解析学 II 演習 3 解答

解析学 II 演習 3 解答
解答 3.1.
(1) f ∈ L∞ (X, µ) とする.このとき µ-a.e.x に対して |f (x)| ≤ kf k∞ が成り立つので,
Z
Z
p
|f | dµ ≤
kf kp∞ dµ = kf kp∞ × µ(X) < +∞
X
X
となり,f ∈ Lp (X, µ) である.従って L∞ (X, µ) ⊆ Lp (X, µ).
(2) 十分性については,(1) より µ(X) < +∞ ならば L∞ (X, µ) ∩ Lp (X, µ) = L∞ (X, µ) となるので明ら
かである.そこで必要性を示そう.
定数関数 1 ∈ L∞ (X, µ) を考える.仮定より,ある f ∈ L∞ (X, µ) ∩ Lp (X, µ) ⊆ Lp (X, µ) が存在して,
k1 − f k∞ ≤ 1/2 を満す.このとき,µ-a.e.x に対して |1 − f (x)| ≤ 1/2 が成り立つことから |f (x)| ≥ 1/2,
(µ-a.e.x) がわかる.これと f ∈ Lp (X, µ) より
Z µ ¶p
Z
1
dµ ≤
|f |p dµ < +∞
2
X
X
が成り立つ.左辺は (1/2)p × µ(X) なので,µ(X) < +∞ である.以上で題意は示された.
解答 3.2. f ∈ Lp (X, µ) (∀p ∈ [1, ∞]) ならば f ∈ L1 (X, µ) ∩ L∞ (X, µ) となるのは明らかなので,逆を
示す.
f ∈ L1 (X, µ) ∩ L∞ (X, µ) とする.このとき µ-a.e.x に対して |f (x)| < kf k∞ が成り立つので,任意の
p ∈ [1, ∞) に対して
Z
Z
p
p−1
|f (x)| µ(dx) ≤ kf k∞
|f (x)| µ(dx) < +∞.
X
X
ゆえに f ∈ Lp (X, µ).
解答 3.3. ∩r∈[p,q] Lr (X, µ) ⊂ Lp (X, µ) ∩ Lq (X, µ) は明らかなので,逆の包含関係を示す.f ∈ Lp (X, µ) ∩
Lq (X, µ) とする.
p
(1) q = ∞ のとき: ∀r ∈ [p, ∞) に対して |f |r ≤ kf kr−p
∞ × |f | が µ-a.e. で成り立つので,演習 3.2. と同
様にして f ∈ Lr (X, µ) が示される.
(2) q < ∞ のとき: A := {x ∈ X : |f (x)| ≤ 1} とおく.このとき,任意の r ∈ [p, q] に対して,A 上では
|f (x)|r ≤ |f (x)|p が,Ac 上では |f (x)|r ≤ |f (x)|q がそれぞれ µ-a.e.x に対して成り立つので,
Z
Z
Z
|f (x)|r µ(dx) = |f (x)|r µ(dx) +
|f (x)|r µ(dx)
c
X
ZA
ZA
p
≤ |f (x)| µ(dx) +
|f (x)|q µ(dx)
c
ZA
ZA
≤
|f (x)|p µ(dx) +
|f (x)|q µ(dx)
X
X
< ∞.
ゆえに f ∈ Lr (X, µ).
1
q < ∞ のときの別解: 任意の r ∈ (p, q) に対して,p/s + q/t = r となる s, t > 1 が存在する.Hölder の不
等式を用いると,
Z
Z
r
|f (x)| µ(dx) =
|f (x)|p/s |f (x)|q/t µ(dx)
X
X
½Z
¾1/s ½Z
¾1/t
q
|f (x)| µ(dx)
|f (x)| µ(dx)
p
≤
X
X
< ∞.
解答 3.4.
kx + yk2 + kx − yk2
= (x + y, x + y) + (x − y, x − y)
= (x, x) + (x, y) + (y, x) + (y, y) + (x, x) − (x, y) − (y, x) + (y, y)
= 2kxk2 + 2kyk2 .
解答 3.5.
演習 3.4 より,
kxn − xm k2 = 2kxn k2 + 2kxm k2 − kxn + xm k2
である.条件より任意の n, m に対して kxn + xm k ≥ 2c である.また lim kxn k2 = c2 であるから任意の
² > 0 に対してある N が存在して,n ≥ N ならば kxn k2 ≤ c2 + ² が成り立つ.よって m, n ≥ N ならば
kxn − xm k2 ≤ 4(c2 + ²) − (2c)2 = 4²
となり,{xn } は V の Cauchy 列である.
2