送り先 平成 10 年 7 21 日

第 31 回
甲信救急集中治療セミナー
プログラム・抄録集
2015 年 7 月 4 日(土)
松本市キッセイ文化ホール
当番施設
社会医療法人財団慈泉会
相澤病院
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ごあいさつ
社会医療法人財団慈泉会 相澤病院
救命救急センター 小山徹
甲信救急集中治療セミナーは今回で第 31 回となりますが、第 1 回は「長野県
ICU 看護セミナー」
として信州大学脳神経外科の杉田教授により開催されました。
杉田先生は世界的にも有名な脳神経外科の術者でしたが、「手作りの会でよいの
で、医師だけではなく看護婦さんにも発表できる機会を作りたい」という願いで、
1979 年に(信州)脳神経外科セミナーを、1985 年に長野県 ICU 看護セミナーを
発足させました。1988 年に脳神経外科セミナーを相澤病院が主催したときは白馬
村の体育館を利用し、学会というよりは発表会という雰囲気の中で行われました。
1999 年の第 15 回甲信州 ICU セミナーを相澤病院で主催した時は(世話人は小林
澄雄先生、現在飯田市立病院脳神経外科)
、懇親会で食事を出すのが普通で、主
催者はその費用の捻出に苦労したものです。2001 年の第 13 回脳神経外科セミナ
ー信州大会(世話人、小山)では、夕方 6 時頃から懇親会を開いたり、費用を節
約するために、図表入りの 90 ページほどの抄録集を自分で作るために 28 束ほど
の紙に両面印刷して自分でそろえるという大変な苦労をしたのを覚えています。
時代は変わりましたが、この甲信救急集中治療セミナーが、看護師さんなどの
日頃発表の機会が少ない人が、勉強した成果を発表し親睦を深めるという重要な
機会であることに変わりないと思います。今回のセミナーのテーマは、「みんな
で発表して勉強しよう」です。発表や意見交換の時間は大目にとりました。最近
は、休日に発表するなら勤務とみなし別の日
に休みたいというのが実情と思い、発表や参
加に関し無理強いはしませんでした。抄録集
の PDF ファイルを開催病院のホームページか
らダウンロードしタブレットなどで使うこと
もできるため、本来なら抄録集の印刷を大幅
に節約できるのかもしれません。手作りの精
神を残すためにも、外部の業者は入れず、広
報作成の映画など相澤病院の機器だけを使用
して準備しました。
最後に 1988 年に白馬村で行われた信州脳
神経外科セミナーの一コマをご紹介させてい
ただきます。
故 杉田教授、コメント風景
朝のテニスの後
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ご案内
1) 会場:長野県松本市水汲 69-2、キッセイ文化ホール、中ホール
TEL: 0263-34-7100
松本駅からバスで約 20 分。駅前バスターミナル 1 番線乗場から、
「信大横田
循環線」に乗り、
「総合体育館」にて下車、徒歩 3 分(右手前方に見えます)。
2 番線乗場から、「横田信大循環線」に乗り、「松本第一高校」にて下車、徒
歩 5 分(戻ってから、交差点・スポーツ橋東を右折)。
タクシーだと 12 分程度。自家用車の場合、駐車場は十分あります。
2) 受付は午前 9 時より 1 階中ホール前にて行います。参加費 1500 円をご納入下
さい。セミナー終了時にネームプレートを係りにお返しください。
3) 発表者・座長の皆様へ
- セッション 1 を除き、発表するセッションの 30 分前までに PC 受付を済ませ
てください。
- 一般演題の発表時間は 6 分、意見交換 4 分です。時間厳守をお願いします。
- 発表データは、Windows Power Point 2007・2010 で作成されたものとし、USB
メモリーまたは CD/DVD-R で持参いただき、受付にお持ち下さい。データ
としてお預かりし、発表用 PC に転送します。動画再生ソフトは Windows
Media Player に限定します。機器の持込はできるだけご遠慮いただき、ご希
望のある方は事前にご連絡ください。
- 座長の方はセッション開始 10 分前までに、会場前方の次座長席にお越し下
さい。演者の方は発表開始 10 分前には会場前方の次演者席にお着き頂き、
ご準備をお願い致します。
4) 会場内でのお呼び出しやアナウンスは原則として行いません。緊急の場合に
はスタッフにお申し付け下さい。
5) 世話人会を 13 時 20 分より 3 階、第 2 会議室で行います。昼食は準備します。
6) 昼食は発表会場(中ホール)をご利用ください。天候が良い時など屋外で食
べていただいても結構ですが、ごみは各自で責任を持って片づけてください。
7) 会場内は全館禁煙です。携帯電話はマナーモードか電源 off を厳守して下さ
い。
8) 抄録集の PDF ファイルを相澤病院のホームページからダウンロードでき、ス
マートフォンやタブレットなどでご利用いただければ幸いです。冊子もある
程度印刷しますが、品切れの際はご容赦ください。
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エントランスホール右側より
PC 受付
演者発表
受
付
セミナー会場
座長席
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第 31 回甲信救急集中治療セミナー
9:25 開会の辞
プログラム
相澤病院 救命救急センター 小山徹
9:30〜10:30 セッション 1
座長: 伊那中央病院救命救急センター
向村いつみ 看護師
1) コンテスト形式によるシミュレーショントレーニングの試み
相澤病院 ME 課 岡本梓
2) 脳外科入院患者に対する口腔ケアの取り組み
信州上田医療センターICU 病棟 宮坂明美
3) 救急車に対する視認性を高めるための反射材の使用
北アルプス広域消防本部 吉沢彰洋
4) 諏訪中央病院新棟増設に伴う、救急医療体制への取り組み
- 上手なヘリポートの作り方
諏訪中央病院救急外来 宮澤英典
5) 当院における救急救命士の役割 - 新たな業務の拡大
相澤病院防災災害救護総合センター 内堀 貴之
6) 「新人ナース教育計画」の振り返り
長野赤十字病院 B3 病棟 蓬田伸子
10:30〜11:20 セッション 2
座長: JA 長野厚生連篠ノ井総合病院救命センター 若林千代子 看護師
1) 緊急入院時の常用薬の情報収集に関する運用
相澤病院薬剤管理情報センター 中島瑠美
2) 看護を途絶えさせないための申し送りシートの作成
伊那中央病院救命救急センター 山本康代
3) 初療点滴室における患者の経過を情報共有するための取り組み
飯田市立病院救命救急センター 神部由美子
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4) 看護計画 3 日目評価の定着に向けての取り組み
伊那中央病院看護部 山本彩奈
5) CPA 患者の遺族に対する意識調査
松本市立病院外来 池田美智子
11:20〜11:30 Coffee brake
11:30〜12:20 セッション 3(症例 1)
座長: 相澤病院集中治療科 池田武史
先生
1) 脳疾患症状を呈した解離性大動脈瘤破裂の症例
飯田広域消防阿南消防署 牧内茂幸
2) 心肺停止が契機となり診断に至った ALS-D の一例
山梨県立中央病院 吉川美佐子
3) 救急搬送後に診断した筋委縮性側索硬化症 (ALS) の一例
JA 長野厚生連篠ノ井総合病院 竹田裕
4) 大動脈解離との合併で診断に苦慮した外傷性脊髄半側症候群の一例
信州大学医学部救急集中治療医学講座 三山浩
5) けいれん重積から心肺停止をきたした一例
長野市民病院救急科 森幸太郎
12:20〜13:10 セッション 4(症例 2)
座長: 安曇野赤十字病院集中治療部 藤田正人
先生
1) 診断・治療に難渋した左頸部刺創の一例
山梨県立中央病院 小林辰輔
2) インフルエンザ感染を契機に重症低 Na 血症をきたした 1 例
長野赤十字病院救急科
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赤川大介
3) 救急外来にて深頸部感染症と診断し、他の医療機関に転院搬送して救命を得た
症例
諏訪中央病院 胡田健一郎
4) 整形外科全麻手術後、HCU 入室直後に VF storm となり PCPS 導入した AMI
の一例
市立岡谷病院循環器内科 千田啓介
5) 重症アトピー性皮膚炎から Toxic Shock Syndrome に陥った 1 例
山梨県立中央病院 朝比奈千沙
13:10〜13:15 次期開催施設から第 32 回甲信救急集中治療セミナーのご案内
