第9回星検2級問題(解説付)PDF

第 9 回星検 2 級問題
ころ
みたか
下図は 8 月 23 日 20 時頃の三鷹で、南を向いた時の星空をあらわしている。この図を見
て、問 1~問 5 に答えなさい。
はぶ
問 1 図の A、
B の位置にある星座の名前をそれぞれ答えなさい。
(星座線は省いてある)
すがた
問 2 ギリシャ神話において、いて座はケンタウロス族の、ある半人半馬の 姿 とされ
ている。へびつかい座はその半人半馬から教えを受けた、ある医者の姿とされている。
それぞれの名前をカタカナで答えなさい。
問 3 図の㋐の位置にあるメシエ天体 M4 の天体の種類を、
①~④の中から選びなさい。
① 球状星団
② 銀河
③ 散開星団
④ 散光星雲
あいしょう
問 4 図の㋑の位置にあるメシエ天体 M16 の 愛 称 を、①~④の中から一つ選びなさい。
① あれい状星雲
② オメガ星雲
③ ふくろう星雲
④ わし星雲
かたむ
問 5 2015 年 8 月 23 日に図の㋒の位置にある土星の、地球から見たときの環の 傾 き具
合として、最も近いものを①~③の中から選びなさい。(図は上が北である)
①
②
-1-
③
第 9 回星検 2 級問題
下図は 11 月 1 日 21 時頃の三鷹で、南を向いて天頂を見上げた時の星空をあらわしてい
る。この図を見て問 6~問 10 に答えなさい。
B の位置にある星座の名前をそれぞれ答えなさい。
(星座線は省いてある)
問 6 図の A、
問 7 うお座とおひつじ座の星座の略号(略符)をそれぞれ答えなさい。
(アルファベット 3 文字で大文字小文字を区別すること)
問 8 うお座は、ギリシャ神話では母子の神が変身した 2 匹の魚の姿と言われている。
その母と子の名前を、それぞれカタカナで答えなさい。
問 9 図の㋐の位置にある、美しい二重星として有名なアンドロメダ座γ星の名前(固
有名)を答えなさい。
りょういき
ばん
問 10 図の㋑の 領 域 には、アンドロメダ銀河とその伴銀河の三つのメシエ天体がある。
二つの伴銀河のメシエ番号の組み合わせとして正しいものを、①~④の中から選びなさ
い。
① M32 と M101
② M32 と M110
③ M33 と M101
-2-
④ M33 と M110
第 9 回星検 2 級問題
れっき
せっ
問 11 次の A、B それぞれにおいて、列記した両方の星座に接している星座の名前を①
~④の中から一つずつ選びなさい。
A うさぎ座・とも座
B いっかくじゅう座・かに座
① おおいぬ座
② オリオン座
③ ぎょしゃ座
④ こいぬ座
問 12 次のⅠ、Ⅱに説明する星座の名前をそれぞれ答えなさい。
Ⅰ 1054 年にこの星座の領域で超新星爆発が起こった様子を、後に藤原定家が「明月記」
に記録した。
まわ
Ⅱ 1995 年にこの星座の領域で、初めて主系列星の周りを回る太陽系外惑星の存在が確
認された。
問 13 次の A、B のメシエ天体が位置している星座の名前を、それぞれ答えなさい。
A M57
B M97
問 14 ①~③の恒星について、銀緯の低い(銀河赤道に近い)順に番号を並べなさい。
① アルクトゥールス
② デネブ
③ ベガ
問 15
まちが
Ⅰ~Ⅳの説明で、正しいものには○、間違っているものには×とそれぞれ答え
なさい。
Ⅰ 金星が最も明るく見える頃は、望遠鏡で観察すると満月に近い形をしている。
むか
Ⅱ 衝を迎えた土星と、月が並んで見えていた。この月は半月に近い形をしている。
にくがん
Ⅲ 火星などの外惑星は、合の時には肉眼で見ることはできない。
Ⅳ 三鷹で満月が最も高く上る季節は、夏である。
-3-
第 9 回星検 2 級問題
じく
問 16 地球の地軸の傾きは約 23 度である。沖縄県那覇市の緯度は北緯約 26 度である。
これらの数字を使って、那覇市で、春分の日と夏至の日に太陽が最も高くなった時の高
度を、それぞれ整数で答えなさい。
問 17
しょうてん
せつがんきょう
そうちゃく
