15MGUNG17

2015 年 10 月 16、20 日
5.3. 一位価格入札を
ベイジアン・ナッシュ均衡(BNE)で分析する
不完備情報下で一位価格入札を分析
ベイジアン・ナッシュ均衡
(相手のタイプを確率的に予想)
cf. Nash equilibrium(相手のタイプを知っている)
Dominant strategy(相手のタイプに無関係)
主な仮定:
さらに単純化のため
Private Values
Independent Types
Common Prior Belief
Risk Neutrality
n2
モデルの対称性(symmetry):
P1  P 2
1
べイジアン・ナッシュ均衡を導こう!
戦略プロファイル s  ( s1 , s2 ) について
単調増加:
対称性(Symmetry):
si (i ) が増加関数
s1 (1 )  s2 (2 ) if 1  2
対称性と単調増加をみたすベイジアン・ナッシュ均衡を
導出しよう!
2
i
F
(mi ) とする
指値 mi の場合の落札確率を
タイプ i の期待利得は
( i  mi ) F i ( mi )
mi  si (i ) において「一階条件」が成立していないといけない

( i  mi )F i ( mi )
0
mi
m  s ( )
i
∴
i
i
{ i  si ( i )}F i ( si ( i ))  F i ( si ( i ))
3
戦略プロファイルの対称性と単調増加より
F i ( si ( i ))  P j ( i )
が成立している。
つまり
 i のふりをして指値すると
相手のタイプが  i 未満の時に落札することができる
∴
F j ( si ( i )) si ( i )  p j ( i )
4
これを一階条件に代入すると
{ i  si ( i )} p j ( i )  si ( i ) P j ( i )
∴
si ( i ) P j ( i )  si ( i ) p j ( i )   i p j ( i )
d
si ( i ) P j ( i )   i p j ( i )
∴
d i
積分して
∴
i
si ( i ) P j ( i ) 

bp j (b )db  si (0) P j (0)
b 0
P j (0)  0 より
i
si ( i ) 

b 0
bp j ( b )db
P j ( i )
5
Belief System の対称性より P  P だから
1
2
i
∴
si ( i ) 

b 0
bp1 (b )db
P 1 ( i )
(一階条件からみちびかれたこの戦略プロファイルが
本当にBNEかどうか
最終チェックする必要がある:
本当に BNE の定義の不等式群をみたしているか丁寧にチェックせよ)
6
宿題6(来週木曜 5 時までに提出)
問:上に導いた戦略プロファイルがBNEであることを証明せよ。
7
一位価格入札のBNEでの入札者
i

bp1 (b)db
{ i  si ( i )}P ( i )  { i  b0
1
i
  i P 1 ( i ) 

i
bp1 (b)db 
b 0

i (タイプ i )の期待利得は
P 1 ( i )
}P 1 ( i )
P 1 (b)db (部分積分おもいだせ)
b 0
*二位価格入札の場合は(Symmetry):
 i P j ( i ) 
i

b 0
bp j (b )db 
i

P 1 (b)db
b 0
だった。同じ!
8
一位価格入札のBNEでの入札者
i (タイプ i )の期待支払額は
i
si ( i ) P1 ( i ) 
i
*二位価格入札の場合は(Symmetry):


bp1 (b)db
b 0
bp1 (b)db
b 0
同じ!
一位価格入札のBNEでの期待収入は
当然二位価格入札と同じ
9
5.4. 一位価格入札と二位価格入札の比較
二位価格入札では正直戦略(DS)
一位価格入札では Price Discount(BNE)
二位価格入札では対称、非対称にかかわらず効率的配分達成
一位価格入札では対称の時のみ効率的配分達成
対称の時は
同じ期待利得、期待支払額、期待収入
10
*Belief System が非対称の時
P1  P 2
一階条件より
b  s1 (b) P 2 (b) b  s2 (b) P 1 (b)
 2 、
 1
s1(b)
p (b )
s2 (b)
p (b)
戦略プロファイルの単調増加と対称性より
s1 (b)  s2 (b) 、 s1 (b)  s2 (b)
P 2 (b) P1 (b)
 1 でないと
よって 2
p (b) p (b)
つまり Belief System が対称でないとダメ!
11
入札者1は入札者2よりも弱い立場(in terms of Reversed Hazard Rate)とする:
P 2 (b) P1 (b)
 1
2
p (b) p (b)
よって
b  s1 (b) b  s2 (b)

