東自本大震災で被災した自治体職員の外傷後成長1)

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3
東自本大震災で被災した自治体職員の外傷後成長1)
筑波大学大学院人間総合科学研究科桑原裕子・高矯幸子
曲豆
筑波大学人閥系松井
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目 的
を対象に震災から l年 2か丹後に行った調査(労働
大学出版センター. 2
0
1
2
) によると,被災地の自治
本研究の目的は,東日本大震災で被災した自治体
職員の外傷後成長に影響を及ぼす要因を検討するこ
体職員の 5割がストレスを抱え. 1割強がメンタル
面の不調をいつも抱えていた。一方で. I
いまの生
とである。東日本大震災の被災地では,多くの人が
活に満足している j ゃ「将来に希望がある j と回答
死別や住宅の喪失を体験した。被災地の自治体職員
した職員も. 3割を超えていた。
震災などの災害は,被災者に外傷後ストレス反応、
0条. 3
5条)が
は,職務専念義務(地方公務員法第 3
あるため, 自ら被災しながらも発災直後から住民へ
の支援を優先させ続けてきた。全日本自治団体労働
組合(以下,自治労)が岩手・宮城・福島の組合員
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を生じさせる一方で,外傷後成長 (
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) を生じさせることが明らかになっている
1
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n(
19
9
5
) は,外傷後成長を「非
0
常に!~難な生活環境とたたかう結果として経験され
1)謝辞 復興活動のためにご多忙な中で,本調査にごlBl
答くださった職員の皆様に,こころから感謝いたしま
す。調査笑施にあたり,ご、協力いただいた,株式会社
保健 i
司入社様,宮城県市町村共済組合;様,及び自治体
総務担当者の皆様へお礼申し上げます。本研究は,筑
波大学東日本大震災復興支援プロジェクトの助成を受
4田大
けた。研究成果の一部は, 日本社会心理学会第 5
会で発表(桑原・高橋・松井. 2
0
1
3
) された。
る肯定的な心理的変化 J と定義した。安藤 (
2
0
0
8
)
は,外傷による肯定的変化を以下の 4つの側面にま
とめた。すなわち,①他者との関係,②自分自身に
対する見方の変化,③新しい可能性の認識③人生
の価値の再認識である。
被災地の自治体職員の外傷後成長に影響する要因
は,以下の 4つに整理される。第一は,被災地の自
1
6
筑波大学心理学研究
第 47 号
治体職員自身の被災体験である。災害は,生命や財
携わった開の家族からの支えである。自治労総合企
産を突発的に脅かす事態をもたらす。被災による死
画総務局長として被災地の自治体職員に関わった i
盟
別体験や守自身及び家族が怪我をした経験,生命危
国 (
2
0
1
1
) によれば,仕事が辛くても家族には言え
機の経験,所有物の損害や経済的な損失経験,転居
ずー逆に家族から「家が流されて大変なのに、仕事ー
lは災害 1寺
経験は精神状態に影響を与え,特に,女'l'
ばかりしている」と責められ,無力感をつのらせた
J
危弱であることが l
i
j
:
jらか
のメンタルヘルスに対して l
職員もいた。上述した被災消防職員の調査(大規模
になっている (
N
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s,Friedman,Watson,& Byrno,
寺などにおける惨事ストレス対策研究会,
災害 H
2
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s,Friedman,& Watson,2
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0
2
b
)。一方,
外傷後成長の生起には,愛する人や友人家族の死.
]
I
J
}
舌や
いじめ等の人間関係上の問題,妊娠や中絶, 7
2
0
1
3
) では,活動中の支えとして f
家族からのメー
ル や 電 話 に よ り 励 ま さ れ た J(49.8%) が最も多く
あげられた。宅 (
2
0
1
0
) は,外傷後成長に影響を及
離婚などのストレスの高い出来事から,ライフイベ
ぼす要因を概観し普段の生活を意味づける能力
ント危機的な出来事までさまざまな内容のものが
ヤ,出来事の I~~ 示のあり方,家族や友人など他者か
含まれる(宅, 2
0
1
0
)。これらの知克に基づくと,
らのサポートなどをあげた。これらの知見に基づく
被災地の自治体職員自身の被災経験や住宅の喪失経
と被災地の自治体職員への家族からの支えは
見会は.外傷後成長に影響を与えると予測される。
員の外傷後成長に影響を与えると予測される。
J
隊
第二は,被災地の自治体職員が発災直後に行った
第四は,発災後から回答!l寺までの,職場の仁司や
業務での体験である。 救 助 ・ 援 助 活 動 に 携 わ っ た
隊員への支援である。ある
同僚から被災地の自治体 i
人々の心的ストレスを職業ごとに比較した P
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n,
敗務をねぎら
自治体のトップは職員のこれまでの i
Grande,Wheeler
,Thorpe,F
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l,& B
r
a
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k
b
i
l
l,(
2
0
0
7
)
によれば,災害とは無関係の職種で、災害業務へ従事
い
, _lこ司に対して部下の健康状態に留意するように
0
1
2
)。一方で,
指示を出した(宮城県広報課, 2
