2014 スカイランニング世界選手権に参加して 「世界の壁を肌で感じ、さらに自分達の可能性を実感できた。」これが今回、日本初、チームでスカイ ランニング世界選手権に参加した、JSA チームジャパンのメンバーが共に感じた事だと思う。 世界のスカイランニング界は、レジェンド、キリアン・ジョネットを頂点に、まさにシャモニーの街の 眼前に聳え立つモンブラン峰の如く、我々の前に圧倒的な存在として立ちはだかっている。それによじ 登り頂点に近づくには、並大抵の努力と能力の集積だけでできるものではない。あたかも麓から 4,810.9 mのモンブランの頂きを制覇するが如く、厳しい戦いになる。しかし、その頂点に一歩一歩近づいてい くことは決して不可能ではない。 チームリーダーの松本大は語る。「今までは個人で参戦し、打ちのめされてきた。今回はチームで参戦 し、自分はこれまで以上の順位でフィニッシュできた。」しかし、その結果に満足してはいない。内々 では、10 位以内を目指していた。「最後の下りで、10 位と 4 分差がついた。これが世界との差です。」 達成感のなかに強烈な悔しさをにじませる。 VK(1,000m登攀競技)一本に絞った、日本のエース、宮原徹も同様だ。3 位入賞を目指したが、王者キリ アンと 1 分 39 秒差の 5 位と及ばなかった。 しかし、二人とも手ごたえは充分に感じている。これまで姿さえ見えなかった、絶対的王者のキリアン の背中が見えてきたからだ。 スカイランニング世界選手権の開かれた、フランス、シャモニーは、ヨーロッパで有名なスキーリゾー ト。そして、夏季はアウトドアスポーツのメッカとなる。フランスのみならずヨーロッパ中からアウト ドアアスリートや愛好者が集まる。人口 1 万人のリゾートタウンにスポーツショップ数店や Salomon, NORTH FACE, Patagonia, Asics. Lafuma 他、多くのアウトドア&スポーツブランドのショップが軒を連 ねる。 クライマー、サイクリスト、MTB ライダー、ハイカーなどが集うこの街だが、スカイランニングの世界 選手権ウィークは世界中のスカイランナーで賑わう。否が応でも街中でスカイランニング気分が高まる。 しかし街以上に、特筆すべき、というか極上なのが、スカイランニングそれぞれの競技の美しくもタフ なコースである。アルプスのエッセンスを凝縮した、変化に富んだサーフェイスと上り下りの厳しさ。 花崗岩の詰まった堅い路面だったり、湿ったぬかったトレイルだったり、牧草の野原だったり、氷河の 雪面だったりする、美しくも冷徹な、様々な表情を持つタフなコース。それが選手の行く手に立ちふさ がる。 言い換えれば、こういったタフな変化に富んだコースやトレイルに慣れつつ、征服していかなければ、 世界に太刀打ちできないのである。 今回、国際スカイランニング連盟(ISF)は、競技について明確な指針を示した。 それは原点を見つめ直す事だ。ディスタンスよりバーティカル。水平移動より、上下移動。 単に走るより、上り下りを重視する。より登山の要素を含んだスピードレース。これが スカイランニングの今の潮流である。 であるならば、チームジャパンがさらなる高みを目指すためには、より山を意識した 質の高いフィジイカル&テクニカルトレーニングの実践やメンタリティーの養成が求められる。また、 走る技術のみならず登山技術の体得。さらにランニング、クライミングの他に山岳スキー、クロスカン トリースキーや MTB などもクロストレーニング的に平生のトレーニングに取り入れる必要がある。 今回、世界の今を体験し、その潮流を感じた、日本のトップスカイランナー、宮原、松本、近藤、山田 の各選手や、世界選手権を経験した選手達が今後どう飛躍していくか、覚醒した彼らがどうブレイクし ていくか、楽しみでたまらない。 2 年後の世界選手権では、必ずやトップ10、トップ5に躍り出て くれる、と信じて疑わない。 がんばれ侍スカイランナー! ジャパンスカイランニングアソシエーション事務局 田中 崇 (チーム JAPAN 監督) ********************************************* 【国別ランキング(出場47カ国)】 フランス1位、スペイン2位、イタリア3位、ノルウェイ4位、アメリカ5位・・・日本16位 【国別ポイント獲得選手】 宮原 徹選手 VK5位 松本 大選手 SKY18位 近藤敬仁選手 ULTRA18位 山田琢也選手 ULTRA28位 ※男子40位以内、女子15位以内でポイント獲得。 ※何よりも日本チームの全員が完走したことが素晴らしかった!! 追記:9月6日(土)に JSA 公式報告会を静岡県御殿場市で開催します。
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