平成16年度

平成16年度
要約
(和文)
1.近接場光基盤評価技術
1.1. 近接場光数値解析ソフトウエアの研究開発
近接場光数値解析ソフトウエアの研究開発では,GUI によるモデル入力,出力機能を統合し,
中間目標である基本的な計算機能を実現し、参加する研究グループで自在に設計できることとな
った。また,FDTD 計算が正しいものかを調べるために,微小球での光の散乱に関して、Mie 散乱
の解析値との比較を行い、良好に一致することを確かめた。
1.2. ナノ精度立体構造作製技術の研究開発
ナノ精度立体構造作製技術の研究開発では,全バッチプロセスにより、誤差10nm以下の精
度で先端径 40nm の先鋭化プローブコアを実現するとともに、近接場光気相堆積を開発し,堆積位
置誤差:6nm 以下、寸法制御誤差:3nm 以下を実現した。また,Poynting による FDTD シミュレー
ションにより,近接場光ヘッドから記録媒体への高い光結合効率を実現する積層構成を見出し,
また,スリット型シリコンヘッド構造に金微粒子を配列することで 25 x 30 nm のスポットが得ら
れる事を確認した。
1.3.高分解能近接場光評価技術の研究開発
高分解能近接場光評価技術の研究開発では,実用化を目指した高分解能近接場光プローブの開
発のために、シミュレーションによって再生信号の強度とトラックずれ許容量の推定を行い、分
解能を実証するためのコンタクト型走査によるメディアパターン信号再生実験装置を完成させ、
中間目標である 300Gb/in2 に対応するメディアパターンの信号再生に成功した。また,高精度プ
ロービング機構開発では,微細で高アスペクト比なナノパターンドメディアに対応可能な低接触
力プローブ制御方式と高精度プローブ変位センサ,および微細先端プローブを搭載することによ
り高分解能記録ドット構造計測システムの高精度化を図り,計測誤差 0.7nm(σ)を得て中間目標
1.5nm(σ)を達成した。さらに,最終目標である計測誤差 0.5nm(σ)の実現には,上記高精度化に
加え環境制御が不可欠であることを確認した。
(英文)
1.Near-field Basic Technology Development
1.1.Simulation technique for designing near-field recording/reading heads and media
The basic calculation function of the FDTD code has been realized, using the model input
function and the calculation result visualized by the graphical user interface. We also
have calculated the scattering intensity by a small metal sphere, using the FDTD solver
and the good agreement with the Mie theory confirmed the validity of the FDTD calculations.
1.2.Nano-fabrication technique with high resolution of nanometer-order:
We successfully fabricated a planer type optical near-field silica head with the point
diameter of 40nm within the errors in roughness of 10 nm by the batch process with nanometer
level accuracy, and deposited Zn dots within the errors in position and size of 6 nm and
3 nm, respectively, using near-field optical chemical vapor deposition. Furthermore, we
found the laminated optical magnetic medium structure that realize high coupling efficiency
of the optical near field between the near-field optical head and the record medium, and
optimized the structure of an optical near-field head with extremely high resolution (25
x 30 nm) by introducing the slit-typed Si with Au nanoparticles by using the FDTD simulation
(Poynting).
1.3.Topographical measurement technique for nano-patterned media:
For the purpose of realizing the high-resolution near-field optical probe, we have carried
out computer simulations to estimate the intensity of output signal and the tolerance of
tracking error, finished the experimental apparatus to evaluate the probe resolution, and
succeeded in obtaining the output signal from the medium pattern which corresponds to a
recording density of 300Gb/in2. In addition, we have improved the detection accuracy of
a high-resolution recording dot structure measurement system, using high-precision probe
control with a low contact-force driving scheme and a high-sensitivity position sensing
technique, coupled with ultrasharp probe tips, which were suitable for ultrafine HAR (high
aspect ratio) dots of nano-patterned media. A measurement repeatability of 0.7 nm(σ) was
obtained, attaining an interim target of 1.5nm(σ), and we found that additional environment
control was necessary to achieve a final target of 0.5 nm(σ) in repeatability.
