『七訂介護支援専門員基本テキスト』は

2015(平成 27)年ケアマネ試験最新情報
『七訂介護支援専門員基本テキスト』は
ココが変わった!
本書の刊行後に『基本テキスト』の七訂版が発行され
ました。本冊子では、七訂版で改訂された部分の分析と
試験対策について解説します。
2015(平成 27)年の試験対策としてご利用ください。
成美堂出版
◆◆◆◆◆ 七訂版の改訂ポイントとその対応 ◆◆◆◆◆
七訂版では、介護保険法などの法改正の部分だけでなく、法改正に関係
ない部分も大きく変更されています。さらに細かい加筆訂正、差し換えな
どが全体にわたっています。
改訂のポイントはいくつかにまとめることができますので、ここでは、
ポイントごとに関係する七訂版テキストのページ数と簡単な内容をあげ、
その対策を検討していきます。
なお、それぞれの改訂ポイントに付したマークは、次のような基準で付
けてあります。
★ ➡ 試験で出題された場合であっても、正誤の判断に影響するよ
うな内容が含まれていない改訂です。六訂版に基づいた問題集や
参考書で学習した内容でも十分に対応できる内容です。
★★➡ 六訂版には記述のなかった内容が含まれていますが、内容の
根本に変更はなく、単純な改訂内容であるものなので、部分的に
拾い出して覚えてしまえば十分に対応できる内容です。
★★★ ➡ 六訂版には記述のなかった内容が含まれている改訂で、か
つ法改正などの新しい内容です。さらに、試験で出題される可能
性も高いと予想される部分ですので、注意が必要です。本冊子の
P.16 以下にスピード解説としてまとめました。内容をマスター
して合格を勝ち取りましょう!
2
1
「高齢化の進展と高齢者を取り巻く状況」に関する記述が
新しくなりました
★
六訂版でも「長寿・高齢化の進展」や「家族にとっての介護問題」など
の統計に関する記述はありましたが、今回の改訂によって、「総人口の概観
と長寿・ 高齢化の進展」と「高齢者介護を取り巻く状況」に変更されまし
た。将来の人口推計など、六訂版の内容と似たものも掲載されていますが、
介護問題の現状が削除され、認知症高齢者の増加といった新しい内容が
加わるなど、大きく変更されています。
ただし、試験で頻繁に出題される内容ではないので、数回読んで、どの
ような傾向を示しているかを簡単に把握しておけば十分です。
1 巻 P.2 ~ 8
総人口の概観と長寿・高齢化の進展、高齢者介護を取り
巻く状況
2 各種統計調査結果について、更新、追加、削除されました
★
七訂版では、新しい調査に基づいた数字に更新されたほか、新たな統計
調査も加わりました。また、2 巻においては、各介護サービスの利用状況
などに関する統計調査結果が加えられました。実際の試験では、統計に関
する問題はそれほど多く出題されないだけでなく、細かい数字について問
われることもほとんどありません。そのため、大まかな割合や傾向を把握
しておけば十分です。
1 巻 P.2 ~ 8
総人口の概観と長寿・高齢者の進展、高齢者介護を
取り巻く状況
1 巻 P.12 ~ 13
介護保険制度の実施状況
2 巻 P.35 ~ 36
訪問介護の利用者の特性
2 巻 P.62
訪問入浴介護の利用者の特性
2 巻 P.77 ~ 79
訪問看護の利用者の特性
2 巻 P.101
訪問リハビリテーションの意義・目的
2 巻 P.163 ~ 164
通所介護の利用者の特性
2 巻 P.184
通所リハビリテーションの利用者の特性
2 巻 P.203 ~ 204
短期入所生活介護の利用者の特性
3
2 巻 P.222
短期入所療養介護の利用者の特性
2 巻 P.239
特定施設入居者生活介護の利用者の特性
2 巻 P.258 ~ 259
福祉用具利用者の特性および福祉用具の機能、使用法
2 巻 P.277 ~ 278
住宅改修利用者の特性および住宅改修の機能、使用法
2 巻 P.288 ~ 289
介護予防訪問入浴介護の利用者の特性
2 巻 P.360
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用者の特性
2 巻 P.373 ~ 374
夜間対応型訪問介護の意義・目的
2 巻 P.375
夜間対応型訪問介護の利用者の特性
2 巻 P.387
認知症対応型通所介護の意義・目的
2 巻 P.389
認知症対応型通所介護の利用者の特性
2 巻 P.399
小規模多機能型居宅介護の意義・目的
2 巻 P.401
小規模多機能型居宅介護の利用者の特性
2 巻 P.412 〜 413
認知症対応型共同生活介護の意義・目的
2 巻 P.414
認知症対応型共同生活介護の利用者の特性
2 巻 P.423
地域密着型特定施設入居者生活介護の意義・目的
2 巻 P.425
地域密着型特定施設入居者生活介護の利用者の特性
2 巻 P.435
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の意
義・目的
2 巻 P.437
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の利
用者の特性
2 巻 P.449
看護小規模多機能型居宅介護の意義・目的
2 巻 P.451
看護小規模多機能型居宅介護の利用者の特性
2 巻 P.500 ~ 501
介護老人福祉施設の意義・目的
