[茨城大学 システム工学科 生物知能機械学研究室 2003 年度研究紹介] 傾斜面における 4 脚ロボットの安定的歩行 一般的な移動ロボットでは車輪型移動機構が用いられており,この機構は水平面の移動に適しているが,凹 凸のある環境では移動が困難となる.これに対して,脚型移動ロボットは脚先の接地点が離散的であるため, 障害物の乗り越え・跨ぎ越えや穴などの接地不可能な部位の回避,胴体高さ・姿勢の変更などが可能であり, 複雑な環境での移動が可能である.これらの利点から,脚型移動ロボットは建設現場や災害地の救助活動,地 雷撤去などへの応用が期待されている. 従来脚型移動に関しては,水平面における静的全方位歩行が提案されており,あらゆる方向への停止するこ とのない歩行が実現されている.しかしこれらの研究で対象としている環境は水平面に限定されており,脚型 ロボットの特長である対地適応能力を有効に活かすことができていなかった.そこで本研究では,傾斜面にお ける全方位歩行を実現した.傾斜面では水平面とは異なり,脚の軌道が 3 次元的であることから生じる複雑性 が問題となり,歩容計画が極めて複雑となる問題点があったが,本研究では歩行の計画を傾斜面を基準として 行うことにより,従来の理論の流用を可能とし,傾斜面での歩行を簡単化した.また,この際,ロボットの旋 回における軌道が従来法では円軌道として表現されるが,本研究では水平面における円軌道を斜面に投影した 楕円軌道を考慮することによって斜面における旋回を可能とした.これらの研究により,導体を水平に保った 状態で傾斜面上,あらゆる方向へ移動することを可能とした. また,従来の全方位歩行のもう一つの問題として,歩行中,および歩行方向の変更などの歩容遷移動作の際, 歩行の安定性が大幅に低下するという問題があり,本研究ではここでの安定性の向上のための研究を行った. 安定性を向上させる手法として,歩行・歩容遷移において 4 脚支持期間を導入し,安定性が低下する期間を 4 脚支持状態で回避する.これにより安定性を明示的に制御することが可能となり,傾斜面上の歩行においても 姿勢を崩すことのないに歩行を実現することができる.ここで提案した手法の有効性を計算機シミュレーショ ンおよび実機実験 (Fig.1,Fig.2) を通じて確認した. 現在,胴体を任意に傾けた状態での傾斜面歩行や,より短い時間で安定に歩容遷移を完了させる研究を行っ ている. Keywords: Quadruped Robot, Omni-Directional Walking, Gait Planning, Stability Margin Fig.1: Control panel Fig.2: Quadruped robot 発表論文 1. 本田, 馬, 井上: “斜面における四足歩行ロボットの全方位歩行,” 第 20 回日本ロボット学会学術講演会予稿集, 2002. 2. 馬, 冨田, 本田: “安定余裕をもつ四足ロボットの全方位歩行,” 第 20 回日本ロボット学会学術講演会予稿集, 2002.
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