信州大学医学部救急集中治療医学講座 今村浩 先生
13:15〜14:00 昼食
13:20〜13:50 世話人会 (3 階, 第 2 会議室にて)
14:00〜15:00 セッション 5
座長:山梨大学医学部付属病院集中治療部 岡村真由美
看護師
1) ACS 症例の PCI 入室までの時間短縮とトリアージの有効性について
相澤病院救命救急センター 武藤真美香
2) 救命救急センター面会制限除外基準作成への取り組み
伊那中央病院看護部 有賀奈緒子
3) 救急外来における血糖測定の看護ルール
丸子中央病院看護部 小宮山真澄
4) 家族対応マニュアルとオリエンテーションツールの評価と改善
市立岡谷病院 ICU 宮川英司
5) 救命救急センターに理学療法士は必要か - 2 年間の活動実績からの一考察
相澤病院救急リハセンター 谷内耕平
6) 橈骨動脈内留置カテーテルに変化を起こす手関節の動きの検討
長野赤十字病院 B3 病棟 木村涼子
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15:00〜16:00 セッション 6(ICU)
座長: 信州大学医学部救急集中治療医学講座 新田憲市
先生
1) F 病院 ICU 退室後訪問による「環境への配慮」を強化した入室前(術前)オリ
エンテーションの効果
富士吉田市立病院 ICU 佐藤恵
2) 集中治療室における持続点滴薬剤の希釈率固定化の取り組み
佐久医療センター救急科 嶋崎剛志
3) 高ビリルビン血症患者における血漿交換の有効性の検討
山梨大学医学部救急集中治療医学講座 吉野匠
4) ICU 看護師におけるせん妄に対する意識調査
JA 長野厚生連篠ノ井総合病院 ICU 佐藤愛
5) F 病院 ICU における夜間急変時対応向上への取り組み
富士吉田市立病院 ICU 内田和美
6) 集中治療領域における、早期離床に対する看護師の認識向上に向けた関わり
- リハビリ時間表示ボード作成の効果
佐久病院佐久医療センター看護部 今井美恵
16:00 閉会の辞
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抄録集
セッション 1
座長: 伊那中央病院救命救急センター
向村いつみ
看護師
1) コンテスト形式によるシミュレーショントレーニングの試み
社会医療法人財団慈泉会相澤病院
○岡本梓(ME 課)、三澤賢治、近藤鈴子、金子秀夫、小林茂昭
今回,マキシマルバリアプリコーションに基づいた CVC 挿入の手技獲得を目的とし,シミ
ュレーショントレーニングをコンテスト形式で行なった.初期研修医と看護師のパートナーを
作り,事前学習を実施し,参加を促した.コンテストは,CVC 穿刺挿入シミュレータ(京都科
学社製)を患者に見立て実施した.まず自己紹介から始め,物品の準備,同意書の確認,消毒,
ドレーピング,vital signs の確認,CVC 挿入・固定,点滴への接続、確認のためのレントゲン
撮影の依頼をした時点で終了とした.但し制限時間の 20 分を越えた場合はその時点で終了と
し,減点対象とした.評価項目は,災害医療の基本原則として活用している CSCATTT を基に,
さらに独自のアレンジを加え点数化し,採点・評価した.評価は医師,看護師各 2 名が行ない,
合計点で順位を決定した.全ての初期研修医がコンテストに参加でき,その後に行ったアンケ
ート調査では,コンテスト開催自体について「有用であった・やってよかった」という意見が
92%であった.「とても勉強になった」「より自分自身の知識が深まった」「次回も是非参加し
たい」などの好意的な意見が多く,コンテスト開催は大変有意義なものであった.今回のコン
テストを振り返り,文献的考察を加えて報告する.
2) 脳外科入院患者に対する口腔ケアの取り組み
信州上田医療センターICU 病棟 ICU 病棟
○宮坂明美、○小菅麻衣子、高野博子、近藤裕貴、徳嵩美智子、八反田絵美
脳出血やくも膜下出血、脳梗塞などの脳血管障害により「意識障害」
「上肢の障害」
「摂食嚥
下障害」などがみられ、これらの障害は ADL の低下を招き、口腔内環境を悪化、誤嚥性肺炎
の原因となり脳血管障害の治療の妨げとなる。当院では脳神経外科医師・歯科口腔外科医師・
言語療法士・歯科衛生士がチームを作り、口腔ケア・摂食嚥下ケアを行うことにより誤嚥性肺
炎の予防、摂食嚥下機能を改善させ最終的に脳血管治療の加速を目指している。脳外科患者の
入院時、看護師が「口腔ケアアセスメント表」を記入し、口腔ケア(食事摂取)に対し一部介
助もしくは全介助がチェックされた患者は、脳神経外科主治医より口腔ケアセンターへの紹介
状を作成。歯科口腔外科医師より患者家族へ口腔ケア介入のインフォームドコンセントを行い
介入を始める。目的として、①チームでのラウンドを定期的に行い、口腔ケア、摂食嚥下にお
ける問題点を見つけ、口腔内衛生環境の改善、義歯などの口腔内機能の改善などによる摂食嚥
下リハビリ効果を増大させる。②摂食機能療法算定患者の獲得。③看護師の口腔ケア、食事介
助などの負担軽減を目指す。としている。今回、当院 ICU に入院した、くも膜下出血の患者で
開口困難にて口腔ケアが十分にできない患者の事例があった。口腔ケアチーム介入を依頼し、
看護師間統一したケアに取り組み口腔内環境が改善した事例を報告する
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3) 救急車に対する視認性を高めるための反射材の使用
北アルプス広域消防本部
吉沢彰洋
【はじめに】消防本部が運用する救急車を始め、医療機関が運用する DMAT カーやドクターカ
ー、ラピッドカーは、その存在を他者の視覚に訴えるにあたり、主として赤色灯を用いている。
この現状について、2012 年 1 月夜間に発生した高速道路上における救急救命士の殉職事故を受
け再考した。【方法】赤色灯は動力源を車両に依存しているため、車両の破損や故障時には機
能しなくなる可能性がある。また機械装置であるが故に単体としても故障の危険を伴う。これ
ら弱点を補うものとして、交通保安用品等に多用されている反射材に注目した。反射材は動力
不要で故障の恐れがなく、車体に予め貼り付けておけば、緊急時には瞬時に機能を発揮する筈
である。【結果】救急車等に反射材を貼付する、若しくは貼付を制限する法的根拠が明確では
なく、またこのことが救急車等を取り巻く各者に認識されていないと判明した。同時に海外に
おいては、緊急車両に反射材を備えるだけに止まらず、医療・消防・警察等、災害に対応する
諸機関が反射材の色を使い分け、安全且つ合理的な災害現場活動を展開していると判明した。
【まとめ】救急車に反射材を備える効果は極めて高いものと推定される。今後、消防機関、医
療機関は協調してこれを拡充する法的・物的整備に取り組むべきと考える。
4) 諏訪中央病院新棟増設に伴う、救急医療体制への取り組み - 上手なヘリポートの作り方
諏訪中央病院 救急外来主任看護師 宮澤英典
当院では、今年4月に新棟北棟として屋上ヘリポートを兼備えた急性期病棟が完成した。現
在も既存棟の外来をはじめ病棟、透析室等の改修工事を行っており、平成 29 年 4 月にはすべ
ての工事が終了し、リニューアルオープンを予定している。新棟の一階は救急初療室として拡
大運用が開始となった。近年、救急外来に搬入される救急車の台数も増加しており、重症患者
の割合も増している。その中には、救命のために高度医療が必要となり、早急に 3 次医療機関
での治療を必要とする患者も少なくない。信州大学附属病院や県立こども病院等に救急車を利
用して陸送で 1 時間程度かけて転院搬送を行う事例もある。長野県では信州大学医学部付属病
院、佐久医療センターを基地病院に 2 機のドクターヘリが活躍しているが、茅野市にはヘリポ
ートがなかった為、市内の陸上競技場や原村美濃戸口緊急ヘリポートに緊急着陸し、そこから
救急車にて傷病者の受け入れや搬送を行っていた。当院では、ドクターヘリの活躍は救急搬送
を介す為間接的であり、医療機関との連携が極めて少なく別領域の代物であると、関連性を意
識するスタッフもほとんど存在しなかった。ドクターヘリを利用すると 3 次救急医療機関まで
は 15 分から 20 分で到着できる。また、交通渋滞等に影響されることもなく、重症者を搬送で
きる。ドクターヘリが、必要時に離着陸できるヘリポートを携えることは、当地域にとっても
大変な利点があり、2 次救急医療機関の観点からも必要不可欠な設備である。今回、2 次救急
医療機関にヘリポートを設置するに当たり、企画、設計、運用にあたり、一医療スタッフとし
て関わりを持ち活動できたので報告する。
5) 当院における救急救命士の役割 - 新たな業務の拡大