2 巻 P.539 ~ 540
介護療養型医療施設の利用者の特性
3 巻 P.3
高齢者の生理機能
3 巻 P.175 ~ 179
認知症の特徴と病態
3 巻 P.261
身体状況・栄養状態の課題と食事
3 巻 P.346 ~ 347
健康増進と生活習慣病
3 巻 P.350
がん
3 巻 P.518 ~ 522
高齢者虐待の防止
4
3
2014(平成 26)年の介護保険制度改正の内容が反映さ
れました
★★★
七訂版では、2014(平成 26)年の介護保険制度改正の内容が反映さ
れています。さらに、六訂版において、2005(平成 17)年と 2011(平
成 23)年の介護保険制度改正の内容がまとめられていた箇所が、七訂版
では 2014(平成 26)年の介護保険制度改正の内容に差し替えられました。
まずは、七訂版 1 巻の P.14 ~ 28 に 2014(平成 26)年の介護保険
制度改正の内容がまとめられていますので、その部分をしっかり読み、ど
の点に変更があったかを把握しましょう。
特に地域支援事業は大きく変更されたので、時間がかかってでもしっかり
と覚えましょう。
➡本冊子 P.16
1 巻全体 (まとめは 1 巻 P.14 ~ 28 2014(平成 26)年制度改正)
4 介護報酬改定の内容が反映されました
★★★
六訂版が約 3 年前に発行された関係で、 七訂版では、2014(平成
26)年 4 月の介護報酬改定と 2015(平成 27)年 4 月の介護報酬改
定の両方の改定内容が反映されています。
居宅介護支援と介護予防支援の介護報酬に関しては、六訂版と同じレイ
アウトで記載されていますが、それ以外のサービスについては、レイアウト
変更がなされており、2015(平成 27)年 4 月の介護報酬改定による変更
点についても丁寧に記述されています。さらに、介護予防サービス、地域
密着型サービス、地域密着型介護予防サービスにも介護報酬に関する記
述が盛り込まれました。
これまでの出題傾向をみると、特に保健医療系の介護サービスは、介護
報酬の改定内容が出題されることが多いので、どの点が変更になったかを
中心に確認していきましょう。なお、基本報酬などの単位数は、出題され
る可能性が低いので、覚える必要はないといえます。
➡本冊子 P.19
1 巻 P.319 ~ 328
居宅介護支援の介護給付費(介護報酬)
1 巻 P.400 ~ 401
指定介護予防支援の介護給付費(介護報酬)
5
2 巻 P.43 ~ 50
訪問介護の内容・特徴
2 巻 P.68 ~ 69
訪問入浴介護の内容・特徴
2 巻 P.86 ~ 88
訪問看護の内容・特徴
2 巻 P.110 ~ 111
訪問リハビリテーションの内容・特徴
2 巻 P.123 ~ 124
居宅療養管理指導の内容・特徴
2 巻 P.169 ~ 173
通所介護の内容・特徴
2 巻 P.189 ~ 192
通所リハビリテーションの内容・特徴
2 巻 P.208 ~ 210
短期入所生活介護の内容・特徴
2 巻 P.229 ~ 231
短期入所療養介護の内容・特徴
2 巻 P.246 ~ 248
特定施設入居者生活介護の内容・特徴
2 巻 P.268 ~ 269
福祉用具の内容・特徴
2 巻 P.282
住宅改修の内容・特徴
2 巻 P.290
介護予防訪問入浴介護の内容・特徴
2 巻 P.293
介護予防訪問看護の内容・特徴
2 巻 P.297
介護予防訪問リハビリテーションの内容・特徴
2 巻 P.301
介護予防居宅療養管理指導の内容・特徴
2 巻 P.306
介護予防通所リハビリテーションの内容・特徴
2 巻 P.311
介護予防短期入所生活介護の内容・特徴
2 巻 P.315 ~ 316
介護予防短期入所療養介護の内容・特徴
2 巻 P.319 ~ 320
介護予防特定施設入居者生活介護の内容・特徴
2 巻 P.324 ~ 325
介護予防福祉用具の内容・特徴
2 巻 P.329 ~ 330
介護予防住宅改修の内容・特徴
2 巻 P.366 ~ 368
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の内容・特徴
2 巻 P.379 ~ 380
夜間対応型訪問介護の内容・特徴
2 巻 P.383
地域密着型通所介護の開設
2 巻 P.393 ~ 396
認知症対応型通所介護の内容・特徴
2 巻 P.407 ~ 409
小規模多機能型居宅介護の内容・特徴
2 巻 P.419 ~ 420
認知症対応型共同生活介護の内容・特徴
2 巻 P.430 ~ 431
地域密着型特定施設入居者生活介護の内容・特徴
2 巻 P.442 ~ 446
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の内
容・特徴
6
2 巻 P.455 ~ 457
看護小規模多機能型居宅介護の内容・特徴
2 巻 P.465 ~ 466
介護予防認知症対応型通所介護の内容・特徴
2 巻 P.469 ~ 470
介護予防小規模多機能型居宅介護の内容・特徴
2 巻 P.473
介護予防認知症対応型共同生活介護の内容・特徴
2 巻 P.507 ~ 510
介護老人福祉施設の内容・特徴
2 巻 P.524 ~ 529
介護老人保健施設の内容・特徴
2 巻 P.545 ~ 548
介護療養型医療施設の内容・特徴
