第3学年 組 数学科学習指導案

平成24年度 「白山学」 数学3年 資料
算数・数学
「理由や根拠を明確にし、筋道を立てて説明する活動の充実」
第3学年○組
数学科学習指導案
1 単元名 相似な図形
2 単元の目標
① 数学への関心・意欲・態度
相似の見方で図形を考察したり,三角形の相似条件や平行線と線分の比などを利用して,積極的に図形の性質を考
察したりしようとする。
② 数学的な見方や考え方
三角形の相似条件や既習の図形の性質を用いたり,平行線と線分の比に関する性質を関連させたりして,図形の性
質を考察することができる。
③ 数学的な技能
相似な図形の性質を,ことばや式などを用いて表したり,よみとったりすることができ,具体的な課題を解決する
ことができる。
④ 数量,図形などについての知識・理解
平面図形の相似の意味及び三角形の相似条件,基本的な立体の相似の意味と相似な図形の相似比と面積比及び体積
比の関係について理解している。
3 指導にあたって
(1)教材観
2年生では三角形の合同条件を用いて,三角形や平行四辺形の基本的な性質を論理的に確かめることを学習してい
る。ここでは,三角形の相似条件などを用いて図形の性質を論理的に確かめ,数学的に推論することの必要性や意味
及び方法の理解を深めていく。また,基本的な立体の相似の意味を理解し,相似な図形の性質を用いて図形の計量が
できるようにする。
図形の性質を数学的な推論によって考察するにあたって,合同,相似という見方は基本的な見方である。2年間に
わたるこの学習を通して,論理的に考察し表現する能力を確実なものにするとともに,相似の考えを活用できること
の理解を通して,数学のもつ実用性やよさについて,理解を深めることができる単元でもある。
級は全体的に明るく,落ち着いた学習態度である。学力差は大きいが,分からないところを教え合ったり、協力し合
ったりする態度も見られ,難易度が高い課題でも最後まで解決しようとする学習意欲がある。本単元に入る前に実施し
た準備テストは以下のような状況であり、学習集団としては,基本的な既習内容は身についているといえる。
平行線における等しい角をみつける。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・同位角 62% 錯角 78%単に表すことができる。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
整数 97% 小数 54%3)指導観時の証明は,既習の図形の性質を使って多様な考え方で証明することができ,
『根拠
を明確にし,筋道を立てて説明する』ことが楽しめる魅力ある題材である。本時はその考え方の中から「相似な図形の
性質を使って証明する」ことにじっくり取り組ませたいと思う。本授業においても個→小集団→全体という形態を取り
入れ,自分の考え方の道筋を説明したり仲間の考え方を聞いたりしながら,根拠が明確になり証明の筋道が徐々に見え
ていく面白さが感じとれるようにしたい。その際,証明の記述は,自分の考えを説明するために必要なことを書く程度
にし,証明の根拠や筋道を自分の言葉で説明し合うことを指導の重点に置く。手応えある課題であるため,考えを次に
進めることが難しい状況も予想されるが,解決の糸口になる生徒の考えを上手く引き出し,全体の理解力を高めていき
たい。模範となる表現を示しながらも自分の言葉で説明させ,
“根拠を明確にし,筋道を立てて証明できた”という達
成感を味わわせたい
4 単元の指導・評価計画
次
学習内容
(総時数 15時間)
観点
学習活動と主な思考の流れ
指導と評価
① ② ③ ④
○「形が同じ」という意味とは。
・拡大図や縮図をかいて図形の性質を考察しようとす
・形を変えずに,一定の割合で拡大,または
縮小して得られる図形はもとの図形と相
る。
○
☆対応する点や辺,角に注目させ,関係を見つけやす
似であるという。
くする。
○相似な図形にはどんな性質があるか。
・相似の意味や相似な図形の性質を理解している。
・相似な図形の性質
相似な図形
○
1 対応する線分の比はすべて等しい。
2 対応する角の大きさはそれぞれ等しい。
(ワークシート)
☆方眼紙のマス目を利用し,対応する辺や角につい
て,関係を表す式を書かせ,性質を理解させる。
○相似な図形の辺の長さを求めるには。
・比の性質を利用して,相似な図形の未知の辺の長さ
・相似な図形の対応する線分の比を,それら
の図形の相似比という。
の比を求めることができる。
○
(挙手・ノート)
☆対応する辺を確認しながら書かせ,比例式がつくれ
・相似比を利用して辺の長さを求めることが
るよう指導する。
できる。
○2つの三角形が相似であるための条件と
一
(
6
)
(ワークシート)
・三角形の合同条件をよりどころにして,2つの三角
は。
形が相似になるための条件を考察しようとする。
・三角形の相似条件
13組の辺の比がすべて等しい。
○
○
