第 26 回万有仙台シンポジウム Poster 発表要旨 麻痺性貝毒生合成関連化合物の合成と生産生物の分析 Synthesis of the compounds related to biosynthesis of paralytic shellfish toxins and analysis of them in microorganisms 土屋成輝 1、長由扶子 1、此木敬一 1、長澤和夫 2、大島泰克 3、山下まり 1 (1 東北大院農, 2 東京農工大院工, 3 東北大院生命科学) サキシトキシン(STX, 1, Fig 1.)を始めとした麻痺性貝毒は、強力な神経毒として知られている。 起源生物は、淡水産藍藻、海産渦鞭毛藻である。Kellmann ら 1)が藍藻のゲノム解析を行い、提唱 した生合成経路を元に、我々は生合成中間体化合物を化学合成し、 LC-MS を用いて同定し、生合成経路を明らかにしてきた。2)その中で、 新たな生合成関連化合物(Cyclic-C’, 2)が見出された。3) この Cyclic-C’ (2)は、Int-C’2 (3)を化学合成する際に得られた副生成 物であり、3 から 2 への誘導化は、塩基性条件下、Pd/C を作用させる ことで (Scheme 1)進行した。 Fig 1. The structure of 興味深いことに、合成副生成物である Cyclic-C’(2)は、藍藻有毒株 saxitoxin (STX, 1) Anabaena circinalis (TA04)、渦鞭毛藻有毒株 Alexandrium tamarense (Axat-2)の細胞内に存在することが分かった。一方で、藍藻無毒株 A. circinalis (NISE-1645)、 渦鞭毛藻無毒株 A. tamarense (UAT-014-009)では他の中間体(IntA’, Int-C’2 (3))と同様に、2 は 存在せず、有毒株特異的な化合物であることから、麻痺性貝毒の生合成との関連が示唆された。 さらに、Pd/C により触媒される環化反応と、同様の反応が生物内でも起きている可能性がある ため、環化酵素の存在に興味が持たれる。現在、安定同位体を用いたラベル化合物を合成し、A. circinalis (TA04)を用いて、生物中の環化反応の存在を明らかにしようと試みている。 Scheme 1. Synthesis of Cyclic-C’ (2) from Int-C’2 (3) <参考文献> 1) R. Kellmann, T. K. Mihali, Y. J. Jeon, R. Pickford, F. Pomati, B. A. Neilan, Appl. Environ. Microbiol. 2008, 74, 4044-4053. 2) S. Tsuchiya, Y. Cho, K. Konoki, K. Nagasawa, Y. Oshima, M. Yotsu-Yamashita, Org. Biomol. Chem. 2014, 12, 3016-3020. 3) S. Tsuchiya, Y. Cho, K. Konoki, K. Nagasawa, Y. Oshima, M. Yotsu-Yamashita, Chem. Eur. J., 2015, DOI: 10.1002/chem.201500064. 発表者紹介 氏名 土屋 成輝(つちや しげき) 所属 東北大学大学院 農学研究科 学年 D2 研究室 天然物生命化学分野
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