相澤病院防災災害救護総合センター
内堀
貴之
現在、当院の救急救命士は 5 名おり、2 交代制で勤務している。業務内容は救命救急センタ
ー内での救急車の受け入れや診療の補助、ドクターカーの運用(消防救急車とのドッキングや
転院搬送時の運転業務など)、スポーツ大会などの救護活動、災害時の出動である。ドクター
カー出動時や救護活動などプレホスピタルでは静脈路確保や血糖測定など行うことができ、救
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急救命士として活躍することができる。そのため、普段から院内で研修を行い、スキルアップ
に励んでいる。新たな業務として、昨年度より院内の防災業務を行うようになった。それによ
り防災についての知識も必要となり各種研修会に参加している。防災訓練や消火器の使い方な
どの研修を開催し、職員に対して防災の知識の伝達を行っている。また、院内総合訓練や消防
訓練などに参加して知識を深めるために取り組んでいる。院内救急救命士の業務の確立に向け
て取り組みや今後の課題について報告する。
6) 「新人ナース教育計画」の振り返り
長野赤十字病院 B3 病棟
○蓬田伸子、峯村朝子、須藤のり子、大沢君枝
当病棟は、救急病床・HCU・EICU と重症集中治療(ICU)の 4 つのセクションに分かれて
おり、68 名の看護師が勤務している。新採用者、中途異動者(以下新人とする)を含め、年間
10 人前後の新人がいる。新人は、全てのセクションを経験し自立するには、1 年半~2 年を要
する。また、それぞれの経験や習得状況が異なるため、一人一人にあった指導計画を立案する
必要がある。そこで、当病棟に配属された新人の到達目標を明確にし、計画通りに進められる
ように「新人ナース教育計画」を作成した。1 年間の各自の予定を一覧として貼り出し、業務
習得の目標となるようにした。それにより、プリセプタ-、プリセプティのみでなく、他のス
タッフにも周知され、目標達成のために協力を得られるようになってきている。新人の個々の
習得状況に応じて変更・修正することが多くなっているので、より現状に沿った「新人ナース
教育計画」になるようにしたいと考え、プリセプタ-、プリセプティにアンケートを実施し、
「新人ナース教育計画」の振り返りをしたので報告する。
セッション 2
座長: JA 長野厚生連篠ノ井総合病院救命センター
若林千代子
看護師
1) 緊急入院時の常用薬の情報収集に関する運用
相澤病院薬剤管理情報センター ○中島瑠美、竹内 仁、保科 滋明
【はじめに】救命救急センターでは多種多様な患者が受診し、その中には入院治療が必要と判
断され緊急入院となるケースも少なくない。緊急入院患者の常用薬を把握することは、その後
の薬物治療において有用な情報となる。当院での常用薬鑑別運用手順と、鑑別システムについ
て報告する。【方法】当院では、常用薬に関する運用手順を作成し運用している。救命救急セ
ンターや入院病棟は常用薬の情報源となる紹介状や患者・家族が持参した薬剤やお薬手帳など
を薬剤管理情報センターに提出し、薬剤師が情報を確認し鑑別を行う。鑑別は薬剤鑑別システ
ムである JUSDI を用いて行い、院内採用の有無、代替薬の提示などを併せて電子カルテ内で情
報提供を行っている。また、用法用量等詳細が不明な場合は、かかりつけ医やかかりつけ薬局
に問い合せを行い、情報収集を行う。
【結論】かかりつけ医等に問い合わせをすることにより、
常用薬内容を正確に把握することができる。また患者の多くは入院後も常用薬を継続すること
が多く、鑑別を行うことにより医師の処方検討の補助や処方提案を行うことが出来る。
2) 看護を途絶えさせないための申し送りシートの作成
伊那中央病院救命救急センター看護師 ○山本康代, 唐澤誠, 小田切勇貴, 北林香織, 纐纈夏樹
【はじめに】伊那中央病院では救命救急センターが開設し、2 年が経とうとしている。当病棟
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に入院する患者の 1 日平均は 3 名程であり、夜間は一般病棟の業務負担軽減を目的の 1 つとし
て入院の受け入れを行っている。翌日には一般病棟へ転床する事も多いため他病棟へ申し送り
を行う頻度が高い。申し送りという業務の中で、「要点をまとめられない」との声や「伝え忘
れてしまう」「スタッフにより申し送りの内容に差があるのでは」などの意見が聞かれるよう
になった。また、転床先のスタッフが患者情報を把握しにくく、それにより看護の継続性が断
たれそうになったという事例もあった。元々院内共通の転床のチェックリストは存在するが、
それは物品・コストの入力忘れをなくす為のものであり、申し送り内容については個人のレベ
ルに任せていた。そのため、病棟スタッフが申し送りしやすく、患者の看護に必要な情報を確
実に伝えられる様なツールを作成したいと考えた。【活動内容】チームスタッフに事前アンケ
ートを実施し、申し送りで実際に困っていることを調査した。その調査を元に申し送りシート
を作成し、中間アンケートを実施し追加・修正を行い、最終評価を行った。【まとめ】申し送
りシートを活用することでスタッフから申し送りしやすくなった、との意見が聞かれ、また、
転床患者の今後の方針もスムーズに送ることができる様になったため、継続看護に繋げること
ができたと考えられる。
3) 初療点滴室における患者の経過を情報共有するための取り組み
飯田市立病院救命救急センター ○神部由美子、佐藤なをみ、安藤裕、加藤ゆき、井坪政和
常盤真紀子、福田寛文、三浦香代、中島和子、福田浩美
【はじめに】初療では,次々と来院するウォークイン患者や救急車対応に,担当看護師が最後
まで継続して関われない状況であった.よって,患者の状態を聞かれても分からない,患者情
報の書いてあるホワイトボードを見ても書かれていない,初療の現状が分かりづらい状況であ
った.そこで,ホワイトボードと経過記録用紙を使いながら,患者の情報共有する方法を検討
した.【目的】担当看護師を決め,ホワイトボードと経過記録用紙を導入することで患者情報
を共有する.【方法】H26 年 3 月から経過記録用紙を作成し,使用開始.日々リーダーは,担
当看護師を決め,担当看護師は担当した患者に責任を持ち,医師指示の実施,バイタルサイン,
状態観察,処置を行い,その都度経過記録用紙に記載.その状態をホワイトボードへも明示し
た.経過記録用紙使用率を H26 年 5 月から 12 月まで合計 800 名に対して調査.記録内容につ
いては 8 項目を上げ,5~12 月に 300 名に対して調査した.医師、看護師に聞き取り調査を実
施した.
【結果】経過記録用紙の使用率は、5 月は昼間 80%夜間 68%で、12 月には昼間夜間共
に 98%まで上昇した.記録内容については,5 月に比べ,経過中のバイタルサイン,検査・処
置の記載等全体的に上昇した.聞き取り調査から「処置内容、反応が一目でわかる」等意見を
もらった.【結論】患者の情報共有の手段として,担当看護師を決めた事,経過記録用紙とホ
ワイトボードの併用は有用である.
4) 看護計画 3 日目評価の定着に向けての取り組み
伊那中央病院看護部 ○山本彩奈、佐藤美奈子、中村朋美、唐澤亜由美
【はじめに】伊那中央病院救命救急センターが開設し今年で 2 年目となる。夜間の緊急入院の
多くは一般病棟看護師の負担軽減を目的として救命救急センターが担っている。そのため患者
の入れ替わりが多いことも救命救急センターの特徴である。平成 26 年のデーターによると救
命救急センターの患者の平均在院日数は 2.5 日となっている。一般病棟の平均在院日数は 9.1
日であり、一般病棟と比較し在院日数も短く、限られた時間のなかでより患者に沿った個別性
のある質の高い看護が求められる。患者の疾患や状態に沿った計画を立案するが、夜間や状態
の悪い時が多いため、どうしても標準看護計画になってしまい患者の個別性のある計画にはな
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っていないことが多い。救急病棟の特徴からも入院 3 日目に患者や家族と 3 日目評価をして、
希望に沿った計画への修正を行い、ケアの質を向上させていくことが必要であると考えた。そ
こで今回は 3 日目評価の定着と共同評価の充実に向けて取り組んだ。
〈活動内容〉①3 日目評価
を確実に行い、共同評価を実施することができる、②共同評価したことを看護計画へ反映させ
展開していく。
〈まとめ〉3 日目評価を行うことによって早期に問題解決や退院に向けた早期の
関わりが出来るようになった。また、共同評価していくことで患者に寄り添った、個別性のあ