近接場光媒体技術
1.記録セル位置制御技術の研究開発
1.1 ナノパターンドメディア
円周形状グルーブ上でのジブロックコポリマーの自己組織化ドットパターンを用いて 30nm よ
り小さい径の磁性体ドット配列からなるナノパターンドメディアの作製を行った。これによって,
中間目標である 35nm 以下の径でのドット配列・加工を達成した。また,高磁気異方性エネルギ
ーを実現した記録材料に対して加工プロセスを適用し,ドット径 45nm 以下の光磁気ハイブリッ
ド記録用ドットを作製した。さらに,埋め込み平坦化された光磁気ハイブリッド記録材料からな
るナノパターンドメディア(30nm ピッチ)を作製し,スピンスタンドでのヘッドの安定浮上を確認
した。ナノインプリント装置に関しては,位置決め精度の向上を行い,5μm以下のパターン中
心の位置決め精度を実現した。
1.2 電子ビームマスタリング
①Xθステージ型電子ビーム描画装置
自己組織化ナノドットパターンが配列されるグルーブの形成に必要なレジストパターンにおい
て,中間目標値であるトラックピッチむら精度 2nm(σ)に対し,Xステージの調整とノイズの対策
とにより,所期目標を達成する 1.8-2.1nm(σ)が得られた。さらに精度向上のために,ステージ
系の制御回路と駆動ユニットの改造,音響振動源の遮音室内への隔離,を行った。また,中間目
標値であるパターン幅 50nmを描画するための目標ビーム径 40nmに対し,昨年度に試作した改良型
電子銃の使用により,所期目標を上回る小ビーム径 24nmを達成した。ビーム電流密度についても,
5.3kA/cm2と所期目標 2.8kA/cm2を超えて達成した。これらにより,300 ギガビット/inch2級対応の
電子ビーム描画装置が実現し,トラックピッチ 100nmで中間目標値よりも幅が細い 40nmのレジス
トパターンを,従来よりも小さなラインエッジラフネスでより高速に描画できた。
②
XYステージ型電子ビーム描画
中間目標であるグルーブ幅 50nm(グルーブ深さ 60nm)の円形パターンを,8 インチSi基板
(表面酸化層(SiO2)付)上に描画,ドライエッチング(RIE)した。これをジブロックコポ
リマーの自己組織化ナノ粒子配列用の原盤として供給した。また,偏光制御近接場光再生用のラ
イン&スペース・パターンを,直線描画機能により,2.5 インチガラス基板(表面Cr膜/C膜付)
上に 70nmピッチで描画し,供給した。
2.高性能記録膜材料の研究開発
中間目標である300ギガビット毎平方インチ級に対応する磁区が記録可能な媒体の実現を目指
し,磁気異方性エネルギー7.0×106erg/cm3以上,磁化反転単位45nm以下の数値目標を設定して
研究開発を行った。高磁気異方性エネルギーに寄与する下地膜探索を行い,Pd/CuB 下地膜の上
に,Co/Pd多層膜を設けた記録媒体により,8.8×106erg/cm3の磁気異方性エネルギーを実現し,
中間目標を達成した。上記記録媒体をナノパターンドメディア作製に提供し,磁性層におけるド
ット径45nmのナノパターンドメディアを得た。これにより,磁化反転単位45nm以下の中間目標
も達成した。
1. Recording cell position control
1.1 Nano-patterned media: We have fabricated circumferential nano-patterned media, composed of
magnetic dots with diameter of less than 30nm. We confirmed stable head flying on the media disks
after flattening the surface. We improved the positioning accuracy of the nanoimprint equipment.
1.2 Electron beam mastering: For Xθ electron beam recording, the track-pitch-error accuracy of 1.8 2.1 nm (σ) attaining to a target value of 2 nm (σ) was obtained. We attained a 24-nm diameter beam
size smaller than a target value of 40-nm diameter. We also attained 5.3 kA/cm2 beam current density.
For XY electron beam recording system, we performed round shape line patterning with 50-nm.
2. Advanced materials for the recording media: We succeeded in making a Co/Pd multilayer sample
with a perpendicular anisotropy constant of 8.8×106 erg/cc. The Co/Pd multilayer sample was supplied
to fabricate the nano-patterned media, whose magnetization transition length was smaller than 45nm.
Ⅲ
近接場光記録再生技術
1.