焦 点 距離 900mm の望遠鏡に焦点距離 15mm のアイピース(接眼 鏡 )を 装 着 し、
12 分角離れたおおぐま座の二重星ミザールとアルコルをとらえると、下図のように二
し や
ほど
かんかく
つの星が視野直径の 5 分の 1程の間隔で見えた。
(ミザール自身も二重星であるが、図では一つの星としてあらわしている)
この時の、視野円直径の実視界として最も近いものを、①~④の中から選びなさい。
① 0.6 度
② 1度
③ 6度
④ 10 度
また、このアイピースの見かけ視界として最も近いものを、①~④の中から選びなさい。
① 6度
② 10 度
③ 60 度
④ 100 度
-4-
第 9 回星検 2 級問題
問 18 金星は 2015 年 8 月 16 日に内合となり、地球から見えなくなった。その後の金
星の見え方として正しいものを①~④の中から選びなさい。
あらわ
① 夕方の西天に姿を 現 し、10 月 26 日に西方最大離角となる。
② 夕方の西天に姿を現し、10 月 26 日に東方最大離角となる。
③ 明け方の東天に姿を現し、10 月 26 日に西方最大離角となる。
④ 明け方の東天に姿を現し、10 月 26 日に東方最大離角となる。
問 19 冥王星の衛星の中で、最も大きな天体の名前をカタカナで答えなさい。
た ん さ き
りだつ
りょういき
問 20 2012 年に NASA の探査機ボイジャー1 号が離脱したとされる太陽系の 領 域 を、
①~④の中から一つ選びなさい。
① オールトの雲
② カイパーベルト
③ 小惑星帯(メインベルト)
④ 太陽圏
問 21
天体間の距離に関するⅠ~Ⅳの説明で、正しいものには○、間違っているもの
には×とそれぞれ答えなさい。
たんい
Ⅰ 太陽と一番遠い太陽系惑星との平均距離は、10 天文単位よりも遠い。
Ⅱ 太陽と一番近い準惑星との平均距離は、10 天文単位よりも遠い。
Ⅲ 太陽と一番近い恒星との距離は、10 光年よりも遠い。
Ⅳ 太陽とアンドロメダ銀河との距離は、100 光年よりも遠い。
問 22 次の A、B の恒星は、それぞれの進化の末期にどのような天体になると考えられ
るか。①~⑤の中から最もふさわしいものをそれぞれ選びなさい。
しつりょう
たんじょう
A 太陽の 5 倍の 質 量 で 誕 生 した恒星
B 太陽の 15 倍の質量で誕生した恒星
かっ
わい
① 褐色矮星
② クエーサー
③ 中性子星
-5-
④ 白色矮星
⑤ ブラックホール
第 9 回星検 2 級問題
問 23
ぎょうせき
イギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルの 業 績 に関するⅠ~Ⅳの説明で、
正しいものには〇、間違っているものには×と答えなさい。
Ⅰ 海王星を発見した。
こうあん
Ⅱ 恒星の表面温度と明るさの関係を示す、HR 図を考案した。
えが
Ⅲ 天の川銀河(当時考えられていた宇宙)の形と大きさを、科学的手法で初めて描き
出した。
にんしき
Ⅳ 土星の環を、本体を取り巻く円盤状の「環」と初めて認識した。
しゅうかい
問 24 2014 年 8 月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の 周 回 軌道に入り、同年 11 月
に着陸機フィラエを彗星核に着陸させた、欧州宇宙機関の探査機の名前を①~④の中か
ら選びなさい。
① ジオット
② ディープインパクト
③ ベガ
④ ロゼッタ
よくよく
きゅうれき
問 25 ①~④の中から、中秋の名月の翌々日( 旧 暦 8 月 17 日)の月(moon)に対する
呼び名を選びなさい。
いまち
① 居待月
たちまち
② 立待月
ねまち
③ 寝待月
ふけまち
④ 更待月
-6-
第 9 回星検 2 級解答
らん
<解答欄>
きにゅう
注:星座や星の名前は、
「ひらがな」または「カタカナ」で記入して下さい。
答を選ぶ問題には、番号を記入して下さい。
かこ
ふよう
番号を囲む○(マル)は不要です。
問1
A( たて )座
B( みなみのかんむり )座
問2