る看護の提供へつながった。更に、3 日目評価を行うことで他病棟への転棟時に患者の情報共
有にもなり統一した看護の提供がはかれるようになってきた。
5) CPA 患者の遺族に対する意識調査
松本市立病院 外来
〇池田美智子、落合茂美
Cardiopulmonary arrest(以下 CPA)で搬送される患者の家族に対し、適切な対応が出来てい
るのか疑問を持った。CPA 患者の遺族が、救急外来での医療者の対応をどのように感じたのか
明らかにし、救急外来での家族対応の一助になるよう実態を調査した。
【方法】平成 23、24 年
度にA病院に CPA にて搬送され、24 時間以内に看取りとなった全患者 55 名の遺族に対し、電
話連絡後自記式質問紙を送付した。返信を以て協力者とする旨を確認し、意識調査を行った。
【倫理的配慮】本調査研究は松本市立病院倫理委員会の承認を得て行った。【結果考察】有効
回答率は 50%(25 名)、受け入れ時間帯別では平日日勤帯 44%、2 次当番体制 12%、夜間休日
44%であった。故人年齢は 59~100 歳で平均 82.4 歳、回答者は 37~82 歳で平均 66 歳であった。
救急車到着時に 72%の家族が同席しているが「万が一の時」について 68%が、話し合ったこ
とがなく故人の意思はわからないと回答した。挿管等、高度救命処置を望む声は 16%であった。
蘇生、処置に対し 92%が納得できる内容であったと回答した。しかし、すべての治療に立ち会
いたかったとの意見や看護師との関わりは希薄だったとの意見もあった。家族が思いを表出で
きる様ケア担当を定め、思いに寄り添う医療を提供したいと考える。
セッション 3(症例 1)
座長: 相澤病院集中治療科
池田武史
先生
1) 脳疾患症状を呈した解離性大動脈瘤破裂の症例
飯田広域消防 阿南消防署
牧内茂幸
86 歳、認知症の女性。夕食後、21 時ころトイレに入ったが 30 分以上経過しても出てこない。
トイレで倒れているところを家人が見つけ、表情苦悶で応答が鈍いため家人が救急要請。右共
同偏視、左不全麻痺、嘔吐頻回により、脳疾患疑いとして活動した。後日、医療機関収容直後
に CPA になり回復しないまま死亡したことを聞いた。この症例発表で、活動内容をさまざまな
観点から検証し、その教訓を共有するとともに、今後に生かしたい。
2) 心肺停止が契機となり診断に至った ALS-D の一例
山梨県立中央病院
吉川美佐子
【病歴】63 歳男性、軽度認知症あるが、ADL は自立していた。前年から徐々に体重減少。2 ヶ
月前より巧緻障害、呼気が上手くできない、食欲低下症状などが出現した。某日早朝路上で倒
れているところを発見され救急要請。救急隊接触時心肺停止状態(モニターPEA)CPR1 サイ
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クルで自己心拍再開し、当院搬送となった。
【臨床経過】来院時は血圧低値で昇圧剤開始した。
深昏睡と CO2 貯留(PaCO2 131mmHg)がみられ、心停止の原因は、2 型呼吸不全と考えられ
た。人工呼吸により、CO2 は低下し、意識は回復したが、呼吸筋力が弱く人工呼吸離脱が困難
であった。BMI14.7 とるい痩著明。両側上肢筋萎縮、下肢線維束攣縮がみられた。深部腱反射
亢進、ミオクローヌスなど、上位・下位運動ニューロン障害、錐体路徴候から ALS が疑われた。
針筋電図では運動単位電位の多相性電位がみられ、ALS に矛盾しなかった。気管切開と長期人
工呼吸機管理を要した。
【考察】筋萎縮性硬化症(ALS)は高次機能障害を伴わず、緩徐に進行
する四肢筋力低下を初発症状とする。しかし最近になって認知障害を伴うもの(ALS with
dementia; ALS-D)が存在することや 3%程度の症例では呼吸不全を初発症状とすることが、そ
の診断を困難としている。呼吸不全先行心停止例や長期人工呼吸離脱困難患者においては、ALS
など神経筋疾患の潜在を疑うべきである。
3) 救急搬送後に診断した筋委縮性側索硬化症 (ALS) の一例
JA 長野厚生連篠ノ井総合病院 ○竹田裕、関口幸男、服部理夫、大石奏
信州大学医学部附属病院高度救命救急センター 竹重加奈子
はじめに:神経筋疾患は一般的に慢性的な経過をとり,救急室を訪れるのは急性増悪による
ことが多い.しかし、救急搬送後に救急科で診断を行い、方針付けを行った ALS の一例を経験
した。
(症例)82 歳,女性(主訴)呼吸苦(現病歴)施設入所中で,ADL は寝たきり全介助で
あった。第 1 病日の朝から SPO2 64%(室内気)と酸素化の低下を認め、救急搬送された.来
院時には PaCO2 117 mmHg の急性Ⅱ型呼吸不全であり、NPPV を導入した.喀痰吸引を施行し、
酸素化の改善を得られ、同日に NPPV 離脱した.しかし、NPPV 離脱後も反復する呼吸不全を
認めた.2 年前から下肢に始まり進行する筋力低下のエピソードを確認していた.母子球筋の
萎縮なども認め、ALS を疑った.神経伝導検査(MCV,SCV)は正常範囲内であり、針筋電図
検査や筋生検は家族が希望されず,臨床的に ALS と診断した. NPPV 再導入は希望なく,第
9 病日に永眠された.結語:ALS は数年以上の慢性経過をたどることが多いが、数年以内の亜
急性経過を示し、診断に至らぬまま介護領域に移行していることがある.このような患者が救
急として搬送されることも増加しており、救急領域での対応困難例となっている.総合診療部
門である救急科において、神経筋疾患の診断を行うことにより診断と方針付けを行うことが可
能であった.
4) 大動脈解離との合併で診断に苦慮した外傷性脊髄半側症候群の一例
信州大学医学部救急集中治療医学講座
○三山浩、竹重加奈子、秋田真代、片山延哉、原田美貴子、嘉嶋勇一郎、
望月勝徳、小林尊志、高山浩史、新田憲市、今村浩
高血圧と糖尿病の既往のある 72 歳女性が、車の運転中に民家の壁への激突による単独事故
にて受傷した。事故の目撃証言と、出場した救急隊接触時に左片麻痺を認めたことから、先行
する内因性疾患によって事故を生じた可能性が推測された。Dr.heli で当院へ搬送。来院後の全
身 CT scan の検索で、胸部大動脈に Stanford A 型の大動脈解離と、左腎嚢胞内出血、両側多発
肋骨骨折を認めた。左片麻痺の原因に対しては、頭部 CT では明らかな、出血性・虚血性変化
は認めなかったが、解離による一時的な頚動脈の血行障害や、血栓による塞栓を生じた可能性
等を疑った。Stanford A 型解離は血栓閉塞型にて保存的加療を中心に行うことになり、平行し
て片麻痺に対して脳梗塞に準じた治療を進めたが、f/u CT scan にて、脳の変化は認めなかった。
改めて画像所見の再評価を行った。頭蓋底部の CT 所見から、頚椎 C1-2 の亜脱臼を疑い、頚髄
の MRI を追加精査した。MRI にて頚随 C1 の左側に外傷性の頚髄損傷を認めた。片麻痺を伴う
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大動脈解離は脳の血流障害を伴うことが多いが、脳血管の血流障害を同定できない場合、脊髄
病変の精査が必要である。
5) けいれん重積から心肺停止をきたした一例
長野市民病院救急科
○森幸太郎、新谷りよう介、坂口治
発症から 1 時間以上のけいれん重積のため病院到着直前に心肺停止となった症例を経験した
ので報告する.44 歳男性.難治性てんかんに対し平成 21 年大阪市内の病院で左海馬切除術を
施行し、発作は約 6 年間なかった.平成 27 年 5 月某日、長野県旅行中に山間部の温泉施設に
て入浴中に全身性の痙攣を繰り返し、意識障害となり救急要請された.発症から当院到着まで
に1時間以上を要し、到着直前に下顎呼吸となり、ER 搬入時は心肺停止であった.約 10 分間
で心拍再開し自発呼吸、循環動態は安定したが、意識障害が遷延した.ホスフェニトインナト
リウムを投与し、37 度平温療法を施行した.経過で DIC、多臓器不全を合併し,平温療法は翌
日中断し、ヘパリン持続注、FFP 輸血、ステロイド投与などを施行し徐々に全身状態は改善し
た.4 病日の頭部 CT、脳波で低酸素脳症と診断し、同日より鎮静筋弛緩の上 34 度低体温療法
を施行した.7 病日に挿管管理のまま長野県消防防災ヘリで大阪の病院に転院搬送した.けい
れん重積状態が長時間続き、2 型呼吸不全からアシドーシス、心停止に至ったと考えられた.
迅速に医療機関へ搬送し鎮静薬投与や気道確保ができていれば防げた可能性が高く、患者予後
のみならず医療費の点でも多大な損失につながった.病院選定における救急隊の判断および医
療機関の受け入れ体制について、反省を余儀なくされる症例であった.
