Ligation Pack(PDF 224KB)

Ligation Pack
Code No. 310-01471
マニュアル(第 3 版)20130131KM
Ⅰ Ligation Pack の内容
Ⅲ Ligation Pack の使用方法
保存温度: -20℃
包装単位: 100 回用
反応の1回分は、50 µl の体積でEnzyme Solution(T4 DNA Ligase)
を1 µl 加える系を想定している。これらは通常、平滑末端ライゲ
ーションが行える条件である。反応容量や、加えるEnzyme Solution
の量は適宜変更することができる。Enzyme Solutionは、Ligation
Pack専用に調製してある。
① 10×Ligation Buffer
500 mmol/l Tris-HCI(pH7.9)
1 ml×1 本
100 mmol/l MgCl2
200 mmol/l DTT
10 mmol/l ATP
② 2 mg/ml BSA Solution
③ 20 mmol/l Spermidine
④ 20 mmol/l Hexamine Cobalt Chloride(HCC)
1 ml×1 本
100 µl×1 本
100 µl×1 本
⑤ H2 O
⑥ Enzyme Solution(300 units/µl T4 DNA Ligase)
1 ml×2 本
100 µl×1 本
Ⅱ ライゲーション反応のてびき
ある遺伝子をクローニングする際、全ての過程で高効率を得るにはある程
度経験を積む必要がある。実験には、調製したベクターをクローニングした
い DNA 断片とどのような比で混合したらよいかなど試行錯誤的な要素が
2
多い。このような場合、Revie, D. )らの報告は大変参考になる。
システム 1(プラスミドベクターを用いた非強制ライゲーション)
システム 2(プラスミドベクターを用いた強制ライゲーション)
1)粘着末端ライゲーション
12~16℃で 30 分~16 時間反応する。高温(~37℃)では粘着末端のア
ニーリングが不十分となり、低温(~4℃)では T4 DNA Ligase の活性を低
下させる結果となる。通常、スペルミジンや塩化ヘキサアンミンコバルトを
入れる必要はないが、塩化ヘキサアンミンコバルトがライゲーション効率を
3
5 倍程度促進するという報告もある )。
2)平滑末端ライゲーション
粘着末端ライゲーションと異なりアニーリングさせる必要はないので、16~
26℃などで反応させる。ただし、粘着末端ライゲーションに必要な酵素量
の 10~100 倍が必要である。Ligation Pack の Enzyme Solution は、1 µl
で通常の平滑末端ライゲーションが行えるように調製してある。
1
平滑末端ライゲーションは、スペルミジンや塩化ヘキサアンミンコバルト )
を加えると効率が促進される。これらの存在は、制限酵素反応を阻害しな
いので、例えばリンカーライゲーションの場合、ライゲーション反応後、T4
DNA リガーゼを熱失活させ、そのまま引き続いて制限酵素反応が行える。
3)その他の注意事項
① T4 DNA Ligase の反応は、NaCl 150 mmol/l 以上の濃度で阻害され
るので、DNA 溶液の塩濃度が高い場合は注意が必要である。
② BSA は、最終濃度 50~250 µg/ml が適当である。
システム 3(ファージベクターを用いたライゲーション)
※ △、□:制限酵素切断末端、△と□は異なる制限酵素末端である。
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Ⅳ Ligation Pack の反応例
Ⅴ トラブルシューティング
通常行われる条件を例としてあげた。特に効率が問題となる場合は、「II
ライゲーション反応のてびき」および「III Ligation Pack の使用方法」を参
<全くライゲーションしない>
ATP が反応系に含まれていない
添付の反応バッファーを用いるか、新たに ATP を添加する。
考にして DNA 濃度、反応温度の検討が必要である。
1)ベクターDNA へのサブクローニング
① ベクターDNA(pUC, pBR など)を適当な制限酵素で切断、脱りん酸化
し、除タンパク質後、TE バッファーに溶解する。
② クローニングしたい DNA 断片を精製し、TE バッファーに溶解する。
③ ライゲーション反応を行う。
DNA 断片の末端の不一致
末端を確認する。 特に認識配列 Py、Pu、N を含む制限酵素断片の
場合には要注意である。
<ライゲーション効率が低い>
短い DNA 断片の混入
制限酵素反応で生ずる短い DNA 断片をゲル電気泳動などで除去す
a)例えば粘着末端ライゲーションの場合
ベクターDNA
る。
0.05~0.5 µg
PCR 断片
PCR 断片は、末端が不揃いなので結合しにくい。 極端に効率が低
DNA 断片
10×Ligation Buffer
2 mg/ml BSA Solution
Enzyme Solution
ddH2O
2 μl
い場合には DNA ポリメラーゼなどで末端を揃える。
2.5 μl
高塩濃度
0.5~1 µl
T4 DNA Ligase は高塩濃度で反応阻害を受けるので、エタノール沈
殿などで余分な塩を除く。
up to 20 μl
16℃で 30 分間~16 時間反応させる。
<組換えプラスミドとトランスフォーメーション効率が低い>
b)例えば平滑末端ライゲーションの場合
ベクターDNA
PEG の混入
PEG はトランスフォーメーションを阻害するので、エタノール沈殿など
で除去する。
0.05~0.5 µg
DNA 断片
10×Ligation Buffer
2 μl
2 mg/ml BSA Solution
2.5 μl
20 mmol/l Spermidine
1 μl
Enzyme Solution
ddH2O
ベクターの脱りん酸化が不十分
セルフライゲーションの有無をあらかじめ確認しておく。
1~2 µl
up to 20 μl
Ⅵ 参考文献
16℃で 30 分間~16 時間反応させる。
2)リンカーライゲーション
この反応は、リンカーDNA を DNA 断片の平滑末端にライゲーションさせ
ることを目的としている。一般にリンカーDNA は、DNA 断片の 10~20 倍
程度のモル比で加え、以下のような反応系(10~20 µl)を用いる。
1)
2)
Rusche, J. R. et al. : Nucl. Acids Res., 13, 1997-2008(1985)
Revie, D. et al. : Nucl. Acids Res., 16, 10301-10321(1988)
3)
Berger, S. L. and Kimmel, A. R. : Methods in Enzymol., 152,
343-349(1987)
Sambrook, J. et. al. : “ Molecular Cloning ” , A Laboratory
Manual, 2nd ed., 1.68-1.69(1989)
4)
DNA 断片
リンカーDNA
10×Ligation Buffer
2 μl
2 mg/ml BSA Solution
1 μl
20 mmol/l Spermidine
1 μl
20 mmol/l Hexamine Cobalt Chloride
Enzyme Solution
ddH2O
1 μl
1~2 µl
up to 20 μl
16℃で 30 分間~16 時間反応させる。
株式会社ニッポンジーン
Ligation Pack マニュアル(第 3 版)20130131KM