ポスター・機械展示 No.39 装用状態計測を活用したインディビジュアル設計の考え方 ○太田 恵介, 鈴木 雅也 東海光学株式会社 The Concept of Individual Lens Design that Utilized a Wearing State Measurement Keisuke Ota, Masaya Suzuki Tokai Optical Co., Ltd. 1.はじめに より良い眼鏡を提供 するためには、光学 設計技術などを駆使し て 基本性能を向上さ せたレンズを「一人ひ とり」に合わせて提 供することが大切であ る。近年、装用状態 を計測する装置が提案 されるようになり、 眼とレンズの位置関係 (そり角、前傾角、 頂点間距離)がデジタ ル的に計測できるよ うになった。また、フ レームトレーサー か らも玉型情報や、フレ ームとレンズの位置 関係の情報が得られ、 これも眼鏡を一人ひ とりに合わせて提供するのに重要である。 そこで、東海光学で は、眼とレンズの位 置関係とフレームとレ ンズの位置関係 より なる「5 つのインディ ビジュアルデータ 」 をレンズ設計に反映す る商品群 の提供を開 始した。本稿ではその考え方を述べる。 図1 前傾角、頂点間距離による累進面補正 2.2 フレームとレンズの位置関係の補正 眼とレンズの位置関係はレンズの 3 次元 位置情報になるが、そ のレンズがどのよう な玉型に枠入れされる か、及び、玉型のど の位置に枠入れされる かという情報も重要 2.「5 つのインディビジュアルデータ」活用方法 である。有効視野が変 化するため、それを 2.1 眼とレンズの位置関係の補正 考慮することで累進面 の収差部分(ぼけ・ 眼とレンズの位置関 係の情報として、そ 歪み)を適切に配置することが大切である。 り角、前傾角、頂点間 距離がある。 全て重 例えば、縦長の玉型 で あれば側方の収差 要な情報ではあるが、 特に そり角は視軸と を分散的に配置した累 進面に、横長の玉型 レンズの光軸ずれによ り、 体感度数を変化 であれば遠近の明視域 を広く確保し、 側方 させるため、そり角を 考慮した度数補正と に収差を集中的に配置 した累進面に設計す プリズム補正により補正する必要性が高い。 る。アイポイントにつ いては上下位置によ 一方、前傾角、頂点 間距離は眼とレンズ り視野と分散性の補正 を行い、左右位置に の距離が変化する要因 である。距離が変化 より非点収差分布の最適化している。 すれば、当然度数効果 も変わってくること になるが、あまり厳密 にこの補正を 行うと 3.おわりに 思わぬ度数トラブルに 見舞われ、取扱いの 装用状態に重要な 5 つのインディビジュ 難しいレンズになってしまう危険性 がある。 アルデータの設計への 反映方法を述べた。 以上から、そり角に ついては積極的に体 基本として、単にデー タ活用をするだけで 感度数の補正を行い、 前傾角、頂点間距離 なく、店頭での取り扱 いへの配慮に重点を については、その情報 を累進面設計に反映 置いた。インディビジ ュアルレンズでは、 させることとした(図 1)。 プレフィッティングや 高い枠入れ加工精度 が欠かせないが、活用 頂くことでユーザー の新たな満足感に繋がれば幸いである。
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