光利用効率向上技術の研究開発
高効率集光素子である SIM(solid immersion mirror)および近接場光発生素子であるプラズ
モンプローブを用いた近接場光ヘッドでの光利用効率向上を目指して,それぞれの素子を最適設
計し,それらをスライダ上に搭載した動的近接場光ヘッドを試作した。
SIM の開発に当たっては,プラズモンプローブの加工プロセスを考慮してスライダとして石英
基板を使用できるように設計を最適化し,開発を行った。またスライダと SIM とを平行位置およ
び傾き位置を共に精度良く接着できる装置を開発し,スライダへの SIM 搭載技術を確立した。ま
た,プラズモンプローブの開発に当たっては,光スポットを従来よりもさらに小さくするために,
表面にリセスが形成されたプラズモンプローブを提案した。FDTD(finite difference time
domain)法を用いたシミュレーションの結果,プラズモンプローブから 10 nm 離れた位置に置
いた媒体表面での光スポット径は,20 nm × 30 nm であり,光利用効率は約 20%であることが分
かった。さらに,電子線リソグラフィ,RIE,イオンミリングを組み合わせた加工プロセスを開
発し,リセス付プラズモンプローブを 0.15 mm 厚石英スライダ浮上面に埋め込む形で試作した。
このようにして実際に試作した近接場光ヘッドにおいて,光スポット径が中間目標の 35 nm を達
成し,光利用効率が中間目標(0.1~1%)を超える 2%を達成したことを確認した。
2.
ヘッド高速走行技術の研究開発
上記光利用効率向上技術で開発した高効率導光素子の SIM と近接場光発生素子のプラズモン
プローブとを搭載可能な石英製浮上スライダの設計,試作および浮上評価を行った。
中間目標である浮上量 35 nm 以下に対応した浮上面設計を行い,さらにその作製を行った。試
作した石英製スライダを浮上テスタにより浮上量測定実験した結果,中間目標を超える浮上量 7
~20 nm(線速度 4~15 m/s)の安定浮上走行を確認した。さらに,SIM を所望の位置に正確に
搭載した石英製スライダを,サスペンションの所望の位置に正確に接着する技術を新たに開発し
た。試作した SIM 搭載スライダを取り付けた動的記録評価装置におけるヘッド浮上テストにより
安定浮上走行を確認した。
3.
記録再生技術の研究開発
上記光利用効率向上技術で開発したプラズモンプローブを利用して,相変化媒体を用いた近接
場光記録実験を行った。記録実験では静的記録装置を用い,波長 780 nmのレーザ光をプラズモ
ンプローブに入射させ記録を行った。SEM観察の結果,中間目標である 300 Gb/in2に相当する
46 nmサイズを超える 35 nm径の記録マークが形成されていることを確認して記録実証し,35
nmの近接場光スポット径を達成した。また,本記録実験から求められた最適記録条件を,FDTD
法による電磁場解析および熱伝導解析結果と比較することにより,実際に作製したプラズモンプ
ローブの光利用効率が 2%以上であることを導出した。さらに,試作したSIM搭載スライダを取
り付けた動的記録評価装置を用いて,相変化媒体表面にマークの記録実験を行い,評価システム
を開発した。
Ⅲ
Near Field Optical Recording Technology
We performed optimization and prototyping of a near-field optical plasmon probe and a
solid immersion mirror (SIM) to improve efficiency of the near-field optical head. We proposed
a novel probe with a beaked metallic plate, and fabricated it using e-beam lithography. A spot
size and efficiency on a medium surface was simulated to be about 20 nm x 30 nm and 20%
with FDTD, respectively. We optimized a shape and a coating layer of the SIM to mount on a
0.15-mm quartz-slider. We mounted the optimal SIM on the slider using a newly developed
assembling machine.
We designed an air bearing surface of the slider to achieve a flying height of 35 nm, and
prototyped the optimal slider. A flying height was measured to be 7 to 20 nm with a flying
height tester. We developed a technique to glue a suspension to the SIM slider without a bend.
A flying test in a spinstand showed that the SIM slider flied stably.
Recording marks were written on a phase-change recording medium using the plasmon
probe in a 780-nm-wavelength laser static tester. We observed the recording marks with SEM.
We confirmed that 35-nm-diameter marks were successfully written. Thus we achieved a
near-field spot diameter of 35 nm. By a comparison of the optimal recording condition with
electromagnetic and thermal simulation results, we confirmed that optical efficiency of the
fabricated probe was more than 2 %. We performed recording experiment using the SIM
slider on the phase-change media in a spinstand and thus developed a recording evaluation
system.