ここまで身近になった残留応力 「μ-X360」による 残留応力測定の紹介 パルステック工業株式会社/山口 真 パルステック工業は、創業当初から 「研究開発型モノづくり企業」として、様々な省力化機器や 検査設備を手掛け、ユーザの生産性、品質の向上に貢献してきた。 2年ほど前に同社が開発したポータブル型残留応力測定装置「μ-X360」が多方面で採用され、 高い評価を得ている。 本稿では、 「μ-X360」による残留応力計測の活用事例を紹介する。 1 残留応力活用の拡大 残留応力の測定装置においても未だ発展途上で あり、機能は豊富だが高価で使い勝手の悪い大型 近年、船舶や橋梁の破損事故原因の 1 つとして、 の測定装置が主流であった。 溶接部分の引張り残留応力の影響が指摘され対策 そこで、取り扱いが容易で、可搬性に優れ、現 を迫られる一方、自動車業界においては、軽量化 場で現物の残留応力が手軽に計測できる「ポータ や強度向上を目的として、圧縮残留応力を付与す ブル型残留応力測定装置(μ-X360)」を開発、金 る表面処理技術が進展するなど、俄かに残留応力 属材料や加工品の品質管理、余寿命診断、安全対 が注目されている。 策などに威力を発揮する画期的な測定装置として 各方面から期待されている(図1)。 「μ-X360」は、X 線の回折現象を利用した測定 装置で、2 次元検出器による単一入射法を採用し たことにより、小型・軽量、高精度、短時間測定、 低 X 線量、低価格を実現している。 2 活用事例紹介 2.1 生産工程管理 金属材料や加工品の生産工程における不具合発 生時において、どの工程のどの処理が原因なの か? 図 1 ポータブル型 X 線残留応力測定装置 「μ -X360」 eizojoho industrial 簡単操作で、短時間に、精度よく残留応力を計 測できる「μ-X360」は、工程ごとの残留応力を February 2015︱47
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