した者の PTSD発 生 率 が 高 ま っ て い た 。 被 災 後 の
だまだ!被員にはやらせます。残業代もカットしま
業務の中では特に,遺体と遭遇する体験は過酷であ
す
。 Jなど公務員 1/1きのような発言をしたトップも
U
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n,
ることカf明 ら か に な っ て い る (
J, 2012) 。松井・立 ll~ìJ ・高橋 (2008) に
いた(香iJ
Vance,& Kao,1
9
9
9
)。 ま た , 発 災 後 , 被 災 地 の 自
治体職員は,今まで経験の無い災害関連業務に就
策においては,組織内サポートが重要視されてい
I
ま
よれば,消防など公安系の専門職へのストレス対応
き.不IlK
不休で働くなかで,被災住民から身近な攻
るo H
uddleston,P
a
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o
n,& Stephens,(
2
0
0
6
) が警察
撃の対象とされ,ストレスや不満をぶつけられた
官に行った調査によれば,組織内の信頼の保持や,
I
I
.佐野・佐藤・吉野・藤井・立浮・桑
(重村・谷 }
成果への評価,励ましなどの意識を高める行動・振
原-立花・野 ~F~. 2
0
1
2
)。 自 治 労 が2012年 5月(被
る舞いは,直接外傷後成長に有意な影響を及ぼして
4ヶ 月 援 ) に 行 っ た 調 査 ( ビ ジ ネ ス ・ レ ー
災後1
いた。これらの知見に基づくと,職場の上司や同僚
ノてー・トレンド編集部, 2
0
1
2
) によれば,被災地の
からの支援は,被災地の自治体職員の外傷後成長に
隊員の 3人に l人が,住民から暴言・暴力を
自治体 i
影響を与えると予測される。
:
m不尽なクレームを受けた j
[
J
能員も,
受け, J
4割強に
のぼった。
}
_
)
、j
こを整理すると,被災地の自治体職員は,職員
自身の被災体験や発災直後の業務で住民から感謝さ
J(
2
0
1
2
) の東日本大震災の被災地で、
他方で,香iJ
れた体!倹発災直後の業務に携わっていた簡の家族
}
1き1
1')(りによれば. I
司震災でその活動が評価さ
の/
からの支え,発災直後から回答1
1
寺までの l
殿場の上司
れ,感謝を表現された支援者は,大変きつい任務で
や同僚からの支援により
あっても「報われた jという気持ちを l
味わっていた。
と推定される。
外傷後成長を高めている
また, I
可震災の被災地の消 1
)
)
j
J
被員を対象にした調査
そこで,本研究は,震災前から被災地で業務を
(大規模災害時などにおける惨事ストレス対策研究
行っていた被災地の自治体職員の震災後 1年 4ヶ月
会
, 2
0
1
3
) によれば.被災後の活動の支えになった
後の外傷後成長を把握しその規定留を探る事を目
こととして. I
被災者から感謝されたり,お礼を言
的とする。具体的には,職員自身や居宅の被害程度
われたりした j 体!投をあげた消防職員が37.5%もい
や発災直後に行った業務での体験,家族からの支
た。これらの知見に基づくと,被災地の自治体職員
え,そして発災後から回答持まで、の職場の上司や同
の震災直後の業務で,評価や感謝された体験は,
僚からの支援が,外傷後成長に与える影響を探索的
自
治体職員の外傷後成長に正の影響を与えると予測さ
れる。
第三は,被災地の自治体職員が発災度後の業務に
に1
食
会j
する。
上記の目的 f
こ沿って本研究では,まず¥被災地
の自治体職員自身の被災体験や,発災直後の職員の
桑原裕子・高嬬幸子・松井
1
7
豊'東日本大震災で被災した自治体職員の外傷後成長
r
業務体験や業務を行っていた関の家族からの支えを
「一部だけ継続できた J 全 く 継 続 で き な か っ た j の
性別ごとに把握する。次に,職員の被災体験や発災
4選択肢から単一lITl答形式で回答を求めた (
T
a
b
l
e
直後の業務での体験や家族からの支えが,発災時か
2
)。
m答 1寺 ま で の 上 司 や 同 僚 か ら の 支 援 を 介 し て 外 傷
ら1
業務内容
河村・辛-西田・立木 (
2
0
1
1
) を参考
後成長にどの様に影響を与えるのかを検討するため
に,発災直後に就いた業務を以下のように設定し
に,性別ごとにパス解析を行う。
た。避難所関連業務は「①避難所や施設の運営i
f
②支援物資の運搬・配送・搬入J.
r
r
③支援物資の
仕分けJ. ④ 避 難 所 や 施 設 の 閉 鎖 jの 4業務とした。
方 法
r
住民関連業務は「①被災した住民との連絡J. ⑤ 被
r
調査手続き
災した住民への物資の配布J. ⑦ 遺 体 安 置 所 で の 業
2012年 7月から 8月までに,宮城県の沿 j
宇部(A.
B) 及び内!箆部 (
C
) の 被 災 し た 3つ の 自 治 体 の 担
務J. ③情報入力J. 1
①通行許可証の発行・受付J.
当者から職員(A.
r
r
「⑮役所内での電話対応J. ⑪ 提 災 証 明 書 の 発 行 ・
Bは全職員. cは本庁の全職員)
配布された。無記名個別回答で個
に 職 場 で 調 査 票 がi
T
a
b
l
e1
自身及び身近な人の被害の肯定率(%)
別郵送回収した。
男 性 女 性 X2
{
直
項目
調査対象者
宮城県の
3つ の 自 治 体 に 採 用 さ れ , 震 災 時 に も 当
η354
0,
8
4
9.
4
0,
8
自分自身がけがを負った
1
9
8 (
d
(
=1
)
0,
0 0.
48
4
0,
9 3,
7
1t
0,
0 0.
48
該i
主治体職員として業務を行っていた者を対象とし
75票 を 配 布 し 有 効 回 答 は 615名 ( 巨i
収率
た
。 9
6
3
.
1%),男性 3
9
1名,女性 217名,不明 7名であった。
也j
或に)苦{主する J
[
:
能員は, 3
84名 で あ り , 内 陸 に
沿岸j
家族が大きなけがを負った
家族が亡くなった・行方不明に
なった
5 0.
