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数値計算における
ラプラス近似の応用
山田ゼミ 修士1年
山本健太
2015年9月30日
概要
近年、より現実に即したモデルを用いてのオプション価格計算の必要性。
仮定が複雑で解析解が与えられないモデルの場合、数値計算が必要になる。
本報告では、その一つの方法である確率微分方程式の弱近似における、ラプ
ラス近似(積分の近似)の応用の可能性について述べる。
ラプラス近似
ラプラス近似・・・被積分関数の極値を利用して、以下のような形をした積分を近似す
る方法。
𝑏𝑏
𝐼𝐼 𝜆𝜆 = � 𝑒𝑒 −𝜆𝜆𝑔𝑔
𝑎𝑎
𝑦𝑦
ℎ 𝑦𝑦 𝑑𝑑𝑑𝑑.
ただし、被積分関数は以下の条件を満たすとする。
1. 𝜆𝜆は十分大きい。
2. 𝑔𝑔 𝑦𝑦 は2回微分可能な連続関数で、区間(𝑎𝑎, 𝑏𝑏)に極小点𝑦𝑦 ∗ をただ一つ持つ。
3. ℎ 𝑦𝑦 は連続関数。
ラプラス近似
ここで、 𝑔𝑔 𝑦𝑦 の、𝑦𝑦 ∗ の周りでのTalor展開を考える。
𝑦𝑦 ∗ は極小点より𝑔𝑔′ 𝑦𝑦 ∗ = 0, 𝑔𝑔′′ 𝑦𝑦 ∗ > 0であるから、
𝑔𝑔 𝑦𝑦 ≈ 𝑔𝑔
𝑦𝑦 ∗
1 ′′ ∗
+ 𝑔𝑔 𝑦𝑦 𝑦𝑦 − 𝑦𝑦 ∗
2
2
と展開できる。ℎ 𝑦𝑦 を𝑦𝑦 ∗ の周りの一次近似で置き換えるとすると、
ラプラス近似
𝑏𝑏
𝐼𝐼 𝜆𝜆 = � 𝑒𝑒 −𝜆𝜆𝑔𝑔
𝑎𝑎
≈ 𝑒𝑒 −𝜆𝜆𝑔𝑔
+𝑒𝑒 −𝜆𝜆𝑔𝑔
となる。
= 𝑒𝑒
𝑦𝑦 ∗
𝑦𝑦 ∗
𝑦𝑦
ℎ 𝑦𝑦 𝑑𝑑𝑑𝑑
ℎ 𝑦𝑦 ∗ �
∞
ℎ′ 𝑦𝑦 ∗ �
−𝜆𝜆𝑔𝑔 𝑦𝑦 ∗
∞
−∞
ℎ 𝑦𝑦
∗
−∞
2
1 ′′ ∗
∗
𝑒𝑒 −𝜆𝜆2𝑔𝑔 𝑦𝑦 𝑦𝑦−𝑦𝑦 𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑦𝑦 −
2
1 ′′ ∗
∗
𝑦𝑦 ∗ 𝑒𝑒 −𝜆𝜆2𝑔𝑔 𝑦𝑦 𝑦𝑦−𝑦𝑦 𝑑𝑑𝑑𝑑
2𝜋𝜋
+0
∗
𝜆𝜆𝑔𝑔𝑔𝑔(𝑦𝑦 )
ラプラス近似
一般に、ラプラス近似の近似誤差は、
𝐼𝐼 𝜆𝜆 = 𝑒𝑒
−𝜆𝜆𝑔𝑔 𝑦𝑦 ∗
となることが知られている。また、
ℎ 𝑦𝑦
𝑏𝑏
∗
𝐼𝐼 𝜆𝜆 = � 𝑒𝑒 −𝜆𝜆𝑔𝑔
𝑎𝑎
2𝜋𝜋
1
+Ο
∗
𝜆𝜆𝑔𝑔𝑔𝑔(𝑦𝑦 )
𝜆𝜆
𝑦𝑦
ℎ 𝑦𝑦 𝑑𝑑𝑑𝑑
のℎ(𝑦𝑦)が確率変数Yについての密度関数度あると仮定すると、 𝐼𝐼 𝜆𝜆 はある種の期待値
の計算とみなすこともできる。
確率微分方程式の弱近似
弱近似法・・・確率微分方程式の解の期待値の離散化による近似。
(𝑊𝑊𝑡𝑡 )𝑡𝑡𝜖𝜖[0,𝑇𝑇] をブラウン運動とし、ボラティリティ関数𝜎𝜎(𝑡𝑡, 𝑥𝑥)を適合確率過程とする。
確率微分方程式
𝑑𝑑𝑋𝑋𝑡𝑡 = 𝑟𝑟𝑋𝑋𝑡𝑡 𝑑𝑑𝑑𝑑 + 𝜎𝜎 𝑡𝑡, 𝑋𝑋𝑡𝑡 𝑋𝑋𝑡𝑡 𝑑𝑑𝑊𝑊𝑡𝑡 , 𝑋𝑋0 = 𝑥𝑥