s1(b)
s2 (b)
つまり入札者1のほうが Price discount しない(より高めに指値)
s1 (b)  s2 (b) for all b [0, )
よって、
「弱い」入札者(相手から見て低いタイプと予想されている入札者)は
「強い」入札者よりも高めに指値
⇒ 非効率配分
12
補足1:リスク回避的な入札者のケースは?(大きな商いの場合は特に重要)
リスク回避的入札者は「低利得+高落札確率」を「高利得+低落札確率(リスキー)」より好む
一位価格入札の場合:
リスク中立的な場合より指値を高くする(低利得+高落札確率)
⇒ 売り手収入アップ
二位価格入札の場合:
リスク態度に関係なく「正直」が優位戦略
⇒ 売り手収入かわらず
∴ 入札者がリスク回避的である場合、対称性の仮定下でも、合理的売り手は「一位価格入
札」の方を「二位価格入札」より好むはず
(入札者はどっちが好き?)
13
補足2:リスク回避的な売り手のケースは?
(入札者はリスク中立的、対称性を仮定する)
売り手の期待収入は「一位価格入札」と「二位価格入札」で一致している
しかし、二位価格入札の方がより不確実な支払金額
タイプi 入札者 i が勝者の場合:
∴
「一位価格」での支払額は一意に確定:
E[max  j | max  j   i ]
「二位価格」での支払額は不確実:
max  j
ji
ji
ji
リスク回避的な売り手は「一位価格入札」の方を「二位価格入札」より好む
14
5.3. Bayesian Incentive Compatibility (BIC) and
Revelation Principle(表明原理)
Bayesian Incentive Compatibility
(Incentive Compatibility in Bayesian Nash Equilibrium, BIC)
Direct Mechanism ( g , x ) is said to be
Bayesian incentive compatible
if the honest strategy profile s  ( si )iN is a Bayesian Nash Equilibrium
in the associated Bayesian game;
*
for every
*
i  N , every i   i , and every i   i ,
E[U i ( g( ), xi ( ),  ) |  i ]  E[U i ( g( i,   i ), xi ( i,   i ),  ) |  i ]
正直戦略プロファイルがBNEになっている直接メカニズム!
15
Revelation Principle in Bayesian Nash Equilibrium
ˆ , xˆ ) and every Bayesian Nash equilibrium
For every indirect Mechanism ( M , g
in the associated Bayesian game,
ŝ
( g , x ) defined by
x ( )  xˆ ( sˆ ( )) for all   
the direct mechanism
g ( )  gˆ ( sˆ ( ))
and
satisfies Bayesian incentive compatibility.
任意の間接メカニズムとBNEに対して
それと同じ配分と支払いを常にもたらす
BIC direct mechanism が存在する
∴
BIC direct mechanism だけを考えればいい!
16
次回
同値定理(Equivalence Theorems)
一位価格入札と二位価格入札は、モデルが対称性をみたす場合
ともに効率的配分を達成するのみならず
同じ期待収入、期待支払額、期待利得
をもたらした
モデルが非対称である場合は
一位価格入札は効率的配分を達成できない一方、
二位価格入札はあいかわらず効率的配分を達成できる
そして、一位価格入札と二位価格入札とでは
期待収入、期待支払額、期待利得
いずれもことなる
このような性質を一般的なメカニズムデザインに拡張する
どのようなことがいえるか?
17