4
.
0 4,
11
3
1名であった。年齢構成は, 1
2
0
居住する職員は, 2
親戚が大きなけがを負った
0
4
2
.
8 2
.
5 0,
代 jが 9,
8%,1
3
0代」が30,
1%
, 1
4
0代 Jが 28.0%,1
5
0
親戚が亡くなった
なった
代 j が 30.7%, 1
6
0代 j が 0.8%であった。有効!日答
自身に身の危険を感じた
行方不明に 2
9.
1 3
4,
8 1
.9
6
福 祉 ・ 保 健 ・ 子 供 jが 2
9
.
1%
, 1
都
者の所属部署は, 1
知人や友人が大きなけがを負った
市 整 備 ・ 経 済 ・ 商 工 - 企 業 ・ 農 林 水 産 ・ 建 築 土 木j
知人や友人が亡くなった
明になった
が2
0,
0%, 1総 務 ・ 企 画 ・ 環 境 j が 1
9
.
7
%
. 1教 育 J
が1
1
.5%, I
f
サ政・出産I
!
jJが 5.
4
%
, 1そ の 他 Jが
13.6%であった。
調査項目
毘答者の属性
性別,年齢,震災当時の所罵部署
4
.
8 3
.0
0
.
0 1
行方不 4
4,
1 4
3.
4 0
.
0
2
職場の上司や同紫が大きなけがを
負った
2,
3
1
.5 0
.
0
8
職場の上司や同僚が亡くなった
行方不明になった
1
2
.
7 1
1
.6 0
.
14
その他
4
9
1
1
.9 1
6
.
7 2.
tpく.
1
0
を尋ねた。
自身及び身近な人の被害
被災地の自治体職員の
被災体験を測定するために,自身や身近な人の被害
T
a
b
l
e2
住まいの被害
仕事への影響の肯定率(%)
状況について1
1選 択 肢 (
T
a
b
l
e1
) を設け,多重回
住まいの被害
被災地の自治体!隊員の被災体験を
測定するために,自身の居住家屋の被害状況を
f
津
波 で 流 さ れ た J1
津波で流されなかったが住めなく
揺 れ が 原 因 で 壊 れ て 住 め な く な っ た J1
家
なった J1
財が散乱していたが
r
継続して住める J 特に被害
γ
l
特に被害はなかった
家財ーが散乱していたが住める
震災で住めなくなった
仕事への影響
問題なく継続できた
T
a
b
l
e2
)。
を求めた (
震災が被災地の自治体職員の仕事
に与えた影響を測定するために,仕事の継続状況を
r
「問題なく継続できた J 問 題 は あ る が 継 続 で き た J
問題はあるが継続できた
一部だけ継続できた
全く継続できなかった
3
8
7
1
4
.
7
6
9
.
3
1
6
.
0
X2
{
直
d
j
=
2
)
2
1
5 (
.
3
3
1
3
.
0 0
7
0,
7
1
6
.
3
男性
γ
t
はなかった j の 5選 択 肢 か ら , 単 一 回 答 形 式 で 回 答
仕事への影響
男性女性
住まいの被害
答形式で回答を求めた。
3
8
4
4
.
4
3
0
.
7
1
6
.
9
4
7
.
9
2
0
7
4,
3
31
.4
1
5
.
9
4
8
.
3
10
0.
1
8
第 4
7号
筑波大学心理学研究
r
受付J. ⑫ 生 活 再 建 支 援 制 度 関 連 ・ 義 指 金 支 援 金 申
T
a
b
l
e3
8業 務 と し た 。 住 宅 関 連 業 務 は 「 ⑬
瓦l
潔・家屋ーの撤去J. r
⑬ 被 害 判 定 調 査 j の 2業 務 と
発災直後に最も関わった業務の肯定率(%)
請 関 連 業 務 jの
した。これらに「その他J.
しづを加えた 1
6選 択 肢 と し , 最 も か か わ っ た 業 務 に
ついて.単一問答形式でI
T
I答 を 求 め た (
T
a
b
l
e3
)。
発災直後の業務体験と家族からの支え
と,その│笥の家族からの支え
避難所
業務内容
で選択した最もかかわった業務で体験した
5項 目
3項 自 の 計 8項 目
r
1
r
2た ま に あ っ た Jr
3よ く あ っ た J
(
T
a
b
l
e4
) の程度を尋ねた。各体験の程度は,
全くなかったJ
14か な り あ っ た j の 4件 法 に よ っ て 回 答 を 求 め た 。
職場の上司や同僚からの支援
発災産後から回答
住民
Il寺まで、の職場の上司や同僚からの支援を測定するた
め
, T
a
b
l
e5に 示 す 1
0選 択 肢 に つ い て
ι
多重@答形
式 でI
T
I答を求めた。
外傷後成長
η373
避難所や施設の運営
2
3,
6
支援物資の運搬・配送・搬入
1
5,
5
支援物資の仕分け
2.
4
避難所や施設の閉鎖
0
.
5
被災した住民との連絡
1
.6
被災した住民への物資の配布
3
.
8
遺体安置所での業務
2
.
1
情報入力
1
.9
通行許可証の発行・受付
0
.
9
役所内での電話対応
5
.
1
権災証明書の発行・受付
4
.
8
生活再建支援制度関連・義 ll~ 金
外傷後成長を測定するために,
L
i
L
奇・小浜・松井 (
2
0
1
2
) を参考に,独自の1
0選 択 肢
1
1
1
3
.