の解𝑋𝑋𝑇𝑇𝑥𝑥 についての期待値を離散化によって近似する。
𝐸𝐸 𝑓𝑓
𝑋𝑋𝑇𝑇𝑥𝑥
𝑥𝑥,𝑛𝑛
�
− 𝐸𝐸 𝑓𝑓 𝑋𝑋
𝑇𝑇
= 𝑂𝑂
1
𝑛𝑛𝛼𝛼
・・・ 𝛼𝛼次の弱近似
𝑥𝑥,𝑛𝑛
𝑥𝑥
�
𝑋𝑋
は𝑋𝑋
𝑇𝑇 のn回の離散化(離散化の方法は様々)。
𝑇𝑇
弱近似法の先行研究
山田 (2015) 「確率微分方程式のある新しい2次の弱近似法について」
⇒ Malliavin解析を用いて 離散化を行う。数値計算にはブラウン運動の多項式の積分を行う必
要がある。
𝐸𝐸 𝑓𝑓 𝑋𝑋𝑇𝑇𝑥𝑥
− 𝑄𝑄𝑠𝑠1 ∘ 𝑄𝑄𝑠𝑠2 ∘���∘ 𝑄𝑄𝑠𝑠𝑛𝑛 𝑓𝑓 𝑥𝑥
≤ 𝐶𝐶
1
𝑛𝑛2
・・・ 2次の弱近似
𝑇𝑇
�𝑥𝑥 )𝜋𝜋𝑡𝑡 (𝑥𝑥)]。𝑋𝑋
�𝑥𝑥 は𝑋𝑋𝑇𝑇𝑥𝑥 の1次の確率テイラー展開
𝑠𝑠𝑖𝑖 = であり、𝑄𝑄𝑡𝑡 は線形作用素𝑄𝑄𝑡𝑡 𝑓𝑓(𝑥𝑥) = 𝐸𝐸[𝑓𝑓(𝑋𝑋
𝑡𝑡
𝑡𝑡
𝑛𝑛
�𝑥𝑥 = 𝑥𝑥 + 𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟 + 𝜎𝜎 𝑡𝑡, 𝑥𝑥 𝑥𝑥𝑊𝑊𝑡𝑡 .
𝑋𝑋
𝑡𝑡
𝜋𝜋𝑡𝑡 (𝑥𝑥)は、ブラウン運動𝑊𝑊𝑡𝑡 とボラティリティ関数𝜎𝜎 𝑡𝑡, 𝑥𝑥 に関するある多項式。
弱近似法の先行研究
𝑄𝑄𝑠𝑠1 ∘ 𝑄𝑄𝑠𝑠2 ∘���∘ 𝑄𝑄𝑠𝑠𝑛𝑛 𝑓𝑓 𝑥𝑥 の計算の際にはブラウン運動の多項式についての入れ子型の積分を
行うことになる。
⇒「ブラウン運動の多項式×正規密度関数」が含まれる積分を繰り返し計算。
1回の積分の中にも複数の高次のブラウン運動が現れる。
⇒この手法では、2回の離散化でかなりの精度の近似を実現できるが、さらに離散化を増やす
と、多重積分の数値計算が必要になるため、計算負荷が増える。
積分の計算負荷を下げることはできないか。
⇒積分の近似(ラプラス近似)を利用できないか?
研究の方針
先の弱近似法に現れる関数形に対して、ラプラス近似は適用できるのか?あるいは、近似の
方法を若干拡張して適用させることはできないだろうか?
⇒ブラウン運動の多項式に関する積分の近似法の構成
ラプラス近似を用いることで積分値にも誤差が生じてくる。
⇒繰り返し近似することによる誤差の評価
そのためにMalliavin解析についても詳しく見ていきたい。
参考文献
[1] A. Takahashi and T. Yamada, (2015), “A Weak Approximation with Asymptotic
Expansion and Multidimentional Malliavin Weights”, Ann. Appl. Probab., to
appear.
[2] 国友・山本 (2008) 『21世紀の統計科学』 東京大学出版会.