該当箇所 IV-1.1. 2.2(pp.178-179)格納容器破損防止対策 意見:水素爆轟を防止するためとして、水素濃度がドライ条件に換算して 13vol%以下であ ることとされているが、この水素濃度の規制値そのものの科学的・技術的な妥当性は十 分には実証されておらず、原子力規制委員会規則の第四条一項の要件を満たしていると は言えない。 理由:原子力産業における水素爆発の危険性について、爆発現象の専門家であるシェファード教 授 (米国カリフォルニア工科大学)は加圧水型および沸騰水型の原子炉の学ぶべき教訓として 以下の諸点を列挙している[1]。 1)爆燃はスケールに相対的に独立に発生する:可燃限界は構成にのみ依存する。 2)爆燃から爆轟への移行はスケールに強く依存するこ と:爆轟限界は形状、サイズ、発火源に強 く依存する。 3)格納容器形状における爆燃から爆轟への移行の危険性を定量化するためには大規模実験が 必要であること。 4)爆轟の開始と伝播は、小規模の場合より大規模の場合には、非常に低い濃度で起こりうる。す なわち、水蒸気濃度が 10%の場合、水素濃度 10.5%で水素空気の爆轟、水素濃度 11%で DDT が発生する。 シェファード教授のこの見解、特に4)を裏付けるように、Dorofeev らによる論文[2]は水素濃度が 9.4%から 76.9%までの水素-空気混合ガスに対して,爆轟が起こることを明らかにしている。 そして、 国際原子力機関のホームページに掲載された Silde らの論文[3]は Dorofeev の論文[2] の該当内容を肯定的に引用している。 引用文献 [1] J.E. Shepherd, Thirty years of Research on Hydrogen Explosion Hazards in the Nuclear Industry, 2010. http://nisd.ans.org/wp-content/uploads/2013/08/Panel-Overheads-Shepard-Hydrogen-ANS -2010.pdf [2] S. B. Dorofeev, A. S.Kochurko, A. A.Efimenko and B.B. Chaivanov, Nuclear Engineering and Design, Vol.148 (1994), 305-316. [3] A. Silde, I. Lindholm, On Detonation Dynamics in Hydrogen-Air-Steam Mixture, 2000. http://www.iaea.org/inis/collection/NCLCollectionStore/_Public/31/031/31031776.pdf
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