5
支援金 E
:
J
I
諮問連業務
住宅
(
l
a
b
l
e6
) を作成し,多重i
回答形式で1
)
]答を求めた。
倫理的手続き
男性女性
項目
r
特に関わった業務はな
被害判定調査
その他
特に関わった業務はなし〉
理委員会の承認を得て行われた。調査協力者には,
3
.
0
3
.
8 0
.
0
6
.
7 1
.0
2
3
.
9 1
6
.
9
0
.
3 3
.
0
瓦i
喋・家屋の撤去
本研究は,筑波大学人間系研究倫
2
0
1
4
8,
3
5
.
5
7
.
5
0
.
0
2
.
0
4
.
5
1
.0
1
.0
0
.
0
4
.
0
2
.
5
r
?
l
j
I
,記名であり,@答を途中で中止できること。そ
l
a
b
l
e4
F1
痘
男性 3
9
11
.4
71
.0
0
1
.1
5
0
.
2
9
1
61
.4
50
.
9
3(
3
9
0,
2
1
5
) (
6
0
5
)
女性 2
男性 3
8
72
.
0
10
.
5
6
1
.
0
6
-0
.
3
2
住まいの被害
性
立
笠
:2
1
42
.
0
30
.
5
日4(
3
削
命
女i
3
) 仰)
男目性: お
3
8
43
.
0
80
ω
9
8
iO1
業務に関して男性 3
9
02
.
8
60
.
9
6
家族が支えて
1
.0
4
仕事への影響
家くれた
性~Ij
(
d
(
)
007
住民から感謝
さ~'lた
n 平均 SD
+自}ハソ一門
4
自身及び身泡
な人の被害
t
1
痘
↑
t
7
J
I
J n 平均 SD
t
4一6i
tfio
自身の被害や業務での体験の平均値の性差の検定
F値
男性 3
8
72
.
0
50
.
6
61
.0
0
女性 2
0
72
.
0
90
.
6
6(
3
8
6,
2
0
6
) (
5
9
2
)
0
.
3
3
住民の辛つら男性 3
8
82
.
7
10
.
8
61
.0
3
発い体!投を聴い
た
女性 2
却0
82
.
7
3 0お (
3
飢8
7,
m
机
却
2
O
ω
0
7
)
η
) (
5
2
r
2
住民から刺匂!笠 3
8
72
.
5
40
.
9
21
.0
2
4.
4
0
*
*
*
哉されたり,怒
,''
:
:
1
鳴られたりし
0
63
.
0
80
.
9
8(
2
0
5,
3
8
3
) 側 学 た
女性 2
0
82
.
1
90
.
9
1 ( 附0
7
) 問)
女性 2
σ
〉 一 寸 ""
-3
.
7
5ネネネ体{上上℃か '-J童 体 男 性 3
8
11
.2
20
.
6
32
.
0
6料 *
女性 2
0
9 3.
17 0
.
9
5(
3
8
9,
2
0
8
) (
5
9
7
)
μ
務のため家男性 3
9
03
.
2
60
.
9
8 1
.1
2 一2凶
ら族の 1
世
1
l
止
t
げ
5
話言がで
0) きなかった
女性 2
0
73
必 0
.
9
2(
3
8
9,
2
0
6
) (
5
9
5
)
3乙
え家族から業務男性 3
8
81
.3
30
.
6
2 1
.0
7
0
.
3
4
に対ーする理解
が得られず苦
0
71
.3
10
.
6
0(
3
8
7,
2
0
6
) (
5
9
3
)
痛を!感じた
女性 2
2
.
8
9料
験を確認する場
│に,一緒にい
た
女性 2
0
31
.0
9 0.
4
4(
3
8
0,
2
0
2
)(
5
41
.9
)
一
業務!こ, ご遺
{本に触れた
男性 3
8
11
.1
40
.
5
34
.
1
2料 *
女~tt
3
.
5
0料 *
2
0
31
.0
30
.
2
6(
3
8
0,
2
0
2
)(
5
7
9.
1
)
判決戸く .
0
0
1山戸く .
0
1ヲ く .
0
5
等分散でない場合には, Welchの検定を行った。
桑原裕子-高橋幸子-松井
1
9
豊‘東日本大震災で‘被災した自治体職員の外傷後成長
の 際 に な ん ら の 不 利 益 も 生 じ な い こ と Jな ど を 調 査
「 家 財 が 散 乱 し て い た が . 継 続 し て 住 め る Jの 肯 定
票表紙に明記し回答によりストレスを感じた場合
率が,男女とも 70%前 後 と 最 も 多 か っ た 。 居 住 す る
に備え,専用の電話相談窓口を用意した。さらに,
家屋が「津波で流された jは,女性では 6.5%であり,
被災地の自治体職員向けの,ストレス相談窓口を案
男 性 で は 4.4%であった。居住家屋の被害状況への
内する別刷りのノ fンフレットを開封した。ただし,
回 答 を 整 理 し 「 ① 特 に 被 害 は な か っ た J群. 1
②家
これらの窓口に調査によるストレスを訴えた相談は
財 が 散 乱 し て い た が , 継 続 し て 住 め る J{ 汗 そ の 他
の 「 津 波 で 流 さ れ た j 作j
t波で流されなかったが,
なかった。
1
語れが原因で住めなくなったj
住 め な く な っ た J1
を ま と め た 「 ③ 震 災 で 住 め な く な っ た jの 3
l
J
:
Y
'
と
し
結 果
洋の肯定率を性別ごとに算出 (
T
a
b
l
e2
) し
た
。 3t
自身及び身近な人の被害
た結果,男女間に有意な差は見られなかった。
被災地の自治体職員自身や身近な人の被害では,
男性では
I
g
!身 に 身 の 危 険 を 感 じ た Jが. 49.4%と
最も多く,女性では「知人や友人が亡くなった・行
1
特に被害はな
1
家財が散乱していたが,継続し
震 災 で 住 め な く な っ た Jを 3
て 住 め る j を 2点. 1
次に. 3群 の そ れ ぞ れ に つ い て .