いて座( ケイロン )
へびつかい座( アスクレピオス )
問3 ( 1
)
問4 ( 4
)
問5 ( 3
)
A( とかげ
)座
B( さんかく )座
問7
うお座( Psc )
おひつじ座( Ari )
アフロディテ )
エロス )
問9 ( アルマク )
問 10
×
×
〇
×
)
)
)
)
問 16
春分の日(
夏至の日(
64
87
)度
)度
問 18
( 3 )
問 19
( カロン
問 20
( 4 )
問 21
Ⅰ(
Ⅱ(
Ⅲ(
Ⅳ(
〇
×
×
〇
問 22
A(
B(
4 )
3 )
問 23
Ⅰ(
Ⅱ(
Ⅲ(
Ⅳ(
×
×
〇
×
)
)
)
)
)
( 2 )
問 11
A(
B(
問 12
Ⅰ(
Ⅱ(
1 )
4 )
おうし )座
ペガスス )座
問 13
A( こと
)座
B( おおぐま )座
問 14
問 15
Ⅰ(
Ⅱ(
Ⅲ(
Ⅳ(
問 17
実視界( 2 )
見かけ視界( 3 )
問6
問8
母(
子(
記入例:( 2 )
( 2
)
(
3 )(
1 )
問 24( 4
)
問 25( 2
)
)
)
)
)
(日本語でない名称のカナ表記は、解答以外の表記でも原音に即していれば、協会判断で正解とする)
第 9 回星検 2 級解答解説
問1 答 A
たて座
B
みなみのかんむり座
こ
たて座の付近は、天の川の明るく濃い所で、スモールスタークラウドと呼ばれています。
なら
みなみのかんむり座は、夜空の暗い所では、半円形の星の並びが目につく星座です。
問 2 答 いて座
ケイロン
へびつかい座 アスクレピオス
ギリシャ神話によると、太陽神アポロンの息子アスクレピオスは、ケイロンに育てられ
医術の教えを受けたため、ギリシャ一番の医者になったとされています。
問 3 答 ① 球状星団
し
や
M4 は、アンタレスのすぐ西側にある球状星団で、双眼鏡では同じ視野で見られます。
問 4 答 ④ わし星雲
M16 は、散開星団と散光星雲の組み合わせという天体で、写真に撮ると、散光星雲が羽
を広げたわしの姿のように見えることから、この愛称が付きました。
問5 答 ③
きどう
土星の環は地球の軌道面に対して約 27 度傾いているため、土星の公転につれて地球か
らの環の見え方は年々変化します。ここ数年は、環が開いて見え、本体の南極方向の端
が環に隠される時期です。
-1-
第 9 回星検 2 級解答解説
問6 答 A
とかげ座
B
さんかく座
とかげ座は夏の濃い天の川から秋の淡い天の川に移るあたりにある星座です。
な
さんかく座は、小さいながら二等辺三角形を成す三つの星がよく目立ちます。
問 7 答 うお座
Psc
おひつじ座 Ari
うお座 Pisces おひつじ座
Aries の略号(略符)です。
問 8 答 母 アフロディテ
子 エロス
ギリシャ神話で、愛と美の女神アフロディテと愛の神エロスは母子とされています。ロ
ーマ神話に登場するビーナスとキューピッド(英語読み)と同一視されています。
(うお座のギリシャ神話について詳しくは、公式問題集 5 級 4 級 41 ページ参照)
問 9 答 アルマク
けい
はな
オレンジ系と青系の星が約 10″離れて並ぶ、色の対比が美しい二重星です。
問 10 答 ② M32 と M110
M110 は、メシエカタログの最後の番号がふられた天体です。
-2-
第 9 回星検 2 級解答解説
問 11 答 A
B
① おおいぬ座
問 12 答 Ⅰ おうし座
④ こいぬ座
Ⅱ ペガスス座
ざんがい
もよう
かに
Ⅰ おうし座の角の先あたりに位置するこの超新星残骸M1 は、細かい糸状の模様が蟹の
足を思わせることから、
「かに星雲」という愛称が付いています。
きわ
Ⅱ ペガスス座 51 番星の極めて近くを回る木星サイズの惑星で、このタイプの惑星は
ホット・ジュピターと言われています。
問 13 答 A
こと座
B
おおぐま座
M57、M97 ともに惑星状星雲です。M57 は環状星雲、M97 はふくろう星雲という愛称が付
いています。
M57
M97
問 14 答 ② デネブ ③ ベガ ① アルクトゥールス
