第2部 建設業の本業を磨いて地方創生~新技術、担い手の確保・育成 電気、燃料を使わない排水装置「ハイブリッド・山辰サイフォン排水装置」の開発 株式会社 山 辰 組 代表取締役 馬渕 和三 〒 501-0511 岐阜県揖斐郡大野町稲畑 203-1 電話 0585-32-0171 詳細は「山辰組」で検索! 株式会社山辰組は岐阜県揖斐郡で昭和 2 年創業の地域に根差した総合建設会社です。平成 3 年から「ひ と味ちがう企業づくり」をめざし、国土交通省中部地方整備局との共同開発特許魚道である「棚田式魚 道」など各種魚道や、河川環境製品及び工法の開発を通じて「建設業ならではの環境保全活動」を展開 してまいりました。 そして、今回開発したのは稼働時には電気(燃料)を使用せず、一般土木工事の水替え工等や、土砂 災害時の天然ダムの排水作業にも使用できる、特許「ハイブリッド・山辰サイフォン排水装置」です。 「ハイブリッド・山辰サイフォン排水装置」の特長 本サイフォン排水装置」の大きな特長は、稼働中には電気が不 要であること、独自開発した送水方向切り替え装置「ワイ・ガッ チャン(図 -1)」を用いてサイフォンの起動を容易にしたことで す。起動方法は、水中ポンプでサイフォン管内への「呼び水」注 水(図―2)を 1 分ほど行った後に中ポンプを止め、「ワイ・ガッ チャン」の弁をサイフォン方向に切り替える(図 -3)と、サイフォ ン送水が始まる仕組みです。本装置で排水作業を行うことで、従 来の水中ポンプでの 24 時間排水作業と比較すると、電気(燃料) の消費量は 7/10,000 程度に大幅に縮減することが可能となりま した。 「ハイブリッド・山辰サイフォン 排水装置」の活用方法 前述のように、通常の一般土木工事の水替え 工はもちろん、土砂災害による天然ダムの場合、 揚程が 7 mまでは水中ポンプ作業。揚程が 7 m 以下となったら山辰サイフォンに切替えると水 中ポンプの 2 ~ 3 倍の排水量に増倍し、燃料補 給の維持作業が不要となります。 マイクロ水力発電装置の開発 さらに、サイフォンによる送水機能を利用し たマイクロ水力発電装置について、クロスフ ロー水車形式の開発及び制御盤の調達によって 1KW 程度の安定した発電装置を開発し、各種 発電装置開発の基本型としました。 サイフォン「排砂」装置の開発 また、河床の粗粒化現象や海岸の砂浜消失な どの問題が顕在化しているなかで、サイフォン を用いた排砂装置が一助になると考え開発に取 り組んでおります。 電気も燃料も消費しないで、Φ 200 ㎜のサイ フォン管排砂装置で、200㎥~ 300㎥ / 日の土 砂移動が可能となります。「ハイブリッド・山 辰サイフォン」を皆様にご利用していただき、 建設業ならではの環境保全活動の一助としてい ただければ幸いです。 ― 37 ― 図-1:送水方向切替え装置 「ワイ・ガッチャン」
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