か っ た j を l点.
T
a
b
l
e
方 不 明 に な っ た 」 が43.4%で最も多かった (
点と点数化し合計得点を算出して,性差を見る検
1
)。 被 災 経 験 の 有 無 に つ い て , 性 別 に よ っ て 平 均 値
T
a
b
l
e4
) 結果,男女!習に有意な差は
定を行った (
に差があるかどうか比較する検定 (
T
a
b
l
e1
) を行っ
見られなかった。
た結果.
1自 身 に 身 の 危 険 を 感 じ た 」 で は 性 別 に よ
る差が有意傾向(存意水 i~íH O%) であったが,他の
仕事への影響
被災地の自治体職員の仕事への影響は,男女とも
項目では有意な差は見られなかった。
1種 類 の 経 験 そ れ ぞ れ に つ い て , 経
次に,これら 1
験有 を
l点,無を O点 と 点 数 化 し て 合 計 得 点 を 算 出
して,男女別に差を見る検定(以下,性差を見る検
T
a
b
l
e4
)。 そ の 結 果 , 男 女 関 に 有 意
を行った (
「全く継続できなかった j が 50%弱と最も多く.
1
問
題 な く 継 続 で き た j は男女とも 5 %未満であった。
「問題なく継続できた j 群
「問題はあるが継続でき
一 部 だ け 継 続 で き た J群. 1
全く継続でき
た J群. 1
な差は見られなかった。
T
a
b
l
e6
外傷後成長の肯定率の性差の検定(%)
住まいの被害
男性
女性
x1
直
2
被災地の自治体職員の居住する家屋への被害は
項目
T
a
b
l
e5
自分に自信がもてるように
なった
6
.
3> 1
.9
5
.
8
9
*
自分がひとまわりり大きく
なったような気がした
1
0
.
7> 4
.
2
48
*
*
7.
精神的に強くなった
2
0
.
6
1
6.
4
6
1
.5
2
3
.
2
2
0
.
2
0
.
7
4
t司や同僚からの支援の肯定率の性差の検定(%)
男 性 女 性 X2値
項目
η388
2
0
7 (df=l)
d
f
=1
)
N=383 N=213 (
ねぎらいの言葉をかけられた
5
3.
4
5
3.
1 0
.
0
0
気分をなこませたり,
がせてくれた
2
2
.
9
21
.7 0
.
1
1
園芸h
!な 出 来 事 に も 立 ち 向
かっていけると思うよう
になった
2
7
.
6
2
3
.
71
.0
6
人の気持ちが理解できるよ
うになった
1
3.
1
1
3.
1
0
.
0
0
4
.
81
6
.
0
4料*
1
9
.
8く 3
人のやさしさや温かさを感
じるようになった
2
4
.
5
2
9
.
6
1
.7
9
,
c
.
、語己してもらえた
3
3
.
2く 4
6
.
91
0
.
6
2料
不満や悩みやつらい気持ちを
受けとめてくれた
4
8
.
6く 5
5
.
9
2
.
9
2t
1
2.4く 2
2
.
71
0
.
7
4同
人との料の大切さを感じる
ようになった
飲み会を開いてくれた
1
7
.
0> 6
.
81
2
.
1
8* 同
仕事をするうえでの創意・
工夫をするようになった
1
3
.
6
9
.
4
2
.
2
6
食事をふるまってくれた
東北人であることを誇りに
思うようになった
2
0
.
1
1
6
.
9
0
.
9
1
自治体職員であることに誇
りを感じるようになった
0
.
7
0
*
*
2
9
.
5 >1
7.
4 1
くつろ
感謝の言葉をかけられた
1213 ったことがあったとき,キ!~
談にのってくれた
1
1
.1
11
.1 0
.
0
0
都合がわるいとき,仕事をか
2
0.
4
わってもらった
1
6
.
91
.0
4
1
9
.
6
1
8
.
80
.
0
5
差し入れをいただいた
*料戸く .
0
0
1*ヲく .
0
1
料
戸く .
0
1ヲく .
0
5 "j'戸く.10
Z
2
0
筑波大学心理学研究
第 4
7号
な か っ た j 群の 4f
洋の肯定率を性別に (
T
a
b
l
e2
)
み会を r~奇いてもらった」経験が多く,女性では,
算出した結果,男女間に有意な差は見られなかっ
「因ったことがあったとき,相談に乗ってもらっ
た。次に,それぞれの継続状況について, ,問題な
たよ「心配してもらったJ. ,不満や悩みや辛い気持
く継続できた j を 1点
, ,問題はあるが継続できた j
ちを受け止めてもらった jキ主!投カヲ多かった。これら
を 2点
, ,一部だけ継続できた j を 3点
, ,全く継続
できなかった」を 4点と点数化して合計得点を算出
1
0選択肢の一次元性を確認するため,経験の有りを
l点?!l.f,しを O点
, と点数化し,主成分分析による
して,性差を見る検定を行った結果,男女間に有意
解析を行った。第一主成分の負荊量の絶対値はしづゴ
T
a
b
l
e4を参照)。
な差は見られなかった (
.4以上となり,寄与率は 2
4.9% (固有値 :
2
.
4
9
)
れも 0
発災直後の業務
回答発災直後に最もかかわった業務(単一 i
1
a
b
l
e3
) は.女性は「避難所や施設の運営」が多く、
であった。 1
0選択)j支の α係数は 0
.