5 事例が新しい内容に変更されました
★
各介護サービスには、そのサービスの実際例として事例文が盛り込まれ
ています。七訂版では、事例のレイアウトが変更されたほか、事例の多く
が新しい内容に差し替えられました。さらに、定期巡回・随時対応型訪問
介護看護や看護小規模多機能型居宅介護については、事例が新たに追加
されました。
試験に向けてはそれほど重要なものではないですが、各介護サービスの
特徴や支援過程を理解する際に非常に役立つものなので、少なくとも 1 回
は読んでおきましょう。
1 巻 P.363 ~ 367
居宅介護支援の実際
1 巻 P.421 ~ 433
介護予防支援の実際
2 巻 P.53 ~ 55
訪問介護と介護支援サービス
2 巻 P.71 ~ 72
訪問入浴介護と介護支援サービス
2 巻 P.91 ~ 95
訪問看護と介護支援サービス※
2 巻 P.114 ~ 119
訪問リハビリテーションと介護支援サービス※
2 巻 P.176 ~ 178
通所介護と介護支援サービス
2 巻 P.194 ~ 197
通所リハビリテーションと介護支援サービス※
2 巻 P.215 ~ 217
短期入所生活介護と介護支援サービス※
2 巻 P.233 ~ 234
短期入所療養介護と介護支援サービス
2 巻 P.251
特定施設入居者生活介護と介護支援サービス※
2 巻 P.270 ~ 272
福祉用具と介護支援サービス
2 巻 P.285 ~ 286
住宅改修と介護支援サービス
7
2 巻 P.369 ~ 370
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の実際
2 巻 P.458 ~ 459
看護小規模多機能型居宅介護の実際
2 巻 P.512 ~ 514
介護老人福祉施設の実際※
2 巻 P.532 ~ 534
介護老人保健施設の実際
2 巻 P.551 ~ 552
介護療養型医療施設の実際
注)※は六訂版と同じ内容の事例
6 各介護サービスに関する内容が整理されました
★★★
居宅サービスや地域密着型サービスなどの介護サービスが、「サービス
の意義・目的」「サービスの利用者の特性」「サービスの内容・特徴」「介
護支援サービス(介護予防支援サービス)との関係」といった項目を基本
とした形で統一されました。さらに、「今後の動向」や「事業所の開設」な
どの内容も追加されました。
また、2015(平成 27)年 4 月の介護報酬改定に伴う各介護サービス
の運営基準等の改正点も反映されています。
なお、2014(平成 26)年の介護保険法改正によって、地域支援事業
に移行された従来の介護予防訪問介護と介護予防通所介護については、
経過措置として存続しているので、介護予防サービスの末尾に記述があり
ます。
項目の統一化がなされたことによって、多くのサービスで、運営基準の
改正の影響を受けていない内容であっても、記述が大きく書き換えられて
いますが、各介護サービスの相違点を比較しながら学習しやすくなりました。
➡本冊子 P.21
2 巻全体
8
7 「高齢者の特徴」の内容が大きく変更されました
★★
七訂版の 3 巻第 1 編第 1 章は、六訂版と同じ「高齢者の特徴」ですが、
内容が大きく変更されています。大きな特徴としては、高齢者の生理機能
の変化が詳細に記述された点と、廃用症候群から老年症候群の記述に変更
された点があげられます。
廃用症候群は、老年症候群のひとつとして位置づけられていますので、
これまでよりももうひとつ広い枠組みから高齢者の特徴を捉えようという意
図が感じられます。
この内容は、試験でも頻繁に出題されている内容ですので、高齢者の生
理機能の変化と老年症候群の種類を中心に覚えておきましょう。
3 巻 P.2 ~ 18
高齢者の特徴
8 高齢者に多い疾病の種類が追加・削除されました
★★
七訂版の 3 巻第 1 編第 2 章は、六訂版と同じ「高齢者に多い疾病」で
すが、「高齢者の疾患の特徴」が追加されたほか、掲載されている疾病の
種類が追加・削除されました。
さらに、掲載されている疾病については、
「症状」
「治療」「経過・予後」「生活上の留意点」の 4 項目で統一・整理されて
います。
削除された疾病として、婦人科系疾患などがあり、今回新たに追加され
た疾病には、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、胆石症・胆嚢
炎などがあります。
追加された疾病については、今後の試験で出題される可能性があるので、
どのような症状があるのかを中心に学習していきましょう。
3 巻 P.20 ~ 83
高齢者に多い疾病
9
9 「バイタルサインと検査」の内容が変更されました
★
六訂版にも掲載されている内容ですが、バイタルサインの種類として、
意識レベルと呼吸が追加されたほか、どのようなときに検査に行くべきかな
どの内容も追加されました。
記述の内容が変更されたり、追加されたりしていますが、基本的な部分
に変更はありませんので、六訂版の内容で学習しても問題はありません。
3 巻 P.86 ~ 99
バイタルサインと検査
10 「介護技術の展開」の内容が変更されました
★
六訂版にも掲載されている内容ですが、六訂版に比べ、アセスメントの
視点やケアプラン作成上の留意点といった介護支援専門員に必要な知識に
