基礎・分子薬理学 2015 年 中間試験 (医療・創薬2年) I.オピオイド受容体の活性化によって起こる細胞シグナルをでき るだけ詳細に図示しなさい。 II.アドレナリン α1 受容体の活性化によって起こる細胞シグナルを できるだけ詳細に図示しなさい。 ボツリヌス毒( ) 、ベサミコール( ) VI. 次の記述の説明として最も適切な語句を a~e より選んでカッ コ内に記入しなさい。同じ記号を 2 度使ってはいけない。 1)エフェドリンを短時間に反復投与すると急速に効果が低下した。 ( ) 2)迷走神経(副交感神経)を切断することで、腸管平滑筋における ムスカリン性アセチルコリン受容体の数が増加した。( ) 3)がん患者にモルヒネを長期間投与していると鎮痛効果が弱くな り、投与量を増やさなければならなくなった。( ) 4)降圧薬のクロニジンを長期間服用していた患者が、服用を中止し たところ急激に血圧が上昇した。 ( ) 5)モルヒネを長期間使用していた人が、使用を中止したところ、頭 痛、嘔気、めまい、不安、下痢、けいれんなどの苦悶症状が発現 した。 ( ) a 退薬症状、b リバウンド現象、c タキフィラキシー、d 耐性、 e アップレギュレーション VII. 次の各問いに対する答えをマークシートに書きなさい。 III. アドレナリン β 受容体の脱感作の分子メカニズムについて、a ~f を正しい順に並べてカッコ内に記入なさい。 ノルアドレナリンがβ受容体に結合→細胞内 cAMP 濃度上昇→ ( )→( )→( )→( )→( ) → 不可逆的な脱感作 a. β受容体と G タンパクの共役が阻害 b. リソソームでβ受容体が分解(リサイクル不能) c. βアレスチンが受容体に結合 d. β受容体の細胞内への取込み(リサイクル可能) e. β受容体の C 末端のリン酸化 IV. 右下図に関する問い に答えなさい。 1)このイオンチャネル内 蔵型受容体のサブタイプ は何か。 2)この受容体が活性化し たときに動く d のイオン の名称と、図中で動く向 き(↑ or ↓)を答えなさい。 3)次の薬物の作用点を図中 a, b, c から選んで( )に、また最も適切 な記述を選択欄のア~キから選んで[ ]に記入しなさい。 i)ピクロトキシン( )[ ] ii)ゾルピデム( )[ ] iii)ペントバルビタール( )[ ] iv)フルマゼニル( )[ ] v)ビククリン( )[ ] vi)ハロタン( )[ ] vii)ムシモール( )[ ] [選択欄] ア)GABA による受容体活性化を促進する催眠薬だが、 筋弛緩作用が少ない、イ)チャネルを開口する麻酔・抗てんかん 薬、ウ)ベンゾジアゼピン類による過度の鎮静・呼吸抑制の解除 のために使用、エ)GABA の作用を競合的に遮断する。オ)GABA と同様に受容体を活性化する、カ)チャネルを開口する揮発性麻 酔薬、キ)チャネルを直接閉じて痙攣誘発 V. 右図に関する問い に答えなさい。 1) 次の記号の受容体 サブタイプまたは酵 素の名称を述べなさ い d: e: f: g: 2) 次の薬物の作用点 を図中の記号より選びなさい。 サリン( )、アトロピン( )、ヘミコリニウム-3( )、 問 1 削除 問 2 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。 1 IC50 は、最大反応の 50%の反応を誘起するのに必要なアゴニスト の濃度である。 2 逆アゴニストの固有活性は 0 より大きく 1 より小さいである。 3 副腎皮質ステロイドホルモンの受容体は G 蛋白共役 7 回膜貫通 型受容体である。 4 エリスロポエチン受容体は JAK-STAT 系と共役する1回膜貫通 型受容体である。 5 ANP 受容体は、グアニル酸シクラーゼを内蔵する1回膜貫通型受 容体である。 問 3 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。 