セッション 4(症例 2)
座長: 安曇野赤十字病院集中治療部
藤田正人
先生
1) 診断・治療に難渋した左頸部刺創の一例
山梨県立中央病院
小林辰輔
症例は 74 歳女性。自殺目的で左頸部及び鎖骨上を包丁にて自損した。来院時血圧 85/43 初
回 FAST は陰性で CT を施行し、左血胸、左鎖骨下動脈と椎骨動脈起始部損傷が疑われた。大
動脈損傷は、はっきりしなかった。IVR の方針で気管挿管、胸腔ドレナージを施行、来院 70
分後突如 PEA に至ったため、左第 5 肋間開胸心マ、胸部下行遮断を行うと心拍再開した。血腫
を除去したが、明らかな出血の持続なく、大動脈の損傷も確認できなかった。血圧安定してき
たため、一時閉胸し、140 分後より血管造影を行った。まず左鎖骨下動脈造影で本幹の壁不正
と椎骨動脈の起始部途絶がみられた。右椎骨動脈造影で左椎骨動脈は逆行性に造影されるも中
途途絶。左鎖骨下動脈、椎骨動脈起始部損傷と診断し左上腕動脈から、胆管用被覆ステントを
挿入した。ステント拡張時の確認造影の際に、遠位弓部大彎から造影剤の漏出がみられ、最大
の出血源が大動脈損傷であったことが判明した。Available な大動脈用ステントは院内になかっ
た。手術室への移動前に切迫心停止となったため、血管造影室で再開胸し、大動脈損傷部を縫
合し止血を得た。さらに頸部では左椎骨動脈遠位端から back flow による出血がみられ、結紮
止血した。神経学的後遺症なく救命したが、初期 48 時間に RCC44 単位の輸血を必要とした。
医原性など穿通性鎖骨下動脈に対する被覆ステント留置は有効な方法であるが、血行動態不
安定例や他合併損傷例に対しては外科的治療を優先すべきであった。
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2) インフルエンザ感染を契機に重症低 Na 血症をきたした 1 例
長野赤十字病院救急科 ○赤川大介、山川耕司、古澤武彦、岩下具美、
柳谷信之、岨手善久、河合裕子、佐藤亜位
症例は 50 歳男性。A 型インフルエンザに罹患。食事摂取は不良であったが、飲水のみ可能
であったため多量の水道水を摂取していた。インフルエンザの診断から 2 日後に嘔吐、全身性
痙攣のため救急搬送された。血液検査にて血中 Na 濃度が 110mEq/L、血漿浸透圧 231mOsm/kg
と低浸透圧性低 Na 血症を認めたため、緊急入院となった。低 Na 血症の原因は Na 摂取不足と
水中毒と考え、水分調整で Na 補正を試みたが、血中 Na 濃度上昇は認めなかった。入院時の検
査所見を振り返ると、尿中 Na 排泄が抑制されておらず、尿中浸透圧も高値であった。さらに、
幼少期に成長ホルモン補充療法の既往があることがわかり、潜在的な下垂体機能低下症がイン
フルエンザ感染で顕在化し、下垂体性の相対的な副腎不全、甲状腺機能低下症により、低 Na
血症を来したと推察した。下垂体ホルモン検査を提出し、診断的治療目的にヒドロコルチゾン
を投与したところ、血中 Na 濃度は速やかに上昇に転じた。下垂体ホルモン検査は全体的に低
値傾向であった。糖尿病内科転科後の下垂体ホルモン負荷試験では、PRL 以外の下垂体ホルモ
ンの反応は不良であり、下垂体造影 MRI 検査ではトルコ鞍内に下垂体は同定されなかった。感
染を契機に先天性下垂体機能低下症が顕在化し、重症低 Na 血症をきたした症例を経験したの
で、文献的考察を加え報告する。
3) 救急外来にて深頸部感染症と診断し、他の医療機関に転院搬送して救命を得た症例
諏訪中央病院 ○胡田健一郎 宮澤英典 松山有隆
【病歴】健診で高血糖を指摘されているが生来健康な 71 歳男性。受診の 5 日前から咽頭違和
感を自覚した。受診の 4 日前から咽頭痛となり、徐々に嚥下困難、経口摂取困難となった。受
診当日悪寒戦慄を認め、当院救急外来を受診した。【所見】受診時発熱、頻脈、低酸素血症認
めた。tripod position で努力呼吸あり。左扁桃腫大あり、左頸部リンパ節腫脹あり、両側顎下か
ら鎖骨上にかけて腫脹硬結あり。圧痛、熱感、発赤あり。血液検査上は炎症反応の上昇、腎機
能障害を認めた。造影 CT 検査を施行し、左扁桃周囲から傍咽頭間隙、椎体前、右頸動脈間隙
の膿瘍形成、その周囲に炎症波及を認めたため、深頸部感染症と診断した。当院耳鼻咽喉科医
師と相談し、対応できる医療機関に転院搬送の運びとなった。救急外来において ABPC/SBT 点
滴静注、フェンタニル静注、ケタミン静注し、酸素投与下で転院とし、転院先の耳鼻咽喉科で
入院加療となった。深頸部感染症を速やかに診断、初期対応し、他の医療機関に転送して救命
を得た一例となった。
4) 整形外科全麻手術後、HCU 入室直後に VF storm となり PCPS 導入した AMI の一例
市立岡谷病院循環器内科 ○千田啓介、軽辺健一、翠川隆
当院は 2010 年より循環器内科を標榜し PCPS が常備されるも、その後の導入は 2 例のみであ
った(1 例は死亡、他の 1 例は離脱 15 日後に死亡)。今回 VF storm を呈した AMI に対し PCPS
を導入した(当院 3 例目)。離脱に成功し、導入までの CPR も奏功し神経学的後遺症を残さず
救命できたため報告する。症例は 55 歳男性。整形外科にて頸椎ヘルニアに対し前方固定術、
自家骨移植術を施行。術後 HCU に帰室したが、まもなく VF となった。即座に CPR 開始、ACLS
に準じて蘇生処置を行った。アミオダロン使用下に複数回 DC するも容易に VF 再燃し、VF
storm の状態であったため PCPS を導入。冠動脈造影で右冠動脈#1 に血栓性閉塞病変を認め、
引き続き PCI 施行。ステント留置し血行再建に成功した。VF は停止したが循環動態不安定の
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ため PCPS+IABP 管理を継続。ACT 200 秒程度を目標にヘパリン投与するも、創部からの出血
が持続しショック状態が遷延した。創部の圧迫止血を継続しつつ、抗凝固薬をメシル酸ナファ
モスタットに変更すると出血が減少。大量輸血も行うことで血圧維持が可能となった。3 日後
に PCPS を離脱。状態安定し離床が進み、今後社会復帰が見込まれる。経験数が少ないながら
も多職種で連携し迅速な CPR から集中治療が施行でき救命し得た。緊急時に備え、日頃からシ
ミュレーションを行うなどの取り組みも大切と感じた。
5) 重症アトピー性皮膚炎から Toxic Shock Syndrome に陥った 1 例
山梨県立中央病院
朝比奈千沙
【はじめに】アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能異常により生じる慢性疾患と考えられる
が、ときに致命的な皮膚感染症を生じる。また皮膚の脆弱性のため、治療手技自体が感染リス
クとなり、治療に難渋することがある。【症例】51 歳男性。現病歴;成人型アトピー性皮膚炎
を指摘されていた。治療コンプライアンスが悪く重症化が進み、来院 1 か月前より、プレドニ
ン内服中であった。自宅にて入浴中に倒れ、昏睡状を家人に発見され、救急搬送となった。
【来
院時所見】意識レベル GCS 3(E1V1M1)、著名な低血糖(血糖値 10mg/dl)があり、ブドウ糖投
与にて意識は改善した。血圧は維持されるも、頻脈があり、両下肢には高度の糜爛を伴う表皮
剥離がみられた。白血球 1100/μl と低下し、敗血症製ショックが疑われた。【来院後経過】集
中的治療を開始した。血液、表面膿培養からは Streptococcus equisimilis が検出された。皮膚バ
リア機能の破綻とステロイド投与による免疫不全状態が背景となり、G 群溶連菌による Toxic
Shock Syndrome が疑われた。AKI に対して CRRT 導入し連日の皮膚処置を行った。カテーテル
関連敗血症からさまざまな菌交替減少をきたし治療に難渋した。【考察】重症アトピー性皮膚
炎にともなう Toxic shock syndrome、また治療のための Tips につき文献的考察を加える。
セッション 5
座長:山梨大学医学部付属病院集中治療部
岡村真由美
看護師
1) ACS 症例の PCI 入室までの時間短縮とトリアージの有効性について
相澤病院救命救急センター ○武藤真美香、蛭田昭子、齋藤雅樹
【目的】相澤病院救命救急センターでは平成 23 年度より JTAS を用いたトリアージを導入した。
これまでトリアージの有効性について明確に示すことが出来ていなかった。そのため今回、ウ
ォークインで来院し緊急 PCI となった症例を ST 上昇の有無で分類し、受付からカテ室入室ま
での時間を計測。トリアージがどのような有効性を示すか検証した。【方法】1.平成 22 年 1 年
間にウォークインで来院した症例・平成 26 年 1 年間にトリアージを実施した症例を対象に、
プロットボックスを用いてデータの分布を把握し、分析。ST 上昇の有無に分け、受付からカテ
室入室までの平均時間を集計、t 検定で解析。
【結果】受付からカテ室入室まで、トリアージ導
入後 STEMI では有意差をもって時間短縮を認めた。NSTEMI については有意差を認めなかっ