重点が置かれた記述に変更されました。そのため、具体的な介護方法につ
いての記述が少なくなっています。これまでの試験傾向を見る限り、具体
的な介護方法についても出題される可能性があるので、六訂版で学習した
知識も無駄にはなりません。また、七訂版で新たに掲載されているものに
ついても、特に難しい内容はないので、簡単に読んでおけば十分です。
3 巻 P.102 ~ 146
介護技術の展開
11 「ケアにおけるリハビリテーション」の内容が変更されました
★
六訂版にも掲載されている内容ですが、六訂版に比べ、疾病や障害に応
じたリハビリテーション、リハビリテーション資源の活用方法、リハビリテー
ション職種との連携方法に重点が置かれた記述に変更されました。そのた
め、具体的なリハビリテーションの方法が少なくなっています。
これまでの試験傾向を見る限り、具体的なリハビリテーションの方法につ
いて出題されることはほとんどありませんでしたので、七訂版の内容を中心
に学習した方が効果的に得点力アップにつながります。学習時間に余裕が
なければ、過去の試験で出題された内容をピックアップして、その内容だ
けを覚えるという方法をとっても十分に対応できると思います。
3 巻 P.148 ~ 172
ケアにおけるリハビリテーション
10
12 「認知症高齢者の介護」の内容が変更されました
★★★
七訂版の 3 巻第 1 編第 6 章「認知症高齢者の介護」は、認知症のステー
ジ(進行過程)や認知症の治療などが追加され、認知症原因疾患や認知
症ケアの内容がより詳細な内容に変更されるなど、全面的に差し替えられ
ました。
近年、認知症に関する問題は 3 問程度出題されていることを踏まえると、
時間がかかってでも、しっかりと理解できるまで学習していく必要がありま
す。
➡本冊子 P.23
3 巻 P.174 ~ 221
認知症高齢者の介護
13 「高齢者の精神障害」の内容が大きく変更されました
★★
七訂版の 3 巻第 1 編第 7 章第 1 節「高齢者の精神障害」は、高齢者
の精神疾患の特徴が追加され、高齢者に多い精神障害の種類が変更され
るなど、全面的に差し替えられました。
高齢者に多い精神障害の種類としては、これまでの試験でも頻繁に出題
されている老年期うつ病のほか、統合失調症、妄想性障害、アルコール関
連障害が例示されています。特に老年期うつ病は、これまでの試験で頻繁
に出題されているので、じっくり学習していきましょう。
3 巻 P.224 ~ 230
14
高齢者の精神障害
「医学的診断、医学的問題のとらえ方」の内容が変更され
ました
★
七訂版の 3 巻第 1 編第 8 章「医学的診断、医学的問題のとらえ方」は、
医学的診断の理解や治療内容と予後の理解が追加されるなど、六訂版に
比べて一歩踏み込んだ内容に変更されました。
ただし、これまでの試験傾向を見る限り、それほど頻繁に出題される内
容ではないので、ざっと読んで理解しておく程度で十分だといえます。
3 巻 P.242 ~ 253
医学的診断、医学的問題のとらえ方
11
15 「栄養・食生活からの支援と介護」の内容が変更されました
★★
七訂版の 3 巻第 1 編第 9 章「栄養・食生活からの支援と介護」は、日
本人の食事摂取基準(2015 年版)や栄養ケア・マネジメントが追加され
るなど、内容が大きく変更されました。
栄養・食生活に関する問題は、これまでの試験でも頻繁に出題されてい
るので、しっかりと確認しておきましょう。
3 巻 P.256 ~ 282
栄養・食生活からの支援と介護
16 「在宅での医療管理」の内容が変更されました
★★
七訂版の 3 巻第 1 編第 10 章「在宅での医療管理」
では、パルスオキシメー
ターなどが追加されたほか、六訂版でも掲載されていた在宅酸素療法や胃
ろうなどの記述も変更されました。六訂版に比べて各医療管理の内容が詳
しくなったという印象を受けます。
在宅での医療管理は、毎年必ず出題されているので、七訂版の内容をしっ
かりと学習することが大切ですが、基本的な部分に変更はありませんので、
六訂版の内容と過去の試験で出題された内容をしっかり学習しておくことで
も、試験対策として十分だといえます。
3 巻 P.284 ~ 315
在宅での医療管理
17 「感染症の予防」の内容が変更されました
★★
七訂版の 3 巻第 1 編第 11 章「感染症の予防」では、高齢者施設で多
くみられる感染症、標準予防策、感染経路別予防策の記述が変更されるな
ど、より具体的な内容に差し替えられました。
これまでの試験において、テキストに掲載されていない内容も出題され
ていたことを踏まえると、七訂版の内容は最低限おさえておかなければなり
ません。
3 巻 P.318 ~ 326
感染症の予防
12
18 「急変時の対応」の内容が変更されました
★★
七訂版の 3 巻第 1 編第 12 章「急変時の対応」では、緊急避難的医行
為が追加されるなど、記載内容が大きく変更されました。
これまでの出題傾向をみると、それほど頻繁に出題されているわけでは
ないので、今回追加された緊急避難的医行為を中心に、ざっと確認してお
けば十分です。
3 巻 P.328 ~ 340
急変時の対応
19 健康日本 21(第二次)が追加されました
★★
七訂版の 3 巻第 1 編第 13 章「健康増進・疾病障害の予防」において、
