[茨城大学 システム工学科 生物知能機械学研究室 2003 年度研究紹介] 神経振動子ネットワークを用いたヘビ型ロボットの自律分散制御 従来の車輪型移動ロボットや脚型移動ロボットでは,凹凸のある地面や軟弱地盤,狭隘な環境などは極めて 移動が困難となる.一方で,生物の蛇は細長い単純な形状をくねらせることによりこのような環境に適応した 運動機能を有しており,生物の蛇の運動を模倣したヘビ型ロボットは,災害後の瓦礫内等の極限環境において その応用が大いに期待されている. 従来ヘビ型ロボットに関する機構的提案は多く行われ,これらに対する力学的モデルを用いた運動学・動力 学の解析に基づく制御手法が提案されてきた.しかしこのような方法に基づくヘビ型ロボットの運動生成は, モデルや計算が複雑であるため,平面における所与の蛇行形状を前提としたモデルに基づいた計算などの方法 をとる必要があった.このため,このような方法では未知あるいは動的な環境に対して柔軟・迅速に適応した 運動を生成することが極めて困難であった.これに対して,実際の動物は,脊髄等に内在する振動を発生する 神経モジュール,中枢パターン発生器 (CPG: Central Pattern Generator) のネットワークと外部環境との相 互作用に基づく自律分散的運動生成メカニズムにより,その多自由度の身体に適合した適切な運動を柔軟に生 成していることが分かっている.そこで本研究では,ヘビ型ロボットの運動生成のための,神経振動子ネット ワークに基づく自律分散制御手法 (Fig.1,2) により,ヘビ型ロボットの分散的運動制御を実現し,これに基づ く柔軟かつ迅速な環境適応能力をロボットに実装することを目指している. これまでに,計算機シミュレーション (Fig.3) および実機ロボットによる実験 (Fig.4) から,神経振動子ネッ トワークによって求めた制御入力のヘビ型ロボット蛇行運動制御に対する妥当性を確認しており,今後は神経 振動子ネットワークにセンサからの外部環境情報のフィードバックを付加することによってヘビ型ロボットの 動的・多様な環境に対する適応性を高めることを目指す. Keywords: Sneke Robot, Central Pattern Generator, Neural Oscillator Network, Decentralized Control u0,e0 CPG1 CPG0 w 01 ue0 u0,e1 u0,en w(n-1)n ue1 − + CPG0 − + uf 1 y0 u0,f 1 CPG2 y1 y2 CPG10 CPG11 uf n y1 u0,f n y 10 y 11 ROBOT HEAD u0,f 0 CPG1 uen − + uf 0 CPG NETWORK CPGn yn θ1 Joint1 θ2 Joint2 θ 10 Joint10 θ 11 TAIL Joint11 Fig.1: Neural Oscillator Network Fig.2: Control Architecture Fig.3: Simulation Fig.4: Experiment 発表論文 1. 金, 井上, 馬: “CPG を用いた蛇ロボットの自律分散制御,” 第 21 回日本ロボット学会学術講演会予稿集, 2003.
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