心エコー図検査で偶然発見された myocardial crypt の一例 渡邉絵里 1、石塚尚子 2、藤田悦子 2、金田早紀 3、伊藤美貴 3、佐野裕美 3、永山加奈恵 3、原隆司 3 、川名正敏 1 1 東京女子医科大学附属青山病院循環器内科 2 東京女子医科大学附属成人医学センター循環器内科 3 東京女子医科大学附属成人医学センター臨床検査室 症例は 78 才女性. 糖尿病で通院. 症状なく、心電図も正常範囲であったが、息子が心筋梗 塞を発症したため、本人希望で心エコー図検査を施行。左室肥大なく, 左室収縮能も正常であ ったが、二腔像及び短軸像で, 左室心基部下壁に、左室に連続し切れ込み様に描出され, カラ ーシグナルが流入する 7x9 mm の腔を認めた。精査として施行した心臓 CT で、冠動脈に有意 狭窄なく, 左室心基部下壁に憩室様の腔を認めた。心臓 MRI では LVEF 69.2%、左室心基部下壁 に左室に連続する腔を認め、同部位の壁運動は正常で、明らかな遅延造影像を認めなかった。 本例は小さな左室憩室との鑑別に苦慮したが、壁運動は正常に保たれ、左室心筋壁内に限局し 心外膜の外に及ばない腔であり myocardial crypt と診断した。従来 myocardial crypt は MRI や CT 検査で偶然発見されることが多く、心エコー図検査で最初に発見されることはまれであ り、今回文献的考察を加え報告する。
© Copyright 2024 ExpyDoc