健康日本 21(第二次)に関する記述が追加されました。
従来の健康日本 21 に関する問題は、これまでほとんど出題されていな
いことを踏まえると、今後出題された場合であっても、単独 1 問で出題され
るとは考えにくく、選択肢のひとつに含まれる程度だと想定できます。その
ため、基本的方向や国民の健康増進の総合的な推進を図るための 5 つの
具体的な事項を簡単に整理しておけば十分だといえます。
3 巻 P.342 ~ 344
21 世紀における国民健康づくり運動(健康日本 21)
20 「ターミナルケア」の内容が変更されました
★★
七訂版の 3 巻第 1 編第 14 章「ターミナルケア」は、六訂版に比べ、
終末期の心身状態、具体的なケア方法、専門職間の連携に重点を置いた
記述に変更されました。
これまでの試験で出題されたことのある内容も含まれているので、できる
限り七訂版を活用して学習した方が効果的だといえます。
3 巻 P.360 ~ 384
ターミナルケア
13
21 「高齢者ケアの基本理念」の内容が変更されました
★★
七訂版の 3 巻第 2 編第 1 章「高齢者ケアの基本理念」では、高齢者ケ
アにおける目標の基本的特徴、目標指向的アプローチ、
「脳卒中モデル」と
「生活不活発病モデル」などが追加されるなど、大きく内容が変更されて
います。
これまでの出題傾向を見る限り、それほど頻繁には出題されないと想定
できますので、今回追加された目標指向的アプローチを中心に確認してお
けば十分だといえます。
3 巻 P.386 ~ 406
高齢者ケアの基本理念
22 「支援困難事例への対応」の内容が大きく変更されました
★
七訂版の 3 巻第 2 編第 2 章第 4 節「支援困難事例への対応」の記述
が大きく変更され、支援困難事例の3つの発生要因や基本的アプローチな
どの記述が盛り込まれました。
ただし、支援困難事例の根本(基本的な部分)が変更されたわけでは
ないので、六訂版の内容で学習しても問題はないといえます。
3 巻 P.449 ~ 465
23
支援困難事例への対応
地域包括ケアシステムと社会資源の関係についての記述が
追加されました
★
地域包括ケアシステムの構築が進められている中で、地域に存在する社
会資源がより重要視されています。特に難しい内容が記述されているわけ
ではないので、簡単に確認しておけばよいでしょう。
3 巻 P.468 〜 473
社会資源の活用
14
24 障害者総合支援法に関する記述が詳細内容に変更されました
★★
約 3 年前に発行された六訂版には、障害者自立支援法についての記述
が掲載されていましたが、七訂版には、障害者総合支援法の内容に変更さ
れているだけでなく、障害福祉サービスの内容など、詳細な内容が記述さ
れています。近年、障害者福祉制度に関する内容はほとんど出題されてお
らず、仮に障害者総合支援法に関する内容が出題された場合であっても、
1 問程度ですので、学習時間に余裕がなければ捨てても問題ないでしょう。
3 巻 P.474 ~ 487
障害者福祉制度
25 高齢者虐待に関する内容が集約されました
★
六訂版では、「認知症高齢者の介護」と「高齢者虐待」の 2 か所に高
齢者虐待の概念や動向などの内容が記載されていましたが、七訂版では、
「高齢者虐待の防止」に集約されました。さらに、記載されている内容も、
高齢者虐待の具体例を明示するなど、大きく変更されています。
ただし、高齢者虐待や高齢者虐待防止法の基礎的な部分に変更はない
ので、これまでに学習した知識を無駄にすることはありません。
3 巻 P.508 ~ 534
高齢者虐待の防止
★
26 用語の名称が変更されました
用語の名称が変更されました。以前の用語を使用しても問題ないものば
かりです。また、仮に 2015(平成 27)年度試験で出題される場合であっ
ても、「認知症状(中核症状)
」といった感じで、併記されるはずですので、
心配する必要はありません。
〈変更になった用語(例)〉
生活課題(ニーズ)→生活ニーズ 脳血管障害→脳卒中
アルツハイマー病→アルツハイマー型認知症
*アルツハイマー病は、アルツハイマー型認知症の原因疾患として位置づけられた
中核症状→認知症状(中核症状)
個別援助技術(ソーシャルケースワーク)→ミクロ・ソーシャルワーク
集団援助技術(ソーシャルグループワーク)→メゾ・ソーシャルワーク
地域援助技術(コミュニティワーク)→マクロ・ソーシャルワーク
15
◆◆◆ これで完璧! 追加テーマをスピード解説 ◆◆◆
2014(平成 26)年の介護保険法改正のポイント(1巻全体)
1.法改正の概要(1 巻 P.18 ~ 28)
2014(平成 26)年の介護保険法改正では、地域包括ケアシステムの構
築と費用負担の公平化の2点に重点が置かれています。
サービスの充実
地域包括ケア
システムの構築
・地域包括ケアシステムの構築に向けた
地域支援事業の拡充
・介護予防訪問介護と介護予防通所介護
を地域支援事業に移行
重点化・効率化
・特別養護老人ホームの新規入所者を要
介護 3 以上に限定
低所得者の保険
・低所得者の保険料の軽減割合を拡大
料軽減を拡充
費用負担の
公平化
・一定以上の所得のある利用者の自己負
担を引上げ(2 割負担)
重点化・効率化
・低所得の施設利用者の食費・居住費を補
填する補足給付の要件に資産などを追加