1 ストリキニーネは NMDA 受容体のグリシン結合部位に結合する ことで反射性けいれんを誘発する。 2 グリシン神経から遊離されたグリシンの不活性化経路は、神経細 胞への再取り込みである。 3 メマンチンは NMDA 受容体のグルタミン酸結合部位に結合する ことで Cl-イオンの流入を抑制し、アルツハイマー病の進行を遅 らせる。 4 グルタミン酸が non-NMDA イオンチャネル内蔵型受容体に結合 すると Ca2+イオンの流出が起こる。 5 NMDA 受容体のチャネル機能は Mg2+と Zn2+により抑制される。 問 4 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。 1 TNF-α受容体が活性化されると、NFκB がリン酸化されること で IκB が核内に移行して遺伝子に結合し、炎症メディエーター の発現が転写レベルで抑制される。 2 インフリキシマブは TNF-α受容体を競合的に遮断することで抗 炎症作用を示すので、リウマチの治療に使用される。 3 部分アゴニストの最大作用は、固有活性によって決まる。 4 受容体の立体構造を変化させる力は、完全アゴニストと部分アゴ ニストで同じである。 5 部分アゴニストは、併用により完全アゴニストの作用を抑制する 問 5 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。 1 受容体と薬物の結合を Scatchard 解析した場合の X 軸切片から、 受容体の親和性がわかる。 2 pD2 値は最大反応の 50%の反応を誘起するアゴニストのモル濃 度の負対数で、この値が大きいほど親和性が大きい。 3 安全域は、ED50/LD50 で示される。 4 pA2 値は、アゴニスト単独の濃度反応曲線を 2 倍だけ高用量側へ 移行させるのに必要な競合的アンタゴニストのモル濃度の負対 数である。 5 KD 値が小さいほどアゴニストの受容体への親和力は小さい。 問 6 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。 1 Na+, K+, Ca2+のうち、静止状態の細胞では、細胞外よりも細胞内 の濃度が高いのは、Na+である。 2 プレガバリンは、高電位活性化型カルシウムチャネルのα2δサ ブユニットを介してチャネルを抑制する神経障害性疼痛治療薬 である。 3 心筋と骨格筋の興奮収縮連関においては、N 型カルシウムチャ ネルと IP3 受容体が重要な役割を果たしている。 4 カルシウムストア共役型カルシウムチャネル(容量性カルシウ ムチャネル)は、カルシウムストアから遊離された Ca2+によって 活性化される。 5 てんかんの欠神発作は、T 型カルシウムチャネルの機能亢進が原 因とされている。 問 7 次のイオンチャネル・トランスポーター、存在部位、阻害薬、 臨床適用の組合せのうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。 1 上皮性 Na+チャネル(ENaC)― 腎集合管 ― トリアムテレン ― 利尿による高血圧・浮腫治療。 2 Na+/Cl-共輸送体 ― 近位尿細管 ― スピロノラクトン ― 高カ リウム血症治療。 3 Na+/K+/2Cl-共輸送体 ― ヘンレループ ― フロセミド―利尿に よる高血圧・浮腫治療。 4 Na+,K+-ATP アーゼ ― 胃粘膜粘液細胞 ― オメプラゾール ― 胃酸分泌抑制による胃潰瘍治療 5 H+,K+-ATP アーゼ― 心筋 ― ジゴキシン ― 強心薬 問 8 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。 1 アルツハイマー病では、線条体ドパミン神経脱落によってアセチ ルコリン神経の機能が相対的に優位になっている。 2 パーキンソン病では、マイネルト核のアセチルコリン神経の機能 低下・脱落が認められる。 