た。【考察】STEMI ではトリアージによる治療開始時間短縮の効果がある。トリアージで ACS
を疑い、直ちに心電図を施行することは ST 上昇の有無を判断し、カテ室入室までの時間短縮
に関与するため有効であるといえる。【結語】トリアージで ACS を疑う症例において、早期に
心電図を施行することは、カテ室入室までの時間短縮と予後にも大きく影響する。今後の課題
として、非定型的な症状で来院される患者に適切なアセスメントを行い、トリアージで ACS
を抽出していけるようにしたい。
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2) 救命救急センター面会制限除外基準作成への取り組み
伊那中央病院看護部 ○有賀奈緒子、赤羽美咲、春日美幸、有賀玲子、加藤裕美、岡庭麻衣子
【はじめに】当院は救命救急センターを開設して2年目となる。当病棟は救急 ICU 2 床、救急
病棟 8 床の計 10 床で運営している。開設以来、入院患者の家族の面会については一定の制限
(面会できる人、面会時間、一回の面会人数、一回の面会時間)を設けて運営してきた。しか
し突然の事故や病気では、家族が患者の容態を受容できず動揺している場面に出くわすことが
数件あった。一定の面会制限は本当に良いのだろうかとの疑問が生じ、面会制限について再度
考えてみようと思い活動を始めた。【活動内容】病棟スタッフ全員へ面会制限に対して感じて
いること等、面会に対する思いについての調査を行った。病棟カンファレンスにてスタッフの
意見についての発表・話し合いを行い、面会制限除外基準を作成することとなった。面会制限
除外基準を作成するにあたっては、当院 ICU や他病院の面会制限状況についての情報を収集し、
それらを基に救急 ICU メンバーで話し合い決定した。決定した面会制限除外基準について救急
病棟スタッフや救急医師へ意見を求め、それらを踏まえた上で完成とし、救命救急センター全
体に周知徹底した。【まとめ】今回改めて面会とは誰のための何のためのものであるかという
ことについて考え、家族ケアの一環であるという結論に至った。今後は面会制限除外基準適応
患者が入院した際には上記を活用し、より良い家族ケアが提供できるように努めていきたい。
3) 救急外来における血糖測定の看護ルール
丸子中央病院看護部 ○小宮山真澄、小山千春、宮坂美代子、高末真知子
【はじめに】低血糖は治療が遅れると重篤な脳障害を起こす。今回、救急隊から眼球の右への
共同偏視と右上肢の運動はあるが左半身は動かないとの連絡を受け、右脳出血を疑い、低血糖
の診断が数 10 分間遅れた症例を経験した。そこで、意識障害がある患者、片麻痺がある患者、
痙攣がある患者では、包括的な医師の指示のひとつとして、救急外来看護における血糖測定の
ルールを作成し、実行に移したので報告する。【症例1】自家用車内で意識消失しているとこ
ろを家族が発見し救急搬送の要請をした。救急隊接触時の意識レベルは GCS にて E1V1M1、
BP185/75、P57 回、RR16 回、SPO2 100%であり、右共同偏視、右上肢の運動はあるが左は
動かないとの情報あった。自発呼吸も弱く、アンビューバック下で人工呼吸されながら救急搬
送されてきた。病院到着時 GCS にて E1V1M1、呼吸微弱、瞳孔収縮 1 ㎜、共同偏視なし、体
動なしで、直ちに気管挿管し人工呼吸を開始した。ラクテックにて血管確保し、高血圧に対し
てはヘルベッサーを開始した。脳出血を疑い頭部 CT、血液検査を実施した。頭部CTでは脳
出血は認めなかった。臨床検査技師より血糖 15mgとの報告があり 50%ブドウ糖 40mlを静
注し意識が回復した。家族に確認すると食道がんの手術後で退院当日であり、糖尿病薬を服用
しながら昼食も未摂取で買い物をしていたとのことであった。【結語】低血糖は治療が遅れる
と重篤な脳障害を起こす。フィジカルアセスメントだけでは、脳卒中、てんかん、中毒など
との区別がつかないことも少なくない。私達の救急外来看護における血糖測定のルールは極め
て有用と考える。
4) 家族対応マニュアルとオリエンテーションツールの評価と改善
市立岡谷病院 ICU ○宮川英司、石本由紀子、林恵美
【はじめに】当院 ICU では患者家族への対応の向上を目指し、平成 25 年度より家族対応マニ
ュアル(以下マニュアル)とオリエンテーション用に配布用紙とパンフレット(以下オリエン
テーションツール)を活用している。しかし、面会制限が守られないなどの問題が生じ、家族
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への対応を見直す必要があった。また、家族が看護師の対応などに満足しているかを評価し、
改善につなげたいと考え、本活動に取り組んだ。【方法】1.家族対応の問題点を抽出、マニ
ュアルとオリエンテーションツールを改善後スタッフへ周知。2.ICU 緊急入院患者の家族を
対象にオリエンテーションツールと看護師の対応の満足度についてアンケートを実施、必要時
マニュアル等を修正。【結果】家族以外の面会者の頻繁な出入りに対して、マニュアルに新た
なルールを追加した。さらに面会制限について待合室に掲示して家族への周知を図った。その
結果、家族への対応が統一され面会制限が守られるようになった。アンケートは全ての項目に
おいて満足しているという結果であった。しかし、途中退室後の再入室方法が説明されていな
いことが分かり、パンフレットに説明を追加した。また、案内が不十分であったためパンフレ
ットを見ていない家族がおり、パンフレットを手に取りやすい様に工夫した。そして、マニュ
アルに家族の心理的危機状態を支援するための目的・目標を明記し、より意図的なオリエンテ
ーションや対応を行うようにした。
5) 救命救急センターに理学療法士は必要か - 2 年間の活動実績からの一考察
相澤病院救急リハセンター 〇谷内耕平、野崎惇貴、大見朋哲
【はじめに】当院救命救急センター(以下 ER)は北米型 ER 方式をとっており、一次から三次
救急まで診療を行っている。2013 年 4 月より理学療法士(以下 PT)2 名を ER 専任として配置
し、主に急性発症の運動器疾患を対象として業務を開始した。今回、2 年間の活動実績と今後
の課題について報告する。【活動実績】ER 専任 PT の勤務時間は日勤帯のみで、一日当たり 1
~2 名の出勤とした。2013 年 4 月~2015 年 3 月での PT 介入は延べ 2775 件。疾患は筋性疼痛、
骨折、靭帯損傷の順で多かった。障害部位は背中/腰、膝/下腿、足/足部の順で多く、外傷
に限らず、慢性疼痛の急性増悪例も多かった。業務量は一日平均 3.8 件、6.8 単位(1 単位 20
分)であった。実施内容は、急性期ケアの実施と指導、疼痛緩和手技、動作・運動指導が主で、
必要に応じて動作や生活背景からみた帰宅の可否について医師へ情報提供を行った。また、上
記以外に急性期呼吸理学療法等も一部行った。【考察】ER を受診された患者のうち PT が専門
的に対応できる患者は存在し、ER における PT の必要性が示唆された。また、これら業務はこ
れまで医師・看護師・救命士が実施していた内容が一部含まれており、PT 介入により他職種の
業務負担軽減が図られ、効率的な ER 運営に寄与できる可能性が高いと思われた。今後は、対
応患者の選定とその効果について更に明確にしていく必要があると考える。
6) 橈骨動脈内留置カテーテルに変化を起こす手関節の動きの検討
長野赤十字病院 B3 病棟 〇木村涼子、中桐さち子、大内あや子、竹村麻里恵
【目的】橈骨動脈内留置カテーテル挿入中のトラブルは、手関節を動かすことによるカテーテ
ルの変化が原因ではないかと考えた。患者にとって安全で、かつ苦痛の少ない A ライン挿入中
の手関節の動かし方を明らかにする。【方法】独自に作成した血管モデルを使用し手首の運動
(掌屈・背屈、回内・回外、尺屈・橈屈)を行う。カテーテルがどのように変化したのかを観
察し、集計した。観察項目は屈曲の有無・数とした。分析方法: Mann-Whitney 検定を用い、
比較・分析を行った。【結果】屈曲の有無:掌屈・背屈は、回内・回外と尺屈・橈屈の間に有
意差が認められた。(p<0.01)回内・回外と尺屈・橈屈の間では有意差が認められなかった。
屈曲の数:掌屈・背屈は、回内・回外と尺屈・橈屈の間に有意差が認められた。(p<0.01)回
内・回外と尺屈・橈屈の間では有意差が認められなかった。【まとめ】実際、患者に留置され
ているカテーテルの変化がどのような動きで起きたのか、今回の結果だけでは特定できない。
しかし、掌屈・背屈は他の 2 つの運動に比べて有意にカテーテルに変化を起こしているため、
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掌屈・背屈の制限をする効果は高いと考える。理解の得られる患者には、掌屈・背屈の動きを
制限するように説明することでトラブルを未然に防ぐことができる。スタッフへの指導を行う
際にも、掌屈・背屈の動きを制限するシーネ固定が必要であることを根拠に基づいて説明する
ことができる。
セッション 6(ICU)
座長: 信州大学医学部救急集中治療医学講座
新田憲市
先生