22組の辺の比が等しく,その間の角が等し
(観察・ノート)
・三角形の相似条件を理解している。
(発表・ノート)
☆三角形の合同条件と比較させながら,声に出したり
い。
書かせたりして,相似条件を理解させる。
32組の角がそれぞれ等しい。
三角形の
○2つの三角形は相似であるか。
相似条件
・辺の比や角の大きさに着目し,三角形の相
・三角形の相似条件を用いて,相似な三角形をみつけ
ることができる。
○
似条件を使って,相似であることを判断す
(挙手・ノート)
☆相似な三角形を取り出して,同じ向きに並べて書か
ることができる。
せ,対応する部分をとらえやすくする。
○三角形の相似条件を使って,2つの三角形
・三角形の相似条件を用いて図形の性質を考察し,そ
が相似であることを証明するには。
れを証明することができる。
・比べる三角形の対応する辺や角に着目すれ
○
(発表・ノート)
☆相似な三角形を取り出し,同じ向きに並べて書か
ば,適する相似条件を見つけることがで
せ,対応する部分をとらえやすくする。例題をみな
き,証明することができる。
がら根拠を記述させ,証明を完成させる。
○△ADEと△ABCの辺の間にどんな関
係が成り立つか。
A
・三角形と比の性質について理解している。
・定理 三角形と比
1DE//BCならば
AD:AB=AE:AC
○
E
D
B
C
=DE:BC
(発表・ノート)
☆図を書かせ色分けしながら,対応する比がわかるよ
うにする。
2DE//BCならばAD:DB=AE:EC
二
(
5
)
○三角形と比の定理の逆は成り立つか。
図形と比
・三角形と比の性質を利用して線分の長さを求めるこ
・逆も成り立つ。
定理 三角形と比の定理の逆
○
1 AD:AB=AE:ACならばDE//BC
【本時】○三角形の角の二等分線をひくと,
形の性質を考察し,それを証明することができる。
・△ABCで,∠Aの二等分線と辺BCとの
○
AB:AC=BD:CD
(発表・説明・ワークシート)
☆課題の辺を含んだ相似な三角形を線で囲ませ,相似
条件を確認させる。次に二等辺三角形の等しい2辺
である。
B
☆図に,対応する比がわかるように色分けして書か
・三角形の相似条件や既習の図形の性質を用いて,図
BD:CD=AB:AC=になるだろうか。
A
(発表・ノート)
せ,比例式で求めさせる。
2 AD:DB=AE:ECならばDE//BC
交点をDとすると
とができる。
D
C
に印をつけさせ,証明の筋道を確認させる。
○平行線に直線が交わるとき,どんな関係が
・平行線と比の定理を利用して,線分の長さを求める
成り立つか。
ことができる。
・平行線と比 定理
○
ように,図に値を書かせたり,
a
aエ
うに交わっても,その直線は平行線によって
補助線を引かせたりして求め
b
bエ
一定の比に分けられる。
させる。
3つ以上の平行線に,1つの直線がどのよ
二
(
5
)
図形と比
○線分MNとBCとの間にはどんな関係が
成り立つか。
・中点連結定理を知り,これを利用して長さを求めた
り図形の性質を証明したりすることができる。
A
・中点連結定理
MN=1/2BC
(発表・ノート)
○
N
M
MN//BC,
☆中点連結定理からや既習の図形の性質などから
C
B
わかることを図に書かせ,手がかりを確認する。
○相似な2つの多角形の,相似比と面積比と
・相似な平面図形の周や面積の比と相似比との関係を
の間には,どんな関係があるか。
・相似比が m :n である2つの図形の面積
三
(
2
)
○
2
2
の比は m :n である。
相似な図形
○
る。
○相似な図形の性質を利用して,身のまわり
・三角形の相似を利用して,2地点間の距離や高さを
の問題を解決するにはどうすればよいか。
の利用
○
・縮図から,相似な図形の性質を利用して求
めることができる
(
1
)
章の問題
(発表・ノート)
☆相似な立体図形を取り出させ,分かっている値を書
かせる。相似比と表面積比,体積比の関係を使わせ
である。
相似な図形
☆いろいろな図形の面積を具体的な値で求めた結果
利用して問題を解決することができる。
るか。
・相似比が m :n である2つの立体の表面
2
2
3
3
積の比は m :n ,体積の比は m :n
四
(
1
)
(発表・ノート)
・相似な立体の表面積,体積の比と相似比との関係を
比,体積の比との間には,どんな関係があ
積
理解している。
から,規則性を確認させる。
○相似な2つの立体の,相似比と表面積の
の面積と体
(発表・ノート)
☆対比させる線分が分かりやすい
求めることができる。
(発表・ノート)
☆縮図から,対応する辺や角に着目させ,比例式を作
らせる。
○章の問題に取り組み,自分の力を伸ばそ
う。
○ ○
・章の問題を解くことができる。
(発表・ノート)
・発展や補充問題に取り組もうとしている。 (観察)
5 本時の学習(第2次中3時)
板書計画
課題
∠BACの二等分線をひくと,
『BD:CD=AB:AC』は本当に成り立つか?
