第2章 離散モデルのデリバティブ価格づけ理論 2.3節 2項1期間モデル 環境情報学部3年 渡邊洋一 1 市場にこれら2つの株と安全債券があるとする (1+u)S 株 S t=0 安全債券 (1+d)S t=1(=T=満期) 1 1+r ただし, 0<1+d<1<1+r<1+u 2 行使価格Kのコールオプションの現在価格Cを無裁定の考え方から求める max((1+u)S-K,0) C max((1+d)S-K,0) 行使価格Kのコールオプションの価格推移 株Δ単位、安全債券B単位のポートフォリオで複製する (1+u)SΔ+(1+r)B=max((1+u)S-K,0) (1+d)SΔ+(1+r)B=max((1+d)S-K,0) これを解くと 3 したがって C=ΔS+B 1 ポートフォリオ コールオプションの現在価格 変形すると リスク中立上昇確率 リスク中立下降確率 コールオプションの現在価格は コールオプションのペイオフ(max(XS-K,0))の Xは確率変数 リスク中立測度Qでの期待値をとり それを現在価格に1/1+rで割り引いたもの Qはリスク中立確率測度 4 株価が上昇した場合の株の現在価値 株価が下降した場合の株の現在価値 Ω={H(上昇)、T(下降)}とすると株を証券αとして α(H)= α(T)= 無裁定の仮定からΩ={H,T}上にリスク中立測度が存在し と表される 5 したがってそれぞれのリスク中立確率測度は このときのコールオプションの収益の現在価値は 6 証券βが存在しても無裁定なので つまり このモデルにおいて一般的なデリバティブは Hが起きればC1,Tが起こればC2支払うので デリバティブYの現在価格 7 例題2.3.2のまとめ 128 (27/32,-12) ② 64 81 ② (φ2,ψ2) 36 ① ① 32 32 16 0 (φ1,ψ1) ③ 16 0 ③ 8 株の価格推移 ① (3/4,-8) 0 (φ2,ψ2) (0,0) コールオプションの価格推移 複製ポートフォリオの推移図 16=3/4 32+(-8) 1 ② 36=27/32 64+(-12) 3/2 ③ 0=0 16+0 3/2 コールオプションの複製が出来る デリバティブの複製は各時点でポートフォリオを次々に組 み換えて満期(T)にデリバティブのペイオフにその複製 ポートフォリオの価値を一致させれば良い 8 無裁定の仮定をどのように使用したか 無裁定関係によって②(D=36) となった。 しかしD>36だとしたらDの状態になったときコールオプションを売り、複製ポート フォリオを買うことで裁定が起きる。③(E=0)のときはDと36の乖離を使用できないの で裁定は起こらない(何もしない) つまり 確率1で非負の収益が発生し裁定機会が出来る D=36でなければいけない *以下同様に満期Tからさかのぼって各場合の価 格、複製ポートフォリオが決定されていく 9
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