1) F 病院 ICU 退室後訪問による「環境への配慮」を強化した入室前(術前)オリエンテーショ
ンの効果
富士吉田市立病院 ICU ○佐藤恵、山口昴、渡邊泰子
【目的】ICU 退室後訪問により、ICU 入室前(術前)オリエンテーションに「環境への配慮」
を追加し説明を強化したことによる患者への効果を明らかにし、更なる課題を明らかにする。
【方法】平成 26 年 9 月から平成 26 年 12 月において、術後 ICU 入室予定の認知障害、術後せ
ん妄が生じることなく術後経過し、インタビューに答えることが可能な患者で、壮年期~老年
期の患者 40 名。過去の ICU 退室後訪問で①アラーム音などの器械音、②人の声、③夜間
照明、④隣の患者の様子が伺え落ち着かない等の患者の意見を考慮し、従来の ICU 入室前パン
フレットにそれらに関する事前説明と対応策(夜間の消音、耳栓の使用、遮光ロールカーテン
の導入、移動型仕切りつい立の活用など)を追加し説明を強化した。【結果】90%の方が「イ
メージできた」と答えた。「イメージできない」は 7.5%、「覚えていない」は 2.5%であった。
「思っていたより明るかった。」「近くにいてくれて安心を感じた。」という回答が聞かれた。
また、「戸惑いはなかった」は 75%「戸惑った」は 7.5%「覚えていない」は 12.5%で、「夜中
の入院があった。その時うるさかったが説明されたので大丈夫だった。」という回答も聞かれ
た。【結論】新たなパンフレットを用いて説明することで大多数の方が「環境」についてイメ
ージができ、ニードの充足に繋がった。ただし「環境」は人により感じ方が異なる為その都度、
患者自身に確認するなどの配慮が必要である。
2) 集中治療室における持続点滴薬剤の希釈率固定化の取り組み
佐久医療センター救急科
○嶋崎剛志、小林絵梨、渡部修、岡田邦彦
集中治療室では鎮痛薬、鎮静薬、循環作動薬など、希釈を要し投与量のミスで致死的となり
うる薬剤が使用されている。当院のインシデントレポートシステムでも薬剤に関するインシデ
ント報告が多く、年間に数件は希釈ミスによる報告がある。薬剤の希釈ミスは指示を出す医師
側、受ける看護師側のいずれも原因となりうるが、薬剤の希釈率を固定化することがいずれの
原因も解決する方法として挙げられる。当院は 2014 年 3 月に医療センターとして開院したが、
救急救命センターの設立にあたり、これまで集中治療室で働いたことない多くの看護師が配属
された。口頭指示が避け難く残っている集中治療室で、よりミスの起こりにくい環境造りが必
要であった。そこで救急科が主体となり関連各科と相談して希釈率の固定案を作成、院内メー
ルで公示を行って意見を集約し、希釈率の固定化を開始した。今回、希釈率固定化の実施に至
るまでの問題点や実施後の効果、今後の課題・展望について考察を交えて報告する。
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3) 高ビリルビン血症患者における血漿交換の有効性の検討
山梨大学医学部救急集中治療医学講座 ○吉野匠、森口武史、針井則一、後藤順子、柳沢政彦、
原田大希、菅原久徳、高三野淳一、松田 兼一
【目的】血漿交換(plasma exchange: PE)は,肝不全などにおいてビリルビン(Bil)を主とす
る大分子の毒性物質除去を目的に施行される場合があるが,施行後 Bil が再上昇する例が多い.
今回 PE 前後での Bil の変動に着目し,PE の効率と予後について検討した.
【対象と方法】対象
は 2006 年 12 月から 2015 年 5 月に当院 ICU にて PE を施行した高 Bil 血症患者 13 症例とした.
施行前後の Bil 値の変動について PE 施行後 28 日における生存群・死亡群毎に検討を行った.
【結果】28 日後の生存率は 46.2%で,施行前後での Bil 変化率は生存群で-29.4±16.5%,死亡
群では-35.0±14.5%であり両群間に差を認めず,また施行 24 時間後での変化率も生存群で-12.6
±12.7%,死亡群で-12.3±18.0%であり同様に両群間に差はなかった.しかし,施行 48 時間後
での変化率では生存群で-8.7±21.3%,死亡群では+5.1±12.3%であり,両群間に差を認める結
果となった(p=0.044).PE 施行後から翌朝の Bil 値の上昇率は生存群で 22.9±18.4%,死亡群
で 37.8±16.7%と死亡群で有意に高い結果となった(p=0.0052).【考察,結語】PE 施行による
ビリルビン変化率は直後・24 時間後では両群間で有意差を認めない結果となったが,48 時間
後では死亡群で有意な上昇を認めた.また,PE 施行後のビリルビン値再上昇は死亡群で有意に
高い結果となった.これは残存肝機能の低下を反映していると考えられ,PE 施行後におけるビ
リルビン値の再上昇の程度は,予後を予測する因子になりうると考えられる.
4) ICU 看護師におけるせん妄に対する意識調査
JA 長野厚生連篠ノ井総合病院 ICU ○佐藤愛、須田望智美、酒井慶子、奥野千春、岡村晴美
【はじめに】せん妄は多臓器不全の一つであり発症は全身状態の変化の予兆であると考えられ
ている。看護師のせん妄に対する意識を調査し勉強会を実施、せん妄に対する意識の変化につ
いて調査したため報告する。
【方法】1.期間:平成 26 年 7 月~10 月 2.対象:ICU 看護師 11 名
3.データ収集方法:調査用紙を用い勉強会前後で看護師のせん妄に対する意識の変化を比較。
看護上せん妄の優先順位等 3 項目を VAS 尺度、せん妄の判断に迷う点は何か等 5 項目を自由記
述で回答を得、KJ 法にて分析・カテゴリー化を行った。せん妄症状 14 項目は 4 段階で回答を
得た。VAS・4 段階回答項目はt検定を実施。【結果】せん妄症状項目の「光や音に敏感」「ぼ
んやりしている」で有意差がみられた。せん妄の対応について勉強会前は患者に声掛けする、
見守り、同勤務者へ相談、薬剤使用、アセスメント、勉強会後は上記に加え勤務者とのカンフ
ァレンスというカテゴリーが抽出された。【考察・結論】せん妄の知識不足と低活動型の判断
が困難なことが不安の要因になっていると考えられ、確実にせん妄の判断ができる評価ツール
の導入、更なる知識獲得が必要である。せん妄の対応について勉強会後は他職種とのカンファ
レンスや家人への説明といったコードが抽出され意識の変化があった。また低活動型症状も
重要視する傾向がみられた。チーム間での患者の情報共有や家人への説明・協力がせん妄予防
に繋がることが示唆された。
5) F 病院 ICU における夜間急変時対応向上への取り組み
富士吉田市立病院 ICU
○内田和美
登喜美恵
渡邊泰子
【目的】F 病院 ICU ではスタッフの約半数が BLS プロバイダー・インストラクターを取得して
いるにも関らず、実際の急変の場面においてリーダーシップが十分発揮できず、夜間 2 名体制
での急変対応にマンパワー不足が生じた。そこで、今回、夜間を基盤に急変時対応マニュアル
を作成しチームでシュミレーショントレーニングを実践し、急変時対応の向上を図ることとし
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た。【方法】1)現状把握。ICU の夜勤は2人体制であり、他の患者の対応・効果的なCPR
の実施などの対応に困難が生じていた。また、誰にどのタイミングで報告・連絡し支援を得る
べきか等、明確ではなかった。2)夜勤対応を考慮した急変時対応マニュアルの作成。夜間ス
タッフ2名勤務ということを考え、当院の支援システムをふまえ他施設のマニュアルや急変対
応に関する文献等を参照し作成した。3)シナリオを用いたシュミレーションの実践。シナリ
オを 3 例作成し繰り返しシュミレーションを実施、マニュアルの追加・修正を行った。
【結果】
夜間対応型急変時対応マニュアルに基づきシュミレーションを行い、振り返りを繰り返す中で
急変対応のイメージ化が促進できた。DVD 化もできた。その後、夜間の急変場面で、マニュア
ルと異なった行動(個々の価値感で行動し役割遂行が不十分)によって、家族対応に支障をき
たした事例を経験しマニュアルに沿った対応の重要性をチームで確認できた。更なる急変対応
の見直しと訓練が課題である。
6) 集中治療領域における、早期離床に対する看護師の認識向上に向けた関わり- リハビリ時間
表示ボード作成の効果
佐久病院佐久医療センター看護部 GICU ○今井美恵、斉藤まゆみ、中山寿美枝
【はじめに】集中治療領域における早期の離床や呼吸リハビリが注目されており、看護師もそ
の重要性を認識している。当 ICU でも開心術後の患者が多く入室しており、術翌日から、ドレ
ーンや CV などのルート類が挿入され、経口挿管、人工呼吸器装着中の患者もリハビリが開始
となっている。このような状態のなかで、安全に端坐位などリハビリをしていくためには、医
師やリハビリスタッフ、MEなどの多職種との時間の調整や患者の準備が必要となる。しかし、
ベットサイドにリハビリスタッフが来た時点でリハビリの時間であると把握して
いる事が多い現状であり、リハビリの種類や時間は電子カルテ上からも確認できるが、事前に
確認しているスタッフは少なく、人手が間に合わず、検査や処置がかぶり患者にとって有意義