2.要介護認定の有効期間の変更(1 巻 P.87)
介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)は必須事業になり
ましたが、2017(平成 29)年度までの実施猶予期間が設けられています。
そのため、要介護認定の有効期間は、法改正後の総合事業を実施する市町
村と実施しない市町村とで異なることになりました。
申請区分等
新規申請
区分変更申請
更新申請
要支援→要支援
総合事業を実施しない市町村 総合事業を実施する市町村
原則
設定可能範囲
原則
設定可能範囲
6 か月
3 か月~ 12 か月
6 か月
3 か月~ 12 か月
6 か月
3 か月~ 12 か月
6 か月
3 か月~ 12 か月
12 か月 3 か月~ 12 か月 12 か月 3 か月~ 24 か月
要支援→要介護
6 か月
3 か月~ 12 か月 12 か月 3 か月~ 24 か月
要介護→要支援
6 か月
3 か月~ 12 か月 12 か月 3 か月~ 24 か月
要介護→要介護
12 か月 3 か月~ 24 か月 12 か月 3 か月~ 24 か月
16
3.不正利得の徴収(1 巻 P.94)
市町村は、不正行為によって保険給付を受けた者に対し、その給付の価
額の全部または一部を徴収することができるだけでなく、その給付が特定入
所者介護サービス費などである場合には、支給額の 100 分の 200 に相当
する額以下の金額を徴収することもできるようになりました。
4.介護保険事業計画の変更点(1 巻 P.160 ~ 163)
策定事項の追加や介護保険事業計画策定上の留意点の見直しが図られま
した。特に介護保険事業計画策定上の留意点は、今後の試験でも出題され
る可能性が高いので、変更後の内容を確認しましょう。
①市町村介護保険事業計画策定上の留意点
・市町村老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならない。
・市町村計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。
・市町村地域福祉計画などと調和が保たれたものでなければならない。
②都道府県介護保険事業支援計画策定上の留意点
・都道府県老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならない。
・都道府県計画および医療計画との整合性の確保が図られたものでなけ
ればならない。
・都道府県地域福祉支援計画や高齢者居住安定確保計画などと調和が保
たれたものでなければならない。
5.被保険者保険料負担割合の見込み(1 巻 P.169)
2015(平成 27)年度から 2017(平成 29)年度の第 1 号被保険者保
険料負担割合は全体の 22%となっており、第 2 号被保険者保険料負担割
合は全体の 28%となっています。
6.第 1 号被保険者保険料の区分の見直し(1 巻 P.171 ~ 172)
2015(平成 27)年度から第 1 号被保険者保険料の区分が見直され、原
則 9 段階の所得段階別定額保険料になりました。
7.地域支援事業の財源(1 巻 P.181)
地域支援事業に係る費用は、総合事業と総合事業以外の地域支援事業に
よって負担割合などが異なります。
17
①総合事業
保険料
50%
公費
50%
国は 20%を負担し、さらに調整
交付金として 5%を負担する。
②総合事業以外の地域支援事業
国
25%
特定地域支援事業支援額
公費
78%
22%
第 1 号被保険者
保険料
都道府県 市町村
12.5% 12.5%
都道府県
19.5%
国
39%
市町村
19.5%
8.地域支援事業の再編(1 巻 P.180 ~ 193)
今回の改正によって、地域支援事業の事業構成は、法律上、総合事業、
総合事業以外の必須事業、任意事業に大別されますが、基本テキストでは、
総合事業、包括的支援事業、任意事業という形で表現しています。
総合事業
・介護予防把握事業
・介護予防普及啓発事業
一般介護予防
・地域介護予防活動支援事業
事業
・一般介護予防事業評価事業
・地域リハビリテーション活動支援事業
介護予防・生活 ・訪問型サービス(第一号訪問事業)
支援サービス事 ・通所型サービス(第一号通所事業)
業( 第 一 号 事 ・その他の生活支援サービス(第一号生活支援事業)
業)
・介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業)※
包括的支援事業
任意事業
・介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業)※
・総合相談支援事業(業務)
・権利擁護事業(業務)
・包括的・継続的ケアマネジメント支援事業(業務)
・在宅医療・介護連携推進事業
・生活支援体制整備事業
・認知症総合支援事業
・介護給付等費用適正化事業(介護給付費適正化事業)
・家族介護支援事業
・その他の事業
注)※は総合事業と包括的支援事業の両方に位置づけられている。
18
2015(平成 27)年 4 月の介護報酬改定のポイント(1 巻 P.319 〜 328、2 巻全体)
介護サービス全体にかかわる主な変更点としては、介護職員処遇改善加
算の拡大と地域区分の見直しの 2 点があげられます。介護サービスごとにみ
