2015/7/14 DPC制度について 医事課 入院係 鵜沢 ■DPCとは… ■ Dagnosis Procedure Combination (DPC) (診断) (治療や手術の行為、手法) (組み合わせたもの) 日本語:診断群分類包括評価 従来の診療行為ごとの点数をもとに計算する「出来高払い方式」とは 異なり、入院期間中に治療した病気の中で最も医療資源を投入した一 疾患のみに厚生労働省が定めた1日当たりの定額の点と従来どおりの DPCにより包括されない出来高評価部分(手術、胃カメラ、リハビリ等) を組み合わせて計算する方式です。 1日当たりの定額の点数は、「診断群分類」と呼ばれる区分ごとに、入 院期間に応じて定められています。 1 2015/7/14 ■診療報酬における出来高と包括 ■DPCの対象となる患者 ・一般病棟(2A・3A・2B・3B・2C)の入院患者 (3C病棟は障害者病棟の為、対象外) ・包括評価の対象となった診断群分類(DPC)に該当 した患者 2 2015/7/14 ■DPC対象外の患者 • 健康保険以外の患者(自費・自賠・労災) • 入院後(入院した時間から)24時間以内に死亡した患者 • 生後7日以内の新生児の死亡 • 治験の対象患者 • 臓器移植患者の一部(同種腎移植術・骨髄移植等) • 高度先進医療の対象患者 • 急性期以外の特定入院料の算定対象患者(3C病棟) • 保険改正等で高額薬剤・手術・処置などを施行し認められ た患者 ■DPC(診断群分類)の決定 傷病名の決定 入院期間を通じて治療の対象となっ た傷病のうち、医療資源を最も投入し た傷病名をICD10に規定されている 傷病名より決定。 *医療資源=人的コスト・物的コスト 診断群分類の決定 決定した傷病名が分類されているDP C疾患名(6桁コード)を検索し全診断群 分類が示されてる「ツリー図」とその分 岐(医療行為や定義副傷病名等)を定 義している「定義テーブル」を活用し診 断群分類(診断群分類コード)を決定 3 2015/7/14 ■ ツリー図 診断群分類番号 例)白内障 定義テーブル に記載された 診療行為に 対応する分岐 を選択し診断 群分類を決定 定義テーブル ■診断群分類コードの構成 ◎14桁のコードにはそれぞれ意味が あります。 • DPCでは,14桁の診断群分類コード で表されます(左記) ・14桁の診断群分類コードごとに一 日当たりの金額が決まっています。 4 2015/7/14 ■診断群分類コードについて ①最初の6桁は,入院期間中に「医療資源を最も投入した傷病名」に基づく分類コードです。 ②7桁目は入院目的等の「入院種別」を表すコード。 ③8桁目は特定の条件を表すコードで,年齢・出産時体重・JCS(Japan Coma Scale)等が医療 資源の投入量に影響する場合に使用されます。 ④9-10桁目は,この2桁で「手術等サブ分類」を表し,基本DPCとの関係の深さに応じたコ ードが振られます。 ⑤11桁目と12桁目は,補助手術や化学療法,放射線療法等の有無や種類で分類され るコードになります。 ⑥13桁目は医療資源の投入量に影響を与えるような入院時併存症や入院後続発症の 「副傷病名」を表すコードです。 ⑦14桁目は,13桁目までで表現できなかった医療資源投入量に影響を与えるような「重症 度等」を表すコードになります。 ■ 診断群分類点数表 脳梗塞の例(010060x099030x) 「脳梗塞(JCS10未満)・手術なし・手術処置1なし・手術処置2 3あり(エタラボン)・副傷病なし」の患者 ・入院期間「Ⅰ」 入院から9日まで ①3,823点 ・入院期間「Ⅱ」 10日目から17日目 ②1,923点 ・入院期間「Ⅲ」 18日目から36日目 ③1,635点 *37日目からは出来高算定となる 5 2015/7/14 入院期間Ⅰ 出来高 入院期間Ⅱ 入院期間Ⅲ ・DPC入院期間点数の設定には2003年4月開始時点では、国立病院・大学病院等の82施設から始まりました。 発足1年で見直しされその結果データ収集の為に調査協力していた92医療機関な中から手を挙げて参加する 方式を採用。現在では1,585施設(平成26年4月現在)がDPC対象病院となっています。又、DPCによる点数は2 年ごとに点数設定が変更しています。 ※上記の図はDPC病院になったことでのプラス点、マイナス点を表した表となります。黒線が平均治療を表し たもので、赤線は平均治療から外れたことを表す線となります。 ■ 1日当たり包括点数設定方法 6 2015/7/14 ■ 医療機関別係数について 医療機関別係数とは、診療報酬額の算定方法が出来高から包括に 移行することによって医療機関の収入に大きな変動が起きないように するために設定された係数のことです。 医療機関別係数は次の式で求められます。 ■ 医療機関別係数=調整係数+機能評価係数Ⅰ+機能評価係数Ⅱ 機能評価係数Ⅰとは 機能評価係数Ⅰは、医療機関の機能を評価するためのもので、入院 基本料等加算など、出来高の点数を係数化したものです。(7:1入院 料・感染対策、栄養管理その他体制加算等包括される入院料) 7 2015/7/14 機能評価係数Ⅱとは ■機能評価係数Ⅱは、調整係数の代わりとなる医療機関の機能を評価する係数です。 保険診療指数 効率性指数 複雑性指数 カバー率指数 救急医療指数 適切なDPCデータの提出・適切な傷病名コード等取り組みを評価 在院日数短縮の努力を評価 患者構成の差を1入院当たり点数で評価 さまざまな疾患に対応できる総合的な体制を評価 救急医療の対象となる患者治療に要する施設基準 等評価 (緊急入院) 地域医療指数 地域医療への貢献を評価 後発医薬品指数 入院医療に用いる後発品の使用を評価 ■救急医療管理加算 救急医療指数にある救急医療管理加算についてですが、緊急に入院を必要とする 重症患者に対して救急医療が行われた場合に、入院した日から起算して7日に限り 算定でき事ができます。以下が対象患者です。 • ア 吐血、喀血又は重篤な脱水で全身状態不良の状態 • イ 意識障害又は昏睡 • ウ 呼吸不全又は心不全で重篤な状態 • エ 急性薬物中毒 • オ ショック • カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等) • キ 広範囲熱傷 • ク 外傷、破傷風等で重篤な状態 • ケ 緊急手術を必要とする状態 上記の状態であれば救急医療管理加算1の800点を7日間算定できます。上記以外の状態でない 場合でも緊急の状態であれば救急医療管理加算2の400点が算定可能となります。 8 2015/7/14 機能評価係数Ⅱ(後発医薬品指数) 平成26年4月より新たに設けられた指数です。 後発医薬品使用率60%以上と決められており 当院では薬品全体で後発使用率は83.1%(4月 実績)となっております。 又、左の棒グラフは4月使用の抗生剤のみの CMS使用率となっています。 CMS使用平均率は62%。自院では75%となって います。 次回の保険改定では60%→80%へアップする ようなことも厚生労働省では話が出ています。 こちらはCMS病院別の後発医薬品使用率となります。 TMG奥沢病院・熱海所記念病院では、95%以上が後発品へと移行が出来てい ます。当院でも来年度までには90%以上を目標に、係数UPを目指します。 9 2015/7/14 ■ 調整係数とは… 前年度並の収入の確保・重症患者への対応能力・高度医療の提供能 力など機能評価係数Ⅰでは対応できていない病院機能の評価。 しかし今後は… DPCの円滑導入のために設定されていた調整係数 は、2010 年度改定から段階的に新たな機能評価係数 に置き換えられ ることになっています。 ■ 病院としての今後の課題 • 医療機関別係数の引き上げ(施設基準の充実) • 出来高算定可能な項目等情報共有し件数の増加 • 平均在日数の短縮と稼動率のアップ • 3C病棟(障害者病棟の運用:入院の長期化が予想される患 者はDPCⅡの期間で移動を検討) 10 2015/7/14 ■ 各先生方へのお願い • 病名が確定しましたらオーダー(DPC画面)入力をお願い致します。 カルテにも細かい情報の記載があれば副傷病名に該当し点数が上がる場合もあります。 脳外科の病名でJCS(意識障害レベル)などの情報で点数が上がる場合もあります。 • 詳細不明コードは使用しないようにお願い致します。(ICD10の最後の一桁が9のコード) 例)脳梗塞 ⇒ アテローム血栓性脳梗塞・ラクナ梗塞・心原性脳塞栓症 肺炎 ⇒ 気管支肺炎・大葉性肺炎・誤嚥性肺炎 • 詳細不明コード(30%)の使用が多いと機能評価係数Ⅱの保険診療指数に関わり係数が下がります。 • 患者様の状態次第ですが、多くの疾患の治療をしてしまうと治療点数(投薬・注射・検査・レントゲン 等)が包括となりDPCの点数より出来高費が高くなってしまう為退院後外来でフォロー出来るのであれ ば外来でお願いします。 • 点滴(特に抗生剤)・投薬は後発品を使用するようにお願いします。 11
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