熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title 鹿島市塩田川河口のカキ礁観察会 Author(s) 堀川, 治城 Citation 熊本地学会誌, 94: 15-16 Issue date 1990-07-10 Type Departmental Bulletin Paper URL http://hdl.handle.net/2298/28230 Right 「巡検会報告」 鹿島市塩田川河口のカキ礁観察会 京陵中学校堀川治城 5月20日(日曜日)。参加者25名。田村 「熊本平野における完新世の古環境変化に関 する研究」平成元年度特定研究成果報告書 先生の案内によるカキ礁の観察会に参加した。 研究代表者田村実 参加者には次の論文が配られた。 −15− 今回の巡検は上記報告書中の「熊本平野へ の縄文海進層」で述べられている「マガキ層 の堆積環境」と推定される塩田川の河口の様 子の観察とカキ礁の見学が目的であった。 場所によって多少異なるものの地下5∼10m の深さにみられる厚さ1.0∼1.5mのマガキ 癖,緬黙=穐’ 蕊 0 1 同報告書の熊本平野における縄文海進層で、 聯 層は塩田川のような所でできたものである。 参考資料として報告書p.11の廻江における層 蕊 序のうちのマガキ層だけを表した図(図1) を掲げる。 110 縄文中期の熊本は、南から浜戸川、緑川、 御船川、木山川そして白川と何本もの河川が 当時の有明海に(古肥後湾)、出入りのある 図1.廻江におけるマガキ層のスケッチ 海岸線をなして流入し、塩田川河口よりもつ 十年くらいで消えて行くような規模ではない と大きなカキ礁をつくっていたに違いない。 それは、マガキ層が確認されている地点、廻 江、かきの江、緑川橋、その下流域一帯(川 と'思いながら帰路についた。 なお、冒頭に上げた、特定研究の報告書は、 砂の採集で川底下4mの深さからマガキがで 79ページに及び、その内容には、田村.堀川 ている)、美登里、新町橋(加勢川)、野越、 の「熊本平野への縄文海進層」のほかに、次 重富、平田の各地、更に高橋貝塚では殆どマ のような記事が盛り込まれているので、合わ ガキが産することなど、巨大なカキ礁存在の せて紹介しておく。 裏付け資料が豊富にあることからわかる。塩 熊本平野のボーリング資料について(渡辺一 田川河口に限らず現在の有明海沿岸には広く ・カキ礁が分布しているようで水産業に関する 報告書にカキ礁の分布が記載されているそう である。詳しくは田村先生に聞かれるとよい。 有明海の熊本側でも、白川以南緑川以北で 沖合い2∼3kmの泥中にも広さ50∼1⑩㎡の マガキ礁があるし、小さなコロニーは熊本新 徳・石坂信也) 14C年代測定結果報告(テレダイン・ジャパ ン社) 熊本市およびその周辺の更新世末∼完新世の 植生変遷(長谷義隆.岩内明子) 春竹地区観測井設置工事他試料花粉分析報告 (パリノ・サーベイ社) 港に行けばあちこちと点在している。また、 不知火海の大野川から砂川にかけての河口一 帯には割と大きなマガキ礁が存在する(出水 中、村上浩二先生の話による)。一般に漁師 はカキ殻でけがをすることもあってカキ礁を 嫌う。海苔の養殖業者は数年毎に海苔ひびと その周りのカキを取り除く作業をしている。 発 行 所 熊本地学会誌Nq94 巨大なカキ礁には手が付けられないにしても 熊本市黒髪2丁目熊本大学教育学部 地学研究室内熊本地学会 小さなものはやがて消えていく運命にあるよ TEL344-2111振替熊本6-5359 うだ。塩田川のカキ礁はまだまだ大丈夫、数 −16−
© Copyright 2025 ExpyDoc