ると、ほとんどの介護サービスで基本報酬が見直されました。その他の主な
変更点は、下表のようになっています。
居宅介護支援
・認知症加算と独居高齢者加算の基本報酬への包括化
・正当な理由のない特定の事業所への偏りに対する対
応強化(対象サービスの範囲の限定を外す)
・特定事業所加算の細分化(従来の特定事業所加算Ⅱ
を特定事業所加算Ⅱ、Ⅲに細分化)
訪問介護
・20 分未満の身体介護の見直し
・訪問介護員 2 級課程修了者であるサービス提供責任
者に係る減算の拡大
・特定事業所加算や生活機能向上連携加算の拡大
訪問看護
・看護体制強化加算の創設
・リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ、Ⅱ)や社会
参加支援加算の創設
訪問
・短期集中個別リハビリテーション実施加算の算定要件
リハビリテーション
を「退院(所)日又は認定日から起算して 3 か月以内」
に変更
通所介護
・延長加算の見直し(最大 14 時間まで)
・認知症加算、中重度者ケア体制加算、送迎を行わな
い場合の減算の創設
療養通所介護
・個別送迎体制強化加算と入浴介助体制強化加算の創
設
・リハビリテーションマネジメント加算を訪問指導等加算
と統合し、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)
を創設
通所
・認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)
、
リハビリテーション
中重度者ケア体制加算、社会参加支援加算などの創
設
・重度療養管理加算の対象者を要介護3まで拡大
19
・個別機能訓練加算と医療連携強化加算の創設
短期入所生活介護 ・サービス提供体制強化加算、緊急短期入所受入加算
の見直し
短期入所療養介護
・サービス提供体制強化加算、個別リハビリテーション
実施加算の見直し
特定施設入居者
生活介護
・認知症専門ケア加算とサービス提供体制強化加算の
創設
・看取り介護加算の見直し
・総合マネジメント体制強化加算の創設
定期巡回・随時対
・集合住宅等におけるサービス提供の場合の減算の創
応型訪問介護看護
設
認知症対応型
通所介護
・延長加算の見直し(最大 14 時間まで)
小規模多機能型
居宅介護
・看取り連携体制加算、訪問体制強化加算、総合マネ
ジメント体制強化加算の創設
・看護職員配置加算の見直し
認知症対応型
共同生活介護
・夜間支援体制加算、看取り介護加算の見直し
地域密着型特定施
設入居者生活介護
・夜間看護体制加算、医療機関連携加算、看取り介護
加算の見直し
・認知症専門ケア加算の創設
地域密着型介護老
・日常生活継続支援加算、障害者生活支援体制加算、
人福祉施設入所者
栄養マネジメント加算、看取り介護加算などの見直し
生活介護
看護小規模
・訪問看護体制強化加算、総合マネジメント体制強化
多機能型居宅介護 加算、訪問看護体制減算の創設
介護老人福祉施設
・日常生活継続支援加算、栄養マネジメント加算、看取
り介護加算、在宅・入所相互利用加算などの見直し
介護老人保健施設
・入所前後訪問指導加算、退所時等指導加算、栄養マ
ネジメント加算、経口維持加算などの見直し
20
各介護サービス運営基準等の変更点のポイント (1 巻、2 巻)
2015(平成 27)年 4 月の介護報酬の改訂などに伴って、各介護サービ
スの運営基準等も変更されました。下表では、各介護サービスの特に重要な
変更点をまとめました。
居宅介護支援
・居宅介護支援事業所と指定居宅サービス等の事業所
の意識の共有を図る観点から、介護支援専門員は、
居宅サービス計画に位置づけた指定居宅サービス等
の担当者から個別サービス計画の提出を求めることと
している。
・地域ケア会議から、個別のケアマネジメント事例の提
供の求めがあった場合には、これに協力するよう努め
ることとしている。
訪問介護
・常勤のサービス提供責任者が 3 人以上であって、サー
ビス提供責任者の業務に主として従事する者が1人
以上配置されている訪問介護事業所について、複数
のサービス提供責任者が共同して利用者にかかわる
体制が構築されている場合や、利用者情報の共有な
どサービス提供責任者が行う業務の効率化が図られ
ている場合には、サービス提供責任者の配置基準を
「利用者 50 人に対して1人以上」にすることが可能
となった。
・訪問リハビリテーション計画または通所リハビリテー
ション計画の作成のために、リハビリテーションに関
する専門的な見地から利用者の状況等に関する情報
を構成員と共有することを目的にリハビリテーション事
リハビリテーション 業者がリハビリテーション会議を開催することとなっ
サービス
た。
・リハビリテーション会議には、利用者やその家族の参
加を基本として、医師 、理学療法士、作業療法士、
言語聴覚士、介護支援専門員なども参加することとし
ている。
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特定施設入居者
生活介護
・養護老人ホームが行う特定施設入居者生活介護につ
いて、一定の要件を満たせば一般型を実施することも
可能になった。
・福祉用具貸与種目の車いすの品目に「介助用電動車
いす」が追加された。
