発酵によりγ一アミノ酪酸 (GABA)を 増強した健康酒の開発 (H19∼ 20)

発酵 によ りγ一ア ミノ酪酸 (GABA)を 増強 した健 康酒 の開発 (H19∼
20)
企画調整 部相談指導科 田 村吉史 、食 品バ イオ部発酵食 品科 吉 川修 司
研究の 目的 と概要
現在 は 25社 程度 とな つて お り、
道 内地 ビー ル 企業 は最大時 30数 社 まで増 えたが 、
各社 は厳 しい経 営状 態 の 中で新製 品 の 開発や季節 商 品 の提供 な どを検討 して い る。
清酒業界 も同様 の状態 にあ り、製造 量 は 10年 前 の約 60%に もな つてい る。 また 、
ー ー
清酒 は道 内消費 量 の 80%程 度 を道 外 メ カ が 占め て い る。 このた め 、道 内酒 造
メー カ ニ は吟風等道産酒 米 を使用 した高級酒 な どの新製 品開発 に努 めてお り、 当セ
ン ター の技術指導等 にお いて も、 こ うした地 ビー ル ・酒造 メー カ ー か ら付加価値 の
一
高 く、競争力 の あ る新製 品開発 へ の 強 い 要望 が 寄 せ られ てい る。 方 、近年 の健康
志 向 の 高 ま りか ら、急速 に市場 を拡大 して い る健康食 品分野 にお いて 、GABA(γ
― ア ミノ酪酸)関 連製 品は血圧 降下、 リラクゼ ー シ ヨン等 、そ の有す る機 能 か ら、
チ ョコ レー ト、乳製 品で多数 の ヒ ッ ト商 品 が 開発 され 、今後 ます ます の市場拡大 が
予想 され て い る こ とか ら、酒類 にお いて も現在 の健康志 向に合致 した健 康 イ メー ジ
を強化 した製 品 の 開発 を行 うこ とは、本道 の酒類製造業 の競争力 強化 を図 る上 で極
めて重 要 で あ る。 本研 究 で は ビー ル 類 及 び清酒 にお い て 当 セ ン ター で 分離 され た
GABA生 成乳酸菌 に よる乳酸発酵 で GABAを 増 強す る製造方法 を検討 した。
予想 され る成果 】
【
・GABA増 強酒 の 商 品化
・地 ビー ル ・地酒 の 消費拡大
試験 研究の方法
供試乳酸菌 は 、 当セ ン ター で分離 され た GABA高
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生 成乳酸菌 Zαε
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コ
ヒ ミル によ り
し
( C ) の 3 菌 株 を用 い た。発酵試 験 は麦芽量 7 5 、1 0 0 g / 3 5 0 m l と
麦芽 を粉砕 して 7 0 ℃ で 1 時 間糖化後冷却 し、各乳酸菌 に よる発酵 を行 い 、そ の後
ホ ップを添加 しオ ー トク レー ブで加 熱 し沈殿物 を除去 した後 アル コール 発 酵 を行 っ
た。試 験 区は 7 5 L ( 麦汁濃度 7 5 g / 3 5 0 m l ) 1、0 0 L ( 1 0 0 g / 3 5 0 m l 7) 5、P 、1 0 0 P 、7 5 C 、1 0 0 C
と した。 乳酸発 酵 は、3 0 ℃ で行 い 、 アル コー ル 発 酵 は ビー ル 用酵母 ( 秋田今野 ビ
ー ル 用 1 2 号 菌) に よ り 2 0 ℃ で行 っ た
。酒母 では 、滅 菌甘酒 に各 乳酸菌 を添加 し 3 0
℃ 発酵 を行 つ た。各試 料 中 の G A B A は
ア ミノ酸 自動分析機 ( 日立 L - 8 8 0 0 型) に
よ り定量 した。
実験結 果
ホ ップ未 添加 の麦 汁 中 で は、 い ずれ の乳酸菌 も良好 に生育 し、L l a c u s25株
‐ では
GABA量
が 増 加 した 。 しか し、 ホ ップ を添加 した麦 汁 で は乳酸 菌 の 生育 が 抑制 さ
れ GABA量
の増加 も僅 かで あ っ た。 そ こで 、麦 汁 を濾過 せず 乳酸菌 を添加 し乳酸
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ー
発 酵 を行 い 、次 い で 濾 過 及 び ホ ップの添加 を行 い アル コ ル 発 酵 す る方 法 で試 験 し
た とこ ろ、乳 酸
10E+10
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黒 恒期
3い
菌 の生育 は良好
で あ り、 こ れ ま
で に な く GABA
10E+09
10E+08
10E+07
10E+06
量 が 増 大 した ( 図
10E+05
1,2)。
10E+04
4
days
図 1 麦 汁乳酸発酵 中 の各乳酸菌 の 生 菌数変化
◆ 7 5 L 、■ 1 0 0 L 、▲ 7 5 P 、× 1 0 0 P 、* 7 5 C 、 ● 1 0 0 C
び
乳 酸発 酵 後 のアル コー ル 発 酵 は L l a c t i s 2 5が…最 も良好 に進 行 し、L b c a s c i 及
L b p l a n tl銀
m は 遅れ た。 これ ら 2 菌 株 に よる乳酸発酵 で麦汁 p H が 低 くな りす ぎた
こ とが原 因 で あ
る。 ア ル コ ー ル
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発 酵 後 の GABA
量 は乳 酸発 酵 後
か ら微 増 し て お
り、麦 汁 の濾 過 、
ホ ップ の添 加 及
び ア ル コー ル 発
酵 の影 響 を あま
り受 け 無 い こ と
が示 唆 され た 。
図 2 麦 汁乳酸発酵 中 の CJABA量 の変化
◆ 75L、■ 100L
清 酒 酒 母 へ の検 討 で は 、
菌 し各 乳 酸 菌 を添 力日し
培 養 した 乳 酸 菌 翫 を作
成 した 。 乳 酸 菌 翫 作 成
5 0 5
作 成 し、 固 液 分 離 後 滅
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汲 み 水 200%で 甘 酒 を
に お い て 各 乳 酸 菌 は麦
汁 中 と同様 に 良 好 に 生
育 した が 、 G A B A の
4
oays
明
らか な増 大 は認 め られ
なか つた ( 図 3 ) 。
図 3 甘 酒 乳 酸 発 酵 中 の GABA量
の変 化
4 要 約
ー
成 乳 酸 菌 を用 いて ビ ル 及 び清 酒 中 の G A B A 量
の増
大 を検 討 した 。 乳 酸 発 酵 後 ホ ッ プ を添加 した麦 汁 に よ り醸 造 す る と G t t A 量
は大
当セ ン ター 所 有 の G A B A 生
き く増 大 した 。 殺 菌 甘酒 に よ り乳 酸 菌 翫 を作 成 した が G A B A は
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増 大 しな か つ た 。