高精細路面起伏計測による物理的ウォーカビリティの評価

D11
Research Abstracts on Spatial Information Science
CSIS DAYS 2015
高精細路面起伏計測による物理的ウォーカビリティの評価
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早川裕弌 1,杉田 渓 2,蝦名益仁 2,山田育穂 3
東京大学空間情報科学研究センター,2 東京大学大学院新領域創成科学研究科,3 中央大学理工学部
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(1) 背景: 高齢化が社会的に進行するなか,住宅域に
おける都市環境の適切な現状評価は,変化する人口
構成に対してより適した都市環境を整備するうえで重
要な基礎情報となる.とくに,建設からの経過時間が
長い団地などの住宅地では,施設の更新が遅れ,そ
の住環境は住民の高齢化に充分に対応できていな
いケースも多く,高齢者の身体活動量の低下をもたら
す一因となっていると考えられる.一方,住民の健康
に影響を及ぼす都市環境の指標の一つであるウォー
カビリティ(walkability)の一般的な条件項目(three
Ds: population Density, pedestrian-friendly Design and
land use Diversity)のうち(Yamada et al., 2012),とくに
道路デザインについて,歩行経路の段差や勾配とい
った,ミクロな身体スケールでの歩行移動のしやすさ
といった影響評価はあまり行われてきていない.この
ためには,より精細な地表形状情報を含む,歩行空
間の道路データの整備・分析が重要となる.
(2) アプローチ: 本研究では,より精細な地表面形状デ
ータを取得したうえで,バリアとなりうる特徴の抽出,
および,歩行空間の物理的な歩きやすさの空間的な
評価・可視化といった解析を行い,従来の研究と比べ
てスケールアップした(ミクロな)物理的ウォーカビリテ
ィを明らかにする.
(3) 期待される成果: 現地計測により得る詳細な地表面形状
データから,歩行空間の物理的ウォーカビリティを導出し,
対象とする住宅域内における歩きやすさ,また危険地点
などが明らかとなってくる.これに加え,歩行者の実際
の行動と重ね合わせることで,最適な歩行コースの提
案や,修正・改善すべき箇所の抽出といった歩行空
間の改善案の提示が可能となる.また,より広域的な
従来のウォーカビリティとの比較分析を通して,住宅
域における外出のしやすさや事故の防止といった安
全かつ身体活動量を活発化させるような都市環境の
構築が期待される.
(4) 方法: 既存の地図データ(空中写真,航空レーザ測
量による地表面形状,施設配置等)を活用しつつ,地
上型・移動型レーザ測量や近接 SfM 多視点写真測量
(e.g., 小花和ほか,2014)による高精細地形情報を取
得し,歩行空間における道路・地表面形状の高解像
度解析を行う.試験計測の対象地は東京大学本郷キ
ャンパス安田講堂周辺である.
(5) 結果: 試験地における SfM 多視点写真測量による
現地計測により,解像度 4 mm の地表面形状データ
を得た(図 1). また,斜面傾斜や表面粗度,断面図
等の解析から,路面の歩きやすさの定量的指標の提
示を試みた(図 2).
(6) 謝辞: 本研究は JSPS 科研費 25702014 の助成を受
けた.また東大空間情報科学研究センターの研究用
空間データ(HD地形データシリーズ)を使用した.
(7) 参考文献:
Yamada et al. (2012) Mixed Land Use and Obesity: An
Empirical Comparison of Alternative Land Use
Measures and Geographic Scales. The Professional
Geographer, 64, 157–77.
小花和ほか (2014) UAV-SfM 手法と地上レーザ測量
により得られた DSM の比較. 「写真測量とリモートセ
ンシング」, 53, 67–74.
図 1: ポールカメラによる近接撮影画像からの SfM 多視
点写真測量により得られた,東京大学本郷キャンパス安
田講堂周辺における高精細路面起伏情報の鳥瞰図
図 2: 歩行経路における DSM(解像度 4 mm)の解析に
よる路面粗度分布
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