国産牛肉等市場開拓協議会の動き 当協議会は国産牛肉市場開拓緊急対策事業の中 しくて値段が高い牛肉、主に国産牛肉を選ん で、乳用種牛肉の特徴を踏まえた全国的な販売戦 でいる。 略の策定及び乳用種牛の飼養管理マニュアルの作 これらはステーキや焼肉などのそのまま味わ 成等を行うために設置されました。販売戦略策定 いたいメニューに利用する傾向がある。 は本協議会(全国肉用牛振興基金協会が事務局) で、飼養管理マニュアル作成は生産技術検討部会 (中央畜産会が事務局)で担当しています。 ・「おいしい」 = 「やわらかい」と連想されている。 (購入時に気を付けていること) ・購入する際は、「色」をチェックする人が多 今回は、乳用種牛肉販売戦略策定のために行っ い。また、「加工日」や「賞味期限」、「ドリ ている消費者調査の結果概要をお知らせします。 ップ」などで鮮度を確認する人も見られる。 (国産牛、和牛、輸入牛のイメージ) 消費者への定性調査 ・国産牛も和牛も「高級」なイメージだが、和 牛の方が上のランクとされている。 調査形式:グループインタビュー 調査対象:東京圏在住の主婦2グループ (6人×2) 大阪圏在住の主婦2グループ (6人×2) 調査時期:6月 調査結果概要 ■「肉」料理について (牛肉、豚肉、鶏肉の料理の印象) ・牛肉は「おいしい」肉であるが、「値段が高 い」印象も強い。 ・一方、豚肉や鶏肉は牛肉に比べて「ヘルシー」 で「使い勝手がよい」とされている。 (牛肉、豚肉、鶏肉の購入頻度) いる。 ・相対的に、輸入牛より国産牛の方が「安心」 だという意見が多い。 ■乳用種牛肉について (認知) ・全員が初めて聞くコトバである。 (純粋イメージ) ・字面から「ミルクが出る牛」 、「乳搾りの牛」 、 「乳が出なくなった牛」などが連想される。 (助成イメージ) ・「おいしくなさそう」など、好印象は持たれ なかった。 (購入意向) ・購入頻度が高い肉は豚肉であるが、長子が未 ・東京圏では、ネーミングのインパクトによる 就学児の主婦層では牛肉を挙げる人が多い。 ショックが大きかったが、「乳用種牛肉」に ■牛肉について (普段と特別な日の購入実態) ・普段は「安い」牛肉、主に輸入牛肉を購入し ついて詳しく説明した後では「安ければ」試 してみたいという人が数名みられた。 ・大阪圏では、「乳」への抵抗感は少なく、交 ている人が多い。 雑種牛肉と食べ比べたい人たちも含め、「お これらは、煮込みやカレーなどの味をしっか いしければ」 「味付けすれば」 「餌や育ったと り付ける料理に利用する傾向がある。 ころを知って安心できたら」などの条件付き ・誕生日などのイベント時には、普段よりおい 36 ・一方、輸入牛は「安い」イメージを持たれて で購入したいという人が半数ほどみられた。 (「乳用種牛肉」に代わるネーミングの評価) ・「地名」や「餌」が入っているネーミングが い」は33.2%、「全く不安を感じていない」 は2.1%、合わせて35.3%。 (図1) 安心感を与え、好評を得た。(具体的には 図1 「○○ハーブ牛」) ・また、「ビーフ」よりも「牛」と付いた方が 「高級」「国産」のイメージを与える。 ■トレーサビリティ制度について (認知) ・全員が初めて聞くコトバである。10ケタの番 号や制度のしくみを見聞きしたことがある人 は若干名いた。 (助成イメージ) ・ほとんどの人が安心感を感じ、お店への信頼 感も高まるとの声もあった。 ■国産牛肉・輸入牛肉の比較 ・国産牛肉のイメージは「価格が高い」がト ップで71.3%に達する。以下、「おいしい」 (利用意向) (44.2%)、「安全」(43.8%)、「品質が良い」 ・実際に調べてみようとする人はほとんどいな (37.2%)、「肉質がやわらかい」(34.8%)、 かった。 「安心して家族に提供できる」(31.0%)ま での6項目が3割を上回っている。(図2) 消費者への定量調査 ・一方、輸入牛肉のイメージは「価格が安い」 調査形式:インターネット調査 が79.1%で最も高いが、他の項目は反応が 調査対象:20歳代以上の全都道府県に居住する 低く、「抵抗感がある」(30.1%)、「使い勝 手が良い」(18.8%)、「購入したくない」 4360人 調査時期:7月 (14.3%)までが1割超となっている。 調査結果概要 (図3) ■牛肉購入・利用状況 ・「週1∼2回」が最も多く、38.6%、次いで 図2 「月2∼3回」が32.5%。 ・主に買っている場所は「スーパー」が82.0% で突出している。以下、「生協」(8.5%)、 「小売店」 (6.7%) 、 「デパート」 (2.3%)の順。 ・普段よく作る牛肉料理は「焼き肉」 (35.5%) 、 「カレー」(32.5%)、「(野菜等といっしょに) 炒め物」 (28.2%) 、 「肉じゃが」 (26.2%)の順。 ・購入の際の選択基準は、「価格」(88.1%)、 「色」 (51.0%) 、 「肉の部位」 (45.2%) 、 「用途」 図3 (44.6%)、「加工日」(43.6%)、「産地表示」 70 (41.7%)の順。 50 ・牛肉の安全性に関して、 「非常に不安を感じ 30 ている」は9.9%、「やや不安を感じている」 は52.4%で、合わせて62.3%の人が不安を感 じている。一方、「あまり不安を感じていな 37 ■乳用種牛肉の認知、イメージ ・乳用種牛肉を「よく知っている」は10.6%、 「聞いたことはあるが詳しく知らない」が 36.8%、「知らない」が52.6%。交雑種牛肉は 「よく知っている」が4.1%、「聞いたことは ・認知者の中では、「インターネットでいつも 調べている」は0.3%、「たまに」は2.5%、 「1∼2回」は5.6%で、91.6%の人が「調べ たことはない」と回答している。 ・トレーサビリティ制度について、「関心があ あるが詳しく知らない」29.2%、「知らない」 る」は49.7%(「非常に」5.3%+「やや」 66.7%となっており、いずれも「知らない」 44.4%)、「関心がない」は43.0%(「あまり」 が過半数を占める。 38.6%+「全く」4.4%) 。 ・乳用種牛肉のイメージでは、16項目中「安 全である」 (17.2%) 、 「価格が安い」 (16.3%) 、 「安心して家族に提供できる」 (14.0%)の3 項目が1割超。ただし、最も高いのが「イ メージがひとつもない」の39.7%。 (図4) ・生産履歴が把握できる牛肉と把握できない牛 肉が並んでいた場合、「価格が同じであれば 生産履歴が把握できる方を購入する」が 49.8%と半数を占める。「少し高い程度であ れば生産履歴が把握できる方を購入する」は 21.1%、「高くても生産履歴が把握できる方 を購入する」は5.8%となっており、合わせ 図4 て76.7%の人が生産履歴が把握できる方を選 択している。「生産履歴が把握できなくても 安い方を購入」は6.4%、「どちらでもかまわ ない(気にしない)」は11.1%。 ・牛肉を購入する際、知りたい情報を複数選ん でもらったところ、 「加工年月日」が69.1%で 最も高く、次いで「飼育されたところ」が ・「乳用種牛肉」と表示されて店頭に並んだ時 61.0%。以下、 「品種」 (46.0%) 、 「生まれたと のイメージとして、「良くなる」2.8%、「や ころ」 (44.9%) 、 「生産者」 (36.5%) 、 「出生年 や良くなる」13.8%、合わせて16.6%、「悪く 月日」 (20.3%)と続く。また、特に知りたい なる」3.2%、「やや悪くなる」28.9%、合わ 情報をひとつだけ選んでもらったところ、や せて32.1%。「変わらない」が51.4%で最も多 はり「加工年月日」が最も多く36.4%。以下、 い。 「飼育されたところ」(24.5%)、「生産者」 ・乳用種牛肉について強調すべき点としては、 (11.9%) 、 「品種」 (10.8%) 、 「生まれたところ」 「安全性が高いこと」(60.8%)、「品質に比べ (9.5%) 、 「出生年月日」 (2.7%)となっている。 価格が手頃なこと」(59.5%)が5割を超え ている。 ■トレーサビリティ制度の認知状況 ・「トレーサビリティ制度」について、「よく 知っている」は13.8%、「聞いたことはある が詳しく知らない」が30.1%、「知らない」 が56.1%を占める。 ・値札などについている10ケタの番号につい て、 「いつも意識して見ている」は2.5%、 「確 かに見たが気にしたことはない」が19.4%、 「見たことがあったかもしれない」が39.8%、 「見たことはない」が38.4%。 (図5) 38 図5
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