科学者つうしん(日本の科学者 10 月号)原稿 原水爆禁止 2015 年世界大会・科学者集会 in 山口の報告 原水爆禁止 2015 年世界大会・科学者集会 in 山 動は核兵器廃絶を求める世論の高まりを示してお 口は,「核の脅威と被害のない世界を 山口から り,「家に帰って,できることを考えて行動する」 ― ヒバクの実相,ヒバクシャ支援と核兵器廃絶 ことが肝心であると訴えました.(下の写真) ―」をメインテーマに,去る 8 月 1 日に山口市湯 田温泉のカリエンテ山口において開催されました. 参加者数は実行委員 20 名を含めて 101 名でした. 会議の冒頭,山口県被団協会長と山口県原水協 代表の挨拶,広島市長と長崎市長のメッセージの 紹介がありました.引き続いて多方面から興味深 い 7 本の報告がなされました. 第 1 報告では岡本良治氏(JSA 福岡)が「原爆と 原発事故の放射能被曝の差違と共通点」と題し, 一瞬の内に膨大なエネルギーを爆発させる原爆と 長時間にわたって膨大な放射性廃棄物を蓄積し漏 第 5 報告は纐纈厚氏(山口)が「集団的自衛権容 洩した放射能が長年にわたって影響を及ぼす原発 認の深層」と題して,「自主憲法」制定,核武装 事故とを対比させるとともに,福島第 1 の事故は により核保有国として大国に仲間入りをすること 偶然に最悪事態に至らなかったことを核物理学者 を指向している勢力が潜んでいることに警鐘を鳴 の視点から報告しました. らしました. 第 2 報告では原水禁運動が困難を抱えた 60 年代 第 6 報告は井竿富雄氏(JSA 山口)が「民間人 に分裂を回避して活動を続けた被団協の運動の中 戦争被害に対する対策の歴史」について報告し, で,募金活動により設立され 47 年目を迎えた「山 日露戦争以来,被害者救済ではなく「救恤」であ 口の被爆者支援センターゆだ苑の活動軌跡」を, り,しかも被害者からの運動により対応してきた 当苑理事長の岩本晋氏が報告しました. 歴史と,今後自衛隊が戦争に参加することで新た 第 3 報告では「東北の放射能汚染と地域再建の 課題」と題して,菅野偉男氏(福島)が被害状況, な事態をむかえるであろうことを述べました. 第 7 報告は吉岡光則氏(山口)が「岩国の基地 被害を賠償させる会の活動,「生業訴訟」の取組 拡張・配備再編の諸問題」と題して,日本の防衛 み,国の賠償打ち切りと原発再稼働の動きへの反 ではなく世界へ殴り込みをかける海兵隊の機能強 対について報告しました. 化とそれを補完する海上自衛隊部隊の配備がすす 昼休み時間にはゆだ苑見学ツアーが行われ十 数名の参加がありました.また会場では NPT 再検 んでいる実態を報告しました. 総合討論では質疑および関連した話題で十名余 討会議へ働きかけるため山口から訪米した一行の が発言するとともに,第 61 回パグウォッシュ会 活動を報告するパネルが展示されました. 議世界大会へのアピール「核兵器廃絶の実現と日 午後に入り第 4 報告は米国の J. ガーソン氏で, 「広島・長崎の原爆投下から 70 年:矛盾,危険, そして好機」と題し,NPT 再検討会議が核保有国 とりわけ米国の抵抗で最終文書の採択には至らな かったが,ニューヨークに世界中から結集した行 本国憲法擁護への支持を訴える」が JSA 京都支部 から提案され,会議参加者一同の賛同で採択し, 本集会の成功を確認して閉会となりました. (8 月 3 日,JSA 山口支部)
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