蕎麦と菜種の二毛作実証実験の結果

蕎麦と菜種の二毛作実証実験の結果
1.実証目的
中山間地での農地の有効活用の可能性を探る。
①実証圃での蕎麦の生育及び収量・品質の把握(実施期間:平成 2
4年度)
②東北の山間地での二毛作の可能性の実証実験(実施期間:平成 2
5年度から)
2.実証地
山形県西川町大字入間字前野地内(3
5
a
)
2.実証の方法
圃場A:通常の蕎麦栽培
圃場B:二毛作(蕎麦刈取後に菜種播種)
圃場C:二毛作(蕎麦刈取前に菜種播種)
圃場
A
8月
そば
そば
B
なたね
そば
C
なたね
○=播種
□=収穫
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
3.実証の結果
①蕎麦の生育及び収量・品質の把握について(平成 2
4年度実施)
・再生地の収量等について、同地区内の農地に比べやや劣るものの同水準と見てよい。実証した圃場が
耕作放棄地を再生した農地であったため土壌の養分等不足のためと推察する。
②二毛作の可能性について(平成 2
5年度実施)
◆時期的な問題点
・蕎麦は播種の前後に2回以上の耕うんが必要なため菜種の収穫時期が限られる。
・菜種の収穫の遅れは蕎麦の播種および収穫時期の遅れにつながり、蕎麦の収量減および品質低下に
つながる。
◆菜種の問題点
・山形県内の平地と同時期の播種で実験したが、中山間地では 1
0月下旬の播種では菜種は育たない。
・菜種の播種時期を 1
0月中で時期をずらし実験したが予想した収穫量には至らない。
・収穫量を確保するためには平地より1か月前の播種と施肥が必要。
・菜種は考えていた以上に繊細な作物であり、積雪前にある程度の大きさに生育させないと越冬後の
生育に支障をきたし収穫まで至らない。
◆作物の相性
・肥料をあまり与えてはならない蕎麦に対し、多くの肥料を必要とする菜種。そのため蕎麦の刈取り
前に播種した菜種に必要な施肥することができず生育が思わしくない結果となった。
③まとめ
・雪解けから降雪までの期間が短い山間地での農地の有効活用策を模索したが、菜種が収穫に至らない
など厳しい実証結果となった。半年が積雪期である山間地での二毛作は難しい。
4.今後の検討
当町の気候条件及び労働力不足により規模縮小を余儀なくされている現状から、また水田の転作作物と
して播種から収穫までの期間が短期間であり、比較的に省労力化を図れる蕎麦を二毛作のメイン作物に選
定したことは間違いではない。農地の遊休化を予防する観点からも広い面積を耕作できる蕎麦と相性の良
い作物を選定することが二毛作を行う場合に必要となる。