58 プロティン S 欠乏症で反復 DVT を治療中に下着の締付けも一因と思しき再発の症例 ◎本田 めい子 1)、小丸 検造 2)、平 貴子 2)、吉原 浩介 2)、長田 かな子 2)、雨森 健太郎 3)、城 達郎 4)、大野 麻紀 3) 日本赤十字社 長崎原爆病院 1)、日本赤十字社 長崎原爆病院 生理学検査室 2)、日本赤十字社 長崎原爆病院 循環器科 3)、日本赤 十字社 長崎原爆病院 血液内科 4) 【はじめに】静脈血栓塞栓症(VTE)の危険因子は種々ある。 生理が始まり、専用の下着に変更。その 3 日後 6/17:左下 長時間の動きのない拘束、肥満や妊娠、分娩、エストロゲン療法、 肢に DVT(+)この時のエコー中、下着の締付けが気になり主 血栓増加症(プロティンS,C,ATⅢ等の欠乏症)等々。今回、両 治医に報告。7 日後の 6/23:血栓退縮、退院。退院 2 日後 親からプロティンS(PS)欠乏症と遺伝性球状赤血球症(HS)を の 6/26:左鼠径部の痛みで受診、左下肢に DVT(+)も入 受け継いだと思われる反復する DVT の症例を経験したので 院拒否で外来にて治療。以降は Dダイマーなどでフォロー。約 1 年 報告する。【症例】27歳女性、中肉中背、正座が好き 後の 2015 年 5 月の下肢静脈エコーでは DVT(-)。 【既往歴】PS 欠乏症、HS、総胆管結石、鬱病 【考察】PS 欠乏症で、血栓が生じ易い体質ではあるが、入 【家族歴】父:HS、母:DVT,PET、叔父:DVT 院治療中に一旦は消失した血栓が月経を契機にエストロゲンの増 【経過】2010 年 6 月:左下肢に DVT(+)S 病院で治療。 加が凝固を促進、加えて専用下着の締付けで新規側副血行 10 月:ワーファリンコントロールと総胆管結石の治療目的で N 病院紹介。 路が圧迫されたり、ベッド上でも正座をしていたなどで更 11 月:HS 治療の摘脾判断依頼で当院紹介。2013 年 3 月: に血流がうっ滞し、より凝固が促進され血栓が再発したも N 病院投与のワーファリンを一度に 42 錠摂取、それ以後は投薬中 のと思われた。HS は脾摘後に DVT を合併するとの報告が 止。投薬中止 1 年後の 2014 年 4 月:HSフォローにて当院通院 あるが、未施行であり、今回の DVT の一因ではないと考え 中に左下肢痛訴え、DVT(+)入院。14 日後消失。退院。 る。【結語】PS 欠乏症の女性患者さんで、下肢静脈エコー時 退院 1 か月後 5/30:左下肢に DVT(+)も外来治療を希望。 に、下着の締付けが気になり、担当医に報告したところ、 10 日後の 6/11:下肢エコーにて DVT(-)も下腿の痺れ感にて入 患者さんに対し「特に生理中は余裕のある下着を着け、生 院治療継続を希望、CT でも DVT(-)及び腹壁静脈を介す 理前後の足の腫れや痛みに気をかける。また、正座もひか る側副血行路出現の報告あり。DVT 消失後 4 日目の 6/14: える」などの指導があった。
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