルギーの差に等しい)
水平面を基準として、P 点と O 点での力学的エネルギーを計算すると、
P 点: EP  mgh (運動エネルギーはゼロ、位置エネルギーのみ)
O 点:
EO 
1 2
mv
2
(位置エネルギーはゼロ、運動エネルギーのみ)
この EO と EP の差が摩擦力がなした仕事に相当するので、
EO  EP  W より、
1 2
mv  mgh  mgh ' cot 
2
よって、 v  2 gh(1   ' cot  )
(3) 物体が水平面上を滑って静止するまでに進む距離を求めよ。
(ヒントは(2)と同じ)
O点から距離  1 だけ滑って物体が静止したとすると、この間に摩擦力がした仕事は
W1  mg1 ' なので、
1
0  mv2  W1
2
(注:水平面上では位置エネルギーはゼロなので、運動エネルギーのみ考慮)
上式に(2)の解と W1 を代入して、
 mgh(1   ' cot  )  mg11
よって、 1  h(1 /  ' cot  )
P
m
h

O