(様式 6- 2) 氏 名|張ー讃 論文名 I StudyonEnhancemento fL iU t i l i z a t i o n and Cycle S t a b i l i t yo f Anodei nLi-02 RechargeableBattery 論文審査の結果の要旨 現在、電気自動車や再生可能エネルギーの利用のために、大型の蓄電池の開発が要望されている。 電気自動車などの大型の蓄電池として、現在、 L iイオン電池が用いられようとしているものの、容 量が小さく、価格が高く、また安全性などの課題がある。そこで、安価で、高容量な電池として金 属一空気 2次電池の開発が期待されている。とくに、空気電池の中で、 L iを用いた電池は最も高容 量な電池であり、その実用化により、電気自動車がー充電あたり、 5 0 0 k mを超えて走行が実現すると 期待されている。 現在、 L iー空気 2次電池の開発が世界中で活発化しているが、容量が期待したほど大きくなく、 また繰り返し充放電特性が悪いのが現状である。本論文は、電気自動車の電源開発として切望され ている L i−空気 2次電池の L i負極に関するものである。論文は 5章から構成されている。 第一章では、おもに革新的電池の現状をまとめ、 L i−空気電池の課題を明確にするとともに、本研 究の目的を明確にしている。 第二章では、 Lト空気電池の放電特性に及ぼす温度や充放電レートなど種々の条件の影響を検討し、 技術的な課題を明確にするとともに、空気極への f 3M n 0 2の有用性を示した。とくに、 L i負極の利用 率を 1 0 %程度とした条件では、 4 Vまでに充電電位を抑制することで、ある程度、繰り返し充放電が可 能なことを示している。 第三章ではエネルギー密度について試作したセルを用いて、検討を行い。 L iの利用率を上げるに 従い、 L i負極律速になるので、放電容量は小さくなるものの、 L i基準のエネルギー密度は向上し、 ほぼ 1 0 0 %のLi 利用率とほぼ理論値に匹敵するエネルギー密度を達成できることを示している。一方 で、課題である繰り返し特性は、 L i負極の利用率の向上により、大きく低下することを明確にして いる。これはL i負極の形状変化と表面への不動態の生成による L iの利用率の低下によることを実験 的に明確にしている。 第四章では、高い L i利用率下での、繰り返し特性の向上を目的に、 L i金属の表面への種々の Li イ オン伝導性高分子膜の被膜の塗布を検討し、 L iイオン伝導性高分子の Poly(vinylidene u o ri de-co-hexafI u o r o p r o p y le n e ) ( A l d r i c h ,M w = 4 0 0 0 0 0g/ 皿0 1 )でコートすると繰り返し特性が大 fI きく向上できることを示している。とくに、容量を制約した条件では繰り返し特性は 2 倍に向上する ことを明確にしている。 第 5章ではこれらの成果を総括するとともに今後の展望を述べている。 以上、要するに本論文は、 L i 空気電池の繰り返し特性に必要な L i負極の影響を明確にしたもの で、繰り返し特性の低下する機構とその抑制に関して、負極Li の影響が大きいことを示す多くの 成果を挙げており、電気化学の分野で寄与するところが大きい。よって、本論文は博士(工学)の 学位論文に値すると認める。 本論文に関して調査委員から、 (1)電解液の分解機構、 (2) L i金属上に生成する不活 性膜の生成機構と利用率が低下する機構、 (3)利用率が向上すると繰り返し特性が低下する 機構、などについて種々の質問がなされたが、いずれも著者から明確な回答が得られた。また、 公聴会においても多数の出席者があり、多くの質問が寄せられたが、著者の説明により質問者 の理解が得られた。 以上の結果により、著者は最終試験に合格したものと認める。
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