転院患者の持ち込みが契機となった MDRP 院内発生事例の検討 上地

転院患者の持ち込みが契機となった MDRP 院内発生事例の検討
○上地 幸平 1), 仲宗根 勇 2), 仲松 正司 2), 平井 潤 2), 武加竹 咲子 2),
芦塚 陵子 2), 潮平 英朗 3), 前田 士郎 1), 藤田 次郎 2)
1)
琉球大学医学部附属病院 検査・輸血部
2)
同 感染対策室
3)
同 薬剤部
【はじめに】多剤耐性緑膿菌 (MDRP) は医療関連感染の原因菌の一つとして重要な耐性菌
である。今回、我々は、転院患者の MDRP の持ち込みを契機に院内発生した MDRP に
ついて、rep-PCR 法と質量分析計を用いた相同性解析の検討を行ったので報告する。
【対象】2014 年 11 月から翌年 5 月に A 病棟 (皮膚科・泌尿器科) に入院していた 4 名の
患者から分離された MDRP 4 株。B 病棟に入院しているが皮膚科にて治療を継続していた
患者 1 名から分離された MDRP 1 株、また、環境調査(薬浴室、汚物室、処置室) にて得ら
れた P. aeruginosa 4 株の計 9 株を対象とした。
【方法】rep-PCR 法は Diversilab Pseudomonas Kit (bioMeriux) を用いて増幅し、
Diversilab system を用いて解析し、電気泳動パターンが 95.0 % 以上の相同性を示した株
を同一とした。質量分析は VITEK MS (bioMeriux) を用い、SARAMIS を用いて解析を行
った。
【結果】検討した 9 株は rep-PCR 法にて B 病棟に入院していた患者から分離された 1 株
を除き、すべて 95 %以上の相同性を示し、病棟薬浴室を感染源とした院内発生事例と考え
られた。また、VITEK MS を用いた相同性解析でも 80 % 以上の相同性を示した。
【まとめ】MDRP の持ち込みを契機とした院内発生事例を経験した。PCR 法による相同性
解析は時間と労力を要するが, 質量分析は簡便・短時間で相動性解析が可能で感染対策に極
めて有用である。