6
5であり .10選択
肢は一次元構造で、あることが確認された。この 1
0選
択肢への回答を加算し
f
上司や同僚からの支援j
尺!支得点とした。
男性は「その他(土葬・仮埋葬,家資の遺体処理,
被 災 者 の 救 助 , 水 道 ・ 道 路 等 の イ ン フ ラ 復 旧 等 )J
と「避 9
!
l
t所や施設の運営」が多かった。
外傷後成長
震災後から I
I
T
l
答1
1
寺(1年 4か月後)までの外傷後
0選 択 肢 ( 多 重 回 答 ) の 脅 定 率 を ,
成 長 を 表 す1
業務での体験
発 災 直 後 に 最 も か か わ っ た 業 務 で の 体 験 5項目
1
a
b
l
e6に 示 す 。 男 女 と も 「 人 と の 終 の 大 切 さ を 感
(
1
a
b
l
e4
) について, ,かなりあった Jを 4点
, ,
よ
くあった」を 3点
, ,たまにあった Jを 2点
, ,全く
なかった j を 1点 と 点 数 化 し 各 項 自 の 得 点 の 平 均
女性 5
5
.
9
%
)。 他 に は 「 自 治 体 i
隊員であることに誇
値を性別に比較した。その結果, ,住民から非難さ
遺体を{確認する場に,一緒にいた j体験は,有意水
2
9
.
6
%
) ,困難な出来事にも立ち向かっていけると
思うようになった J
(
1
司2
3.2%,2
0
.
2
%
)なとごが高かっ
た
。 T
a
b
l
e6には記l
j
ましていないが. ,その他 jは 3%
あり. ,チE
J ということを強く 7
玄識するようになっ
準 1%で.男性の平均値が女性より高かった。
た分,毎日を大切に生きるようになった」ゃ「身近
れたり,怒鳴られたりした j体験や
f
業務上,ご遺
体に触れた」体験は有意水準 0
.
1%で, ,住民が,ご
じるようになった」が最も多かった(男性 4
8
.
6
%
.
r
向2
9.
5%.1
7.
4%) 人
りを感じるようになった J(
のやさしさを!惑じるようになった
J(間 24.5%.
r
な人がそこにいてくれることがありがたいと思うよ
家族からの支え
発災直後の業務 l
:
j
:
1の家族からの支え 3項目 (
T
a
b
l
e
うになった j なと¥死を意識し大切な人が側にいる
幸せに関する内容が多かった。成長内容として「特
4
) それぞれについて. ,かなりあった j を 4点. ,
よ
r
たまにあった Jを 2点守「全く
に思いあたることはない j と回答したのは,全体の
,
くあった j を 3点
19%に留まった。言い換えれば,回答者の 8割は,
なかった」を 1点と点数化して,性別に各項目の得
東日本大震災によって何らかの成長をしたと自覚し
点の平均値を比較した結果, ,業務に関して家放が
ていた。
.
1%で, ,業務のため
支えてくれた Jは。有意水準 0
T
a
b
l
e6に 示 す 選 択 肢 の 肯 定 率 を 性 別 ご と に 算 出
に家族のほ話ができなかった」は有意水準 5%で
,
し比率の差の検定を行った。その結果,男性では
火性の平均値が男性よりも高かった。
「自分が I
I
T
Iり大きくなったような気がした」と「自
治体職員であることに誇りを感じるようになった j
職場の上司や同僚からの支援
職場の上司や同僚からの支援は, ,ねぎらいの言
が 有 意 水 準 1%で. ,自分に I~j 信が持てるように
業三をかけられた」が男女ともに最も多く 53%を超え
かった。女性では「人との科の大切さを感じるよう
ていた (
'
l
a
b
l
e5
)。職場の上司や同僚からの支援 1
0
になった」に,男性よりも有意な傾向(有意水準
なった j が 有 意 水 準 5%で
,
ともに女性よりも高
選択肢 (
'
l
a
b
l
e5
) それぞれの支援の有鮮について,
10%) が見られた。これら 1
0選択肢の一次元性を{確
性別の比率の差を見る検定を行った結果, ,1主i
った
認するため,経験の有りを l点,無しを O点
,
ことがあったとき,相談にのってくれた j や「飲み
数化し,主成分分析による解析を行った。第一主成
会を s
F
Jし3てくれた j は,有志:水準 0
.
1%で, ,心配し
分の負荷量の絶対龍はいずれも O
.
4.
t
U
二であり,寄-
てもらえた Jゃ「不満や悩みやつらい気持ちを受け
与率は 2
1
.1
% (国有値:2
.
5
4
) であった。 1
0選択肢
と点
とめてくれた」は,有意フ1
(準 1%で男女 I
I
Jに差が見
の α係数は 0
.
6
3であり,一次元構造であることが確
られた。すなわち,男性で、は,上司や同僚から「飲
認された。この 1
0選 択 肢 へ の 回 答 を 加 算 し 「 震 災
桑原裕子
高檎幸子
松井
且且
.
!
i
'
己
東日本大震災で被災した自治体職員の外傷後成長
2
1
「年齢 Jから「上司や i
苛 僚からの支援 Jへは, 有意
後の外傷後成長 j 尺度得点とした。
な負のパス係数が見られた。
女!主では,発災直後から調査時までの「上司や同
外傷後成長の規定因のパス解析
本研究で検証された 4要因が,被災地の自治体職
僚からの支援 Jから「震災の外傷後成長」尺度得点
員の外傷後成長をととのように規定するのかを検討す
への有意な正のパス係数が見られた。また,発災直
るため,性別ごとに重回帰分析の繰り返しによるパ
後の「自身や身近な人の被害」ゃ「住まいの被害J.