・特定福祉用具販売種目の腰掛け便座の品目に「水洗
ポータブルトイレ」が追加された。
・福祉用具専門相談員の指定講習内容の見直しを踏ま
福祉用具サービス
え、現に従事している福祉用具専門相談員について、
福祉用具貸与または特定福祉用具販売に関する必要
な知識の修得及び能力の向上といった自己研鑽に常
に努めることとするという資質向上の責務が追加され
た。
住宅改修
・住宅改修対象工事の種類に「便器の位置・向きの変更」
が追加された。
・事業所の登録定員が 29 人以下に変更された。
・通いサービスの利用定員を、登録定員の 2 分の 1 か
小規模
ら 15 人までを基本に、 登録定員が 26 ~ 27 人の
多機能型居宅介護 場合には最大 16 人まで、登録定員が 28 人の場合
には最大 17 人まで、登録定員が 29 人の場合には、
最大 18 人までとなった。
・複合型サービスから名称変更が行われた。
・サービス名の名称変更に伴い、複合型サービス計画
看護小規模
から看護小規模多機能型居宅介護計画になるなど、
多機能型居宅介護 細かい部分も名称変更が行われた。
・事業所の登録定員や利用定員は、小規模多機能型居
宅介護と同様の変更が行われた。
認知症対応型
共同生活介護
・ユニット数を見直し、最大 3 ユニットにすることが可
能になった。
認知症対応型
通所介護
・1 ユニット 3 人以下(共用型)に変更するなどの利
用定員が見直された。
22
認知症高齢者の介護(3 巻 P.174 ~ 221)
七訂版では、認知症高齢者の介護に関する内容が大幅に変更され、認知
症原因疾患の種類と特徴、認知症の治療、認知症ケアなどについて、より詳
細かつ最新の情報が盛り込まれました。
ここでは、特に試験に出題される可能性が高い認知症原因疾患と認知症ケ
アについて説明します。
1.認知症の原因疾患(3 巻 P.175 ~ 177)
七訂版では、従来のアルツハイマー型認知症と血管性認知症に加え、レ
ビー小体型認知症と前頭側頭型認知症の詳細な説明が追加されたほか、治
療可能な認知症として、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫などがあげられてい
ます。
これまでの試験をみると、認知症原因疾患の中では、アルツハイマー型認
知症に関する出題が圧倒的に多くなっていますが、今後、その他の認知症原
因疾患についても出題される可能性が高いので、症状や特徴を簡単に整理し
ておきましょう。
レビー小体型
認知症
・大脳だけでなく、脳幹部や末梢自律神経系にまでαシ
ヌクレインが沈着する。
・認知障害のほか、パーキンソン症状などの運動障害、
便秘などの自律神経症状がみられる。
・具体的かつ鮮明な幻視をみることが多い。
前頭側頭型認知症
・前頭葉と側頭葉に限局性の萎縮がみられる。
・反社会的行動や行動異常などが認められる。
正常圧水頭症
・シャント手術により治療可能な認知症であり、認知症
の約 5%を占める。
・アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症に合
併していると認知障害は進行する。
慢性硬膜下血腫
・頭部打撲など、頭部外傷後 1 ~ 3 か月後に認められ
る認知障害の場合には、慢性硬膜下血腫を疑う。
・血腫を手術によって除去することによって、数か月以
内に認知機能レベルが回復する。
23
2.認知症ケア(3 巻 P.205 ~ 221)
認知症ケアについては、これまでそれほど頻繁に出題されていませんが、
介護福祉士など、他の福祉資格の試験で出題されていることを踏まえると、
今後、出題される可能性が高いといえます。
下表では、七訂版で新たに盛り込まれた認知症ケアのポイントをまとめま
した。
ユマニチュード
・見る、話す、触れる、立つを四つの柱として、知覚・
感情・言語による包括的コミュニケーションに基づい
たケア技法をいう。
バリデーション
・ 認 知 症 の 人とのコミュニ ケ ーション 技 法 で あり、
BPSD にも意味があると捉えるといった特徴がある。
・認知症施策推進総合戦略の呼称であり、認知症の人
の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良
い環境の中で自分らしく暮らすことができる社会の実
新オレンジプラン
現を目指す。
・若年性認知症施策の強化などの 7 つの柱から構成さ
れ、2017(平成 29)年度末までの数値目標を掲
げている。
認知症初期集中
支援チーム
・複数の専門職が、家族の訴えなどにより認知症が疑
われる人や認知症の人、その家族を訪問し、アセスメ
ントや家族支援などの初期支援を包括的かつ集中的
に行う。
・地域支援事業のひとつに位置づけられている。
・認知症の人の家族に対する支援の取り組みのひとつで
あり、「認知症の人と家族、地域住民、専門職等の誰
認知症カフェ
もが参加でき、集う場」と定義されている。
(オレンジカフェ)
・新オレンジプランに「認知症の人の介護者への支援」
のひとつとして位置づけられている。
SOS ネットワーク
・認知症の人が行方不明になったときに、地域の生活
関連団体などが捜索に協力し、迅速に行方不明者を
発見するしくみをいう。
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