7.播種性血管内凝固、敗血症、真菌症、手術・処置などの

福岡大学筑紫病院の病院指標(平成 25 年度)
7.播種性血管内凝固、敗血症、真菌症、手術・処置などの合併症の請求率
播種性血管内凝固、敗血症、真菌症、手術・処置等の合併症の患者数と請求率を集計しました。
○DPC コード
14 桁ある DPC コードのうち、6 桁で集計しています。DPC コード 6 桁とは病名による分
類を表しており、治療方法は分類に関連しません。
○播種性血管内凝固
感染症などによって起こる、全身性の重症な病態です。治療に大きな医療資源が投入される
ため、該当する DPC で高額な点数が設定されています。
○敗血症
感染症によって起こる、全身性炎症反応の重症な病態です。治療に大きな医療資源が投入さ
れるため、該当する DPC で高額な点数が設定されています。
○真菌症
真菌による感染症です。平成 25 年度の集計では入院症例はありませんでした。
○手術・処置などの合併症
手術や処置などに一定割合で発生してしまう病態です。術後出血や創部感染などが挙げられ
ます。合併症はどのような術式でもどのような患者さんでも一定の確率で起こり得るもの
で、医療ミスとは異なります。
○入院契機
DPC コードにて分類される包括請求の対象となる病気(DPC 病名)とは別に、入院の契機
となった病気(入院契機病名)がそれぞれの患者さんにつけられています。DPC 病名と入
院契機病名が「同一」か「異なる」かにより分けて集計しています。
「同一」ということ
は、ある病気の診療目的で入院して、その病気の治療を行ったということを表します。一方
「異なる」ということは、ある病気の診療目的で入院したが、併発していた、もしくは入院
中に発症した違う病気(この指標の場合は、播種性血管内凝固や敗血症、手術・処置などの
合併症)による治療が主だったものになってしまったことを表します。
○請求率
全入院患者さんのうち、該当する病気で包括請求となった割合です。
1
福岡大学筑紫病院の病院指標(平成 25 年度)
DPC コード
傷病名
130100
播種性血管内凝固
180010
敗血症(1 才以上)
180035
真菌症
180040
手術・処置などの合併症
入院契機
同一
患者数
請求率
6
0.08%
異なる
15
0.20%
同一
11
0.15%
異なる
8
0.11%
同一
0
-
異なる
0
-
同一
異なる
46
0.61%
1
0.01%
播種性血管内凝固や敗血症は、DPC で高額な点数が設定されている(入院医療費が高くな
る)ため、臨床的に根拠のある診断でなければアップコーディング(不適切な入院医療費請
求)を疑われかねない DPC 病名とされています。
厚生労働省による平成 25 年度の全国の DPC 対象病院データ集計では、全症例に対する割
合は播種性血管内凝固が 0.25%、敗血症は 0.58%でした。全国値と指標による当院の数値を
比べると、播種性血管内凝固(当院は 0.28%)はほぼ同程度、敗血症(当院は 0.26%)は約
半分の割合であることが分かります。
DPC 病名と入院契機病名が異なる場合の入院契機病名として挙げられるのは、癌が 4 件、
胆管炎が 4 件、肺炎が 3 件、腹膜炎が 2 件などでした。癌や感染症で入院後も全身状態が悪
化して播種性血管内凝固や敗血症といった重症な病態になってしまった症例です。
手術・処置などの合併症については、ほとんどが DPC 病名と入院契機病名が同一である症
例でした。つまり、手術・処置などの合併症を主訴として入院され、治療を受ける入院患者
さんが多いということです。
最も多い症例は胃や大腸の内視鏡的治療後の消化管出血で 18 件でした。大腸ポリペクト
ミーを施行され、退院後に出血症状があり、緊急止血術を行い再入院するという症例が典型
的です。
次いで多い症例が術後感染症で 9 件ありました。手術を施行されて、退院した後に手術創
や腹腔内に感染が起こってしまい、再入院して抗生剤治療を行うといった症例があります。
手術や処置などは合併症を起こさないように細心の注意を払って施行しています。しかし、
合併症はどうしても一定の確率で起こり得ます。起こり得る合併症については、事前に可能
な限り患者さんに説明したうえで、手術や処置の施行に同意をいただくよう努めています。
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