銀緯
デネブ
約+ 2 度
ベガ
約+19 度
アルクトゥールス 約+69 度
問 15 答
Ⅰ 金星が最も明るく見える頃は、望遠鏡で観察すると満月に近い形をしている。
× →
三日月
むか
Ⅱ 衝を迎えた土星と、月が並んで見えていた。この月は半月に近い形をしている。
× →
満月
にくがん
Ⅲ 火星などの外惑星は、合の時には肉眼で見ることはできない。 ○
きせつ
Ⅳ 三鷹で満月が最も高く上る季節は、夏である。
-3-
× → 冬
第 9 回星検 2 級解答解説
問 16 答 春分の日 64 度
夏至の日
87 度
春分の日に太陽が真上にくる赤道と那覇市との緯度差は 26 度なので、那覇市での太陽
の高さは 90 度-26 度=64 度となります。
夏至の日に太陽が真上にくる北回帰線と那覇市の緯度の差は 26 度-23 度=3 度なので、
那覇市での太陽の高さは 90 度-3 度=87 度となります。
問 17 答 実視界
② 1度
見かけ視界 ③ 60 度
し や
12 分の間隔が、視野直径の 5 分の 1 になるときの視野(実視界)は、
12 分× 5 倍=60 分=1 度となります。
しょうてん
そうちゃく
焦 点 距離 900mm の望遠鏡に焦点距離 15mm のアイピースを 装 着 すると、
ばいりつ
倍率は 900mm÷15mm=60 倍となります。
見かけ視界は実視界×倍率なので、1 度× 60 倍=60 度となります。
問 18 答 ③ 明け方の東天に姿を現し、10 月 26 日に西方最大離角となる。
問 19 答 カロン
た ん さ き
カロンは、
冥王星の約半分の大きさ
(直径)もある衛星です。
2015 年 7 月に NASA の探査機
ニュー・ホライズンズが冥王星とカロンに接近し、探査しました。
問 20 答 ④ 太陽圏
ふ
か で ん りゅうし
およ
はんい
太陽圏とは、太陽から吹き出す荷電粒子(太陽風)の及ぶ範囲のことです。NASA はボ
りだつ
イジャー1 号が 2012 年 8 月に太陽圏を離脱したと発表しました。しかし太陽系を離脱
す
したわけではなく、彗星の巣と言われるオールトの雲は、まだその先にあります。
-4-
第 9 回星検 2 級解答解説
問 21 答
たんい
① 太陽と一番遠い太陽系惑星との平均距離は、10 天文単位よりも遠い。 ○
海王星
約 30 天文単位
② 太陽と一番近い準惑星との平均距離は、10 天文単位よりも遠い。
→ 近い。
ケレス
約 2.8 天文単位(小惑星帯・メインベルト)
③ 太陽と一番近い恒星との距離は、10 光年よりも遠い。
→ 近い。
×
×
リギルケンタウルス 約 4 光年
④ 太陽とアンドロメダ銀河との距離は、100 光年よりも遠い。
○
約 230 万光年
問 22 答 A ④ 白色矮星
ていど
B
しつりょう
③ 中性子星
たんじょう
わいせい
太陽の 8~10 倍程度以下の 質 量 で誕 生 した恒星は白色矮星に、太陽の 20~30 倍程度
以上の質量で誕生した恒星はブラックホールに、その間の質量で誕生した恒星は中性子
星になると言われています。
問 23 答
Ⅰ 海王星を発見した。×
→ 天王星
こうあん
Ⅱ 恒星の表面温度と明るさの関係を示す、HR 図を考案した。
×
→
HR 図を考案したのは、ヘルツシュプルングとラッセル
えが
Ⅲ 天の川銀河(当時考えられていた宇宙)の形と大きさを、科学的手法で初めて描き
出した。
○
にんしき
Ⅳ 土星の環を、本体を取り巻く円盤状の「環」と初めて認識した。
×
→ 認識したのは、ホイヘンス
問 24 答 ④ ロゼッタ
ゆらい
ロゼッタの名前は、ロゼッタ・ストーンに由来します。
問 25 答 ② 立待月
名月の翌日
名月の翌々日
い ざ よ い
十六夜(ためらってから出る月)
たちまち
立待月(立って待つと出る月)
いまち
名月の三日後
居待月(座って待つと出る月)
名月の四日後
寝待月(寝て待つと出る月)
名月の五日後
ねまち
ふけまち
更待月(夜が更けてから出る月)
-5-