なリハビリの時間を得られていない事が多かった。今回、看護師とリハビリスタッフの連携が
とれ、患者さんにとって安全かつ有効にリハビリができるような関わりが
重要であると考え、ベットサイドでのリハビリ時間表示ボードを作成した。【結果】リハビリ
時間表示ボードが活用され、リハビリをケアのひとつとして毎日実施される状態となった。リ
ハビリスタッフとの連携などにも良い効果がみられた。【考察】リハビリ時間表示ボードを活
用することで、日々のケアの中にリハビリが位置づけられ、看護師のリハビリに対する認識が
向上したことが影響したと考えられる。
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開催記録 (施設名称等は開催当時の名称)
第 1 回長野県 ICU 看護セミナー 1985 年 9 月 1 日
当番施設:信州大学医学部附属病院 救急部
施設長 杉田虔一郎 清野誠一
世話人 杠栄樹 茂野テル子
第 2 回信州 ICU セミナー 1986 年 9 月 21 日
当番施設:信州大学医学部附属病院 救急部
施設長 杉田虔一郎 清野誠一
世話人 杠栄樹 茂野テル子
第 3 回信州 ICU セミナー 1987 年 8 月 30 日
当番施設:長野赤十字病院
施設長 青木猛
世話人 大塚顕 飯島信子
第 4 回信州 ICU セミナー 1988 年 8 月 28 日
当番施設:長野県がん検診・救急センター
施設長 清水方平
世話人 小林直樹 西沢ミツ代
第 5 回信州 ICU セミナー 1989 年 8 月 27 日
当番施設:厚生連佐久総合病院
施設長 若月俊一
世話人 高松道夫 山﨑しめ子
第 6 回信州 ICU セミナー 1990 年 8 月 26 日
当番施設:昭和伊南総合病院
施設長 塩原順四郎
世話人 水野正彦 辰野みさ子
第 7 回信州 ICU セミナー
1991 年 8 月 18 日 東部町 ラ・ヴェリエ
当番施設:小諸厚生総合病院
施設長 坂本和夫
世話人 臼井健二 佐々木容子
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第 8 回信州 ICU セミナー 1992 年 8 月 30 日
当番施設:厚生連北信総合病院
施設長 清水善次
世話人 馬場浩介 田中敏信
長野市 アクティホール
第 9 回信州 ICU セミナー 1993 年 8 月 29 日
当番施設:健康保険岡谷塩嶺病院
施設長 奈良田光男
世話人 大平政人 北原千恵子
岡谷市 長野県女性総合センター
第 10 回信州 ICU セミナー 1994 年 8 月 27 日 飯田市 飯田人形劇場
当番施設:飯田市立病院
施設長 宮川 信
世話人 疋田仁志 小沼喜代子
第 11 回信州 ICU セミナー 1995 年 9 月 2 日 日義村 木曽文化講演文化ホール
当番施設:長野県立木曽病院
施設長 朝日竹四
世話人 北澤公男 狩戸和子 青木いち子
第 12 回甲信州 ICU セミナー 1996 年 8 月 31 日 韮崎文化ホール
当番施設:山梨医科大学救急部・集中治療部
世話人 三塚繁 高野和美 石川みゆき
当番施設:山梨県立中央病院 救命救急センター
世話人 松田潔 早川悦子 木嶋文子
第 13 回甲信州 ICU セミナー 1997 年 8 月 30 日 長野市 松代ロイヤルホテル
当番施設:長野市民病院
施設長 古田精一
世話人 竹前紀樹 宗像康博 五十嵐君代
第 14 回甲信州 ICU セミナー 1998 年 8 月 29 日
当番施設:長野県立こども病院
施設長 川勝岳夫
世話人 大畑淳 高野泰江
安曇野スイス村サンモリッツ
第 15 回甲信州 ICU セミナー 1999 年 8 月 7 日 松本市 ホテル・ブエナビスタ
当番施設:特定医療法人慈泉会相澤病院
施設長 相澤孝夫
世話人 小林澄雄 柿沢寿美江 寺島けさみ
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第 16 回甲信州 ICU セミナー 2000 年 6 月 3 日アピオ・ウェディングプラザ甲府
当番施設:山梨医科大学 救急部・集中治療部
世話人 田中行夫 岩下直美
第 17 回甲信州 ICU セミナー
当番施設:国立長野病院
施設長 武藤正樹
世話人 大澤道彦
2001 年 7 月 7 日 上田市 文化センター
第 18 回甲信州 ICU セミナー
当番施設:諏訪赤十字病院
施設長 中藤晴義
世話人 大橋昌彦
2002 年 7 月 6 日 諏訪市 ホテル紅や
第 19 回甲信州 ICU セミナー 2003 年 7 月 12 日長野県農協ビルアクティーホール
当番施設:JA 長野県厚生連篠ノ井総合病院
施設長 松尾宏一
世話人 深谷幸雄
第 20 回甲信州 ICU セミナー 2004 年 7 月 10 日
当番施設:山梨県立中央病院
施設長 高相和彦
世話人 松田潔 松園幸雄
山梨県立県民文化ホール
第 21 回甲信州 ICU セミナー 2005 年 7 月 9 日 マリエール伊那
当番施設:伊那中央病院
施設長 小川秋實
世話人 北澤公男 金沢千佳子
第 22 回甲信救急集中治療セミナー 2006 年 7 月 8 日 信州大学旭研究棟
当番施設:信州大学医学 部救急集中治療医学講座
施設長 岡元和文
世話人 堂籠博 小林利江 片岡秀樹
第 23 回甲信救急集中治療セミナー 2007 年 7 月 14 日 飯田市鼎文化センター
当番施設:飯田市立病院
施設長 千賀 脩
世話人 神頭定彦 山本一也 代田とみ子 原明子 福田浩美
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第 24 回甲信救急集中治療セミナー 2008 年 7 月 12 日 八ヶ岳ロイヤルホテル
当番施設:山梨大学医学部 救急集中治療医医学講座
世話人 松田兼一
第 25 回甲信救急集中治療セミナー 2009 年 6 月 27 日 佐久総合病院
当番施設:JA 長野厚生連佐久総合病院
施設長 夏川周介
世話人 岡田邦彦
第 26 回甲信救急集中治療セミナー 2010 年 7 月 3 日 長野赤十字病院
当番施設:長野赤十字病院
施設長 清澤研道
世話人 岨手善久
第 27 回甲信救急集中治療セミナー 2011 年 7 月 9 日 スイス村サンモリッツ
当番施設:安曇野赤十字病院
施設長 澤海明人
世話人 藤田正人
第 28 回甲信救急集中治療セミナー 2012 年 7 月 7 日 ふじさんホール
当番施設:富士吉田市民病院
施設長 樫本温
世話人 前田宜包
第 29 回甲信救急集中治療セミナー 2013 年 7 月 6 日 いなっせ
当番施設:伊那中央病院
施設長 川合博
世話人 北澤公男 北林浩 向村いつみ
第 30 回甲信救急集中治療セミナー 2014 年 7 月 6 日 JA 長野県ビルアクティーホール
当番施設:JA 長野厚生連篠ノ井総合病院
施設長 木村薫
世話人 関口幸男 外間政信 唐澤清子
第 31 回甲信救急集中治療セミナー 2015 年 7 月 4 日 松本市キッセイ文化ホール
当番施設:社会医療法人財団慈泉会相澤病院
施設長 相澤孝夫
世話人 小山徹 金子秀夫
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甲信救急集中治療セミナー会則
第1章 名称
第1条 本会は甲信救急集中治療セミナーと称する。
第2章 目的及び事業
第1条 本会は長野県及び山梨県における救急集中治療の普及と進歩と発展に貢献することを目的
とする。
第2条 本会は前条の目的を達成するために次の事業を行う。
1.学術集会の開催
2.関係団体との協力活動
3.本会の目的を達成するために必要なその他の事項
第3章 会員
第1条 会員は本会の目的に賛同したもので、下記のいずれかに該当し、第3章第2条に定める手続
きを完了したものとする。
1.正会員: 医師、看護師、臨床工学士、救急救命士、その他の医療従事者で、本会の目的に賛同
し所定の会費を納めた者。
2.協力会員:その他の者で、本会の目的に賛同し、所定の会費を納めた者。
3.賛助会員:本会の目的に賛同し、特別の所定の会費を納入し、会計面を支援する団体もしくは
個人。
第2条 本会に入会しようとする者は、年会費を当該年度の学術集会の会場費と合わせ、納入するか、
本会事務局に申し込むものとする。
第4章 役員
第1条 本会には次の役員をおく。なお、代表は世話人の中から選出するものとする。
1.会長 (当番世話人)
2.副会長(次回世話人)
3.世話人 若干名
4.監査
2名
5.顧問
若干名
第2条 本会の役員は、次の職務を行う。
1.会長は本会を代表し、本会を統括する。
2.世話人は世話人会を組織し、会の運営に関する重要事項を合議する。
3.監査は会務を監査する。
4.顧問は世話人会に出席し助言を与えることができる。
第5章 会費
第1条 当分の間、年会費は 500 円とする。
「附則」
1)本会則は、世話人会の合議を経て変更することができる。
2)本会則は、一部改正の上、平成 10 年 8 月 29 日より実施する。
3)本会則は、一部改正の上、平成 18 年 7 月 8 日より実施する。
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