ス解析を行った。パス解析に
発災直後の業務で「住民から感謝された J体験から
mいた変数は 3水準に
は,発災直後から調査時までの「上司や同僚からの
整理された。
第 l水準は,
I自身や身近な人の被害J. I
住まい
の被害J.発災直後に関わった「業務での体験 j5
I
震 災 の 外 傷 後 成 長 J尺度得点に
年 齢 Jか
有意な正の間接パスが見られた。また, I
支 援 j を介して,
項自('l
a
b
l
e4を参照),発災直後の業務を行ってい
ら発災直後から調査時までの「上司や i
可 探からの支
た期間中の「家族からの支え j3項目('l
a
b
l
e4を参
援 j へは,有意な負のパス係数が見られた (
F
i
g
u
r
e
照)に,デモグラフィックの「年齢 Jと f
居住地 j
或
2
)。
(沿岸・内陸)j を加えた。第 2水準は発災後から調
f
寺までの J
f
i
技場の
査l
f
上司や同僚からの支援 Jの尺度
I
震災の外傷後成長j
考
察
得 点 を 用 い た 。 第 3水準は,
の尺度得点を用いた。
解析は,変数増加法の重回
帰分析によって行った。いずれも偏回帰係数の有意
本研究は,
2
0
1
1年 3月 1
1
1
ヨに発災した東日本大震
災の被災地の自治体 i
隊員の外傷後成長の実態を把握
し外傷後成長に影響する要因を探索的に検討し
水準 5 %基準で投入を打ち切った。
W
t析の結果を Figure1と Figure2のパスダイアグ
ラムに示す。矢印は有意なパスを示し数値は標準
た
。
その結果,
8割以上の職員が向震災によって成長
を体験していた。成長の内容は,安藤
備回帰係数を示す。
解析の結果 (
F
i
g
u
r
e1
),男性では,
I
家族が支え
(
2
0
0
8
) の他
者との関係にあたる「人との糾の大切さを感じるよ
I
人のやさ
てくれた j ゃ 「 上 司 や 同 僚 か ら の 支 援 j,発災直後
うになった Jが最も多かった。次いで,
の業務で「住畏から感謝された J体験から「震災の
しさや温かさを感じるようになった Jや「自治体職
外傷後成長 J尺度得点への有意な正のパス係数が見
員であることに誇りを感じるようになったJ. I
困難
られた。また,発災直後の業務を行っていた期間中
な出来事にも立ち向かっていけると思うようになっ
に「家族の世話ができなかった j休験からは,有意
たJ. I
精神的につよくなったJ. I
東北人であること
な負のパス係数がみられた。発災産後の「住まいの
を誇りに思うようになった j が多かった。さらに,
住民から感謝された j
被 害 Jや,発災直後の業務で f
「自分が一回り大きくなったような気がした Jや「自
体験や発災産後の業務を行っていた期間中に「家族
分に自信がもてるようになった j などの,安藤
の世話がで、きなかった j体験からは,発災直後から
(
2
0
0
8
) の自分自身に対ーする見方の変化にあたる変
調 査 時 ま で の 「 上 司 や 同 僚 か ら の 支 援 j を介して,
化も多く起っていた。これらの自分自身に対する見
「震災の外傷後成長 j に間接パスが見られた。また,
方の変化は,女性より男性で多く起こっていた。
外傷後成長に対しては,以下の 4種の要因の影響
が確認された。
住まいの被害
住民から感謝された
家族の世話ができな
かった
家族が支えてくれた
綾災の外傷後成長
震災の外傷後成長
年齢
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太線 pく.
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1 中太線 pく.
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線 pく.
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. 外傷後成長の規定問に関するパス解析
男性
到に関するパス解析
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. 外傷後成長の規定 i
女性
2
2
筑波大学心理学研究
第 47 号
I
J
[
:
能員自身の被災体験」である。外
I自身及び身近
な人の被災 j が大きいほど, I
住まいの被害 j が大
きいほど, 1
司僚や上司からの支援 Jを経て,外傷
援が!君難な環境とたたかう力となか外傷後成長に
後成長を高めていた。被災による被害が大きいほ
的な認知である意図的思考にその性質を変えるプロ
ど
, }百四のソーシャルサポートを受け,そのサポー
セスが影響を及ぼしており
トが人に対する見方を成長させたものと推定され
とで,起きた出来事を肯定的に意味づけ,そこから
る
。
何か得るものがあると考えられる。被災自治体職員
第一の要因は
傷後成長との関連では,予測通り,
影響を与えていると推定される。
外傷後成長の要因を整理した宅 (
2
0
1
0
)によれば¥
外傷後成長にはネガテイブな認知から前向きで建設
このプロセスを経るこ
I
発災直後の業務で住民から感謝
も以上の 4種類の経験を経て,東日本大震災という
された体!技」である。予想通か住民から感謝され
遭遇してしまった悲惨な出来事を肯定的に意味づ
た体験が多いほど,外傷後成長を高めていた。この
け,外傷後成長を高めていたと考えられる。
第二の安田は,
結果は,被災消 i
坊戦員(大規模災害時などにおける
外傷後成長は,精神的健康に結びっく側面を有し
惨事ストレス対策研究会, 2
0
1
3
) と同様であり,住
ている。そこで¥本研究の結果に基づいて,被災地
民から感謝された体験は,消防のような公安系職員
の自治体職員の精神的健康のケア対策について,提
だけでなく則被災地の自治体職員のトラウマを乗り
言したい。東 E
I本大震災のような広域災害では,被
越える力となり.外傷後成長に影響を与えたと推定
災地の自治体職員も一般住民と i
可様の被災者となる
される。
だけでなく,住民の福利や地域の復興を支えるとい
第三の要因は,発災直後の業務に携わっていた間
う職務を担う。組織内で支援し合う体制の構築,家
の家族からの支えである。男性においては,家族が
族からの支援を受けやすい体制作り(多忙期に家族
支えてくれた体験は外傷後成長を高め,逆に,家族
から理解を得ておくことの重要さの周知)が必要で
の世話ができなかった体験は
あろう。そして,われわれ一般,市民は,職員の献身
外傷後成長を低めて
いた。この結果は守被災地の消防職員が家族からの
的な活動にきちんと感謝をし,励ましていきたい。
励ましを支えと感じていたという調査結果(大規模
引用文献
災害時などにおける惨事ストレス対策研究会.
