群馬弁護団ニュース 第13号

原子力損害賠償群馬弁護団ニュース(NO13)
2015年(平成27年)6月
故郷を・普通の生活を返せ!こどもの未来を奪うな!
群馬弁護団ニュース NO13
弁護団HP
原子力損害賠償群馬弁護団
6・22裁判報告
(原告本人尋問/2回目)
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【発行】原子力損害賠償群馬弁護団(団長)鈴木克昌
【連絡先】〒371-0844
前橋市古市町1-50-1吉野屋ビル303
新前橋法律事務所内
[TEL]027-251-7871 [FAX]027-251-7989
5月1日・7名に続き、10名の原告が
「陳述書」の中で一番伝えたい事を立派に証言!
自分達の都合を押し付ける
東電・国の反対尋問をしっかり反撃
次回:6月26日(金)午前10時~/9時10分から傍聴券配布(予定)
これまでに17名の原告本人尋問を行ってきました。 に証言をされてきています。次回へと続く原告本人尋
尋問を担当する弁護士と事前に打ち合わせを行い、裁 問に関して、弁護団事務局次長の舘山史明弁護士に原
判官の前で証言するプレッシャーを乗り超えて、立派 告本人尋問の現状についてお聞きしました。
(舘山史明事務局次長に聞く)
「陳述書」を前提にした尋問、東電・国の
反対尋問に対して揺るがない原告の姿勢で、
本人尋問は成功裏に進んでいます。
◆舘山先生は原告尋問の担当者というこ
とで、今実施されている原告尋問のこと
について詳しく聞かせてください。
[舘山]はい。まず5月1日に7名の原告、
22日に10名の原告の当事者尋問を行い
ました。今後もしばらく、このペースで尋
問が続くことになると思います。今までの 舘山弁護士
尋問は、率直に言って百点満点以上だと思います。原告の
皆さんにはかなりの苦労をおかけしていますが、その分の
成果は充分に出ていると思います。反対尋問にもしっかり
対応されていました。
◆そもそも尋問というのは、なぜ行われるのですか。
[舘山]原告の方々が今回の事故でどのような被害を受けた
のか、それは一人一人違いますので、その被害の実態を語っ
ていただき「証拠」にするためです。
◆確か、被害の実態に関する証拠として原告全員の「陳
述書」を提出していると思いますが。
[舘山]原告の皆さんには大変な作業にご協力いただき、被
害の実態を詳細を記録した陳述書を提出しております。陳
述書というのも証拠のひとつですが、証拠としてどれだけ
の価値があるかというのは別問題なんです。証拠としての
価値は、やはり実際に裁判官の前で話をして、相手方当事
者の反対尋問を経て、それでも陳述内容が揺るがないとい
うときに大きな価値があるということになるんです。です
から、陳述書は陳述書として提出しつつ、その中の重要な
ポイントを直接裁判官の前で話をして、反対尋問を受ける
というために尋問は必要なんです。
◆しかし、一人あたり15分とか10
分とか、意見陳述をした人は5分とか、
結構短い時間なので被害の実態は語り
きれないと思うのですが。
[舘山]そのとおりです。ただ、全くの白紙の状態から一つ
一つ全部聞いていくと、時間はいくらあっても足りません。
今回の場合は特に、人生そのものに多大な影響を与える事
故ですから、どれだけ時間があっても語り尽くすというこ
とはできません。ですから、先ほど話に出た詳細な陳述書
を前提にした尋問を行っている訳です。
「陳述書」を前提にした原告本人尋問で、
被害の核心部分を浮き彫りに
◆陳述書の活用とはどういうことですか。
[舘山]裁判所はおそらく、陳述書を事前に精読してある程
度の心証を取っています。その心証が反対尋問を受けても
揺るぐことはないか、という観点
から尋問をしているのです。主尋
問が短い時間なので不利になるか
というと、そうではありません。
むしろ、被害の核心部分にしぼっ
てメリハリのある尋問ができると ■証拠として提出した
陳述書の原本と書証■
いう効果があります。
◆ところで、さき程「反対尋問を受けるためにも尋問が
必要」という話がありました。しかし、実際に尋問をみ
ると、東京電力や国の反対尋問がどれだけ意味があるこ
となのかよく分からないのですが。
[舘山]そう捉えることができるということは、原告の受け
た被害が真実であり、それをしっかり供述できているとい
うことに尽きます。反対尋問は、こちらの供述内容の真実
性をチェックするためのものです。あやふやだったり、嘘
が入っているものを浮かび上がらせるため、あの手この手
で聞いてくるわけです。しかし,それに対してしっかり受
け答えができて、原告本人や傍聴者が「なんでそういうこ
とを聞くのだろう。」という感想を持つということは、原
告の言っていることが真実であるということの証しでもあ
るのです。もちろん、法律の専門家の我々弁護士が聞いて
も質問の趣旨が分からなかったり本件と関連性がないと考
えたりした場合には遠慮なく「異議あり!」「裁判長!」
と言わせていただいております。
(2面に続く)
原子力損害賠償群馬弁護団ニュース(NO13)
◆原告弁護団の「異議あり!」がいつ出るか注目したい