説明してみよう。
A
角の二等分線をひくと…
A
BD:CD=AB:EC
↓
6cm
AC
6cm
6cm
②
③
5cm
5cm
4cm
B
A になる為の根拠は?
B
D
D
C
C 証明の筋道は?
E
8cm
6cm
E
③
④
7cm
3cm:2cm=6cm:4cm
=3:2
2組の角がそれぞれ等しい
△ABD∽△ECD
よって
BD:CD=AB:EC
4cm:3cm=8cm:6cm
=4:3
いてできる線分の比にはどんな
関係があるか。
A
まとめ
∠BACの二等分線をひくと,
『BD:CD=AB:AC』
が成り立つ。
B
△
D
C
(1)単元名
相似な図形
(2)本時のねらい
三角形の相似条件や既習の図形の性質を用いて,図形の性質を考察し,それを証明することができる。
(数学的な見方や考え方)
(3)学習過程
学習活動
配時
指導と評価
1 問題把握
導入
10
・3種類の三角形を提示する。
△ABCにおいて,
∠BACの二等分線をひき,
BCとの交点をDとする。
A
ア
6cm
点Dはどんな場所にあるだろうか。 B
A
イ
6cm
D
5cm
6cm
・アの点DはBCの中点,イの点DはBCを3:2で分ける点
ウの点DはBCを4:3で分ける点。
B
6cm
D
7cm
C
・点Dの場所を線分の比を用いて説明させる。
・点Dの場所の線分の比と,三角形の辺ABとACの長さの
A
・三角形の辺と線分の比に関係がありそうだ。
比との関係に着目させる。
・BD:CD=AB:AC ではないか。
・一般化した△ABCで,考えていくことを伝える。
B
2 課題把握
A
8cm
4cm
D C
5cm
B
C
ウ
C
D
∠BACの二等分線をひくと,
『BD:CD=AB:AC』は本当に成り立つか?説明してみよう。
3 見通しを持つ
展開
・相似な三角形がない。
30
・課題の辺が含まれる相似な三角形を
・まず,自力で考えさせる。
A
・相似な三角形をみつけるための補助線を助言する。
つくればいいのではないか。
・平行線を利用すれば
相似な三角形をつくることができる。
B
D
・自力解決させる。その後様子を見ながら小グループになっ
C
てもよいことを伝え,相似な三角形であることを,根拠を
4 説明し合う
明確にして説明し合うよう促す。
・平行線の錯角は等しいから…
・△ABD∽△ECD
・図に書きこんだことを見せながら,筋道を立てて説明させ
E
根拠が明確になっているかを確認し合うよう助言する。
・BD:CD=AB:EC
・△ACEは二等辺三角形よりEC=AC
・課題解決できた生徒に,発表させる。
・様子をみて,発表を聞いている生徒にも根拠や筋道を発言
5 発表する
させ,多くの生徒が理解を深めるようにする。
・△ABD∽△ECDにおいて…
・2組の角がそれぞれ等しいので,△ABD∽△ECD
○三角形の相似条件や既習の図形の性質を用いて,図形
・よってBD:CD=AB:EC
の性質を考察することができる。
(発表・ワークシート)
・△BEAは二等辺三角形なのでEC=AC。
☆課題の辺を含んだ相似な三角形を線で囲ませ,相似条
・したがって結論が導かれる。
件を確認させる。次に二等辺三角形の等しい2辺に印
・根拠を明確にした証明の筋道がわかった。
をつけさせ,証明の筋道を確認させる。
6 まとめ
A
三角形の角の二等分線と比
∠BACの二等分線をひくと,
まと
『BD:CD=AB:AC』
め
が成り立つ。
10
B
・証明を書く。
D
C
・根拠を明確にして証明を書かせる。
・他の証明方法を考えてくるよう促す。