2
0
1
3
) と整合している。
ただし,この効果は男性職員にのみ見られたとい
う結果と,消防職員は 9割以上が男性で、あるという
安藤清志 (
2
0
0
8
) 外傷後の
f
成長 Jと 社 会 現 代 人
のこころのゆくえ 2ーヒューマン・インタラク
事実には,留意する必要がある。すなわち,男性の
]世 紀 ヒ ュ ー マ ン
シ ョ ン の 諸 相 一 東 洋 大 学2
場合には,家族のソーシャルサポートが精神的健康
インタラクション・リサーチ・センタ-
や外傷後成長を支える原動力となるが,女性職員の
場合には,家族のソーシャルサポートが有効で、ない
1
0
9
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1
2
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Huddleston,L
.M.,Paton,D.,&Stephens,C
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)
.
可能性が考えられる。この結果は,都内の一般家庭
Conceptualizing traumatic s
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の夫婦の生活感情に配偶者のサポートが及ぼす影響
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1浦(19
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9
) とも整合して
を検討した伊藤・池田.)
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いる。伊藤らによれば,要:からの情緒的サポートは,
1
7
7
夫の生活感情に正の影響を与えていたが,夫からの
伊 藤 裕 子 ・ 池 田 政 子 .)
1
1浦康至(19
9
9
).既婚者の
情緒的サポートは妻の生活感情に影響を与えていな
疎外!惑に及ぼす夫婦関係と社会的活動の影響
かった。男性は,妻や家族からのソーシャルサポー
トが自身の支えとなるのに比べ,女性は.夫や家族
心理学研究, 70, 1
7
2
3
河村 i
咲弥・辛
{
;
J
日ミ-西田一美・立木茂雄
(
2
0
1
1
)
からのサポートがうまく機能していない可能性があ
東日本大震災における被災自治体への応援被災
る。家族からの支え(ソーシャルサポート)のあり
地職員惨事ストレスとメンタルケアに関する研
方が,外傷後成長との関連に性差を生じさせたもの
と推定される。
究地域安全学会梗概集, 29,7
5
7
8
香山リカ (
2
0
1
2
).誰からも評価されない一香山リ
第四の要国は,発災 i
亙後から│回答時までの「職場
ERA, 9月
カが見た被災地公務員の苦悩-A
の上司や同僚からの支設 Jである。消防職員(松井
1
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1
6
3
松 井 豊・立 I
W
J洋介・高橋幸子 (
2
0
0
8
).消防職員
0
0
8
) や警察官 (Huddlestone
ta
.
12
0
0
3
)と問
ほか, 2
機に,被災地の自治体職員でも精神的健康の維持に
の惨事ストレス研修の試み
は上司や同僚からの支援が重要であり,組織内の支
究
,
36, 1
9
2
3
筑波大学心理学研
桑原裕子-高橋幸子-松井
豊
2
3
東日本大震災で被災した自治体職員の外傷後成長
宮城県広報課 (
2
0
1
2
) 宮城県知事記者会見(平成
重村
敦 ・ 谷J
I
I 武・佐野信也・佐藤
豊 ・ 吉 野t
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3
2
4:
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]
:
:8月2
7日)
西国一美 (
2
0
1
1
) どうする?復興を支える自治体
職員の心のケア連合, 1
2, 8-9
英-藤井千代-立 j
宰賢孝・桑原達郎・立花正一
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) 自治労被災自治体
職 員 の 「 こ こ ろ の 健 康 j調 査 ( 中 間 報 告 抜 粋 )
0-45
丹刊労働組合, 10, 4
労働政策{耳究・研修機構 (
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1
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). ト ピ ッ ク ス 5
の メ ン タ ル ヘ ル ス ー 精 神 経 誌 , 114, 1
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ころの健康調査」
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ンド, 10, 3
自治労の「こ
ビジネス・レーパー・トレ
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宅香菜子 (
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) 外傷後成長に関する研究ースト
レス体験をきっかけとした青年の変容一風間
一
房
自治体職員の現状
やすいのか?一東日本大震災後に考える支援者
書
被災地調査
野沢総一郎 (
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). 災 害 支 援 者 は な ぜ 傷 つ き
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s,9,455-471
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総務省 消防J
T (2013). 大 規 模 災 害 時 等 に 係 る 惨
事ストレス対策研究会(編)大規模災害時等に
係る惨事ストレス対策研究会
8
5
7
報告書, 3
Ursano,R
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.American
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山 崎 達 枝 ・ 小 浜 !抜・松井 豊 (
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1年 東
日本大震災看護]識のストレス反応
日本災害看
護 学 会 誌 第1
4回年次大会講演集, 1
7
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(受稿 1
0月2
51
:
1 :受理 1
1丹2
5日)