と思います。ところで、これまでたくさん原告尋問をやっ
たのに、なぜ国や東京電力はさらに原告の尋問を請求す
るのですか。
[舘山]先ほども述べましたが、裁判の相手方には反対尋問
をして、供述の内容をチェックする権利があるのです。私
たち弁護団は、いくら被告が反対尋問をやっても、原告の
供述の信用性はむしろ高まるだけで、反対尋問の意味はな
く、被害の深刻さがより明らかにされるだけだと考えてい
ます。しかし、反対尋問したいと被告側が請求して、裁判
所がその請求を認めた場合、裁判手続上実施しなければな
(6月12日)東京電力・国が原告本人尋問を申請
2015年(平成27年)6月
りません。今回、被告らは形式的に1世帯1名の尋問を申
請してきました。裁判の引き延ばしという作戦のようにも
思えますので、引き延ばしは許さない旨の意見書も既に裁
判所に提出しました。しかし、できるだけ多くの原告の尋
問を行うことで被害の深刻さを明らかにすることにもなり
ますので、病気などの事情があってどうしても尋問は厳し
いという方以外は、むしろこちら側から尋問申請をして、
進んで証言台に立っていただきたいと思います。
引き続き皆さんのご支援をお願いいたします。
◆お忙しいところ、ありがとうございました。弁護団事
務局としてお忙しい日々が続きますが、ご活躍願います。
≪原告申請以外の全世帯を対象に≫
裁判の引き延ばしを狙い、
原告全世帯から証人を出すようにと15名を申請
■支援者からの投稿■
<裁判を傍聴して、初めて知った過酷な避難生活>
(高崎市/W・Uさん)
取るわけでもなく、2018年3月には補償を打ち切ろうとし
ていることに怒りを禁じ得ません。また、自主避難者への住宅
支援も打ち切ろうとしています。
5月22日の裁判は前回に続いて整理券が発行され、抽選に
国が勝手に線引きした区域割で補償額が決められ、その線引
外れて傍聴券が手に入らず困っていましたら、弁護団事務局の
きから外れた地域から避難した被害者を「自主避難」と決めつ
はからいで傍聴券が手に入り傍聴する事ができ、ホッとしまし
けて様々な差別待遇を続けている事を、原告の方から聞いて知
た。
りました(私は全員が同じ様に補償されていると思っていまし
10時ピッタリに開廷(さすが裁判所)。尋問に入る前に裁
た)。その中には子どもの放射線被害を心配して避難した方も
判長から注意事項が言い渡され、長時間の尋問のため、尋問中
多いと聞いています。誰が考えても、国の線引きに従って放射
の居眠りや法廷の出入りについての注意事項など発言されまし
線は飛んで来ないのですから、当然、「自主避難地域」にも放
た。その後、午前中4名、午後6名と一日中、原告本人尋問が
射線量が多い地域が存在します。加えて事故を起こした原発内
行われました。
部がどうなっているのか分からない廃炉作業が続く状況下で、
一人主尋問・反対尋問合わせて30分位でしたが、皆さん様々
放射線をめぐる将来への不安は消えることはありません。
な事情を抱えての避難生活で、2011年3月11日の大震災と
こうした国の一連の動きは、原発事故の責任放棄以外の何も
それに続く原発事故により、「当たり前の」「普通の生活」が
のでもありませんが、事故を過去のものとして風化させる狙い
一変した状況が再現されました。余りにも理不尽な事
が見て取れます。(被害者の心境いかばかりか)。
態に驚かされ、涙が止まりませんでした。突然避難生
ますます、この原発裁判が重要になってくるのでは
活に投げ込まれた原告の方々の生活不安は計り知れま
ないでしょうか。原告や弁護団の皆さんは大変かと
せん。こうした不安を少しでも払拭するするための方
思いますが、これからもしっかり支援を続けたいと
策が求められていると思いますが、国も東電も責任を
思います。
最近の原発事故関連の報道記事から
■自民・「帰宅困難地域」以外の避難指示の解除を目指し、18年4月から補償打ち切りの「提言」まとめる。(5月21日)
■福島第一原発・廃炉工程表を改定、最大3年遅れに。(6月12日)
■福島県・自主避難者への住宅無償提供を17年3月以降打ち切りへ。(6月15日)
■栃木の住民7128人、福島県内と同等の補償求めて
ADR(原子力損害賠償紛争解決センター)に和解の仲介申立て。(6月15日)
次回:6月26日(金)午前10時開廷
●開廷前に昼食のお弁当の注文を
受け付けます。希望者は事務局員
※9時10分から傍聴券の抽選整理券発行(予定)
≪裁判の内容≫原告本人尋問(午前4名、午後7名) まで申し出下さい。
(お茶と弁当:800円)
■7月31日(金)午前10時開廷 ≪原告本人尋問≫
●裁判所付近には食堂が
●弁当は弁護士会館3階で現金と
■9月11日(金)午前10時開廷 ≪佐藤証人反対尋問≫
あまりありませんので、
引き換えでお渡しします。
■9月14日(月)午前10時開廷 ≪原告本人尋問≫
お弁当をご注文下さい。
●昼休みは弁護士会館3階をご利
■予備日:10月16日(金) / 11月20日(金)
用下さい。
今後の裁判予定
※裁判終了後、弁護士会館3階で報告集会を行いますので、ご参加願います。