3 アセチルコリン M1 受容体は心臓以外の副交感神経効果器官に広 く分布する Gs 共役型受容体である。 4 テトロドトキシンは電依存性ナトリウムチャネルを阻害するこ とで呼吸抑制を起こす。 5 脱毛治療薬ミノキシジルは ATP 感受性カリウムチャネルを活性 化(開口)する。 問 9 次のイオンチャネル内蔵型受容体のうち、アゴニスト刺激に より細胞を過分極させるのはどれか。1 つ選べ。 1 non-NMDA 受容体。 2 ニコチン性アセチルコリン受容体 3 セロトニン 5-HT3 受容体 4 NMDA 受容体 5 グリシン受容体 問 10 次の記述のうちノルアドレナリン神経はどれか。1 つ選べ。 1 副交感神経節前線維 2 汗腺支配交感神経節後線維 3 副腎支配交感神経線維 4 心臓支配交感神経節後線維 5 運動神経 問 11~18 各記述に該当する薬物はどれか。下記選択欄1 よりもっとも適切なものを1つ選べ。 [選択欄:①ニフェジピン、②メキシレチン、③ジスチグミ ン、④ロクロニウム、⑤ピレンゼピン、⑥削除、⑦トリヘキ シフェニジル、⑧アミオダロン、⑨トルブタミド 問 11 電位依存性 Na+を阻害する抗不整脈薬。 問 12 KATP チャネルを阻害する糖尿病治療薬。 問 13 電位依存性 K+チャネルを阻害する抗不整脈薬。 問 14 末梢組織中アセチルコリンエステラーゼを阻害する緑内障治 療薬。 問 15 脳内ムスカリン性 ACh 受容体を遮断するパーキンソン病治 療薬。 問 16 L 型電位依存性 Ca2+チャネルを阻害する高血圧治療薬。 問 17 アセチルコリン M1 受容体を遮断する胃潰瘍治療薬。 問 18 アセチルコリン NM 受容体を競合的に阻害する筋弛緩薬。 問 19~26 各記述に該当する薬物はどれか。下記選択欄 2 よりもっとも適切なものを1つ選べ。 [選択欄:①バルプロ酸、②ネオスチグミン、③ベラパミル、 ④バレニクリン、⑤ケタミン、⑥ガランタミン、⑦バクロフ ェン、⑧グリベンクラミド、⑨フェニトイン] 問 19 アセチルコリン NN 受容体の一種であるα4β2 受容体の部分 アゴニストで、禁煙治療時の離脱症状を緩和する。 問 20 脊髄の GABAB 受容体を刺激する筋弛緩薬。 問 21 電位依存性 Na+チャネルを阻害するてんかん治療薬。 問 22 NMDA 受容体のイオンチャネル部位に結合してチャネル機 能を抑制する解離性麻酔薬。 問 23 KATP チャネルを阻害する糖尿病治療薬。 問 24 中枢アセチルコリンエステラーゼを阻害するアルツハイマー 病治療薬。 問 25 GABA トランスアミナーゼを阻害するてんかん治療薬。 問 26 末梢アセチルコリンエステラーゼを阻害する重症筋無力症、 排尿困難治療薬。 問 27~34 各記述に該当する薬物はどれか。下記選択欄 3 よりもっとも適切なものを1つ選べ。 [選択欄:①ジルチアゼム、②ナテグリニド、③ドネペジル、 ④ニコランジル、⑤リドカイン、⑥スキサメトニウム、⑦ス ピロノラクトン、⑧エトスクシミド] 問 27 アセチルコリン NM 受容体の脱分極性遮断薬で、筋弛緩薬と して使用する。 問 28 中枢アセチルコリンエステラーゼを阻害するアルツハイマー 病治療薬。 問 29 電位依存性 Na+チャネルを阻害する局所麻酔薬。 問 30 腎集合管においてアルドステロン受容体に拮抗するカリウム 保持性利尿薬。 問 31 KATP チャネルを活性化する虚血性心疾患治療薬。 問 32 T 型電位依存性 Ca2+チャネルを阻害する抗てんかん薬。 問 33 KATP チャネルを阻害する食後高血糖治療薬。 問 34 L 型電位依存性 Ca2+チャネルを阻害する虚血性心疾患治療薬。 基礎・分子薬理学という科目についての感想を一言書いてくださ い:
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